Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

MET ORCHESTRA CONCERT (Thurs, May 22, 2008)

2008-05-22 | 演奏会・リサイタル
NYタイムズの音楽批評担当のKozinn氏から、
”レヴァインはメト・オケをパワフルでかつ正確に作品を演奏できるオケに鍛えあげ、
ロマン派の作品やコンテもので比類ない美しさを聴かせるが、
このオケから、爆音鳴る中、魂の闇を見るような音楽を聴こうというなら、
ゲルギエフこそが、聴くべき指揮者である。”
と、一般に、メトの通常公演およびコンサートについては、
レヴァインには甘く、他の指揮者には辛い傾向にあるNYタイムズから、
ほとんど最大級の賛辞ともとれる批評を引き出した5/18のメト・オケ・コンサート

今日は、6月に予定されているパーク・コンサートを別とすれば、
メト・オケにとっては、シーズンの最後にあたる公演でもあり、
あのゲルギエフの公演に、レヴァインがどのような演奏で答えるのか、非常に楽しみなところ。
屋内での今シーズン最後のメト・オケの演奏を聴こうと、お馴染みの顔があちこちに見られ、
前二回の今シーズンのオケ・コンサートよりは、やや華やいだ雰囲気になりました。
2ボックス先には、メトに多大な寄付金を投入していることで知られるメルセデス・バスを
はじめとするパトロンたち、そして、そのすぐ隣のボックスでは、
ゲルプ現支配人とヴォルピ前支配人が同じボックスで鑑賞している姿が見られました。

とそんな華やいだ雰囲気には一切お構いなく、いきなり自分の趣味を炸裂させるレヴァイン氏。
曲は、エリオット・カーターの『管弦楽のための変奏曲』。
こんな曲、知らない、、。
カーター氏は1908年生まれで現在99歳(!)で存命中のアメリカの作曲家。
(冒頭の写真はレヴァインとカーター)
正直、こんな曲は、コンサートの予習という強制的な理由でもない限り、
自分から聴こうとはまず思わない曲なので、当然CDも持ってません。
iPodという便利なものがあるご時世なので、自分がCDで所有していない作品は、
iTunesからダウンロードすることにしているのですが、
色々なオケ、指揮者を比較しながら、この盤を落とそうか、いやあの盤にしようか、
と考えるのが一興なのですが、この作品に関しては有無を言わさぬ勢いで、
シカゴ交響楽団(CSO:Chicago Symphony Orchestra)をレヴァインが指揮したものに
一秒で決定してしまいました。なぜなら、その盤しかないから、、。
そう!演奏してる人が極端に少ないのです!!

まるで苦行のように聴き始めたこの曲ですが、
しかし、思ったよりは、(あくまで思ったよりは、ですが)聴けた。
それはひとえに、CSOの精密な演奏に鍵があるように思います。
この曲はきちっ、きちっ、と正確に演奏されて、
初めて良さが出てくるタイプの曲なのではないでしょうか?

その点、メト・オケは、精緻さを得意にしているタイプのオケでは全くないので、
ちょっとした弦セクションの各人の演奏のずれ(といっても、本当にわずかなずれの話なのですが)
なんかがところどころに聴かれ、それが興を覚ます結果に陥っていました。
しかし、各楽器とも、トリッキーなパーツばかりな割には、
全体の音楽としてはあまり心動かされるものではなく、
あくまで、個々の楽器、およびアンサンブルの妙を聴くという、
”音そのものを楽しむ”系の音楽です。いや、楽しめれば楽しむ、といった方に近いか。
正直、私には辛い系統の曲でした。

しかも、メト・オケの長所よりもむしろ欠点が目立ってしまったという意味では、
さらにメト・オケを鍛え上げるためのトレーニング・レシピと思えば、
それはそれで意味があったのかもしれませんが、
演奏会=オケの良さをお客さんに見てもらう、という観点で考えれば、
最悪な選曲のように思えました。
もう!レヴァイン氏、自分の趣味だけじゃなく、もうちょっと、
オケの強みが見せられるピースを演奏会に持ってきて欲しいものです。
しかも30分近い長さ、、。これが拷問じゃなくてなんでしょう?
某かの価値があったとすれば、あまり演奏されない作品をとりあげたということ、くらいでしょうか?

