今日は、「マインドフルであること」について書かせてください。
なかなか言葉で表しにくい部分もありますが、
「少しずつでも形に」という気持ちで綴ります。
昨日から米国の各地にレッスンが配信されているそうです
米国の90%近くの小中学校の先生が、教材を用いているとされる「ClassDojo」のアプリが、今週明けから、マインドフルネスのレッスンを、流し始めているそうです。(USA Todayより)
「イェール大学の感情的知性センター(Yale Center for Emotional Intelligence)」がパートナーとなり、このマインドフルネスカリキュラムが組み立てられたとのことで、この先数週間ほど続くそうです。
「ClassDojo」とは、クラスの先生と生徒と親がコミュニケーションをとるためのアプリ。生徒1人1人が「アバター」を持ち、体験やアイデアをクラスの皆でシェアできます。我が家の小学生の子供達も、去年通学した学校で用いてました。今は、「ClassDojo」とは違うのですが、似たようなオンラインコミュニケーションツールを用いています。
「Class Dojo」では、「成長型マインドセット」や「エンパシー(相手の気持ちの寄り添う)」についてのレッスンも、過去流されてきたとのこと。それらのレッスンを通して、米国の5-14才までの3人に1人が学んだといいます。そしてそれらのレッスンは35の言語に訳され配信されたのだそうです。
(ちなみに「Dojo」って日本語の「道場」!)
イェール大学のMarc Brackett教授によると、
「子どもは、大人のように偏見をもたずオープンですから、マインドフルネスのスキルを教えるのもより易しいのです」とのこと。
これは、本当によく分かります。
小さな子ほど、すーと身につけていきます。
子どもにとって「マインドフルネス」ってどんな効果がある?
子どもへの効果についての研究は、これまでもいくつか発表されています。こちらにも以前少しまとめてあります:
・マインドフルネスが教育分野にもたらすメリット
ここでは、かなりざっくりとですが、以下の2016年の『FORBES』の記事をまとめてみますね。
研究の詳細については、記事をご覧ください:
・Science Shows Meditation Benefits Children's Brains And Behavior
・ADHDの子の多動が緩和し、集中力が高まった。
←同じような研究がいくつか報告されています。
・マインドフルネスと「認知行動療法(「認知のゆがみ」を調整)」を合わせた「Mindfulness-based cognitive therapy for children (MBCT-C)」にて、集中力と問題行動が改善し、不安感が減退。
・カリフォルニアの「ハイリスク学区(治安悪・貧困)」で放課後にマインドフルネスプログラムを組み入れたところ、生徒の出席率と成績が向上し、停学率が減り、生徒はよりハッピーで攻撃性もより見られなくなった。
←以前紹介した米国東海岸のボルチモアの学校でも同じような結果が出てましたね。
(米国の小学校で「罰」の代わりに「マインドフルネス」を用いたところ問題行動改善効果抜群らしいです)
・高度に不安感を持つ子が12週間のレッスンで改善。
←メンタル面がより健やかになったという報告もいくつかあります。
・自分が何を考え感じているかと言った自己意識(メタ認知)力が高まる。「自己を調整する力(self –regulation)」がつく。
←結果、問題行動が減り、周りを思いやることができるようになる。
などなど。
今後も、ますますより確かな研究が進み、マインドフルネスが子どもや大人の日常に、より上手く活用されていくといいなと思っています。
「マインドフルネス」のニーズが高まる背景
子供も自然の中を思いっきり走り回り、大人も畑仕事など身体を動かす労働が主で、メディアといえばラジオぐらいといった時代には、「マインドフルであること」をわざわざ練習する必要なんてなかったのでしょうね。
ニーズが高まる背景には、
・マインドフルネスの効果を認める科学的な根拠が続々と報告されている
