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~ダリ展を観た。そしてダリを感じダリを知るために~
◆「ダリ」(メレディス・イスリントン・スミス著)◆
ダリといえばガラ、ガラといえばダリ。ダリにとってガラは必要不可欠の存在であったようです。終生ダリはガラにこだわっていた。一人の女性を徹底的にこだわる、それは少し偏執狂的すぎないか。そんなによかったんですかね、ガラは。実は私もどちらかというとドンキホーテ・タイプというよりは、一人の女性との関係を大切にしていくほうなんですが、ダリほどではありません。ダリはやりすぎではないでしょうか。晩年ダリはけっこうガラに冷たい仕打ちを受けたようなんだけれども、それでもガラを庇護ようです。実際のところどうだったんでしょうか。出会いによって人の人生が変わるとしたら、ダリがガラに出会っていなかったらどうなっていたんでしょうか?
以下、メレディス・イスリントン・スミスによる伝記「ダリ」からの抜粋。
◆ガラは詩人エリュアールの夫人であった。ガラはシュルレアストの画家マックス・エルンストと情事に陥る。しかし、エリュアールのほうも変な趣向を持っていたようで彼は“ガラとエルンストの情事を認めるだけでなく、積極的に関与した、エリュアールはグループセックスを好み、他の男を加えた3人組の関係に刺激を受けたが、ガラも同じだった。”⇒これではAVの世界となってしまうではないか。
◆ダリと詩人ロルカとの禁断の関係を清算させるのに手助けした映画監督ブニュエル。今度はダリがガラに心を奪われている。ブニュエルはそれが気に入らなかったようだ。⇒“ダリが話すのはガラのことばかりだ。彼女のいったことをオウム返しにするだけ”
◆ダリはガラに気に入られようと“自分にふさわしい香りを探そうと必死になった。結局、膠(にかわ)と牛糞を混ぜたものを煮つめてペースト状にした。吐き気を催すようなこの混合物を体に塗り、鮮やかなオレンジ色のゼラニウムを耳の後ろに挿した。”⇒結局、この匂いでガラの前に出ることは気後れしてすべて洗い流したようだが、気に入られようとした行為のこの感覚がなんともすごい。
◆ダリは精神状態は混迷状態にあり、時として激しい笑いの発作を起こしていた。ガラはそんなダリを見抜いていた。⇒“このままでは、作品の評判を傷つける危険がとても大きいと思うの。あなたの絵は、精神病理学の資料として片づけられてしまうわ。”“ガラは自分にふさわしい目的を見つけた。ダリを癒し、補完し、才能を解き放つことである。ダリの才能はみずから築きあげた狂気の家で永遠の監禁状態にあり、息絶える寸前だった。”
◆“なぜダリなのか?長年ダリの弁護士を務めたマイケル・スタウトによれば、大きな理由はダリが裕福な家の出だったからで、ガラは金に目がくらんだのだという。なんといってもガラはすでに30代の半ばになっており、年月がたつにつれ、シュルレアリストのミューズという役割も小さくなっていたのだ。”
◆前述の様にガラは便宜のためだけにダリに近づいたのか?⇒“ある意味では、そうだった。だが、それだけではない。ガラが手に入れたのは、いわばダリの魂だった。ついには一つに溶け合い、二つの精神は完全に補完しあうようになった。ガラに必要なのは天才であり、彼女はそれを発見したと信じた。ダリの絵は、彼女を生かすのに欠かせぬ食物であり、水であり、芸術の世界と社交界へ足を踏み入れるためのパスポートだった。”
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◆“彼女の肌をじっと見つめ、そのきめの一つ一つを記憶に焼きつけた。密度と色合いのかすかな変化をとらえるために。ふさわしいていねいな愛撫をするために、・・・・・何時間も彼女の乳房を見て過ごした。その曲線、乳首の形、先端にむかって濃くなるピンクの色合い、薄い透明な皮膚の下にすけて見える青みがかった細い静脈。背中を見ているとうっとりした。肩甲骨の繊細さ、臀部の筋肉の力強さ、美女と野獣が一体となったかのようだ。頸はほっそりとして優美そのもの。彼女の