曲が終わった後、平土間で鑑賞していたカーター氏を讃えるレヴァイン氏。
さすがに99歳だけあって、立ち上がるのも辛い、といった趣でした。
もう解放して差し上げては、、と思ったのは私だけではないはずです。

続いては、シューマンのピアノ協奏曲イ短調。
キーシンがピアノで、ジュリーニ指揮のウィーン・フィルと組んだ盤と、
リパッティがピアノ、カラヤン指揮のフィルハーモニア管弦楽団の二枚が家で聴く盤ですが、
特に私はこの後者のリパッティのほうの盤が、音質も決して良くなく、いえ、はっきり言って悪く、
オケもウィーンほど達者ではないのですが、川が雄大に流れていくような力があって大好きです。
それに比べると、ちょっとキーシンは、少なくともこの盤ではやや柳チック(線が細い)か。
ただ、二人とも、最初の一音から、音にみずみずしい清冽な響きがあって、
これは私にとって、この曲を聞く上で、もっとも大切な要素の一つになっています。
それに比べると、例えばポリーニの録音で聴く音は、ちょっとそのがっちりした感じが、
私にはこの曲には合わないような気がします。
(全くの余談ですが、Wikipediaに、リパッティが演奏したこの曲が、
ウルトラマン・セブンの最終回で使用された、という記述があるのですが、
一体、どんな場面で?!気になる!!)

さて、今日ピアノを弾くのはジョナサン・ビスという27歳のアメリカ人ピアニスト。
三代続く音楽一家に育ち、EMIとのレコード契約も持つ、若手では現在注目されている一人。
アメリカでの彼のコンサート評は、比較的好意的なものが多く、
名の知れた指揮者との共演も多いのですが、
私はこの曲に関しては、ピアノから音が出てきた瞬間、”こりゃだめだ”と思いました。
この”こりゃだめだ”は絶対的尺度ではなく、あくまで私の個人的尺度なのですが、
先ほどふれたみずみずしさみたいなものが彼の出す音からは全く感じられない。
いや、むしろ、音が曇っている、といってもいいくらい。
実年齢は若いのに、なんでこんなに音がおっさんっぽい?!
枯れた風合いというのでもないのです。疲れたサラリーマンのような音。
これなら、2月のメト・オケ・コンサートで聴いた77歳のブレンデルの音の方が、
ずっと若々しかった。

このビス、見た目や仕草が、こちらを一瞬ぎくりとさせるほど、ナード度が高く、
(ナードとは、がり勉かつ、もしくはまた、おたくっぽい雰囲気のこと。)
演奏が始まる前にもぐにゃぐにゃぐにゃぐにゃして軟体動物のように得体が知れないのですが、
演奏もややそんな感じ。
音年齢が高いのに、今ひとつ何を表現していいのかわかっていないような演奏で、
そのギャップがまた、収まりの悪さを増幅させているような気がします。

漫画『ガラスの仮面』(注:見た目も普通、他には何のとりえもない少女北島マヤが、
たった一つ、天才的な演技の才能を武器に、日本一の女優への道をひた走る物語。確か70年代にスタートしたはずなのに、2008年現在、まだ完結していない。
マヤのライバル、姫川亜弓が親の七光り、お嬢としての地位を持ちながら、それに甘えず、
努力型の代表として、天才型のマヤと一騎打ちになり、また苦悩するさまが泣ける。
月影先生は往年の名女優で、マヤの才能を発見した人物。)
で、月影先生(↓ 黒いドレスの女性)が北島マヤに授ける数々の教えの中のうち、
私が最も好きな定番パターンは、
”一旦、役になりきったなら、役が感じないことを感じるな!”というもの。



マヤがヘレン・ケラー役を習得しようとしているシーンだったと思うのですが、おもむろに
手近にあったものを月影先生が投げつけ、つい反射的に体が防御に入ってしまうマヤに、
”目のみえないへレンが身構えたりしますか!”と叫ぶ月影先生。
ひえ~~っ!!