とともに、以下のような理由があるのだと思います:
現代は、
・電子機器に囲まれ、すぐに気がそれやすい環境
←「注意欠陥」もますます促進されやすい環境です。
・子どものストレスや不安感が増している
←テストスコアなど「一律のものさし」で切りとられることも一因でしょうね
上の「USA Todayの記事」にも、いかに子どもの不安感やストレスが年々増しているかの統計が載せられています。
・習い事などスケジュールが詰まり、ゆったり「落ち着く」時間の減少
・身体を用いることが減り、身体感覚よりも「頭のおしゃべり」ばかり聞いている
私自身は、「マインドフルである」こととは、
「いかり」のはずれた根無し草状態で周りからの刺激に振り回されっぱなしの状態
から、
自らの中心にコネクトし、軸を取り戻した状態にたどりつくこと
だと思っています。
一昔前は、振り回されていても、
情報量も複雑さもより少なくシンプルでしたから、
それほどダメージもなかったわけですが、
現代では、自分が木っ端微塵に世界中に飛び散ってしまえます。
そこで、
自らの中心にコネクトし、軸を取り戻した状態で、
今この瞬間の物事にフォーカスしていく。
その状態を何度何度も繰り返し練習していくのが、
マインドフルネスのレッスンです。
個人的には、それはまた、
生い立ちや性質から「安全基地」が育ちにくかった場合なども、
「そこ」へたどり着く力を身につけるというメリットがあるなと思っています。
「マインドフルネスレッスン」で気をつける点は?
上の「USA Todayの記事」にもありますが、環境に恵まれず、トラウマの強い子は、ジッと落ち着いて座ることよりも、身体を動かすことから入るといいとのこと。
また、不安感が特に強い子も、安心できる状態を整え、何にフォーカスしていくのかを見ていく必要があります。
なぜならマインドフルネスの基本に、
「What you practice grow stronger.
練習することが、強くなっていく」があるからです。
トラウマ的な感情や不安感にフォーカスするなら、
それらがますます、大きくなっていきます。
それでは、「トラウマや不安感にいたる筋力」を培っているようなもの。
これは、脳の仕組みからみみても理にかなっていると、
科学者で20年以上の瞑想歴のあるShauna Shapiro氏が、
こちらの今年3月の「テッドトーク」で
「cortical thickening(皮質の肥厚)」という言葉を用い、説明しています。
また、年齢が低いほど、短い時間がいいです。
5分でも十分。
「マインドフルである練習」はジッと座る「瞑想」以外にもたくさんある
ジット座っての「瞑想」は、ひとつの方法であって、他にも「マインドフルである状態」を培う方法はたくさんあります。
また子どもに関わる大人が、できるだけ「マインドフルである」ことも大きいですね。
子どもとできる簡単な方法などについても、
私自身、トレーニングを受けて以来、試しているんですが、またシンプルにまとめたいです。
こちらの『虹色教室通信』の記事
・<相談> 「参観日にもめごとを起こしてしまいます」 2
で紹介された「指折り」も、
私自身は、「マインドフルだなあ」と思いながら読んでいました。
自分のイライラや嫌な気持ちに気づく
→「気づく」ことで、そのまま行動に移す前に「ワンクッション」はさまります。
→新幹線の名前を3つ指を折りながら数える
(1人では「心の中」ですが、奈緒美さんとの実践では、声と指の動きを用いて。聴覚と視覚を用いるのも大きいです)
→楽しいワクワクすることにフォーカスして気持ちを切り替える。
「感情・思考(マインド)」の微妙な動きをとらえ、
導くことのできる奈緒美さんのような指導者の存在は貴いですね。
「マインドフルネス」という言葉を用いずとも
優れた指導者は、必ず、子どもとの関係の中に
「マインドフルである状態」を自然に溶け込ませた関わりをしている、
私自身は、そう思っています。
私も、まだまだ未熟者ですが、普段から家庭で、
そして今週末から出会う生徒との関わりに、実践していきます。
それでは、今日も午後から走り回ります。
みなさん、マインドフルな日を!