極楽とんぼは風まかせ

東は東、西は西。交わることなき二つとはいえ、
広い太平洋、東の風が吹き、西の風が吹き・・・

ハロウィーンの夜は更けて

2010年10月31日 | 今日の風の吹きまわし
日曜日。正午過ぎに目が覚めて、人心地がついた気分。カレシはまだぐっすり眠っているような
ので、先に起き出して、留守中に送られてきていたフィードバックに対するフィードバックの作業
を始めた。チェックをするのはたいていがネイティブスピーカーか英語で育ったバイリンガルの
人。究極的に「より質の高い翻訳を」という点で目的も利害も一致しているから、いってみれば
「下請業者」のワタシもチームの一員のようなもの。エンドユーザーの自称バイリンガルの担当
者とは大違いで、さすがにこの会社だと思えるレベルの人たちからのフィードバックだから、こっ
ちもきちんと目を通して、まじめに返答する。それにしても、解釈に関する質問事項が最後の方
にかたまっているのは、やっぱりだらだらしていた挙句に追い込みというときになって集中力を
乱されるようなことがあったからだろうな。気をつけないとね。

ほぼ終わりかけたところでカレシが起きて来て、遅い朝食。カレシも人心地がついたらしく、だい
ぶ生気が出てきたような顔をしている。デンバーでは10年くらい老けて見えたんだそうだけど、
へえ、まだそんなこと気にしているのかなあ。「くたびれたらこんな顔になるんだなあと思っただ
けさ」とカレシ。たった1時間の時差のはずなんだけど、たった3日の世間並みの生活時間だっ
たから、あんがい調整でつかなくてきついと感じたのかもしれないな。ゆうべのコンサートでは、
バンクーバー交響楽団にバンクーバー青少年オーケストラが加わっての大人数が奏でる大音
響だったから、カレシはいつものように舟をこぐこともできなかったよね。「いや、まじめに聞いて
たよ」とカレシ。ま、帰って来たばかりで2、3日は仕事がないと思うから、少し「おうちでのんび
り」を決め込もうか。

デンバーはアジア系は少ないようだし、アフリカ系もそれほど多くないようで、基本的に典型的
な中西部の都市ということなんだろうけど、開放的な雰囲気があって居心地は良かった。木曜
日の午後遅くにホテルに着いて、近所の探検に出かけて、まず目についたのがこれ・・・

     

ホテルのとなりにあるコンベンションセンターの外で中をのぞき込んでいたこの巨大な青クマ君、
なんだか「みんな何してんの~?ボクも仲間に入れてよ~」と言っているようで、かわいいので
気に入ってしまった。デンバーはユーモアのセンスのあるところだなという印象。

コロラド州の州都デンバーは「Mile High City」と呼ばれている。海抜1マイル(約1600メート
ル)にあるからで、キャピトルヒル(州議会議事堂)正面玄関への階段に「海抜1マイル」のマー
クがあるというので、16番街モール(建築家のI・M・ペイがデザインした延長1マイルの歩行者
天国・・・といっても無料シャトルバスが端から端まで走っているけど)を歩いて、議事堂まで行っ
てみた。天気が良くて、暑い。午前中はまだ寒かったのに、あっという間に気温が上昇して、午
後には20度をはるかに超えていた。モールの行きあたりで、一番高いところに州議会議事堂、
反対側の低いところに市庁舎がある。階段を上がって行って、見つけた、海抜1マイル。

ステップの前に刻まれているのは15段目にあるオリジナルのマーク。真ちゅうの板をつけてい
たら、あまりに何度も盗まれるので、ちょうど1マイルにあたる階段に「One Mile Above Sea
Level」と刻んだのが1947年とか。ところが、海抜1マイルは実はもう少し上の方ということがわ
かって、1969年になって18段目に丸い真ちゅうのマークがつけられた。ところが、測量技術の
進歩による計測方法の変化のおかげで、「ほんとうの海抜1マイル」は実は13段目ということに
なって、2003年に新しいマークがつけられたんだそうな。ま、まだ印のついていないステップは
いくつもあるから、いつかまた技術の進歩で「実は・・・」ということになるかもしれないけど、ずっ
と昔に「1マイル」の段に立って記念写真を撮った人は困っちゃうだろうなあ。

ということで、3つの「海抜1マイル」が一堂に会して、はい、パチリ・・・。

     


さて、ハロウィーンの今夜は雨になったというのにあちこちで爆竹がなり、花火が上がって炸裂
し、うさん臭い若者連中がうろうろしている。どういうわけかトラックの警報装置が2度も鳴り出し
て、そのたびにカレシが懐中電灯をつかんで点検に出て行ったけど、被害はなしのもよう。何か
が当たったわけではなさそうだけど、悪ふざけもいい加減にせんかい!今までずっと静かで当
日になって盛大に花火が上がっているのは許可制になったせいかな。ゆうべはコンサートが終
わってグランヴィルの通りに出たら、仮想した男女の大人子供がいるわ、いるわ。しらふなのか、
酔っ払っているのか知らないけど、奇声を上げながら警備の警官たちの間を縫うようにぞろぞろ。
パーティ会場を目指していたのかな。おかげで帰りの地下鉄は空いていた。でも、ガスタウンで
は無差別と思われる銃撃があって、歩道に集まっていた若者たちが何人か撃たれて大けがを
したそうな。

もう子供たちは近所でさえ危険がいっぱいで、キャンディをもらいに家々を回ることができない。
風に吹かれて外に立っていたら、ぞろぞろ現れて、我が家のゲートを見て「このうち、なんかあ
るかなあ」とか「なさそうじゃん」とか騒いでいたのは少なくともハイティーンの女の子たち。ワタ
シが懐中電灯をもって立っているのを見て、きゃっきゃと笑い転げながら道路を渡って行った。
長い長い伝統のあるハロウィーンの行事、いつのまにか大人がおばか丸出しで無礼講をやる
夜になってしまったけど、そろそろ子供たちに返してあげたらどうかなあ。

早起きに寝不足に時差ぼけ

2010年10月30日 | 今日の風の吹きまわし
土曜日。デンバーでの起床時間は午前6時15分。外はまだ暗い。急いで身支度をして、荷物を
持って30階の部屋を出たのは午前6時50分。フロントでチェックアウト。「他にご用は?」という
から、後はタクシーを捕まえて空港へ行くだけだからといったら、胸もとにクリップしていた小さな
マイクに「タクシー1台」と業務連絡。驚くほど効率よく終わって、外へ出るとタクシーが待ってい
て、ドアマンが「航空会社は?」と聞くから、ユナイテッドといったら、こっちが乗ってもそもそして
いる間に運転手に行き先を指示。ホテル出発は午前7時5分。

土曜日とあって交通もまばらで、だだっ広い「荒野」のど真ん中にあるように見えるデンバー国
際空港までタクシーはすいすい。地平線が赤くなって、東の空は燃えるようなみごとな朝焼け。
空港ターミナル到着は午前7時半頃。そのままセキュリティへ。ここはかなり人がいるけど、流
れはスムーズ。並行したA、B、Cの3つのターミナルを串刺しにして結ぶ無人式のシャトル電車
でBターミナルへ。この電車がいい。着いたときに「ようこそ、デンバーへ。市長のヒンケンルー
パーです」と来たからびっくり。なかなかやるなあ。搭乗ゲートはターミナルの端っこで、行っても
行っても見えてこない。腹ペコ状態で途中の食べ物屋(これがすごい数ある)の朝食テイクアウ
トを除いてみるけど、冷たいサンドイッチはやだなあ。機内で売ってるだろうから、それを買うか
と思いつつも、86番ゲートの直前でスターバックスを見つけてコーヒーとスコーンを仕入れて、
ゲートへ。なんかワタシたちの名前を呼んでるみたい・・・。

そのままカウンターへ行ったら、ホテルの端末からチェックして印刷した搭乗券を普通の搭乗券
に交換。行きはそんなことなかったんだけどな。もらったとたんに搭乗開始。飛行機はカナダ製
の66人乗って満員のCRJ700型。交代で熱いコーヒーのカップを預かって、座席の下に荷物
を押し込んで、まずはスコーンとコーヒーのミニ朝食。バンクーバーからのフライトでは誰が持ち
込んだのかフレンチフライの匂いがぷんぷんしていたっけ。ホテルを出てから搭乗するまで「待
ち時間ゼロ」の連続で、8時14分の定刻にターミナルを離れ、スコーンの入った袋を膝に、コー
ヒーを飲みながら離陸。あはは、なんだか飛行機より駅馬車みたいで、田舎っぽくて愉快な感じ。
機内アナウンスによると販売しているのはカクテルのみとか。えっ、カクテルって、まだ朝の8時
を過ぎたところで、もうカクテル?