しかし、もしビスがマヤの兄弟弟子だったならば、
絶対にそんな月影先生にビンタをはられる一幕を私は目にしました。

私は舞台に向かって左手側、つまりピアニストの手が見えやすい側の
ボックス席に座っていたので、ずっと彼の手の動きを見ていたのですが、
彼の演奏の流れが、息が一瞬止まったようにさえぎられた瞬間があり、
続いて隣の席の男性がくすくす笑いをはじめたので”なんだろう”と思っていると、
レヴァインが左手でオケを指揮しながら、右手をあたふたと、
グランドピアノの屋根の下につっこんでいるではありませんか。
どうやら、振っていた指揮棒がふっとんで、弦の間に落ちてしまったようです。

しかし、この指揮棒がグランドピアノの中に落ちてしまったのは、
第一楽章の中でも最ももりあがっている個所。
こんなところで、しかも、指揮棒がおっこちたくらいで、一呼吸分でも演奏が止まるとは何事か!
なぜそんなことを忘れるほど音楽に没頭していない?
月影先生に代わって、私が切れておきました。

それなりにテクニックはある人なのかもしれませんが、どこか表面的な感じが拭えず、
また、以前聴いたグリモーが、常に余裕を持って、オケとコミュニケーションをしようとする
強い意志を感じたのに対し、彼の演奏はあまりに一方通行的で
レヴァインの指揮も見ているんだか、見ていないんだか、、。
これではまるで、見かけだけではなく、演奏まで他人とコミュニケートできないナードのようです。
個人的には、聞いていた良い評判を感じさせるところのほとんどない演奏になってしまいました。



(写真はビスとレヴァイン)

チャイコフスキーの交響曲第四番。
前回のゲルギエフが指揮したコンサートと、今回のコンサートで興味深かったのは、
それぞれのメインのプログラムにあたる『展覧会の絵』とこの第四番では、
オケのメンバーが、コンサートマスターも含め、首席が組み替えになっていたセクションが多く、
それでいて、そのどちらも各人の演奏の出来は甲乙つけがたいものであったという点です。
選抜した一セットの人だけが上手い、というのではなく、
オペラの公演に例えれば、AキャストもBキャストも同等に強力だった、というイメージに近く、
これはメトでいろいろな演目を見る観客からすると非常に頼もしいことだと思いました。
例えば、トランペット。
『展覧会~』でゲルギエフから最後に讃えられた奏者の一人であった首席奏者の演奏は素晴らしかったですが、
今日の別の首席の演奏がこれまた全然負けてなく、度胸のある演奏を聴かせる、といった具合です。
で、このように満遍なく層が厚くなったのは、やはりレヴァインの力が大きく、
彼の指揮に関しては、特に日本で、いろいろ批判もあるようですが、
少なくともこの一点についての彼の功績は誰にも否定できないはずです。

ただし、この作品、各セクションの長所、短所が非常にわかりやすく露呈してしまう作品で、
以前からオペラの公演を通して持っていた印象通りの結果になったセクション、
そうでないセクションがはっきり出て、それも興味深かったです。
まず、素晴らしいと思ったのはチェロ・セクション。
ソロで弾いても素晴らしい奏者がいるこのセクション。
かと思えばアンサンブルも上手いし、音色がまたいい。
またコントラバスも悪くなく、メトの弦セクションはいい、と私が思っているのは、
この低弦セクションががっちりしているからだということを今日は思い切り確認しました。

