MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

負うた子に教えを乞う

2012-01-30 10:21:52 | 通訳者のつぶやき
「負うた子に教えられて浅瀬を渡る」という言葉があります。

数年前から大学で教えるようになりました。
2010年から愛知県立大学外国語学部で教えるようになりました。
今年は前期・後期の1年間、毎週授業をしました。

正直、神戸から愛知まで通うには大変だし、
毎週外国語相談員の仕事をしながら教壇に立つのは
準備だけでも時間がなくて苦しい作業でした。
ではなぜ続けているかというと
毎週提出してもらうショートレポートがとても刺激になるのです。

コミュニティ通訳の仕事を激励してくれる学生や
日系南米人の歴史や生活に興味を持ってくれる学生、
自分自身の年金やクーリングオフの失敗を語る学生。
世代も違う彼らから見た外国人生活相談はまた違った色をしています。

この仕事を20年近くやっていると
授業で話すくらいのネタは十分あります。
在留資格で1時間半、
健康保険で1時間半、
所得税、、消費者トラブル、出産育児、医療システム、交通事故・・・余裕で話せます。
外国語相談員の仕事はゆりかごから墓場までなのです。

2008年から神戸市看護大学で1年に1回講義しています。
テーマは「国境と文化を越える医療支援」(オムニバス形式の授業ですが、いいテーマですね)
今年で4年目です。
今年初めて学生が書いたレポートが送られてきました。
ほとんどが実習を経験している3年生で、
何人かは実習先に外国人患者が来たり、入院していたりを経験しています。
ただ、医療通訳の存在や必要性は初めて知ったという学生が大多数です。
私はいつも「医療通訳を道具として上手に使う」という視点で話をするのですが、
ある学生が、「道具ではなく、私たちと一緒に患者のケアにあたってほしい」と書いてくれました。
とてもうれしかったです。
今まで医療通訳として、結構「遠慮して」医療者の方々と話すことが多かったのです。
でも、若い看護師の卵の皆さんはこれからの看護の中に
ごく自然に医療通訳の視点を持ってくれる。

若い人たちと話していると
多文化共生の視点も国際協力の視点も
肩ひじ張らずに緩やかに共有している。
そのしなやかさをうらやましく思います。
そしてその若さのエネルギーを少しでもわけてもらいたいと
いつも深呼吸(?)してます。


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仲間ができました!

2012-01-23 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
滋賀県に「SHIGA医療通訳勉強会」ができました。

私たちとおなじように
医療通訳として活動をしながら、
制度化を目指したいという志をもった団体です。

個人的には交流があったのですが、
医療通訳の活動をしている中で、
医療通訳の難しさや研修の必要性を強く感じておられるのも
私たちと同じだと思います。

MEDINTの研修会には愛知県や岡山県、東京などからもこられていますが、
できれば各地にフリーの医療通訳者が気軽に参加できる団体がたくさんできれば、
講座をシェアしたり、
情報を交換したりできますね。

ご活躍を期待しています。
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医療通訳は何のため?

2012-01-16 16:57:50 | 通訳者のつぶやき
医療通訳になった動機について、話をしていると
「病院へいって言葉もできず治療ができないお金のない気の毒な人を助けたい」という動機を聞きます。
人の痛みや悲しみがわかり、それに寄り添いたいという気持ちは大切です。
そして、それは医療通訳者の基本でもあります。
でも、それなら患者がお気の毒でなかったら、通訳しないのでしょうか?

そろそろ医療通訳は「かわいそうな外国人を支援する」という考え方から
「外国人の医療を受ける当然の権利の行使をサポートする」という考え方へ移行しなければと思っています。

病院にはかわいくない患者もいるし、
偉そうな患者もいます。
病気のせいでうまくコミュニケーションが取れない人もいる。
私たちの感情だけで医療通訳の仕事をしたら、
患者を選んでしまうことになります。

でも私たちはサポートする人である前に
医療通訳者なのです。

何が言いたいかというと、
医療通訳を提供する患者に違いはないということです。

生活保護の患者さんだからアマチュアでいいというわけでなく、
メディカルツーリズムの患者さんだからプロ級の通訳でないとだめというわけでない。
なぜなら、医療者は皆さんどの患者を診るときも同じレベルなのですから。
医療通訳だけが患者によってレベルを変えるという考え方は
もともとおかしいものです。

いずれ医療通訳者の格付けが始まると思いますが、
日本で制度化をするときは、
在住外国人も訪日外国人もメディカルツーリズムも同じ土俵で格付けしなければ、
どこか一つが突出することがないように、気を付けなければならないと思っています。
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新しい年がよい年になりますように

2012-01-01 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
皆様、旧年中はお世話になりました。
MEIDNTは小さなグループですが、
今年もコツコツ医療通訳の制度化に向けてやっていきたいと思っています。
よろしくお願いします。

今年の目標は、医療講座をより充実させることです。
昨年の中島先生の病院実習のように
新しい形の講座にも取り組んでいきたいと思います。
会員の皆さんからのご提案も歓迎します。

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MEDINTのHPに読書記録を作りました。
私と事務局のsyaraさん、スタッフのふーじーさんと3人で
読書案内しています。
よかったらこちらのほうもご覧ください

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