電話相談を受けている関係で、病院から切羽詰った声での電話がかかってくることがあります。
この日も産婦人科を受診している人から「赤ちゃんが死にそう!」「赤ちゃんを助けて!」と電話がかかってきました。
実は、こうした電話は少なくないのです。
初めの頃は、動揺しながら通訳していましたが、最近ではきちんと医師の話を最後まで聞いてから通訳することに徹するようにしています。
案の定、医師がインフォームドコンセントを懇切丁寧にすることによって、病名や副作用などを実際の症状と勘違いして聞き取ってしまうケースでした。
少し日本語がわかる人は、通訳なしで病院に行きます。
医療通訳が一般的ではない日本では、それは仕方のないことでしょう。
ただ、通常の妊娠や健康診断だと思って軽い気持ちで受診したのに、医師から重い病気の名前を聞くと気持ちが動転してしまうことは十分理解できます。
このケースでも、もしも「子宮外妊娠だったら大変なことだから、おなかが痛くなったらすぐに救急車で病院に行ってくださいね」という説明だったのですが、ご本人達は、「子宮外妊娠だから、急いで大きな病院に行ってください」と理解してしまいました。診察室は患者にとっては特殊な空間です。とても緊張しますし、もし悪い病気だったらどうしようとドキドキしながら診察を受けています。だから、日本語能力が高い人でも勘違いをしてしまうことがあるのです。医師はどうしてこんなに患者が驚いているのかが理解できなかったと思います。通訳に入り、この病気になるパーセンテージやどんなときにどこに連絡をするかということを理解して、やっと気持ちを落ち着けることが出来ました。
これはたとえばC型肝炎の検査結果を告げるときに「陰性である可能性が極めて高い」というような表現で伝えると、「陰性」とはっきり言ってくれないので、何か病気が隠れているのかと勘ぐってしまいます。言葉がすべてわかるならば、そうした言葉の裏に隠れたニュアンスを理解できるのですが、そこまで日本語になれていない場合、非常に難しいといえます。そんなときどうすればいいかというと、可能性をパーセンテージで表示してもらえばわかりやすくなると思います。1%なのか10%なのか90%なのかで随分違いますが、数字は具体的な理解の手助けになるのです。
こうした「少しだけ通訳」が必要な場面は少なくありません。もし周囲に通訳がいなくて、ご本人の様子からきちんと理解されていないと思った場合、もう一度説明をしなおすか、通訳を探すように本人に伝えてみてください。
冒頭の患者さんは、もちろん油断は禁物ですが、きちんと理解をして安心して帰宅されました。
医療通訳者にどこでもドアがあったら、こうした問題は簡単に解決するのですが・・。
PS:ブログを1回休んでしまいました。すみません。日本シリーズ残念でした。完敗でした。ぐったり疲れました。あっぱれドラゴンズ、あっぱれ落合監督~です。
この日も産婦人科を受診している人から「赤ちゃんが死にそう!」「赤ちゃんを助けて!」と電話がかかってきました。
実は、こうした電話は少なくないのです。
初めの頃は、動揺しながら通訳していましたが、最近ではきちんと医師の話を最後まで聞いてから通訳することに徹するようにしています。
案の定、医師がインフォームドコンセントを懇切丁寧にすることによって、病名や副作用などを実際の症状と勘違いして聞き取ってしまうケースでした。
少し日本語がわかる人は、通訳なしで病院に行きます。
医療通訳が一般的ではない日本では、それは仕方のないことでしょう。
ただ、通常の妊娠や健康診断だと思って軽い気持ちで受診したのに、医師から重い病気の名前を聞くと気持ちが動転してしまうことは十分理解できます。
このケースでも、もしも「子宮外妊娠だったら大変なことだから、おなかが痛くなったらすぐに救急車で病院に行ってくださいね」という説明だったのですが、ご本人達は、「子宮外妊娠だから、急いで大きな病院に行ってください」と理解してしまいました。診察室は患者にとっては特殊な空間です。とても緊張しますし、もし悪い病気だったらどうしようとドキドキしながら診察を受けています。だから、日本語能力が高い人でも勘違いをしてしまうことがあるのです。医師はどうしてこんなに患者が驚いているのかが理解できなかったと思います。通訳に入り、この病気になるパーセンテージやどんなときにどこに連絡をするかということを理解して、やっと気持ちを落ち着けることが出来ました。
これはたとえばC型肝炎の検査結果を告げるときに「陰性である可能性が極めて高い」というような表現で伝えると、「陰性」とはっきり言ってくれないので、何か病気が隠れているのかと勘ぐってしまいます。言葉がすべてわかるならば、そうした言葉の裏に隠れたニュアンスを理解できるのですが、そこまで日本語になれていない場合、非常に難しいといえます。そんなときどうすればいいかというと、可能性をパーセンテージで表示してもらえばわかりやすくなると思います。1%なのか10%なのか90%なのかで随分違いますが、数字は具体的な理解の手助けになるのです。
こうした「少しだけ通訳」が必要な場面は少なくありません。もし周囲に通訳がいなくて、ご本人の様子からきちんと理解されていないと思った場合、もう一度説明をしなおすか、通訳を探すように本人に伝えてみてください。
冒頭の患者さんは、もちろん油断は禁物ですが、きちんと理解をして安心して帰宅されました。
医療通訳者にどこでもドアがあったら、こうした問題は簡単に解決するのですが・・。
PS:ブログを1回休んでしまいました。すみません。日本シリーズ残念でした。完敗でした。ぐったり疲れました。あっぱれドラゴンズ、あっぱれ落合監督~です。