MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

治療とぜいたく品の境界線

2017-01-30 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
寒い日が続きますね。

最近はダウンのコートに
マフラー、マスク、ヘッドフォンの重装備です。
地下鉄の中で、
なんとなくよく知っている何かがいたので、
何かなあと思ったら「ベイマックス(画像にリンクします)」で、
もっとよく見たら自分でした(笑)。

先日、家族が一時退院するので
メーカーの方から在宅酸素療法の説明がありました。

今まで知らなかったのですが、
酸素濃縮装置や携帯用酸素ボンベはレンタルで病院外で使うけれど
医師のオーダーにより処方されるものなので
診療報酬に含まれるとのこと。
「薬」に近いものを思ってもらえればと言われて納得しました。

かたやテレビカードは相変わらず高いです。
1時間60円といえば安く感じますが、
8時間見たら2日で1000円のカードを使います。
以前、義父が野球を見るとき、チェンジでCMになると
こまめに消していたのを思い出しました。
そしてテレビカードはもちろん自己負担。
テレビを見て気晴らししたり、笑いが免疫を上げると言っても
これはぜいたく品の扱いですね。
エアコンはさすがに全室についていますが、
加湿器は病院の備品ではないようです。
これもぜいたく品の部類なのかな・・・。

では、医療通訳はどの辺にあたるんでしょうか。

私は医師が治療に必要とみなせばオーダーできる
携帯用酸素ボンベに近い存在であってほしいと思います。
患者の症状を聞いて、説明をして、納得してもらうのは
治療に必要なことだと思うからです。

特別扱いを求めているのではありません。
「医療通訳」は最低限必要なものというコンセンサスを作ることが
今年の目標でもあります。

当分、ブログの更新が不定期で遅れがちになります。
でも、つづけていくつもりですので、今後ともよろしくお願いします。


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通訳者を連れてきてください

2017-01-02 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
新しい年になりました。
いかがお過ごしですか?

話には聞いていましたが、
年をとればとるほど1年の密度は薄まってくるらしいです。
5歳なら1年が人生の1/5ので、50歳なら1/50だから
感覚的に時間の流れがはやくなるというのは本当だなと思います。

あまり書いていませんが
私の医療通訳は仕事柄ほとんどが電話や視読です。
なぜなら、対応人数が多くて現場にいけないし、
神戸から1時間2時間かかる田舎や通訳者がいない地域からこその要請が多いから。
都会でも小さなクリニックや歯科、
直接医療通訳のカテゴリーに入らないような薬局、
3歳児検診やちょっとした傷病手当金の説明、
救急車の中や今すぐに症状を伝えてという需要が少なくないからです。

もちろん、電話通訳の弱点は知っています。
ひとつの病院にきちんと雇用されて活動できる通訳者は
それはそれで大変なこともたくさんあるでしょうが、電話通訳者から見るとうらやましい。
でも、こうした「すきま産業」みたいな医療通訳を続けていると、
医療通訳の「王道」ではなく「末端」を知ることができます。

今日も電話通訳を始める前から
「次は通訳者をつれてきてください」と言われました。
兵庫県ではFACILさんの医療通訳配置病院が増えてきていますが、
スペイン語の通訳者で昼間稼動できる通訳者がいるのは
まだ本当に限られた地域です。
この病院のある地域は過疎が進み外国人労働者がその穴埋めをしているような場所でした。
どこに通訳者がいるのでしょうか。
通訳者を連れて行くのは患者の義務なのでしょうか。
ならば、日本語のできない外国人患者は病院にいけません。
電話通訳ならパーフェクトではないけれど
主訴や病歴など言葉で表現しなければいけない部分は最低限伝えることができます。
検査や触診などとあわせてもらえれば診断も可能だと思います。
病院から渡される細かい説明の紙もFAXで送ってもらって、
時間があるときにサイトラできます。
完璧ではないことを知りながらも
せめてお互い歩み寄って欲しいと思います。

医療通訳のシステムを作るとき
配置、同席のみを想像していると
こうした過疎のケースや周辺ケースは見逃されてしまいます。
先週歴史の話をしましたが、2000年よりずっと前から活動されている
AMDA国際医療情報センターは電話が中心であることを思い出しました。
古くて新しい医療通訳の形がここにもあると思っています。



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