実を言うと、失礼ながら最も今まで懐疑的だったのが木管だったのですが、
フルート以外はなかなか良いということは嬉しい驚きでした。
メトのフルートは少しきんきんする音が強すぎて、以前から、もっとヨーロッパのオケのような
柔らかく丸みのある音を出して欲しい!と思っているのですが、
今日演奏した男性は比較的音が丸いほうだと思うので、もう一越え期待したいところです。

今日の演奏で出だしは快調だったのにもかかわらず、
後半、特に第四楽章で疲れてしまったのはホルン。頑張って持続してほしいところ。

先ほど、レヴァインの業績について触れましたが、指揮についての感想を少し。
個々の奏者の演奏のレベルは高く、ある側面では、『展覧会~』をも上回っていた部分もあったかと思うのですが、
全体の”表現”という意味での公演の印象としては、やはり、ゲルギエフの熱さの方が勝ったような気がします。

ゲルギエフの演奏の方には、アクセルを吹かし続けるような、前へ、前へ、という
前進する力を感じたのに対し、
レヴァインの場合、細部にこだわりすぎて、曲を解体しすぎているのか、
また、それを一つに戻す際の、その戻し方が悪いのか、
本来曲に備わっているダイナミックさが失われてしまっているような気が若干しました。
例えば、第一楽章の弦セクションの扱い方などはその好例。
ムラヴィンスキー指揮の同曲のCDなどとくらべると、同じ個所での求心力とテンションのあまりの違いに驚きます。

今日の奏者メンバーで、ゲルギエフが第四番を指揮していたら、
どんな結果になっただろう?とちょっぴり惜しい気も。
ということは、NYタイムズの批評は、時に??な内容の場合もありますが、
こと冒頭のKozinn氏の言葉に限って言えば、非常に言い得て妙なステートメントだと思います。

今日は、前半のプログラムが終わった後に、後半のプログラムを客席から鑑賞している
オケの団員の姿もちらほら見られましたが
(カーネギー・ホールの夜のコンサートでは、燕尾服を着用するので、わかりやすい。
ただし、オペラハウスでの公演の際は、夜の公演でもテールなし。)
どんな思いで聴いていたのか、これも興味あるところです。


The MET Orchestra
James Levine, Music Director and Conductor
Jonathan Biss, Piano

ELLIOTT CARTER Variations for Orchestra
SCHUMANN Piano Concerto
TCHAIKOVSKY Symphony No. 4

Carnegie Hall Stern Auditorium
First Tier Center Left Mid
OFF OFF ON

***メトロポリタン・オペラ・オーケストラ ジョナサン・ビス 
MET Orchestra Metropolitan Opera Orchestra Jonathan Biss ***

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16 コメント

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レヴァイン (チャッピー)
2008-05-25 19:47:41
2ちゃんねるのクラシック板見てたら、レヴァイン・スレを発見。
http://music8.2ch.net/test/read.cgi/classical/1128422841/

「アキバのキモヲタ」AAを改変したレヴァインのAAが貼ってあるんだけど、似てるんだわw
「せめて普通の西洋人の容姿なら、もっと人気が出たのに」とのカキコに悲しいながら同意。
ヴィジュアル重視で指揮者も容姿が問われる時代、カルロス・クライバーの全盛期が今だったら、ミーハーファンが殺到してたろうなあ。

ところで、青池康子の「イブの息子達」はお好きですか?
実は私、バラを背負ったゲオルギューの写真を見て、「イブの息子達」のエリザベス女王を連想しました。
この人はキャラが漫画ちっくなのだ、目くじら立ててはいけないお方なのだ、と思いました。
この人、フィギュアのヴィット女王のように、サインを貰う為追っかけが差し出した写真のうち、自分が気に入った写真のみにサインをしそう。
返信する
リパッティ (娑羅)
2008-05-25 22:34:51
リパッティの名前に反応してしまいました。
私の好きなピアニスト、1~2番に入る人です。
白血病のために夭折されたのが、本当に惜しい。
録音も少ないし、何より録音状態が悪い。
でも、心に染みるんですよね。

コルトーもそうなのですが、昔のピアニストの録音は、今と比べると雑音も多いし、とても悪い状態なのですが、なぜか“暖かさ”を感じます。
コルトーは「バケツいっぱいのミスタッチ」なんて言われましたが、そういうことが気にならないんです。

リパッティはテンポも速いし、さら~っと弾いてるみたいなのですが、味わいがあります。
彼の演奏する、ショパンのワルツ集はお薦めです。
もうお聴きになりました?