デンバーからバンクーバーまでは2時間半前後で、時差は1時間だから到着は午前10時ちょっ
と前。土曜日の朝はあまり人が動かないのか、入管はがら空き。すいすいと通過して、乗り場に
並んでいたタクシーに乗って、我が家の玄関を開けたのはまだ午前11時前。とりあえずジュー
スとトーストとコーヒーで朝食の食べなおし。あまりない荷物を片付けて、そのまま2人とも服を
着たままでベッドの上にばた~ん。ぐっすり眠って目が覚めたら午後2時半・・・。

今回は寝不足に悩まされたような気がする。だって、木曜日の朝は結局いつもの午前3時半に
就寝して、目覚ましが鳴ったのは午前8時半。身支度をしてすぐタクシーを呼んで、荷物を持っ
て飛び出して空港へ。ここでもけっこうすいすいと運んで、搭乗ギリギリまでゲート側のカフェテ
リアでエッグマフィンの朝食。その夜は早寝をしたつもりだったのに、カレシがまた「気になって
眠れない病」で、もぞもぞ、もぞもぞ。ワタシも眠れなくなって、とうとう午前3時過ぎまでじっくりと
話し合い。「ひとりで気に病んでないで、話してみるもんだなあ」というカレシ。ワタシがここにい
るのは何のためだと思ってんの?アナタの話を聞いてあげるためここにいるんじゃないのっ!

金曜日の朝の起床は午前10時。ホテルのレストランで遅い朝食をして、とりあえずデンバーの
街を観光。午後にコンファレンスのセッションに1つだけ顔を出して、恒例の日本語部会のディ
ナー。ブラジル料理の店とかで、肉類をサーベルにぶすっと刺してテーブルの間を回り、頼むと
切り分けてくれる。それが、定番のビーフ、七面鳥、チキンの他にもやたらといろいろ回ってくる。
すごいのはガラガラヘビのソーセージ。味は普通のソーセージの感じでおいしかったし、野生の
イノシシの肉もおいしかった。一番受けたのはローストしたパイナップルだったけど。正式のディ
ナーの後はこれまた恒例になりつつある二次会。今回はアイリッシュパブ。寒くなっていたし、朝
が早いということで、ギネス一杯だけでみんなにお別れ。(来年シアトルで会おうね・・・ちょっぴ
りオリンピックの閉会式みたいなせりふ。)

日中は25度くらいあって暑かったのに、夜中近くになるとぐんと冷える。海抜1マイルの盆地だ
からだろうな。ホテルに帰りついたのは午後11時半で、就寝は夜中過ぎで、起床は午前6時過
ぎ、これじゃあこれじゃあ寝不足になるのも無理はないよね。でも、今夜はバンクーバー交響楽
団「Musically Speaking」シリーズのシーズン第1回コンサート。このために「取るものも取りあ
えず」みたいな日程になったんだから、なんとか早く普通のパターンに戻らなきゃ・・・。

つい浮気してしまう人の言いわけ

2010年10月27日 | 今日の風の吹きまわし
火曜日。相変わらず湿っぽいけど、まあまあの天気。今日はさしあたってすぐにやらなければな
らない仕事はない。あさっての朝はデンバーへ出発だから、仕事戦線は週が明けるまでは平穏
ということで、しめしめ。

何をしようかと思いながら、結局はいつものようにオフィスに座り込んでしまって、小町横町のそ
ぞろ歩きで見つけた、ランキング1位の『夫に捨てられました』というトピックを呼んでいるうちに
あっという間に午後が過ぎた。夫が不倫でもして出て行ってしまったのかと思ったら、つい魔が
差して会社の独身男と一泊旅行に行ったのが夫にばれて、帰って来たら夫が手紙と離婚届を
おいて出て行ってしまっていたという話。夫は勤め先も退職していて連絡が取れず、義家族から
は着信拒否で誰も居所を教えてくれない。謝る機会も与えられず、謝罪も弁解も何も聞かずに
いなくなるなんてひどい。自分の収入では家賃を払うのもキツイのに帰ってくるのを待っている。
「今の社会で女性は弱い立場だから、もう一度だけチャンスが欲しい」と。

魔が差して・・・か。読み進むほどに、何度も後出しで「言い訳」が出てくる。「夫が半年以上も出
張していて月末にしか帰って来なかったので、さびしくてつい・・・」。


明けて水曜日。雨期一服ですっきり晴れ上がったいい天気。ノースショアの山は白く冠雪。北米
大陸では「weather bomb(天気爆弾)」と呼ばれる超特大スーパー低気圧が中西部からカナダ
東部へと向かって猛威を振るっている。

きのうは「つい魔が差しての独身男との一泊旅行」がばれて夫に捨てられたという女性の投稿
を読んでいるうちに、なんだか古くなりつつある過去のことを思い出したり、いろいろと考え込ん
だりしていた。投稿者は30代半ばだそうだけど、思考レベルは年令に追いついていないのか、
あるいは今どきの普通のレベルなのか、どっちにしても、何もかも「誰(何)が○○でなかったら
こんなことにはならなかった」と言うタイプ。一番悪いのは遊び半分で誘惑してきた会社の男、
次に自分、三番目は(ほめ言葉も優しい言葉もなく、積極的に自分をつなぎとめてくれなかった)
夫。ふむ、10年前、カレシも似たような言い訳していたなあ。

一番悪いのは自分を誘惑してきたオンナノコたち、次にその甘言の誘惑につい乗せられた自分、
そして三番目は仕事に没頭して、さびしい思いをしている自分をかまってくれなかった妻(ワタ
シ)。当時の激しい口論を思い出して心がちょっとチクッとしたけど、そのうち笑いたくなって来た
のは時間薬の効能なのかどうか。あの頃は国際結婚ブームだったらしいから、(カレシが釣り糸
を垂れていた)ペンパル(ボーイフレンド)募集サイトで「淑やかで優しい日本女性」をアピールし
ていたカノジョたちは、チヤホヤしてくれる「白人、30代半ば、独身(?)」が魅力だっただけで、
特に「カレシ」を誘惑したかったわけじゃないと思うんだけどな。その証拠に、どれもせいぜい何
回かのやり取りでぷっつりだったじゃないの。それは「白人、20代、(確実に)独身」のカモが見
つかって用済みになったということだったんじゃないのかな。まあ、のぼせた頭ではそこまで考
えが及ばなかっただろうけど、ミイラになったミイラ取りのアナタが一番かっこ悪いんじゃない?

ワタシが仕事にのめりこんだのは、カレシが無関心を装ってワタシを拒否するようになって、さ
びしさや女盛りのエネルギーを仕事に向けたからなんだけど。でもワタシは、カレシがかまってく
れなくてさびしいからって、トピックの主みたいに他の男の甘い言葉に「つい」でも何でもよろめく
ようなことはしなかった。だけど、なの。もしもあの頃まだ会社勤めだったら、もしも苦しんでいる
ときに優しくしてくれた男性がいたら、どうなったかは自分でもわからない。でも、ワタシはこうい
う方面でのマルチタスキングは苦手なもので、本気になったら誰が悪いのなんのと御託を並べ
たりせずにその人のところへ行ってしまっただろうな。まあ、カレシに無視されて、あまりあるエ
ネルギーを仕事に集中したばかりに仕事が成功しすぎて、そのせいで(ほんとは嫉妬だったこと
はわかっているけど)さびしかったカレシが「ネット浮気」に走って、オンナノコが「下見」に来たり
して、独身じゃなかったわかったから「お別れ」されてるのにワタシがいるからだと怒って、別れ
るのなんのという修羅場になって、だけど原因(遠因)になったその仕事がワタシの救命浮き輪
になって、カレシが早期退職させられて、結果的にはワタシとカレシが元の鞘に納まって、ぐるり
と輪を描いて完結・・・という顛末は、皮肉といえば皮肉かな。

もっとも、カレシの「浮気」は、ほんとうに世間一般の「浮気」の定義にあてはまる色事というより
は、子供の頃に返って大好きだったビスケット「アニマルクラッカー」で遊んでいる気分だったん
じゃないかと思う。なにしろ一度に「交流」していたオンナノコの数が多すぎて、名前を取り違え
ることなどしょっちゅうだったし、チャットの内容を全部テキストで保存しておいたり、印刷したメ
ールをバインダーに仕分けしたりで、「浮気の証拠」を無造作に残しすぎていたし、まるで母親に
気になるった女の子の話をする思春期の男の子みたいな振る舞いが何かと多かったもの。つま
りは、オンナノコたちは、子供の頃に汚れて食べられなくなるまで並べ替えて遊んだという動物
の形をしたビスケットと同じものだったんじゃないかと思う。つまり、大人の約3割が一生に一度
は経験するという(極度の精神不安による)一過性の精神症だったのかもしれない。

まあ、ビキニの写真で迫ったコも、スペイン男に騙されたコも、見事な男あしらいだったキコンの
ホステス嬢も、み~んなもう「昔の人」。誰がどれだけどんな形でカレシの記憶の中に残ってい
るのかわからないけど、だんだんに色あせた写真のようにかすんで行くんじゃないのかな。それ
とも汚れたビスケットのように箱ごとそっくり捨てちゃったのかな。それにしても、人種、性別、年
令、理由を問わず、「つい魔が差して」浮気をするような人間は、それがばれると実に往生際が
悪くて、くどくどと似たような言い訳で責任転嫁しようとするするものらしい。してはいけないとわ
かっていることをして、叱られて、「だって、だって」と口をとんがらせている子供のようでもある。
子供は「人間の器」がまだできあがっていないから必然的に自己中なものだし・・・。

