Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

DIE MEISTERSINGER VON NURNBERG (SatMt, Mar 10, 07)

2007-03-10 | メトロポリタン・オペラ
今日は土曜マチネの、しかも全国ネットのラジオ中継の日ということもあり、
ほとんどチケットをとるのを断念していた私でしたが、
なんとか窓口で奪取。
しかし、このチケット、バルコニー席のとんでもない後ろのしかも端のほう、という席でちょっと憂鬱。オペラはやっぱりできるだけストレスフリーでみるのがよい。
前の人の頭しか見えない、遠すぎて演技もよく見えない、
下手すると、音もいまいち、なんていう席は、よろしくないです。
(しかし、以前にも書いたとおり、ファミリーサークルの真後ろのスタンディング席は、
多分オペラハウス内ではもっとも音響がよいと思われる。
最後には何に重点を置いて見るかという、観客側の好みにゆだねられるといえましょう。)
とりあえず、その席は私にとってはいまいちに思われたので、
早速、蝶々夫人で鍛えたネゴ術(2006年10月31日)を駆使。
時間はすでに10分前。
ダフ屋、突然相方の都合が悪くなって、チケットが一枚浮いてしまった一般の観客の方たちなどが、鈴なりになっています。
各チケットを見せていただくも、それほど魅力的なチケットがなく、
特に私はオーケストラ席のうしろのほうというのは、
価格のわりにだめな席と考えているのだけれども、
そんな高いばかりのチケットか、
それとも私の持っているチケットとそうは変わらない上階席のだめだめ席か、
(しかし、価格からのつりあいというと、まだこっちの方がまし。)
のどちらかで、あきらめてバルコニーで見るか。。とほとんど決心しかかったころ、
上品なおばあさまが、”うちの主人が具合が悪くなってしまって、
大変残念がっているのですけど、買っていただけるなら。。”
と言って差し出されたチケットを見てびっくり!
オーケストラ席、最前列のど真ん中。
レヴァインの鳥の巣頭に手もとどかんばかりの真ん中の座席!
オーケストラ席でも、ここまで前だととんでもない価値あり!!!!!
”買います!!!”
と財布を開けたものの、10ドル足りない!!!
ところが、おばあさまは、”いいわよ、10ドルくらい。”
といって快く譲ってくださったのでした。

そんな近くに座ったものだから、セットの色がまぶしくて、目に痛いくらい。
まわりにはおそらくどっさり寄付金を出している、メトのパトロンっぽい、
しかし、成金趣味とは無縁の、真の金持ちなオペラ好きがずらり。(年齢層、相当高し。)
演奏前やインターミッションの会話の端々、また、演奏を聞いているときの反応などから、
一帯が、オペきちの巣窟であることは間違いありませんでした。

そんな中、演奏開始。
オーケストラ席で、私にとってつらいのは、オケにあまりに近いせいで、
各楽器の音があまりにも個別に立って聞こえるために、
聞くのに疲れるというか、ぐったりしてしまうことです。
また、歌手の声がこれまたそばすぎて、実際オペラハウス全体の中でどれくらいの音で
鳴っているのかが少し把握しづらいし、
また歌手によっては、頭の上を声が飛び越えていってしまうことがあって、
上のほうの席では大喝采なのに、こちらは”?”という経験も。。

今日のそのよい例としては、エーファを歌ったホンさん。
以前グランド・ティアで聞いたときは明らかに声量不足に感じましたが、
ここまで近いと(それはもちろん声のスケールが小さいとかいうレベルのことは
ある程度感じられるのですが)、
あまり都合悪くは感じられませんでした。

この日、最初からジェームズ・モリスの調子がよくなく、
ほとんど、風邪気味なんじゃないか?とすら思えるほど声がつらそうで、
聞いているこちらがひやひやしましたが、
さすが経験が長いだけあって、前半はほとんどそれを感じさせないくらいに
上手にカモフラージュしていました。

しかし、とうとう、五重唱の前のシーンで、声がかれてしまい、ひやっとします。
おそらく数分間ほど、かなりのいがいが状態で歌い続けたと思われますが、
奇跡的に五重唱では復帰。
そのまま最後まで何とか乗り切ってくださいました。

ベックメッサーを歌ったケテルセンは、以前(2007年3月1日)には気づきませんでしたが、
この至近距離で見ると、”こんな細かい演技やってたんだ!”とびっくり!

歌のないシーンで、神経質そうに、自分の前にある数冊の本の角をあわせてみたり、
それらをきちんとテーブルに対して直角になるようならべてみたり、
と、ちょっとキれる寸前の危ない独身中年を熱演。
いちいち行動がおかしくて、相当笑えました。

ラジオ中継があっただけに、全員集中力のこもった演奏ぶりで、
モリスの不調が残念だったけれど、トータルとしては、大変よい出来だったと思います。

オケも今日は高校ブラスバンドではなく、
きちんとした演奏でした。
ラジオ中継の日ははずれなし、の法則をまたしても裏づけ。

Johan Botha (Walther von Stolzing)
Hei-Kyung Hong (Eva)
Maria Zifchak (Magdalene)
Matthew Polenzani (David)
Evgeny Nikitin (Veit Pogner)
Hans-Joachim Ketelsen (Sixtus Beckmesser)
James Morris (Hans Sachs)
Conductor: James Levine
Production: Otto Schenk
ORCH A Odd
ON
***ワーグナー ニュルンベルクのマイスタージンガー Wagner Die Meistersinger von Nurnberg***

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