髪、陰毛、匂いが私を酔わせた。”
◆ダリとガラはポルト・リガートに居を構えた。⇒“50年後、最初の4メートル四方の部屋は玄関になっていた。”この一文にダリの成功を感じずにはいられない。
◆パリの社交界、フォシニ‐ルサンジュ公の発言⇒“私たに夫婦はよくダリ夫婦と一緒に出かけた。おしゃべりのタネは絵、演劇、映画だった。・・・・・当時のガラは魅力的で、知的で、陽気だった。彼女の本性である、いやな面があらわれていなかった。あの頃のガラは魅力にあふれていた。のちにあれほど粗暴な女になるとは夢にも思えなかった。”
◆ガラは体調不良を訴える、検査すると“ガラの肺には繊維性の腫瘍ができており切除する”しかし、“子宮にも腫瘍が発見され、今度は子宮摘出手術をうけることになった。”
◆“ガラはセックスに価値をおき、セックスの質と回数によって、自分の人生の成功度を計ろうとした。ダリの半身という以外に、彼女の自己イメージは完全に性生活と結びついていた。とどのつまり、ガラの人生でダリと共有しないですむのは性生活だけだった。人生で、彼女一人のものといえるのはセックスだけ。だが後年、露出症や3P嗜好がし色情狂まで高じた背景には、彼女自身が多大な犠牲を払って綿密に築きあげてきたダリ―ガラという確固たる要塞から逃げ出したいという思いがあったのだろう。自分の本質はそこにはないと証明したかったのかもしれない。”
※『ダリ』メレディス・イスリントン・スミス著/野中邦子訳/㈱文藝春秋刊
“”部分上記著書から抜粋
■■ガラリーナ(1944-45年)■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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とにかくダリの絵にはガラがよく登場します。それも聖母になって包み込むような眼差しをみせたり、、裸の後姿を見せてみたり、ダリと並んで晩鐘の二人を演じてみたり、ダリの物理学興味のため球体にバラバラにされてみたり、あるいはダリに冷たい視線を投げかけたりと変幻自在様相を見せてくれます。この絵はその中でも一等シンプルです。意志の強そうな目をしています。おっぱいが出ているのはなぜかわかりません。ダリにとって何らかの意味があるのでしょう。この方によってダリは導かれ、成功し、時に裏切られたりしました。女性は強し、ダリのように虚勢を張り硬い殻で自分を覆った男は、ガラのようにたくましい女性には見透かされてしまい、手のひらの中の孫悟空なんでしょう。 きっと。
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◆「ダリ」(メレディス・イスリントン・スミス著)◆
ダリといえばガラ、ガラといえばダリ。ダリにとってガラは必要不可欠の存在であったようです。終生ダリはガラにこだわっていた。一人の女性を徹底的にこだわる、それは少し偏執狂的すぎないか。そんなによかったんですかね、ガラは。実は私もどちらかというとドンキホーテ・タイプというよりは、一人の女性との関係を大切にしていくほうなんですが、ダリほどではありません。ダリはやりすぎではないでしょうか。晩年ダリはけっこうガラに冷たい仕打ちを受けたようなんだけれども、それでもガラを庇護ようです。実際のところどうだったんでしょうか。出会いによって人の人生が変わるとしたら、ダリがガラに出会っていなかったらどうなっていたんでしょうか?