さて、デンバー行きのチェックインが済んだことだし、ささっと荷物を詰めて、あしたは早起きして、
空港へ駆けつけなきゃ。

いつもながら乱視の政治アニマル

2010年10月25日 | 今日の風の吹きまわし
月曜日。朝方(かな?)、階段の上にあるスカイライトに叩きつける雨の音でふっと目が覚めた。
ちょっと降りすぎじゃないの~とおぼろに頭の中でどこへともなく愚痴りながらまた眠ってしまっ
たけど、正午ぎりぎり前に起きてみたら、まだ降っていた。風もまだある。この嵐もよう、飽きもせ
ずによく続くなあ。テレビをつけたら、今夜も大雨の予報。メトロバンクーバーでは火曜の朝まで
に50ミリの予想で、大雨注意報発令中。「50ミリってどのくらい?」とカレシ。だいたい2インチ。
「うは~」とカレシ。日本の台風が来るあたりじゃそんなの「小雨」だと思うよ。集中豪雨なんての
は1時間でそれ以上降っちゃうんだから。だけど、いつかはバンクーバーの冬の雨も、気候変動
の影響で「しとしと、びちゃびちゃ」から「降れば豪雨か豪雪」ってことになるかもしれないな。

このところテレビのニュースは、アメリカの俳優のランディ・クウェイドと奥さんが、カリフォルニア
州で逮捕状が出ているということでバンクーバー市内で逮捕されたら、難民申請をしたという話
で持ちきり。何でも、カリフォルニアにはセレブ殺しの集団みたいなのがいて、送還されたら殺さ
れる危険があるという理由らしい。はあ?ドラッグをやりすぎておかしくなってるんじゃないかと
思うけど、こんな人でも「難民申請」を受理して、受け入れる根拠があるかどうかを審理しなけれ
ばならないのがカナダの難民受入れ制度。申請者ひとりあたり5万ドルの費用がかかるそうで、
これはカナダ国民が働いて納めた税金。つい何週間か前にはスリランカのタミル人が大勢ぼろ
船でやって来て難民申請中だけど、結論が出るまで生活保護をもらえて、医療や子供の教育
のめんどうも見てもらえて、こんなおいしい話はないよなあ。まあ、ハリウッドのスターとなれば
生活保護は不要だろうけど、申請が通るかどうかわかるまでに2年から4年かかりそうだとか。
難民に関する法律を変えてもらわなくちゃなあ。そういえば、オリンピック中に難民申請した2人
の日本人、その後どうしているんだろう。カナダ生活、楽しんでるかなあ。

フランスでは定年を2年延長することに猛反対する労働者がストに次ぐスト、デモに次ぐデモで、
国の経済活動はマヒ状態らしい。経済的損失はすごい金額になっているらしいけど、このまま
だとフランス経済は破綻してしまって、定年になっても政府に年金を払う財源がなくなっている
かもしれないよ。金の卵を生むガチョウの首を絞めるようなもんじゃないのかなあ。延長と言っ
たって、60歳から62歳と、たったの2年。北米なんかとっくの昔から65歳だってのに。世論調
査をすれば、65歳を過ぎても働き続けるという人が多いのに。だから労働法から「定年になっ
て退職する義務を撤廃したのに。日本なんか定年の延長を義務付けないままで年金の受給開
始年令を5年も延ばしたと言うのに。フランス人にしたら「それが何か?」ってことなんだろうけど、
法案はすでに上院で可決されたと言うから、どうするんだろうな。

中国では内陸の地方都市を中心に反日デモが相次いでいるとか。政権内での交代があったみ
たいだし、ノーベル平和賞の問題もあるし、もっともっと大きな国内問題も山ほどあるそうだし、
中国政府も大変だな。ノーベル平和賞に服役中の人権活動家を選んだのは、尖閣列島をめぐ
る事件以来、最近なにかと金力と腕力を見せびらかす中国をノルウェイが煽ったようなところも
あると思う。政治犯にノーベル賞を授与したら中国政府はどう出るか?中国の反応を見ている
と、乗せられたなという感じもしたけど、たまっている民衆の不満のガス抜きをするには日本を
利用するのが手っ取り早いということかな。でも、経済格差や政府や党幹部の汚職などの身近
な不満がふつふつと漏れ出しているとか。世界史を見ても、市民革命が起こるのは生活や教育
の水準があるレベルに達してからだそうだけど、中国では経済発展で不満がたまりやすい状況
だろうし、ガス抜きした毒ガスが逆流してこないとも限らない。うまく舵取りするつもりでも、中国
式ぬらりくらり戦術は政府も人民も同様に長けていて、骨があるからなあ。

今日は東のオンタリオ州各地で地方選挙。注目の的はカナダ最大の都市トロント。党派制度に
なっていないので市長候補はみんな「無所属」。その中で、歯に衣を着せない発言で有名なロ
ブ・フォードという市会議員が立候補して、なんでもかんでも「トロントでなければカナダにあら
ず」みたいな鼻持ちならないトロントニアンたちを沸かせていた。メタボの体にふてくさった顔つ
きはおつむの鈍いフットボール選手のようで、カナダ最大の都市の市長と言う風格はゼロ。だけ
ど、税金の無駄遣いを徹底的に斬りまくって、不在者投票の投票率が前回より80%も跳ね上
がったというからすごい。投票日の今日は投票所に有権者の長蛇の列で、投票が終了して即
刻始まった開票からわずか8分(!)で「当選」が発表されたというからすごい。ものすごい数が
立候補していて得票率が47%だったというからすごい。バンクーバーの市制選挙はたしか来年。
ルックスばかり良くて、エコ気取りで自転車専用レーンばかり作って、もっと大きい市長室が欲し
いという金食い虫の市長をなんとかしてほしいんだけど、これから1年間のトロント新市長の動
きはきっと西の果てのバンクーバーにまで大きな影響を及ぼすだろうな。うん、おもしろくなって
来たぞ。

嵐の秋空に秋刀魚の香り

2010年10月24日 | 今日の風の吹きまわし
日曜日。予報の通りに雨と風。起きてみたら、家の周りは落ち葉のじゅうたん。ずっと最低気温
が平年より高めで、未だに緑のままだった前庭の隅のカエデがひと晩のうちに紅葉を始めてい
たからびっくり。フウの木も目が覚めるような赤。花ずおうは鮮やかな黄色。あっという間に秋の
景色になってしまった。秋の空と夜叉の心・・・かな?

朝食が終わる頃には雨がやんで、ちょっと雲の切れそうなケイ肺だったけど、またすぐに雨。気
象衛星の写真を見たら渦巻き雲があって、長期予報は来週の日曜日までほぼずっと雨傘マー
ク。典型的なバンクーバーの雨のシーズンだけど、ハロウィンが雨だとけっこう静かでいいな。
いつもだったらハロウィンの2週間近く前から、待ちきれないガキン子どもが夜になるとあちこち
で爆竹を鳴らしていたし、ときにはヒュルヒュル~と花火を打ち上げる音もしていたんだけど、今
年から花火を上げるのに許可がいるようになったとかで、許可証がないと買えないのか、1週間
前だというのに爆竹の音が聞こえない。火のついた爆竹を庭の中に投げ込まれたことがあった
し、花火から火事になることもあってけっこう危険だから、許可制はいいことだと思うな。(大赤
字の市役所も発行手数料が入るだろうしね。)

結局また外は嵐もようになって、買い物に行く気がしなくなったもので、まずは、あて先だけ入力
して草稿箱に入れてあった3本のメールを書いて、送信。これで1時間近く。午後の時間は過ぎ
るのは早い。そういえば、もうひとつ小さい仕事があったんだっけ~と思いつつ、長いこと放り出
してあったカレシのスエットパンツのボタン付け。この頃はなぜかコンタクトだけで、老眼鏡を使
わなくても針穴に糸を通せるから不思議。この商売を始めた頃は仕事で使う辞書の小さい文字
を見るのにコンタクト+老眼鏡+虫眼鏡という視力だったのが、まず虫眼鏡がいらなくなって、
そのうちに老眼鏡がいらなくなって、今ではちょっと照明が暗いときや調子が悪くて少し視力が
落ちたときだけ虫眼鏡を使う程度になった。おかげで家中に配備してある老眼鏡はほこりをか
ぶりっ放し。角膜がでこぼこでかなりの乱視、ついでに遠視と近視も同居していて、裸眼の視力
は0.1を切っていたのに、どうなってるんだろう。(弱視の家系でひとりだけ目が良かったカレシ
は、今ではどこへ行くにも老眼鏡が必携品・・・。)

小さい仕事をぼちぼち始めたところで、トレッドミルの時間。時速7キロちょっとのペースで走るこ
と15分。この頃は走った直後の脈拍があまり上がらなくなって来た。せいぜい140くらいまで上
がって、すす~っと120以下に下がる。けっこうゆるいペースだから、体が慣れて、心臓がバク
バクと働かなくても良くなってしまったんだろうな。ということは、あまり運動にはなってないってこ
とかな。そのうち走時間を20分に延長するか、スピードを上げるか。60歳になる頃に走ってい
た時速10キロに戻れるかなあ。もし戻れたら、65歳シニアシチズンの地位達成の記念に10キ
ロマラソンに出ようかな。前回の出場は55歳の誕生日祝いで、65分5秒で余裕で完走したけ
ど、10年後の65歳に10キロマラソンを65分・・・う~ん、できすぎてるし、早起きするのは嫌だ
から、やめとこ・・・。

運動が終わったらもう夕食の時間。今日のメニューはさんま。冷凍の尾頭付き。魚の目を見る
のがきらいなカレシのために、まず頭を取って、はらわたを取って、開きにする。そのまま焼くと
おいしいんだけど、煙探知機がうるさいもので、開いたのをオーブンの上火のブロイラーで焼く。
大根おろしを絞らずに醤油を混ぜたものを載せて、ちょっと火を通して、刻みねぎをパラパラ。メ
ニューを書くとしたら、「さんまのグリル、大根おろしソース」ってところかな。まあ、それでも間違
いなくさんまの味がした。

外はまだ嵐もようの雨。さて、仕事を終わらせてしまおうっと・・・。

学校に何か異変が起きている?

