時々相談をいただくのですが、
「ギフテッド」について調べてこられた方は、
ハイリーセンシティブチャイルドの特徴を見ると、
「過度激動(OE)」を思い浮かべるんじゃないかなと思います。
・『ユア子育てスタジオ』:過度激動(OE)について
「ギフテッド」の子ども達の特徴として、
しばしばあげられるのが「過度激動」といった
「感情の強烈さ(emotional intensity)」です。
そしてこの「感情の強烈さ」とは、
HSPやHSCの特徴でもあるとされています。
(’The wound of being ‘too much’ – Emotional intensity’ by Imi, Yin Lo
どんな人が「感情の強烈さ」を持つ?その特徴と対処法)
ギフテッドの子の「感情の強烈さ」の表れ
ギフテッドの子の「感情の強烈さ」は、
こんな特徴となって表れるといわれます:
(http://sengifted.org/emotional-intensity-in-gifted-children/より)
・ポジティブな気持ち、ネガティブな気持ち、極端な気持ち、
複雑な気持ち、他者の気持ちとの同一化、笑うと泣くが同時など、強烈な気持ちとして表れる
・腹部の緊張感、赤面、心が沈むなど身体的に表れる
・臆病さ、シャイさなど、抑制となって表れる
・物事に伴った感情を覚えていて、長い間何度も再び感じるなど、感情についての記憶として表れる
・手の負えない不安感、心配、罪悪感となって表れる
・死を思ったりとうつ的ムードとして表れる
・他者への強い感情的な愛着、他者を思いやる共感力、関係での繊細さ、
動物への愛着、新しい環境への順応困難、孤独感、
関係の深さについて他者との葛藤など、他者との関係性に表れる
・自分はふさわしくないという気持ちや劣等感など、
批判的自己評価や自己ジャッジとして表れる。
あらゆることを強烈に感じる敏感さが、
身体や、抑制や、記憶や、不安感や、ムードや、他者との関係性や、自己批判となって表れるといった
ハイリーセンシティブな子や人の特徴に、重なりますよね。
ギフテッドと重なるHSCの特徴
また、エレイン・アーロン氏があげるHSCの特徴も、
例えば、
・年齢の割には難しい言葉をつかう。
・優れたユーモアのセンスをもっている。
・直感力が優れているように思える。
・質問を山のようにぶつけてくる。
・他人の苦しみによく気がつく。
・完璧主義なところがある。
・深い示唆に富む質問をしてくる。
・ものごとを深く感じとる。
など、まさしく「ギフテッドの特徴」とも重なります。
(・ギフテッドの審査を終えて、大切に思うこと | ユア子育てスタジオ)
「感情の強烈さ」がその子にもたらすもの
「敏感な子」や「ギフテッド」に共通するこうした「感情の強烈さ」は、
子どもにとって、深い影響を与えるとされています。
(以下、http://sengifted.org/emotional-intensity-in-gifted-children/より。「」内は引用)
例えば、
こうした「感情の強烈さ」こそが、
「人生の喜び、学ぶことへのパッション、
才能ある分野での表現、達成へのモーティベーションの源となる」といいます。
同時に、 「全てについて他者より深く感じることは、
痛く、恐ろしいことでもある」とのこと。
「感情の強烈さ」を持つギフテッドの子供達は、
「自分はおかしいんだ、多分狂っている、誰もこんなように感じたりはしないと、
しばしば自分を異常だと思ってしまう」と。
そして「医療関係者はしばしば、
ギフテッドの人々のこうした特徴を何らかの「症状」とし、
ギフテッドの人々に『神経質』であるというレッテルを貼ってしまいます。
それでもこうした「感情の強烈さ」こそが、ギフテッドの本質部分であり、
個人的な成長や成果をあげるための源ととなる」とのこと。
HSCが「自分はおかしい」ととらえたり、、
周りから「神経質」とされてしまうところも似ていますよね。
それでも、こうした「感情の強烈さ」こそが、
ギフテッドをギフテッドとする高い成果を上げる源でもあるというんですね。
確かに、
HSCも、強烈に敏感に感じるからこそ、
より深く物事に向き合うことができるのですよね。
そして結果的に、創造性や共感力も高くなり、成長の機会も大きくなり得るわけです。
・「敏感さ」について知っておきたい「過度激動」と「積極的分離」という考え方
アーロン氏の見解とギフテッドの定義をとりまく現状
以前こちらにHSPという言葉を考案したエレイン・アーロン氏による、
HSCとギフテッドについての考えを載せました:
・ハイリーセンシティブチャイルドとギフテッド、HSPがより自信とサポートを得るのなら・・・
この記事で紹介したのですが、アーロン氏は、
「ギフテッドとは上位3%」という言葉を用いています。
米国では、確かにIQや学力テストや認知テストで上位○%以上
と決められていますが、
それでも「ギフテッド」についての議論で必ず出てくるのが、
そうしたテストスコアによるならば、
漏れてしまう「ギフテッド」がたくさんいるのじゃないかということです。
知性や賢さというのは、
例えば学習障害があれば、スコアとしては表れないでしょうし、
またHSCの場合などは、
テストと聞いただけで気持ちが高まって、本領を発揮できないこともあるでしょうね。
ちなみに、IQでいえば、一昔前の「ターマンの研究」を振り返っても、
IQの高さにより研究対象とされた「ギフテッド認定」からはずれた人々の中から、
その後、ノーベル賞受賞者が出ていたりします。
確かに、
既成のテストスコアなどに表れる「ギフト」なんて、
限られていると思いませんか?
