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独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

マイナー・オペラのあらすじ 『ニクソン・イン・チャイナ』(とバレエ『紅色娘子軍』)

2011-02-02 | マイナーなオペラのあらすじ
オペラ『ニクソン・イン・チャイナ』

作曲:ジョン・アダムス
台本:アリス・グッドマン

初演:1987年10月22日、ヒューストン・グランド・オペラ

これは1972年2月、中国北京で実際に起きた出来事である。


第一幕

1972年2月21日月曜日、北京郊外の飛行場。よく晴れた寒い朝。
陸軍、海軍、空軍の分隊が飛行場を囲んで「三大紀律八項注意」を歌っている。
周恩来首相が、数名の役人を従えて滑走路へ向かう。そこへ、大統領機〈スピリット・オブ’76〉がゆっくり滑り込んで来る。
ニクソン大統領がタラップを降りてくる。ふたりは握手をかわし、大統領は期待と不安を歌い上げる。

一時間後、ニクソンは毛沢東主席との会談に臨む。
毛沢東は、哲学的な金言や予想外の政治見解、格言をまじえた冗談を次々と繰り出してくる。
しかも主席が話すたびに周恩来と秘書たちがその発言を繰り返す。
西洋人がこのような対話の中で主張を通すのは容易ではない。

毛沢東との公式会見が終わると、ひと晩目の晩餐会では皆が上機嫌だ。
周恩来首相が立ち上がり、愛国的友好関係を祝してその晩最初の乾杯を行うまでの間、ニクソン夫妻はほんの二、三言しか言葉を交わすことができなかった。
ニクソンは返礼として中国の国民に敬意を表し、平和を願って乾杯する。少しずつ雰囲気はくだけながら、乾杯は延々と夜更けまで続く。


第二幕

夜のうちに雪が降った。午前中、ニクソン夫人はガイドと報道陣に導かれて舞台上に上がる。
自分のような女性にとって、ファーストレディーになるということはどのような感じがするものか、という感想を少々述べたあと、
北京のガラス工場の職人が作ったガラス製の象を受け取る。
その後、四季青人民公社と頤和園(いわえん)を訪れ、仁寿門で立ち止まり、「まるで予言のよう」(This is prophetic!)を歌う。
それから日暮れ前に明十三陵を訪れた。

その晩は毛沢東の妻、江青女史が考案した革命的現代バレエ『紅色娘子軍』(The Red Detachment of Women)を観る。
率直なイデオロギーとハリウッド的な情感が絡み合った作品だ。
大統領夫妻は後者の要素に反応し、虐げられた農民の少女に気持ちを寄せる。
ふたりはわかりやすい美徳の行いに惹かれているのだ。江青女史はそのような反応をされると思っていなかった。
彼女はフルコーラスをバックに、「私は毛沢東の妻」(I am the wife of Mao Tse-tung)と歌い上げる。



第三幕

北京での最後の晩。アメリカ大統領の中国訪問という華やかな政治イベントの幕が下り、登場人物たちは各々の寝室に戻る。
それぞれの思いは過去にさかのぼる。
毛沢東夫妻はダンスを踊り、ニクソン夫妻は海軍司令官として太平洋に配属されていた第二次世界大戦中の新婚時代を思い起こす。
周恩来は「私たちはひとつでもためになる事をしただろうか」と疑問を投げかけ、オペラの幕が閉じる。

アリス・グッドマンのシノプシスより

(以上出自:メトのサイトから、2010-2011年シーズン作品の日本語によるあらすじより。
冒頭の写真はメト2010-2011年シーズンのセラーズ演出の舞台より。)

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バレエ『紅色娘子軍』

<解説>
1970年5月、最終的に改作・公演された、革命的現代バレエ。
1964年の国慶節にはじめてバレエとして公演された時、毛沢東夫人の江清女史が直接指導にあたり、
その後の公演活動で磨きあげられたもの。主人公はプロレタリア階級の英雄の形象としてつくりあげられている。
1972年2月のニクソン訪中の際、大統領の前で上演されたバレエ作品として知られる。

<あらすじ>
貧農の娘呉清華は、極悪地主南覇天の家の土牢から脱出し、まっくらなヤシ林で、追手につかまり半死半生の目にあう。
そこに、紅軍の幹部洪常青と通信員小龍が通りかかり、呉清華を見つけて助ける。
数日後、紅軍根拠地で「中国労農紅色娘子軍」の成立祝賀会が催されているところへ、呉清華がたどりつき、南覇天の極悪非道の犯非行為を訴える。
呉清華も娘子軍に入隊、銃をさずけられ、隊列に加わる。南覇天の誕生祝いの日、洪常青は変装して屋敷にのりこむ。
夜半、紅軍大部隊と呼応して、南覇天一味をせん滅するためだ。
ところが、続いてのりこんだ呉清華は、南覇天の姿を見ると、怒りをおさえきれず発砲、南覇天を逃がしてしまう。
紅軍は捕われていた人びとを解放、穀物倉庫をひらいて村人に分配し感謝される。
根拠地では軍民一家族のように団結し、呉清華の階級的自覚が高まるとき国民党匪賊軍の侵入が通報され娘子軍も出動命令をうける。
紅軍主力部隊は敵をせん滅するが、山の入口で阻止隊をひきいて勇戦した洪常清は重傷を負う。
捕われの身の洪常青は、南覇天から裏切りを迫られるが、あくまで妥協せず、火あぶりにされ、大義のために命をささげる。
ついに紅軍は南覇天のそうくつを襲い、悪あがきする南覇天を射殺し、ヤシ林村を解放する。
呉清華は、銃火の戦場で入党し、洪常清のあとをうけて党代表となる。

(ちなみにこのバレエ作品を1970年に映画に収めたものはこちらのページから全編視聴できます。
上の文章の出自はgoo映画、および米版Wikipediaの"The Red Detachment of Women"(ballet)の項より。)

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*** アダムス ニクソン・イン・チャイナ Adams Nixon in China ***




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