2010年10月23日 | 今日の風の吹きまわし
土曜日。起床はまた正午を過ぎた。何となくバテているのかなあ、ワタシたち。だけど、今日こそ
はベーコンとポテトと卵で朝食だぞ!という意気込みで、ダラダラせずにパッと起きた。だって、
ワタシは腹ペコ熊の状態。やたらとおなかが空くのは2日連続の長丁場でちょっと寝不足になっ
たせいだろうな。半徹夜だから どうにもならない空腹感ではないけど、胃袋に「食べようよ~」
とせっつかれている感じがする。完全に徹夜したときなどはふつうの食事をして30分も経たな
いうちにおなかが空くから困る。空腹感というよりも飢餓に近いような感じで、きっt太古の昔に
プログラミングされた「飢饉対策遺伝子」が起動したんだろうな。睡眠不足は太る原因になると
いうのはほんとうだと思う。

というわけでベーコンポテトと目玉焼きの朝ごはんをしっかりと食べて、まずは短い仕事をちゃっ
ちゃと片付けたら、あとはのんびり。今夜は大風と大雨の予報だから、よけいにのんびり気分に
なる。まず新聞。ガイトナーがアメリカは強いドルの政策を支持すると言ったそうな。ふむ、米ド
ルのレート、上がるかな?と、欲に駆られてまた米ドル口座にまとまった資金を移動。おいおい、
山っ気を出しちゃっていいのかなあ。ま、どっちに振れるか、週が明けてのお楽しみ・・・。

東京の小学校で先生が授業の終わりにとんでもないクイズを出したというニュース。なんでも、
「3人姉妹の長女が自殺し、次女はその葬式に来た男性を好きになった。再会するにはどうす
ればいいか」という質問で、正解は「妹を殺せば葬式で会える」なんだそうな。小学校3年生に
出せるようなクイズかいな、それ。この女教師は23歳だそうで、子供たちがせがむものでつい
「大学時代に友人と楽しんだクイズ」を出してしまったんだとか。へえ、大学卒って、高校しか出
ていない人には近寄ることもできないくらいの高学歴なんじゃなかったのかなあ。そっか、高学
歴の女性ってそういうきわどいクイズが楽しいんだ。葬式で男を好きになって、また葬式を出せ
ば会えるなんて、八百屋のお七の現代版のつもりかいな。(たぶん八百屋のお七の話なんて学
歴が高すぎてご存じないだろうけど。)女子大生気分が抜けなくて、仕事と遊びの区別もつかな
いおネエちゃんに子供の将来を託していいものか、親だったら悩んでしまうなあ。

どこかの高校では、中間試験に校長や同僚教師の実名を使って「誰が校長を殺したか」なんて
推理小説もどきの質問を出した男性教師がいて、この教師も20代だそうな。出題した本人は
「オレってクリエイティブ~」なんて悦に入ってたかもしれないけど、やっぱり「何が適切か」という
判断ができない世代なんだろうな。深く考えずにやってしまうところは反射神経が命のゲーム世
代だからか、それともテレビに溢れるえげつないお笑い番組の見過ぎか・・・。小学生に「18人
の子供を1日3人ずつ殺したら、全部殺すのに何日かかるか」なんてとんでもない質問を出した
教師がいたのはついこの間だったと思うけど、教師が盗撮だの児童買春だので逮捕されたとい
うニュースが毎日のようにあるし、相当にかなり芯の方まで腐って来てるんじゃなかろうか。

読売新聞が読書について世論調査をしたら、52%の回答者が1ヵ月の間に1冊も本を読まな
かったと答えたそうで、「本」の中にマンガが含まれるのかどうか知らないけど、理由は半数近く
が「時間がない」。携帯をいじるのをちょっとやめてみたら、1ヵ月で小説の1冊くらい読める時間
ができるんじゃないかと思うけど、常にメールをやりとりして人とつるんで(いる気持になって)い
ないとさびしくてしかたがない人も多いらしいから、ひとり静かに読書に耽るなんて孤独なことは
苦手なのかもしれないな。やっぱり何かがおかしいような感じがするけど、おかしいとは思って
も実際にその社会の中で暮らしていないから、「何」あるいは「どこ」がおかしいのかまではわか
らない。実際に日常生活を送っている人たちは「何かがおかしい」と感じているんだろうか。熱い
お風呂だってどっぷり浸かっているとあんがいどれだけ熱いのかわからないってこともあるか
ら・・・ま、よけいなお世話なんだけど。

大きなエビを買ってみたら

2010年10月22日 | 今日の風の吹きまわし
金曜日。2人ともひたすら良く寝て、目が覚めたら午後12時半。まあまあの天気。起きるのが遅
すぎたので、予定していたベーコンと卵の朝食はあしたに持ち越しということにして、いつも通り
のシリアルで済ませる。今日は丸一日「休みモード」だと決め込んで張り切ったものの、家庭の
事務がけっこうあれこれたまっていて、午後は結局そっちの処理で暮れてしまった。もっとも、家
のことは仕事とは別もので、元から休みもへったくれもないんだけど、それでも、あ~あ。

知らない人から突然こっちの翻訳市場の状況を問い合わせるメールがあった。長いこと日本に
住んでいて最近戻って来たそうだけど、どうやら大学を卒業して、そのままバブルの余韻がまだ
覚めやらぬ日本へ直行して、(ご多分に漏れず)英会話教師になってそのまま日本に長居した
手合いらしい。ときどき同じような問い合わせメールが来るんだけど、みんな大学を出てすぐに
社会人経験もせずに日本へ直行して、おおかたは英会話の先生になって、そのうちに「帰るに
帰れぬ事情」ができたりして、10年、15年と日本に長居した男たち。まあ、この人はその中でも
翻訳者としての能力はあるようだけど、とっくにカナダに帰国しているんだったら、母語が通じる
ところなんだから、地元の市場調査くらい自分できるだろうになあ。そんな教えてちゃんじゃあ、
商売としてやってけないってば。

一日の始まりが遅いと、ちょこちょこっと事務処理をしただけでもうトレッドミルの時間。きのうは
運動が「休みの日」だったから、今日はサボれない。こういうのは週に1日だけなら体を休める
日としてサボる方がかえっていいこともあるんだけど、「今日も、ま、いいか」と2日連続でサボる
とそのまま元の日課に戻れなくなる可能性が出てくるから要注意。でも、カレシは4時になるか
ならないかでさっさとしたくを始めたからエライ。と思ったら、急に外へ出て行ってしまって、今度
はびっくり。両手にiPodと携帯を握り締めて戻って来て、「いつものようにiPodに曲を落とそう
としたら、肝心のキカイがない。きのう持って出かけて置き忘れてきた!とパニックになりかけた
けど、思考停止の一歩寸前で、もしかして車の中に置き忘れたかもしれないと思って、ガレージ
に調べに行ったんだよ」と。うん、思考停止にならずに結論まで行ったのはエライけど、はあ・・・。

汗を流した後は、きのう買ってきた4尾の巨大なエビをどうするか。頭を取ってあるけど、それで
も尻尾の先までゆうに15センチはある。しかも、よく見たらどれもおなかに赤い小さな卵がざく
ざくとついている。子持ちエビなんて初めて見た。このエビはspotted prawnといって、最近は
ローカルの食材として注目されている。北はアラスカから南はモンテレー湾のあたりまでの北米
西岸が漁場で、殻に白い点があるから「スポットエビ」と呼ばれ、日本でボタンエビと呼んでいる
種類と近いらしい。そこまでわかったところで、この卵、殻と一緒に外したのはいいけど、はてど
うしたものか。

身の方をライムとしょうがと唐辛子でマリネートして(エビの鋭い尻尾でむくときに指を傷つけて、
しょうががしみて痛いこと、痛いこと・・・。)、タルタル風にするビンナガを包丁で叩いて挽き肉風
にして、赤唐辛子、にんにく、ネギ、しょうがを細かく刻んで、ごま油と醤油で和えて・・・とやって
いるうちに思いついたのが、バタフライにした身に載せて焼いてしまうという手。イクラやとびこ
の経験では火を通すと白くなるから、ひっくり返さずに片方だけから焼くことにして、丸まってしま
わないようにホイルをかぶせて、鍋の底を重しにしてバター焼きにしたら、それまでやや黒ずん
でいた卵の色がみごとな赤に変わったから、またまたびっくり。



シリコーンのマフィン型の底に炒った白ごまを敷いて詰めたビンナガのタルタルをお皿に伏せて
型を外したら、頭にゴマを載せた「何となくプリン風」。カレシが菜園から収穫してきた今年最後
のインゲン豆を軽く蒸して添えたら、初めて見た子持ちエビにびっくり仰天しての思いつき料理
にしては、今夜の夕食はけっこう「ごちそう風」・・・。