シューマンとグリーグのピアコンがカップリングされてるCD、私も持っています。
涙もんですよね
返信する
大好きなシーン ( F)
2008-05-26 00:51:19
 
「アンヌ!僕は・・・僕はね・・・人間じゃないんだよ! M78星雲から来たウルトラセブンなんだ!!」


  ジャン!! 第一楽章冒頭のトゥッティ。

  オーボエの第一主題とともに台詞が続く。


「びっくりしただろう?」

「ううん・・・人間であろうと宇宙人であろうと、ダンはダンに代わりないじゃない。たとえウルトラセブンでも」

「ありがとうアンヌ」



ってな感じです。わかるかなぁ・・・
意外に思われるかもしれませんが、非常に合ってます。

返信する
アキバオタク+指揮棒/激しく同意!/一石二鳥なお答え (Madokakip)
2008-05-26 06:36:37
 チャッピーさん、

アキバオタクに指揮棒を持たせたらレヴァインになるとは!
このAA、あまりに似すぎていて、こわい~

レヴァインは人によって本当に評価がわかれますね。
私は残念ながら彼がメト・オケ以外のオケを指揮するのを生で聴いたことはないのですが、
メト・オケの演奏を聴く限りは、彼の長所は、
細部へのこだわり、丁寧な演奏、といったところにあるような気がします。
逆に、ものすごく綺麗にまとまっているのですが、
爆発力に欠けるという指摘は一理あるような気もしますね。
でもそれは、今までのレヴァインの総音楽監督という立場があまりにオケの中で強すぎて、
奏者の方が意識せずとも多少萎縮してしまうのかなあ、という気がなきにしもあらず。
その点、副監といいながらも、ほとんど、振って去っていくだけ、
という立場にあったゲルギエフの時のほうが、
オケから思いがけない自由で、爆発力のある音楽が出てくる可能性が高かったように思います。
しかし、そんな力をオケが出せるようになったのも、
レヴァインが基礎能力をしっかりオケに長きに渡って叩き込んだからであって、
レヴァインの功績は、彼の指揮時の演奏の結果だけから云々するよりは、
オケを育てた、という面を決して見逃せない、と思います。
(また、マクベスでのグレギーナのときのように、
歌手へのサポートの面でも、彼は優れたものを持っているように思います。
彼くらいの立場にある人が、歌手に引っ付いて、歌唱を練りなおしてくれるなんて、
稀有になってきているのではないでしょうか?)

『イブの息子たち』、読んだことはないのですが、
表紙を見る限り、いい感じですねー。
確かにアンジェラ、漫画のキャラクターちっくですよね。

>自分が気に入った写真のみにサインをしそう

ああ!!全然ありそうです、それ!!

 娑羅さん、


いやー、リパッティ、素晴らしいピアニストですよね。
私は、このシューマンのピアコンを、先にキーシンのCDで聴いていて、
それはそれで、美しい曲だなあ、と思っていたのですが、
リパッティの演奏を聴いたときには、美しいというだけの言葉で括れない、
それまでのこの曲へのイメージをひっくり返すような衝撃を受けました。

リパッティの演奏でこの曲を聴くと、生命の力とか奔流のようなものが演奏に漲っているのが大好きで、
本当に感動的です。
もしかすると、彼の演奏は、シューマンがこの曲で表現しようとしたこと以上のことを
描いてしまっているのかもしれませんが、
これを聴いてしまうと、他のピアニストが演奏するこの曲が聴けなくなって困ってます(笑)。

私が他に持っている彼の音源は、ショパンとモーツァルトのピアコンで、
ショパンのワルツ集は持っていないです。
早速探して購入しますね!


