極楽とんぼは風まかせ

東は東、西は西。交わることなき二つとはいえ、
広い太平洋、東の風が吹き、西の風が吹き・・・

怒涛のように過ぎた1年ももうすぐ終わり

2015年12月25日 | 今日の風の吹きまわし
クリスマス。私たちにとっては民族大移動並みのプロジェクトだった住み替えが終わって4ヵ月半。「まだ
4ヵ月半」と言うべきなのか「もう4ヵ月半」というべきなのか。何だかあっと言う間に過ぎたような気がする。
先週の木曜日にはとうとう初雪が降った。雪ひらが窓の外の世界を覆い尽くすように宙を舞っているのを
高いところから見ていると、灰色の空から次々と舞い降りて来るのを戸建ての窓から見上げていたのと
はまた印象が違っていた。外にルーフデッキという自分の目線の延長のような水平空間があるおかげで
何とか地に足が付いている感じがする。そうでなかったら、気分的に無重力状態になってしまうかもしれ
ないな。これが40階とか50階なんて超高層から壁一面の窓の外を見ている人はどんな風に感じるのか
なあ。

10月あたりからやたらと嵐の連続。10月最後の日はハロウィンで、ちょうどよく雨が止んで、市条例で
許可されている午後4時を過ぎた頃からあちこちでドンドン、バンバン。暗くなったら、暗くなったら住宅地
のそこかしこから盛大な打ち上げ花火。足元のニューウェストミンスターは元より、(音は聞こえないけど)
北のバーナビーから東のコクィットラム、南のサレーからデルタ、西のリッチモンドまで、我が家から見渡
せる限り花火、花火、花火。特にインド系人口の多いサレーではいたるところで花火が上がっている。真
夜中までに打ち上げてしまわないと花火の不法所持になるせいか、10時を回る頃にはどんぱち、どん
ぱちと、何だか在庫一掃セールみたいな賑やかさで、思いがけない花火見物は予報の「次の嵐」が遅れ
て来た11時ごろまで続いた。旧居では、火の付いた花火を生垣越しに投げ込まれて窓の外で炸裂した
ことがあったせいか、2人ともハロウィンやインド人のディワリ祭のときの爆竹や花火の音がいつもすご
いストレスになっていたけど、こうして危害の及ばない高いところから見ていると、全国の花火大会の総
集編を見ているようで、明かりを消して、あっちだ、こっちだと2人して大はしゃぎ。ほんとに思いがけず楽
しいハロウィンだった。

明けて11月1日は第1日曜日なので、時計の針を1時間戻して夏時間から「標準時間」に切り替え。今
まで川縁のキー地区でやっていたファーマーズマーケットの冬バージョンがアップタウン地区の商業組合
の招きで移転して来て、その場所と言うのが我が家のマンションのまん前の道路。まあ、6番ストリートと
7番ストリートの間のたった1ブロックの短い道路だから、丸1日交通止めにしてもさしたる不便はなさそ
う。引越しする人は困るかもしれないけど。マーケットは4月まで毎月第1、第3土曜日の午前11時から
午後3時まで開かれると言うことで、楽しみにしていたけど第1回目は嵐模様で行かずじまい。第2回目
にやっと寒いけどマーケット日和。11時半ごろにロビーに下りて行ったら、外はずらりとテントが並んでい
て、エンタテインメントはギターの弾き語り。野菜のスタンドには普通のスーパーにはないものがけっこう
あって、きれいな小かぶの束を見つけてさっそくゲット。ひと束300円。カレシに写真を撮ってもらおうとカ
メラを渡したら、警備の(というよりは暇そうに立っていた)お巡りさんが「2人一緒に撮ってあげるよ」と声
をかけてくれてパチリ。冷え込んでいるのにかなりの人が集っていて、よく見ると有機食品などに凝って
いそうなタイプの人たちが多いみたい。

