“どんな遊びも、どんな職業も、何をやって見ても、一向この世が面白くない”主人公の郷田三郎。酒と女には無関心で、職業を転々とし遊びもすぐに飽きてしまう、宿も変る、生活は親からの仕送りで成り立たせ、死にたいと思いながら一向にその気もない25歳の青年である。NHKの番組でロック歌手の大槻ケンヂが語っていたように、現代のニートを思わせる、その彼が退屈しのぎの興味から「屋根裏」
の存在を発見する。
◆屋根裏へ
“ふと気がつくと、丁度頭の上の一枚の天井板が、釘を打ち忘れたのか、なんだかフカフカと動く様なのです。どうしたのであろうと思って、手で突っぱって持ち上げて見ますと、なんとなく上のほうに外れ・・・・・・彼は暫くの間、自分の頭の上に開いている、洞穴の入口とでも云った感じのする、その天井の穴を眺めていましたが、ふと、持前の好奇心から、一体天井裏というものはどんな風になっているのだろうと、恐る恐る、その穴に首を入れて、四方を見廻しました。それは丁度朝の事で、屋根の上にはもう陽が照りつけていると見えて、方々の隙間から沢山の細い光線が、まるで大小無数の探照燈を照らしてでもいる様に、屋根裏の空洞へさし込んでいて、そこは存外明るいのです。・・・
まるで鍾乳洞の内部を見る様な感じを起こさせます。「これは素敵だ」一応屋根を見廻してから、三郎はそう呟くのでした。”
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の存在を発見する。
◆屋根裏へ
“ふと気がつくと、丁度頭の上の一枚の天井板が、釘を打ち忘れたのか、なんだかフカフカと動く様なのです。どうしたのであろうと思って、手で突っぱって持ち上げて見ますと、なんとなく上のほうに外れ・・・・・・彼は暫くの間、自分の頭の上に開いている、洞穴の入口とでも云った感じのする、その天井の穴を眺めていましたが、ふと、持前の好奇心から、一体天井裏というものはどんな風になっているのだろうと、恐る恐る、その穴に首を入れて、四方を見廻しました。それは丁度朝の事で、屋根の上にはもう陽が照りつけていると見えて、方々の隙間から沢山の細い光線が、まるで大小無数の探照燈を照らしてでもいる様に、屋根裏の空洞へさし込んでいて、そこは存外明るいのです。・・・
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お礼にお邪魔しました。
乱歩、お好きなんですね♪
私も大好きなので(映画、TV等の乱歩の
作品はあまり見ていませんが…)、また
覗きにきますね!