 Fさん、

書き終わった後で、”どんなシーンに使われているか”だけでなく、
この曲のどこが使用されたのか、ということも気になっている自分がいることに気付いたのですが、
まさか、このブログを読んでいる方の中に、
ウルトラマンセブンのその場面を思い出すことの出来る方がいらっしゃるとは
予想だにせず、特に本文を訂正することのないままにしておいたところに、
この両方の私の質問に見事に答えてくださったFさんのコメントに感謝感激!!!!です。

なんとあの第一楽章の冒頭の部分が!!!
ダンの正体暴露というシーンに!!
しかも、そんな衝撃の告白も超人的な冷静さで受け入れるアンヌ(片親はフランス人?!)!!

そして、ああ、そこに流れるのが、リパッティ&カラヤンの演奏だなんて!!!
ウルトラセブンのスタッフの方の、このかっとんだセンス、
素晴らしすぎます!!

しかし、上の娑羅さんへのコメントの中で書いたとおり、
私は彼らの演奏を聴くと、まず思い浮かぶのが、
人間の存在とか命といった概念なんですね、、。
ということは、このスタッフの方と同じセンスを共有しているということなのか、、、?

それにしても、アメリカのテレビ番組(ましてや子供向けの番組ではなおさら)では、
クラシックが使用されるなどということはほとんどないのに比べると、
日本の番組はクラシックの使用率が高いですよね。

うちの連れも、私がチャイナ・タウンで購入した『白い巨塔』の海賊版DVDを見ていた際、
(こちらでは、日本のTVドラマを、中国系の人たちが、
DVDで録画し、中国語のキャプションをつけて販売しています。)
財前五郎が空でメスを翻しつつ、
オペのイメージ・トレーニング(?)するときに
必ず『タンホイザー』序曲がバックに流れるのですが、
このシーンがあらわれるたびに、
”おもしろい、、、”とテレビの画面に一緒に釘付けでした。
返信する
P協 ( F)
2008-05-28 00:22:02
こんばんわ。
クラシック音楽への取っ掛かりはピアノ協奏曲だったので、一時期そればっかり聞いていました。
シューマンのイ短調協奏曲も大好きな曲です。
長くブレンデル、アバド、ロンドン響を愛聴していました。
上の記事中にグリモーの名前を見つけて思わず書いてしまいますが、最近グリモーの2005年の録音を聴いています。
デビュー当時は美少女ピアニストというアイドル扱いでしたが、人生経験(パートナーさんに言わせるとまだまだでしょけれど)を積んで興味深い人物になってきました。
この2005年のDG版もサロネン、ドレスデン国立管とのR・シューマンP協、フォン・オッターによるC・シューマンの歌曲、ブラームスのチェロソナタとラプソディというおもしろい組合わせです。
最新版のベト皇帝もなにやらカッ飛んだ演奏らしくて、賛否両論みたいです。

真面目な優等生もいいのですが、こういった個性的な方は気になります。
それが芸術であるならなおさらのことです。
おっと、記事に全然関係のない話ですみません。


最終回・・・・以前はYouTubeで見られたのですが残念。


返信する
それはiTunesしなくては! (Madokakip)
2008-05-28 12:44:24
 Fさん、

いえいえ、記事に関係なくないですよ、全然!

