極楽とんぼは風まかせ

東は東、西は西。交わることなき二つとはいえ、
広い太平洋、東の風が吹き、西の風が吹き・・・

とんぼがいなかった日本の夏

2009年06月30日 | 今日の風の吹きまわし
今日で1年の半分の最後の日。すっきりと夏らしい天気、といっても仕事に埋まってさすがにひい
ひいと言っている(わりにはだらけている)極楽とんぼにはあんまり実感がないな。しょうがないか
らというわけでもないけど、NHK Worldのサイトにあったカレンダー壁紙から「7月」をもらって来
た。どこまでも濃い青空にまぶしいくらいのまっ白な雲。草むらの向こうには入道雲がわき起こっ
て来そうな予感。きっとセミがうるさく鳴いているんだろうな。

NHKの「日本の夏」だから、これが日本の夏のイメージなんだろうけど、やっぱり子供の頃に過ご
した「夏」とは違う風景だと感じる。空の色が違うし、セミは見たことも聞いたこともなかったし。中継
所ができてNHKテレビが見られるようになったのは小学校半ばくらいの頃だったかな。夏休みが
終わって始業式に来た子供たちが日焼けの黒さを競っているという光景を見てピンと来なかった。
午後にもなれば海から霧が立ち込めて日焼けどころじゃなかったし、北海道ではとっくに夏休みが
終わっていたしなあ。蝦夷地のほぼ最果ての地だったから、社会科の教科書に載っていた日本の
四季の描写も子供心に「どこの国のことかいな」と感じたのも当然だったかもしれないけど。

テレビで思い出すのは、夫が「北海道に転勤になった」と暗い顔で言うと、妻も「よよよ」と、二人し
てまるで世の中の終わりのように嘆くドラマのシーン。あの頃は北海道に転勤することは「左遷」を
意味していたらしい。まだ「左遷」が何であるかは知らなかったけど、「お父さんが北海道に引っ越
しさせられるのは恥ずかしいことなんだ」という意味合いは理解できた。いつまでそういう風潮があ
ったのかは知らないけど、そんなシーンを見るたびにいや~な気分になった。北海道で生まれて
育ったとんぼにとっては、北海道は生まれてからずっと住んでいた「我が家」なわけで、その北海
道に転勤することをまるで時代劇の島流しのように描かれるのは子供心にも気分のいいものでは
ない。まあ、「津軽海峡以南の日本」との間の精神的な溝の原点になったのかもしれないな。

今日配達された『MacLean’s』誌。いろんな統計や調査の報告を寄せ集めていいとこ取りしたら、
カナダ人はアメリカ人よりも裕福で、フランス人よりもおいしいものを食べて、イタリア人よりも恋愛
体質で、ドイツ人よりも勤勉で、スウェーデン人よりも長生きで、日本人よりも持っているテレビの
台数が多い、という結果になったんだそうな。そのカナダでもバンクーバーは世界で一番住みやす
いところ。あはは、明日はカナダの142才の誕生日。The Best Place on Earth、カナダ万歳!

丸いものを四角くすると

2009年06月29日 | 今日の風の吹きまわし
夏も再開の満開。あさってからもう7月。またあっというまに1年の半分が終わり。ついでにあさっ
てはカナダの建国記念日。トロントでは市役所のストでゴミの収集がストップしているから、花火大
会は中止とか。こっちではおととしのストで3ヵ月もゴミの収集がなかったけど、トロントはカナダで
最大の都市だから、たまるゴミの山もバンクーバーの比じゃないだろうな。トロントの夏は蒸し暑い
ことで知られているから、うわ・・・。

7月といえば、この月に還暦の誕生日を迎える日本の友だちから「初孫誕生」の知らせがあった。
元気そうな男の子。件名の後についた音符マークに彼女の喜びようがいかんなく発揮されていて、
思わずこっちも満面のスマイル。そっかぁ、彼女もおばあちゃんになったんだ。子供のいない極楽
とんぼにとっては、友だちの孫はみんな自分の孫も同然。自分のことのようにうれしい!