だけど、エビの卵は次の世代のエビなんだよね。生まれて、大きなエビに育って、やがては食材
として食卓にのぼるはずなんだけど、それを待たずに食べてしまっていいのかなあ。もちろん、
おいしかったんだけど・・・。


病は気から、ネットから

2010年10月21日 | 今日の風の吹きまわし
木曜日。湿っぽそうな曇り空。とうとう仕事が半徹夜での突貫作業になってしまって、2日連続で
就寝は午前5時半。まあ、普通の時間に起きるわけじゃないし、寝付くまで2時間近くかかるの
もめずらしいことじゃないから、大して違いはないと強がってはいるけど、1日は良くても、2日と
なると、やっぱりちょっと眠いなあ。

今日はカレシが腎臓と膀胱の超音波検査を受けに行く日で、これがここんところ精神的に揺れ
いた根本的原因なんだけど、ワタシが納品前の最後の仕上げをしている間に、ついでに血液検
査(PSA)もして来ると、別のラボへ出かけていった。気になるのはわかるけど、どんな結果が
出るかわからないから怖いといっても、検査をしなければ重大な見逃しにつながる危険がある
し、検査はしてみなければどんな結果がでるかはわからないのに、なんだか妙なヘンなところで
総すくみになっている感じ。それでも、血液検査はサンプルを採取するだけなので、今日は空い
ていたと言ってすぐに戻って来た。

超音波検査の予約は午後4時半なので、まあ、無事に大仕事を納品したことでもあるし、一緒
に出かけて、カレシが検査をしている間に近くのWhole Foodsで買い物をして、終わったら近く
で何か食べて帰ってこようということになった。卵巣膿腫ができたときに何度もやって勝手知っ
た手前、「すぐに済むし、頼めば画像を見せてくれるよ」と言っても、カレシはまだ何となく不安そ
うな顔。レントゲン以外の機械を使った検査は生まれて始めてのことだからしょうがないか。地
価駐車場で3時間(その上は12時間)分の料金を払って、カレシは地上へ、ワタシはWhole
Foodsへ。入り口あたりにハロウィンが近いから大小とりどりのかぼちゃをどかんと積んである。

いつものようにお気に入りのグラノーラを袋にいっぱい。どうも日本のカブに似てる白カブがあっ
たのでモノは試しに4個。大きなゴールデンピーツを2個。単体では売っていないグルメきのこの
ミックスのパックがあったのでこれもお試し。アラスカ産の巨大なえびを4尾(これで300グラム)。
オヒョウとスズキは切り分けてもらって、ついでに大きなアヒ。ツナとマヒマヒの冷凍バーガーは
ランチ用。うん、今日は大漁だぞ~。好奇心で買ったもの: トマトのチャツネ、大豆の粉、コーム
ハニー(蜂の巣入りのはちみつ)。おまけは『Vancouver Cooks』という本。バンクーバーのトッ
プクラスのシェフで作っているNPOがあって、シェフの卵に奨学金を出したり、学校での食育に
ひと役買ったり、地産地消運動の旗振りをしたりしているんだけど、この本は会員の各シェフの
得意レシピを集めて出版した料理本の2冊目。こういう料理本は写真を見ているだけで楽しい。

カレシの検査が予想通りさっさと終わったので、Whole Foodsをチェックアウトして、荷物を車の
トランクに入れて、上にあるレストラン(Milestones)へ。なんかファミレスレベルから少しアップし
たような感じだけど、とりあえず地ビールで乾杯して、カレシは海鮮サラダ、ワタシは海鮮パスタ。
そこで検査の話を聞いてみたら、腎臓は何もなかったけど、膀胱のあたりで何か引っかかるも
のがあってドクターと相談していたとか。ふむ、前立腺かな、やっぱり。だけど、人間の体は人体
模型のようにきれいに一律な形にはできていないから、いびつなだけかもしれないよ。超音波
はソナーみたいなもので、MRIのようにきれいな「画像」はできないからねえ。ここで、カレシが
超音波検査の画像を見たことがないとわかってびっくり。(帰ってきてぼんやりした胎児の画像
の写真がある本を引っ張り出して見せたら、「写真みたいなものかと思ってた」と。画面を見せて
もらいなさいよと言ったんだけどなあ・・・。)

家に帰ってきてからのカレシは、どうやら前立腺に関する情報をググりまくっていたらしい。基礎
的な情報は知っておいた方がいいと思うけど、カレシのように何でも気にして不安になってしま
う人にとっては、玉石混交の情報過多になるとかえって不安が高まってストレスがたまるんじゃ
ないのかな。勝手に自己診断してくよくよする人もいるし、「病膏肓に入る」というのか、存在しな
い病巣まで見えたり、ありえない症状が出てくる人もいるしね。しまいには「やっぱり自分は病気
だったんだ」と思って逆に安心するような人もいるらしいから、人間の心理って複雑怪奇だなあ。
次に予定されている内視鏡検査は1ヵ月先だけど、う~ん、病は気からというし・・・。


我が家の裏で大捕り物の特訓?

2010年10月19日 | 今日の風の吹きまわし
火曜日。いい天気でまぶしい。正午ぎりぎりに起き出して、今日は朝食を終えたらすぐに仕事に
かかる。なにしろ、残っている原稿の量から見たら、絶体絶命くらいに時間が詰まってしまって
いる。スキャンした文書を印刷するとすんごいページ数になるから、せっかく幅広のモニターに
切り替えたんだし、元原稿と翻訳原稿をモニターに並べて表示してやってみることにした。これ
が慣れるとけっこう楽々。印刷した原稿に目を落として、画面を見上げて、また原稿に目を落と
して、画面を見上げて、ときどきは電子ファイルの元原稿を確認して・・・と、頭を上下に動かす
代わりに、ひとつの画面に横に並んだ原稿をきょろっと目玉を動かすだけで見られる。

世の中、便利になったもんだと、まじめに仕事をしていたら、隣のパットから、どうも近所で強盗
事件があったらしいよ、という電話。ええっ、昼の日中から強盗って、まさか。なんでも家の裏の
レーンにパトカーが何台もいて、警官がうろうろしているんだそうな。へえ、物騒になったもんだ
なあ。ま、最近はドラッグ絡みの事件が多いし、昼間っから住宅街でそんな物騒なことをやって
いるのはたぶんそういう類の輩だろうな。そう思ってまた仕事に集中したら、どうも家の裏あたり
で爆竹のような音。まだハロウィンには2週間も早いのになあと思っていると、「庭に爆竹を投げ
込まれてはたまらん」と、カレシが外へ点検に・・・。

ものの5分もしないうちに戻って来たカレシ。おなかを抱えて笑いたいくらいおかしなことがあっ
たらしい。「パットの勘違い」と第一声。そっか、強盗事件じゃなかったのか。それは良かったじゃ
ないの。笑い筋の痙攣が少し治まったカレシの説明によると・・・ゲートを出たところでまた爆竹
のような音がしたけど、何となく音が違うし、煙っぽい臭いもしない。そのまま家の横の歩道を歩
いて行って、道路とレーンの角まで来たときに見かけない男がいて「爆竹の音を聞いたのか」と
聞く。そうだと言ったら、いきなり警察のバッジをパカッと開いて見せて、「バンクーバー市警察。
今、特別訓練中なのでお引き取りください」と。レーンにはパットが言った通りに何台もパトカー
や覆面パトカーが止まっていて、制服、私服のいろんな人間がセカセカ歩き回っている。そのう
ちにまた(カレシにはどこなのかわからなかったけど)先の方でパンパン・・・。

そっか、爆竹の音だと思ったのは、警官が空包を撃っていたんだ。だけど、よりによって我が家
の後のレーンで「特別訓練」って、いったい何なんだろうね。しかも空包までバンバン撃ちまくっ
て、警察が大捕り物の訓練って、人騒がせもいいかげんにしてほしいところだと思うけど。まあ、
最近はほんとにドラッグ絡みの殺人事件が多いし、カナダでは拳銃の所持は禁止されていても、
銃が溢れ返っているアメリカとは目に見えない国境線を隔てているだけで悪いやつらは簡単に
手に入れるし、メキシコのドラッグカルテルが進出して来て、縄張り抗争が起きそうだと新聞に
書いてあったし、裏のミシェルの夫氏はバンクーバー市警の警察官だし(関係ないか)・・・。

それにしても、パットが「強盗事件があったらしい」と電話してきて数分しか経っていなかったの
に、「うちの外で爆竹なんか鳴らしているのはどこのどいつなんだ!」とばかりに飛び出して行っ
たカレシ。もしも本物の強盗事件だったら、強盗が警察と撃ち合いを始めたところへのこのこ出
て行くってどうなのよ?へたをしたら流れ弾に当たって死んじゃうかもしれないよ。そうなったらも
う究極のKYだよね。ドラッグ絡みの銃撃事件なんていつどこで起きるかわからないから、ひょ
っとしたらカレシみたいな超KYな野次馬をコントロールするための「特別訓練」だったのかもし
れないなあ。

この土地に引っ越してきてちょうど28年。第一夜にいきなり7台のパトカーに取り囲まれて度肝
を抜かれたっけ。あれは逃げた容疑者を追跡して来て裏のレーンで追い詰めたということだっ
たようだけど、それ以来パトカーが集まったことが2回か3回はあったなあ。なにしろT字型の交
差点の突き当たりはゴルフ場の行き止まりだから、警察は獲物を追い込むのにちょうどいい場
所だと思っているのかもしれないけどねえ・・・。