私、告白してしまうと、実は芸以外の部分でも、
何か惹かれるポイントがあると、簡単に好きになったりしてしまうところがあるのでありまして、
ダックス王子ゴメスしかり、、。
そして、このグリモー嬢も、確かNY州のどこかにある
狼の保護区域に寄付をしていたりしていて、
お休みの時には狼とふれあったりしているそうで、
もうこれを聴いただけで、この人好き!、
(しかも演奏を聴く前から、、)と思いました。
指を食いちぎられるかも知れないのも顧みず、
狼とたわむれる彼女、、、素敵すぎます。

食いちぎられる云々って、そんなオーバーな、、と
思われる方もいるかもしれませんが、
まさにその彼女の姿勢が音楽に現われている気がするんですよね。
彼女の弾くピアノからは、悪い意味でのピアノ馬鹿でない、
すごく大らかな感じがしました。
それに引き換え、このメト・コン・オケのビスは、、。

その2005年のDG盤、ぜひ聴いてみたいですね。
速攻、iTunesします!
私、実はレパートリーによっては、ドレスデンの音も大好きなんですよ!
以前このブログで紹介したガランチャのCDもドレスデンがバックをつとめていて、
それに入っている『ばらの騎士』の彼らの演奏は、相当好きです。

しかも、べト皇帝の盤の指揮は、グリモーのオフィシャル・サイトによると、日本語表記でユロフスキーとなってますが、
これはジュロウスキー(英語の発音ではこうなってしまう、、)のことでは??
彼は今シーズンの『ヘンゼルとグレーテル』で指揮をしましたが、

http://blog.goo.ne.jp/madokakip/e/67b0c20312b6de98983cb10caa36804b

NYでもかなり評判が良い若手指揮者です。
ドレスデンとのコラボ!!こちらも聴いてみたい!

というわけで、iTunes二連発してきます!
返信する
2011年MET日本公演 (チャッピー)
2008-06-01 14:16:15
2011年
6月
メトロポリタン・オペラ
ラ・ボエーム ・・・指揮:ジェイムズ・レヴァイン出演: ミミ アンナ・ネトレプコ
ドン・カルロ ・・・指揮:ジェイムズ・レヴァイン
ランメルモールのルチア ・・・指揮:ジャナンドレア・ノセダ

ルチアは誰が歌うんだろう?
返信する
横から失礼いたします (娑羅)
2008-06-01 23:16:58
チャッピーさん。
正式発表ではありませんが、ルチアはディアナ・ダムラウ、エドガルドはピョートル・ベチャーラらしいです。
返信する
返事が遅くなりました~メトコン編 (Madokakip)
2008-06-05 12:05:23
旅行のため、数日PCへのアクセスが出来ず、
頂いたコメントへの返信が遅くなり、すみませんでした。
頂いた順に、、。

 チャッピーさん、

2011年ですかー。確か前回の来日公演は2006年でしたから、5年ぶりですね。
全部イタリアものですか。これは珍しいですね。
オーストリア・ドイツものやフランスものが混じっているケースが今まで多かったように思うのですが、、。
私なら全部観に行きたいラインアップです。
しかし、こんな先のキャスティング、、
今、どこのオペラハウスでもやっていることですが、
難しいですよね。

娑羅さんがコメントくださったように、ルチアはダムローが予定されているようですが、
彼女は2008-9年シーズンでこの役を初めてメトで歌う予定ですよね。
できれば、実際にメトの観客が観て”よかった!”と思ったものが日本公演にのるといいのですが、、。

 娑羅さん、

ありがとうございます。
ネトレプコがルチアでなくミミを歌うと聞いてほっとしてます(笑)。
これから数年先ということを加味すると余計に、、、。
返信する
ありがとうございました (チャッピー)
2008-06-06 20:43:16
娑羅さん、Madokakipさん
ありがとうございました。
ルチア、デセイ来ないかなあと思ってたのですが・・
次回、フレミングは来ないのかなあ。

「本当はMETでやりたいんだけど・・
とりあえず、ドサ周りで試してみます!」
ってことで、フレミングの「ノルマ」とか・・・
いや、絶対合わないと思うけど、怖いもの見たさで
実現したら見に行くと思う。
中途半端に受けて、本人がその気になったら困るけどw
返信する

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