ギフテッドの定義は、
世界的には、はっきりとは決まっていないといわれます。
ということで、
定まらず揺れる「どんな人がギフテッドなのか?」はさておき、
同じ「強烈な感情」を持つ者同士、
限られた情報を活用し合っていくといいですよね。
以下は、ギフテッド教育で、「感情の強烈さ」へどう向き合うとよいとされているのか紹介しますね。
感情の強烈さを持つ子へどう対応したらよいか
(http://talentdevelop.com/articles/ParentingEIGC.htmlより)
・感情を受け止める:理解されサポートされていると感じる必要があります。
・子供のアイデア・意見・感情に耳を傾ける:ジャッジすることなく、遮らず、モラルを突きつけず、すぐにアドバイスを与えない。
・思慮あるしつけを心がける:家庭にとって大切な一貫したバリューやルールを用いた適切な規律(しつけ)は、安心感、自己規律、健やか感情を発達させます。ルールの利点を説明し、結果を示すことで守らせるようにする。
・感情についてオープンに話し合う:ポジティブだけでなくネガティブなものも。1-10までの目盛りを用いて、今日はどんな感情はどうかなどと聞く。
ネガティブな感情に特定し、「最悪」から「そうでもない」まで1-10の目盛りを作り、ネガティブな感情の波に翻弄されているときに、「1から10の目盛りだとどれくらい?」と聞き、落ち着くのを助けるというのも、聞くことのあるメソッドです。我が家でも、癇癪などに用いることがあります。だいたいのことは、1-10の真ん中あたりに落ち着くんです。靴下が片方見つからない!とか、お気に入りの服にシミがついた!とか。自分で、あ、そっか、それほど大したことでもないんだと客観視することで、落ち着いていきます。
・繊細さや、強烈さや、情熱の「ポジティブ面」を認める。強烈に感じることは何もおかしいことではなく「ギフト」なのだと教え、自分の特性を肯定的に認めることを助ける。そして子どもの表す痛みが心地悪いからといって感情を押し込めようとしない。「繊細過ぎるのよ」とか「目を覚ましなさい」とか「そんなこと気にしない」などと言っても助けにならない。
・表現する方法を見出すことを助ける:安心させ、励まし、強烈な感情を、ストーリー、詩、アートワーク、音楽、ジャーナル、身体的活動によって表現する方法を見出すことを助けてやる。
・繊細さは弱さと同じではないと理解する。年齢相応しい責任を与え、世界や行為の結果から守り過ぎない。
・似たマインドを持った人々を支えにする:社会的孤立を防ぐため、似たようなマインドを持った仲間を見つける。またロールモデルを見つけるよう助ける。
・必要ならばプロのカウンセリングを提供する
そのままHSCへのアドバイスみたいですよね。
ギフテッドもHSCも、
「感情の強烈さ」という「ギフト」を生かせるよう、
サポートしていきたいですね。
私自身、自分の生い立ちや子育てを通し、
やっかいとばかり思っていた「敏感さ」や「感情の強烈さ」ですが、
「ギフト」という視点に触れることで、随分と楽になったんです。
ああ、「強烈な感情」とは、
「諸刃の刃」のようなものなんだな、
つきあいかたに気をつけることで、「貴いギフト」となり得るんだなと。
アーロン氏のHSPやHSCといった概念も、
「敏感さ」にポジティブ面を見出すことを可能にしてくれましたが、
「ギフテッド」といった視点からみた「強烈な感情」や「敏感さ」も、
「敏感さ」のよい面を照らし出してくれる、そう思います。
みなさんが、
「敏感さ」にポジティブな可能性を見出し、
少しでも楽になれますように。
さて、あと2日で夏休みが始まり、
日本への一時帰国もあと10日を切りました。
それでは、皆さんよい日を!