ま、ワタシの仕事も追い詰められて来たから、今夜は行けるところまでぶっ飛ばすことにするか。

自分と同じレベルのロボットを作ったら

2010年10月18日 | 今日の風の吹きまわし
月曜日。目が覚めてみたら、あまり明るくない。天気が崩れるのかな。別にどこへお出かけでも
ないからいいんだけど、何となく起きるのがめんどうくさい。だけど、そのままベッドでだらだらし
ていてもおなかが空く。朝食のお盆を恭しく持ってきてくれるジーヴスみたいな人がいたらいい
ねえ。だけど、ベッドの上で朝食ってなんだか食べにくそうだと思うのは、ヤンゴトナキお生まれ
じゃないからかなあ。そこで自分の出自にふさわしく言うなばら、「なんだかあずましくないんじゃ
ないかい?」となるか。それとも浜言葉で「な~んかあずましくねぇべさ~」。まあ、正午ぎりぎり
に起き出して、ちっともやんごとなくないワタシたちの一日が始まる。

朝食もそこそこにカレシが下着がなくなったから洗濯をすると言い出した。するって、自分でする
ということ?おいおい、雨が降りだすよ。でも、取り替える下着がなくなったというのは困るから、
洗濯してもらえると助かるなあ。「キミが忙しいのはわかっているから」と、カレシ。「洗濯機の操
作だけ教えてくれたら、後は自分でやるからいいよ」。あのさ、機械をセットしてしまえば、あとは
洗濯機がやってくれるんだけど。側にいて、そのダイアルをセットして、洗剤を入れて、色の薄い
ものと濃いものを分けて・・・なんて教えていたら、結局いつも自分でやっているのとあまり変わ
りがないような気がする。それでもせっかくやってくれるというから、そばに付き添って、洗濯機
が回り始めるまでの手順をひと通り。この次に洗濯を志願してくれるときには全部忘れているん
だろうと思うけど・・・。

たしかに予定が詰まりに詰まってきて、そろそろ「緊急事態」のボタンを押したほうがいいかなと
いうところなんだけど、お子様プロジェクト、だんだん気合いが入らなくなって来た。お子様の将
来の学歴にかかわるかもしれないのに、オトナの都合で針路がふらふら。おかげでなんで子供
もいないし日本に住んでもいないワタシが頭の毛をかきむしってがんばってるんだろうと、うんざ
りした気分になって来る。それでも、やっているうちに若い日本人のマニュアル思考の原点が見
えたような感じもするから、仕事としてはおもしろい。根本的に手取り、足取り、おんぶにだっこ。
しかも、いちいち手順通りにやったかどうかを確認されるし、まとめの質問にはどこに「答」があ
るかまで親切に教えてくれるから、よほどのことがない限り「正解」しか出ない。そっか、今どき
のお子様たちはこういう風にお勉強しているのか。どうりで自分で考えることができないわけだ
よなあ、とヘンに納得・・・。

おそらくはきのう長々と書いていた「類友探し」に通じるところもあるんじゃないかと思う。よけい
なことはやらない。できるかどうかわからないことはやらない。できるかもしれなくてもあえてやら
ない。だって、ドジなことをやって叱られたり、笑われたり、侮辱的なラベルを貼られたり、疎遠に
されたら怖いからやだもんね。だけど、自分が知っていることと同じことを知っている相手だった
らその心配はない。ばかにされる危険を冒さなくてもいいから、そういう人は無害で安全。あのト
ピックは「(自分よりも)学歴が低い人とは気が合わない」という趣旨だったけど、あんがい実際
のところは「自分が知らないことを知っている(おそらく自分より知識や教養のレベルが高くて、
視野が広い)人とは付き合いたくない」ということだったんじゃないのかな。つまり、自分と「同じ
人」にしか安全と安心感を見出せないと言いたかったんだろう。

日本の人が若い女性の姿に似せたロボットを作るのに熱心なわけが理解できてきた気もするな。
いつ見てもちょっと気味が悪いと感じるんだけど、ロボットは人間がプログラムする通りのことし
かできないから、どんな話題でもご主人様に反論せず、知識をひけらかさず、決して上から目線
で脅威を感じさせるようなことは言わず、ひたすらご主人様と同じレベルで・・・。う~ん、そんな
ロボットと会話して楽しいかなあ。ワタシだったら電池を抜いてしまうかも・・・。

類友?ドッペルゲンガー?

2010年10月17日 | 今日の風の吹きまわし
日曜日。今日もいい天気だけど、だんだんに寒くなって来ているような。正午過ぎに起きて、さて
朝食、と思ったらパンがない。ま、きのうはパンを焼く時間がなかったからしょうがない。仕込か
らできあがりまで3時間と15分。ディナーに出かける前にぎりぎりで間に合ったかもしれないけ
ど、パン焼き担当のカレシが忘れてしまったんだもんね。しょうがないから1個のロールパンを
半分ずつ。

今日やたらと「あれはどうしたらいい?これはどっちの方がいい?」とワタシの「決断」を仰いでく
るなあ。他人の意見を聞く耳を持っているところを見せようというのかもしれないけど、何となく
ポイントがずれているような気がする。あのね、ワタシが言いたかったのは、他人の考えや意見
を反射的に自分への「指図(あるいは支配)」と解釈して頭から拒絶してしまう性向がイライラに
つながっているんじゃないかってことであって、人の言うことをはいはいと聞きなさいってことじゃ
ないんだけど。自分に対して、自分の決定の影響を受ける人たちに対して責任がもてるなら、自
分の決定の結果に責任がもてるなら、アナタの好きなようにしてもらっても、ワタシはちっともか
まわないんだけど。でも、そういう責任を取れる自信がないなら、人の意見に耳を傾けた方がい
いっていってるんだけど。役に立たないと思ったら黙って不採用にすればいいんだし、それで気
を悪くする人がいたら、その人こそ他人を思い通りに動かそうとしているってことじゃない?

まあ、カレシのことは長い間見ていてわかっていることだからいいんだけど、今どきの若い人た
ちには、人見知りするというのか、他人とどう向き合ったらいいのか戸惑っている人たちが増え
ているんじゃないかと思うことがある。世界がリアルタイムで無限大に広がる「はず」のインター
ネットの時代の趣旨に逆行するような気もするけど、どうやらこの頃は(仮想空間を通した)世界
が大きく広がれば広がるほど、人間は狭くて見通しのない世界(安全圏)に閉じこもって、萎縮し
つつあるように見える。これも不安に満ちた社会への反動なのかな。物理の原理を借りれば、
高く舞い上がれば上がるほど、落ちたときにより激しく地面に叩きつけられる。あるいは、ばね
のように、圧縮する力がたまればたまるほど、その力が急になくなったときに跳ね返ってくる力
が大きい。ということは、日本の社会に鬱積した鬱屈した気分も、いつかは爆発的なエネルギー
となって放出されるってこと?それとも、たまりにたまったあげくにブラックホールの裏側の方へ
スポッと抜けてしまったりして・・・。

そういう人たちが集まって「そうそう」と互いの肩を叩き合っているようなのが小町で賑わってい
る『結局、気が合うのは同じぐらいの学歴(頭の程度)な気がして来た』というトピック。しばらく前
には「年収が同じレベルの人としかつきあえない」というトピックがあったから、これもわざわざ開
けて見なくても、自分は「高学歴だからそうでない人より人間の格が上」と(たぶん週刊誌に煽ら
れてそうだと)信じている人が立てた「レベルが下の人とは話が合わなくて・・・」という嘆きトピッ
クなんだろうとは想像がつく。同業者の会合でも、たまにだけど初対面であいさつもそこそこに
「大学はどちら?」と切り出す若い人がいて、「行ったことないっス」と答えると、たいていの場合
は「・・・」。(そこでワタシは「それで20年もぼろ儲けできるんだから、いい商売ですよねえ」と追
い討ちをかけて、イジワルばあさんぶりを発揮するんだけど・・・。)

要するに、相手の学歴が自分と同じくらいでないと、言い換えれば、自分が知っていることを知
らない人や自分が知らないことを知っている人だと、「気が合わない、話が合わない、感性が合
わない、ジョークセンスが合わない、笑いのツボが合わない、一緒にいて会話していて楽しくな
い」ということで、なぜかというと、(自分は超高学歴ではないけど)あまりに違う方とお話しする
と、政治や経済の一般常識すら通じなかったり、モノの知らなさに(わざわざ説明しなければな
らなくて)イラッとさせられたり、情操的興味や趣味をお持ちでなかったりして、映画や音楽や読
書の話題をふってもまったくもって通じないし、感性の共鳴もない、から。まあ、「あまりに違う方
とお話しする」とか「情操的興味や趣味をお持ちでなかったり」とか、「人を見下ろしたトピだと受
け取られたら前もって謝ります」とか、自分の教養の高さやお育ちのよさをアピールするような
文だけど、(無学歴な)ワタシはタイトルそのものを「気が合うのは同じぐらいの頭の程度な気が
して来た」と変えたほうがぴったりなんじゃないかとイジワルに思ってしまう。それにしても、「同
じように感じる方がいらっしゃいませんか」という問いに対して、「同じように感じる方」がわんさと
いるからすごい。