11月の終わりが迫る頃には山並みにも冬到来。遠くの峰が真っ白になり、その手前の山並みが冠雪し、
そのうちに手前の山並みも粉を振りかけたように白くなった。毎日人間の営みが行き交っている川の風
景と違って、山の眺望など雪があるかないかの変化だけでさしておもしろくないと思っていたけど、どうし
てどうして。天気や季節によって自然の変化があるし、太陽の方角や雲の形なんかでも色合いが毎日微
妙に違っていて、見飽きるのに3日どころか3年はかかりそう。もっとも毎日と言っても晴れた日にしか見
えないんだけど・・・。

12月7日。新居での初クリスマスと言うことで、いつもより早くツリーを飾った。その前の週にマンション
の住人が飾りを持ち寄ってロビーにクリスマスツリーを飾る集まりがあって、ワタシも少し寄付しようと、
飾りを納めた段ボール箱だけを地下駐車場のロッカーから出して来てあった。これはと言うものを選んで、
ロビーへ降りて行ったら、ゆうに2メートルはあるツリーが立っていて、ライトがちかちか。生木は禁止だ
からもちろん人工のツリーだけど、理事の1人が郊外の戸建てから越して来た際に長年家族で飾ってい
たものを持って来たけど、スペースがなくて使えなくなったのを管理組合に寄付して、その流れでみんな
で飾ろうと言うことになったらしい。まあ、それがダウンサイズというものなんだろうけど、長年3分の1は
壁に押し付けた形で飾って来たツリーを初めて360度ぐるっと飾れるようになった私たちとは正反対だか
らびっくり。みんな大きな家に住んでいたんだろうけど、私たちの場合ははそれほど大きくない3フロアの
家から4分の3ほどの広さのワンフロアに住み替えたんだけど、オープンな間取りが効率的なおかげで、
結果的にカレシが空いたスペースが多すぎるとこぼすぐらい広くなった感じがするからおもしろい。

マンションと言えば、バンクーバー市では今後は階数飛ばしが認められなくなる。エレベーターに13階の
ボタンがないビルは昔から普通にあったけど、迷信深い中国人が不動産市場の大得意客になってから
は、4階のないマンションが出現し、4号室がなくなり、ついに4の付くものは階数も部屋番号も一切ない
ところまで現れるほどにエスカレート。消防車や救急車が出動したときに混乱を招いて人命に関わる危
険があるというのが階数飛ばしを認めないことにした理由とか。たしかに「4」がないことで「死」が起きた
のでは元も子もない。

我が家のあるマンションもエレベーターのボタンに「4」と「13」がないし(14と24階はある)、部屋番号も
各階の3号室の隣は5号室。つまり、私たちが住む23階は23階じゃないわけで、実際に階数を数えると、
ロビーがあるのが「G階」で、その上に「1階」があるから、23-2+1ということで22階ということになる。
Ground floorがあって、その上がfirst floorとなるのはイギリス式の数え方だから、イギリス領だった香
港からのバイヤーに配慮したのかもしれないけど、迷信に配慮して4を飛ばすというのは何だかなあ。ま、
13階を飛ばすのは西洋の迷信への配慮ってことなんだけど。カレシ曰く、「4階を5階と呼んだって、4番
目のフロアであることに変わりないだろ。嫌なら買わなきゃいいだけの話」。たしかに縦に並べても横に
並べても、順序の中に必ず「4番目」が存在するのは厳然たる事実で、迷信深い人はそのあたりをどう考
えているんだろうな。単に「4」の数字がなければいいのか、あるいは4番目のフロアなら5階と呼んでも
ダメなのか。一度聞いてみたいな。

満月が高々とかかって、冷え込んでいるせいでひときわチカチカと瞬く夜景を眺めながら、引っ越して良
かったとしみじみと思う静かなクリスマス。怒涛のごとく過ぎた2015年もあと1週間を残すだけになった。
来年がどんな年になるのかは知る由もないけど、もう少し仕事をスケールダウンして、9割隠居とまでは
行かなくても、せめて8.5割隠居、1.5割現役くらいになりたいもんだな・・・。

 
 ファーマーズマーケット

    
    ロビーでクリスマスツリーの飾りつけ

   
   我が家のツリーも

 
 初冬の日の出

 
 日の入り

 
 昇ってくる満月