以下、メレディス・イスリントン・スミスによる伝記「ダリ」からの抜粋。
◆ガラは詩人エリュアールの夫人であった。ガラはシュルレアストの画家マックス・エルンストと情事に陥る。しかし、エリュアールのほうも変な趣向を持っていたようで彼は“ガラとエルンストの情事を認めるだけでなく、積極的に関与した、エリュアールはグループセックスを好み、他の男を加えた3人組の関係に刺激を受けたが、ガラも同じだった。”⇒これではAVの世界となってしまうではないか。
◆ダリと詩人ロルカとの禁断の関係を清算させるのに手助けした映画監督ブニュエル。今度はダリがガラに心を奪われている。ブニュエルはそれが気に入らなかったようだ。⇒“ダリが話すのはガラのことばかりだ。彼女のいったことをオウム返しにするだけ”
◆ダリはガラに気に入られようと“自分にふさわしい香りを探そうと必死になった。結局、膠(にかわ)と牛糞を混ぜたものを煮つめてペースト状にした。吐き気を催すようなこの混合物を体に塗り、鮮やかなオレンジ色のゼラニウムを耳の後ろに挿した。”⇒結局、この匂いでガラの前に出ることは気後れしてすべて洗い流したようだが、気に入られようとした行為のこの感覚がなんともすごい。
◆ダリは精神状態は混迷状態にあり、時として激しい笑いの発作を起こしていた。ガラはそんなダリを見抜いていた。⇒“このままでは、作品の評判を傷つける危険がとても大きいと思うの。あなたの絵は、精神病理学の資料として片づけられてしまうわ。”“ガラは自分にふさわしい目的を見つけた。ダリを癒し、補完し、才能を解き放つことである。ダリの才能はみずから築きあげた狂気の家で永遠の監禁状態にあり、息絶える寸前だった。”
◆“なぜダリなのか?長年ダリの弁護士を務めたマイケル・スタウトによれば、大きな理由はダリが裕福な家の出だったからで、ガラは金に目がくらんだのだという。なんといってもガラはすでに30代の半ばになっており、年月がたつにつれ、シュルレアリストのミューズという役割も小さくなっていたのだ。”
◆前述の様にガラは便宜のためだけにダリに近づいたのか?⇒“ある意味では、そうだった。だが、それだけではない。ガラが手に入れたのは、いわばダリの魂だった。ついには一つに溶け合い、二つの精神は完全に補完しあうようになった。ガラに必要なのは天才であり、彼女はそれを発見したと信じた。ダリの絵は、彼女を生かすのに欠かせぬ食物であり、水であり、芸術の世界と社交界へ足を踏み入れるためのパスポートだった。”
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◆“彼女の肌をじっと見つめ、そのきめの一つ一つを記憶に焼きつけた。密度と色合いのかすかな変化をとらえるために。ふさわしいていねいな愛撫をするために、・・・・・何時間も彼女の乳房を見て過ごした。その曲線、乳首の形、先端にむかって濃くなるピンクの色合い、薄い透明な皮膚の下にすけて見える青みがかった細い静脈。背中を見ているとうっとりした。肩甲骨の繊細さ、臀部の筋肉の力強さ、美女と野獣が一体となったかのようだ。頸はほっそりとして優美そのもの。彼女の
髪、陰毛、匂いが私を酔わせた。”
◆ダリとガラはポルト・リガートに居を構えた。⇒“50年後、最初の4メートル四方の部屋は玄関になっていた。”この一文にダリの成功を感じずにはいられない。
◆パリの社交界、フォシニ‐ルサンジュ公の発言⇒“私たに夫婦はよくダリ夫婦と一緒に出かけた。おしゃべりのタネは絵、演劇、映画だった。・・・・・当時のガラは魅力的で、知的で、陽気だった。彼女の本性である、いやな面があらわれていなかった。あの頃のガラは魅力にあふれていた。のちにあれほど粗暴な女になるとは夢にも思えなかった。”
◆ガラは体調不良を訴える、検査すると“ガラの肺には繊維性の腫瘍ができており切除する”しかし、“子宮にも腫瘍が発見され、今度は子宮摘出手術をうけることになった。”
◆“ガラはセックスに価値をおき、セックスの質と回数によって、自分の人生の成功度を計ろうとした。ダリの半身という以外に、彼女の自己イメージは完全に性生活と結びついていた。とどのつまり、ガラの人生でダリと共有しないですむのは性生活だけだった。人生で、彼女一人のものといえるのはセックスだけ。だが後年、露出症や3P嗜好がし色情狂まで高じた背景には、彼女自身が多大な犠牲を払って綿密に築きあげてきたダリ―ガラという確固たる要塞から逃げ出したいという思いがあったのだろう。自分の本質はそこにはないと証明したかったのかもしれない。”
※『ダリ』メレディス・イスリントン・スミス著/野中邦子訳/㈱文藝春秋刊
“”部分上記著書から抜粋
■■ガラリーナ(1944-45年)■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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果たして実際はどうなんでしょうか?↓
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飾釦さんの記事も拝見させていただきました◎
大変勉強になります...。
是非また覗かせて下さい!