へえ、今どきの人間の交流はそういう基準で取り仕切られているんだと感心する一方で、青山
学院大学の日置教授が『活字離れは他者離れ』の中で今の若者たちにとっては「自分の幅を広
げて成長することより、安全圏を確保してその内側に収まっていることのほうが優先されるので
す」と言っていたのを思い出して、なるほどなあと思った。要するに、自分が知っていること、自
分が興味を持っていることが自分にとっての「安全圏」なもんで、そこから出たくない、あるいは
出るのが怖いから、同じことを知っている人や同じ趣味の人としかお付き合いはしたくないとい
うことなのか。なあんだ、自分のドッペルゲンガーとしかつきあえないってことだったのか。

お子様プロジェクトの「教育指導」の方向を見ていると、そういう(自分たちはもう十分以上に広
い知識を持っていると信じて)あえて視野を広げようとしない安全第一思考の人たちが育っても
しょうがないなと思えるんだけど、このままでは日本の将来が危なくならないのかなあ。だって、
日本という国は(いや、どの国でもそうだけど)世界の中で人種や文化、言語はもちろん、歴史
も性格も考え方も違う国々に囲まれているわけだから、生活や経済の水準が違うからといって、
あの国とは気が合わないとか話が合わないとか、見下したり、誹謗したりしている場合じゃない
だろうに。そりゃあいろいろな水準も関心も同じなら脅威も感じないだろうし、相手を理解しようと
いう努力もいらないから気楽でいいだろうとは思う。でも、そんなわけにいかないから、人間同
士には「交渉」と「けんか」の2通りの対応があるように、国と国の関係にも「外交」と「戦争」があ
るんだと思うんだけど。

それに、ドッペルゲンガーって、反物質かもしれないよ。物質と反物質が出会って握手したらどう
なるか、学歴のある人なら知ってるでしょ?

美食も過ぎると舌がぼける

2010年10月16日 | 今日の風の吹きまわし
土曜日。かなりよく眠った気分で午前11時半に目覚め。「鼻が詰まっている。風邪を引いたか
も」というカレシとしばし寝ぼけまなこのひとときを過ごして、正午ぎりぎりに起床。今日もまぶし
い天気。朝食の準備で動き回ったせいもあるのか、カレシの鼻づまりもテーブルに着いた頃に
はほぼ解消。心にたまった「ガス」は抜くのに限る。ただし、夫婦げんかでのガス抜きはほどほ
どにしたいもんだけど。

今日はいの一番にねじ込み仕事に取りかかった。小さいけど、なぜか2つとも先進医療の話な
もので、資料をググって回るのに時間がかかる。今日は久しぶりに2人だけのディナーにお出
かけだから、早めにトレッドミルで走って、シャワーをして、おめかしをしたい。そういう「誘因」が
あるから、脳みその写真やら肺の写真やらを眺めながら、なんとかがんばって、無事に2つとも
終了。だけど、こういう週末のねじ込み仕事はそろそろ「ノー」ということも考えないとだめだかな。
もちろん客先にとっては便利だから重宝してもらって、どんどん仕事をもらえるんだけど、こっち
もそろそろ遊びたい年頃だしね。

ディナーは久しぶりにWestへ。レストラン業界はHST(統合売上税)の導入で税金が5%から
12%になったもので、客足が遠のいたり、チップが減ったりして四苦八苦していると聞いていた
けど、今日のWestは満席。景気がいいんだか、景気なんて関係ないのか。メニューを見なが
ら飲むカクテルはここではなぜかいつもアヴィエーション。久しぶりだから、カレシは野菜と魚が
中心の「秋の味見メニュー」、ワタシは肉が中心の「シェフの味見メニュー」に決めて、ワインは
それぞれ好みの白と赤をグラスで注文。この頃は2人の注文が肉と魚に分かれてしまうことが
多いので、ワインをボトルで注文するのが難しい。

不思議にアジア的な味のするコンソメのアミューズブーシュの後、カレシのメニューはカニ、ホタ
テ、魚介のリゾット、オヒョウ。ワタシのメニューはビンナガのたたきとポン酢でマリネートしたトロ
(海苔のピューレというのがおもしろい)、松茸(イカとウニ、イカ墨のアイオリ付き)、シカの肉の
チョコレート煮(おいしい!)を載せたリゾット、28日間かけて熟成したビーフのヒレ(これは感心
するくらい柔らかかった)。メロンのソルベで口直しをして、カレシのデザートはバーボン風味の
チョコレートクリーム。ワタシは梨のポートワイン煮とカルヴァドスを使ったサヴァラン。食後のエ
スプレッソを頼んで、小さなプチフールが出てきて、もうおなかがいっぱい。

でも、今日のは今までのWestのメニューで最高だったような感じがする。担当サーバーのダニ
エルさんにそう言ったら、4ヵ月ほど前にシェフが代わったんだそうな。それまでスーシェフ(シェ
フの助手?)だった人が昇格したんだそうだけど、この人、なかなかユニークな発想を持ってい
るようだし、将来有望そうだな。満席だったのは新しいシェフの手腕もあるのかな。ほんとに久し
ぶりに「ああ、おいしいものを食べた」という満足感があった。もっとも、何年も週末ごとに外食し
ていたのが、魚を常食するようになって月1回くらいのペースになったから、「久しぶり」というお
楽しみ要素ができたことも大きいと思う。美食もある意味で習慣になると「舌」が鈍ってしまって、
ありがた味がわからなくなるのかもしれないな。さて、Westの新シェフは同じオーナーのBlue
Water Caféに取られたバンクーバーのレストランのナンバーワンを取り戻せるか・・・?

秋の空と不器用な乙女心

2010年10月15日 | 今日の風の吹きまわし
金曜日。きのうはなんかくたびれていた2人。すっかりガスが抜けたらしいワタシはぐっすり眠り、
カレシも途中で外の騒音で目が覚めたものの、また眠りに戻れたらしい。小さなことでも一度気
になってしまうと、それが頭の中でどんどん嵩が大きくなってしまいに他のことが押し出されてし
まうところがあって、外から見ているとまるで罠に足を取られた動物。もがけばもがくほど抜けら
れなくなるらしいから大変。まあ、一種のこだわり癖といえばそうかもしれない。生きにくいだろう
とは思うけど、こればかりは・・・。

今日はまぶしいくらいの晴れ。かなり温度が上がっている。暑くなったり、寒くなったり、また暑く
なったり、なんだか落ち着かない。何とかと秋の空というけど、今どきの乙女心って秋の空のご
とく変わりやすいのかなあ。今日のカレシは「疲れているから徹底的にのんびりする」と言いな
がら、こっちは仕事の遅れを取り戻すべくねじり鉢巻なのにやたらとハグしてきたり、話しかけて
きたり。嵐の後の青空作戦を展開中なのかな。きのうの「お説教」が利きすぎたのかなあ。それ
とも「じゃあ出て行く」と言っちゃったのが響いているのかなあ・・・。

「いろんなことがありすぎてやってられない!」と言い訳するカレシに、ワタシだって家事だ仕事
だ何だとごちゃごちゃ考えることばっかりあってストレスだわ!と言い返したら、「そんなら考える
のなんかやめてしまえ!」と来た。その応答が「じゃあ出て行く」だったんだけど、「何でそんなこ
とを言うんだよ!」と怒るカレシにこう言った: あのね、アナタもワタシが毎日いつも考えている
「ごちゃごちゃ」の中に入っているの。機嫌が悪ければ何かあったのかなと心配だし、にこにこし
ていれば楽しいことがあるんだなと思ってこっちも気持がいい。簡単に考えるのをやめてしまえ
と言うけど、それはアナタのことを考えるのもやめるってことで、それではワタシがここにいる意
味はない。だって、ワタシはもうどうでもよくなった男と一緒に生活して「仮面夫婦」をやれるほど
器用にはできてないのよ!まあ、ワタシとしては、ほんとに愛が冷えきって、どうでもよくなった
男と一緒に暮らすなんて考えるだけでもいやだし、ましてや仮面夫婦を演じるなんてできないし、
掲示板なんかで「家族愛」と言っている夫婦関係に変えることもたぶんできそうにないから、これ
は本当の気持・・・。

まあ、仲直りして落ち着いてみたら、なんだかヘンなお説教だと思ったけど、意外にぶきっちょな
乙女心が残っていたのかもしれない。きのうの今日というのか、食事の支度をしていても、いつ
もなら自分のすることだけを済ませてさっさとオフィスのPCの前に戻ってしまうカレシが、今日
はキッチンに居残って、あれこれ話しながら夕食ができるのを待っていた。「待つ」ということが
苦手な人にとってはかなりの努力ものだろうと思うけど、料理の本を見てグルメサラダの材料を
書き出してみたり、自分なりに工夫していたのかな。しまいに「生ごみがいっぱいになったら捨て
て来るよ」と唐突に言い出したからびっくり。ま、いわしの頭と腹わたを取ったばかりだったので、
すぐに外のごみ容器に持って行ってもらったけど、はて、この風の吹きまわし、春のそよ風なの
か、ジェット気流なのか、ひょっとしたら凪なのか。さて、あしたの風は・・・?

心の中の開かずのドア

2010年10月14日 | 今日の風の吹きまわし
木曜日。目が覚めたら薄暗い。午前8時過ぎにごみ収集トラックの轟音で目が覚めて、それっき
り眠れなかったというカレシ。時計は午後12時過ぎ。「今日はすごくだらけた気分だから」と、そ
のまま腕枕でうとうとしたり、おなかが空いてきたワタシがちょっかいを出したり。「そろそろ起き
るか~」というカレシのかけ声で起き出したのは午前12時59分!この調子だと、朝食が終わっ
たらもう夕食のしたくの時間になっちゃうじゃないの。

いい陽気だったきのうとうって変わって、今日は午後になっても10度がやっと。明日の朝方の
最低気温は5度だって!ふむ、このまま一気に冬に向かうのかなあ。まだ家の周りの冬支度を
やってないんだけどなあ。もっとも、あれやこれやと頭痛の種が芽を出して来たり、ここのとろこ
ちょっと仕事のペースが落ちて遅れが出てきたりで、なんだかんだと振り回されて冬支度を考え
るどころじゃないんだけど、このまま寒くなるなら、やっぱり考えなくちゃならないか・・・。

今日のカナダドルは瞬間風速的に米ドルより高くなったけど、けっきょくはきのうとあまり変わら
ない相場。ほんとにネット銀行にある資金を米ドル口座に移動することにして、カレシがログイン
したのはいいけど、パスワードが違うと言われ、設定した覚えのない「秘密の質問」の答を要求
され、とうとう「そんなの知らんっ」とキレてしまった。腎臓の超音波検査が来週に迫っていること
もあるし、ママのこともあるし、英語教室をやめるかどうかで揺れているし、他にも思い通りに行
かないことが重なって、よく眠れないし、頭がくらくらするし・・・。そうやって伸びに伸びきったゴ
ムがプッツン。ワタシは「ヘルプデスクに電話してどういうことか聞けばいいでしょ」とだけ言って
退散。(ほら、おかげでまた仕事ができないじゃないの。まったくもう、オフィスを引っ越したいよ。
二階の日当たりのいい八角部屋なんかいいだろうなあ、明るくて・・・。)

ま、ワタシがオフィスを離れている間にヘルプに電話したようで、10分ほどしてしおらしい顔つき
で「わかったよ」と言いに来た。要するに、あまり長いことお金を入れっぱなしだったので、その
間にセキュリティが強化されたのを知らなかっただけのことで、システムが変更されたときにパ
スワードも「無効」になったらしい。ちょこちょこ出し入れしていれば「お知らせ」があったはずだけ
ど、なにしろ口座を開いてまとまった額を入れたままそれっきり。ま、無事にログインできて、見
たらいつのまにか利子が5千ドル。ネット銀行だから利率がかなり高いのはわかっていたけど、
複利のパワーはばかにできないな。なんだか引き出すのがもったいないような気がして来たけ
ど、とりあえず半端な額を残して元の銀行口座に「移動」をクリック。やれやれ。

久しぶりに突風が吹いて貯まっていた「落ち葉」がクリアされたところで、「他人の指図は受けな
い」主義の人に向かってあれこれと「説法」を試みる。こういう「大人たるものの心得」みたいな話
は、キレたことでバツが悪くてシュンとなっているときでないと聞く耳を持たない人だから、こっち
もちょっと必死で、「人間というのは・・・」といつも思っていることを話すんだけど、どこか心の隅
には「わかってもらえるのかなあ」という、なんか半分あきらめているような気持もある。最初の
創作の先生は「人の心の中にはたくさんのドアが並んでいて、開けるとそこにはいろいろな思い
がこもっている」と言い、黙想でそのドアの前を通って心の奥の一番深いところにある自分だけ
の「サンクチュアリ」に降りて行き、そこでドアを開けて出てくる「思い」と向き合ってインスピレー
ションを得た。黙想の中で閉じ込められていた「自分」と再会する不思議な体験があって、ワタシ
の今の名前の源泉になったストーリーが生まれて、そこからワタシの再構築が始まったような気
がする。

でも、人間の心には自分にも他人にも開けることのできない「ドア」もあるのではないかという気
もする。外側にドアノブのないドア。たとえぴたり合うと鍵を見つけたとしても、ノブがないからド
アを開くことはできない。内側からなら開けられるのかもしれないけど、外にいる人にはドアを叩
いて、「開けて」と声をかけて、中にいる「思い」がドアを開けるのを待つしかない。カレシの心の
中にも、どんな「思い」がこもっているのかはわからないけど、そういう「開かずのドア」があるよ
うな気がするな。

しおらしく「短気を起こして悪かった。ごめんね」と言うカレシ。「わかってくれればいいの」とハグ
して仲直りしてしまうワタシ。こんなときに「どこでもドア」があったらいいのになあ・・・。

秋たけなわの晴れた日に

2010年10月13日 | 今日の風の吹きまわし
水曜日。かなりよく眠った気分で、目を覚ましたら午前11時20分。お、早いねえ、今日は。カレ
シも目が覚めたようで、う~んと腕を伸ばしてきたから、ちゃっかり腕枕。よく眠れた?と聞いた
ら、「3回くらい起きた」と。どうして?「寝る前に水を飲みすぎた」。あら、まあ・・・。

起きてみたら、何だろうな、この陽気。もう10月も半分だというのに。シーラとヴァルが掃除に来
て、シーラが二階のバスルームにかかっている間、ワンちゃんのレクシーは「物見の塔」の陽だ
まりでのんびりと昼寝タイム。階段に座ってシーラとおしゃべりしながら見ていたら、やおらむっく
りと起き上がって、窓の下へ。あはは、陽だまりはちょっと暑すぎたらしい。ほんと、空は秋の色
だけど、秋たけなわとは思えない陽気。

腰の重いカレシがその気になったところで、シーラとヴァルを残して、まずはFedExのオフィス
へ行って「お勉強」DVDの箱を引き取り、その足で今度はモールの郵便局へ行って、私書箱か
ら溢れて保管室入りした郵便物を引き取り。デパートの袋にカタログがどっさりで、ずっしりと重
い。中にとっくに支払い済みのクレジットカードの請求書と、今月末が期限のHST(連邦と州の
統一売上税)の納付書。今までは連邦の分だけだったのが、HSTでは州の分も申告するから、
還付の対象が増える勘定。ちょっとホクホクした気分になったけど、同じ封筒に「申告期限超過
の場合は罰則金を徴収します」という通知。へえ、期限までに申告しない人が多いのかな。ぐう
たらなワタシだって、時には半分徹夜してでも3ヵ月分の伝票(のつじつま)を合わせて、ちゃん
と期限ぎりぎりに申告しているけどなあ。

このところずっと高止まりのカナダドル。今日はとうとう米ドルレートが99.5セントと事実上の等
価になってしまった。このレートで米ドル口座に入ってくる翻訳収入をカナダドル口座に移したら
えらい差損が出るから困る。ま、困ることは困るけど、米ドル建てのクレジットカードを使ってアメ
リカの通販カタログから買い物をすれば、こっちは為替が絡まないから損はない。ついでにネッ
ト銀行に入れっぱなしの貯金を出して来て、カナダドルがほど良く下がるまで米ドル口座に入れ
ておいたら、今度はだいぶ為替差益が出るだろうな。あはは、FX相場でちょっぴり投機をやっ
ているような気分・・・。

今日はカレシの英語教室の日で、食事を済ませて送り出すまでラッシュ、ラッシュ。トレッドミル
ンに片足を乗せたところで思いついてキッチンに駆け上がり、大きなポテトを2個を洗って、皮ご
と切って、フレンチフライメーカーにセット。ポテトを焼いている間にトレッドミルで走って、1分間
の特急シャワー。キッチンに駆け込んで、フライパンを熱して冷凍のまぐろのパティを焼き始め
てから二階のバスルームへ。とりあえず顔にローションとクリームを塗って、階段を駆け下りて、
ロールパンを上下2つにスライスしてトースターオーブンに入れて、カレシの冷蔵庫からレタス
の葉っぱを何枚か失敬してきて、ロールパンが温まったところで、ちょうどタイミングよくフレンチ
フライのでき上がり。ほくほくとできたフレンチフライをお皿に山盛りにして、ファストフードレスト
ラン極楽とんぼ亭の本日のスペシャル、「ツナバーガー・セット」ができあがり。所要時間35分。
やったあ。

カレシが出かけるしたくをしている頃、落盤があった鉱山での救出作業が続いていたチリで最後
の33人目が地上に出てきたというニュース。おお、やったかあ。こっちまで心が躍ってくる。ここ
まで来て不測の事態なんかあったら「悲劇」という言葉では言い表せないもの。ああ、良かった。
カレシが帰ってくる頃には地下に降りていた救助隊員も上がって来て、世界中が息をのんで見
守った世紀のドラマはハッピーエンド。クーデーターや軍事政権で多くの国民が殺された苦難の
経験を持つチリの人たちにとっては、誇らしいだけではなくて、国民の心がひとつになったでき
ごとでもあるだろうな。これがもし中国の鉱山で起きた事故だったら、世界からの応援を素直に
受け入れただろうか。どのような展開になって、地下に閉じ込められた33人はどうなっていただ
ろうか。それにしても、世界の技術があれだけ迅速に結集して、あれだけのスピードと正確さで
難事業を成し遂げたのはすごいと思う。大感激で涙が出てきた。ほんとに良かったなあ。