ジャンボ仕事はそろそろ没入しないと、上り坂の傾斜がだんだんきつくなる。どうもまた胸突き八丁
の心臓破りの丘になっちゃいそうだなあ。ねじり鉢巻が締めても、締め直しても、なんだかだらんと
緩んでくるから困ったもんだ。目にゴミ。コンタクトレンズにはゴミは一番の悩み。痛くて目を開けら
れないから、バスルームに上がって行って、レンズを外して、洗って入れ直し。ああ、すっきりした、
とオフィスに戻ろうとしたら、あら、階段がよく見えない。確か左目を押さえて上がってきたんだっ
け?さては・・・?毎朝レンズを入れるときは、黒点のついている右用のレンズを必ず先に入れる。
そうなんだ。左用のレンズを右目に重ねて入れてしまった。ああ、この習い性。

オフィスに降りて行ってツレアイ君にその話をしたら大爆笑。涙が出るくらい笑って、「ボクだって老
眼鏡を2つ重ねてかけようとするからね」と。そうなんだ。ツレアイ君はリビングで使っている老眼
鏡をかけたままでオフィスに下りてきてコンピュータの前に座り、やおらデスクにおいてある老眼鏡
を・・・なんてことをよくやっている。あはは、これも senior momentなんだよね、お互いに。

LeeさんのTokyo Timesに載っていたのが四角いスイカ。丸いスイカを四角にしてど~すんの?
と思うけど、不思議な発想をする人もいるわけで、まあ、贈答用だったらギフト紙に包みやすいし、
リボンもかけやすくて便利かもしれないな。でも、丸い味が四角い味になるのかはわからないけど、
丸かろうが四角かろうがスイカはスイカかな。それとも、四角いのはシイカとか?形はなんらかの
型にはめるんだろうけど、縞々が完璧じゃないのはどうなるんだろうな。欠陥品だと捨てちゃうの
かな?世にも珍しい四角いスイカ・・・(http://www.wordpress.tokyotimes.org/?p=3842

ま、とりあえず、「引退まであと3年10ヵ月」とかけ声をかけて、鉢巻を締めなおそう・・・。

女運、男運、人生運

2009年06月28日 | 今日の風の吹きまわし
どうやら夏らしさが戻って来た気配なのに、ツレアイ君は相変わらず手足がチリチリする、背中が
痛いと、どっかしら「正常」でないところがあるのが気に食わなくて文句たらたら。目覚めたときの
手足のしびれはどうも寝ている間に過換気症候群になっているんじゃないかと疑ってみるけど、こ
ればかりはご当人がドクターに行かなければわからない。おろおろ心配するから身体症状が起き
て、それがさらに心配になって別の身体症状が出て、それがまた・・・と負のスパイラルに陥りやす
いのは、あまりありがたくない父親譲り。ツレアイ君もそれを認識しているんだけど、似ていると思
うと急激にボケてしまったパパの姿がよけい重くのしかかってくるらしい。精神的にリラックスする
のが苦手なら黙想でもやってみたらいいのにと思うけど、何もない時空間を怖いと感じているよう
なところもあるからなあ・・・

いちご山盛りの朝ごはんを食べながら、テレビを見ていたら、「なぜこうも政治家の不倫スキャンダ
ルが続くのか」という特集みたいなことをやっていた。(日曜日だからニュースも暇なのかなあ。)
何もアメリカだけってことじゃないんだけど、そういわれればちょっと続きすぎかな。モラルのたが
の緩んだご時世ではあるとしても、将来は大統領と目されるほどの有力政治家が次々と女性問題
で身を滅ぼすのはちょっと異常だな。そういう大物だから大々的に報道されてしまうんだろうけど、
テレビカメラの前で謝罪声明を読み上げて去って行ったのを何人も見ていたはずなのに。英語文
化にだって「他山の石」という観念があるんだけど、オレは違うと思ってしまうのかな。

評論家らしい人物が、「女性問題を起こす有力者には高校時代に女の子たちに振り向いてもらえ
なかったタイプ(nerd)が多い」と言っていた。キッシンジャーは「権力は媚薬だ」と言ったそうだけど、
もてなくて悔しい思いをした人が権力を手にして(男女にかかわらず)人が寄ってくるようになると、
自分はもてると勘違いして舞い上がるってことなのかな。だったら、自国の女性に振り向いてもら
えない男が日本へ行って、チヤホヤされて「オレはもてる」と舞い上がるのと同類じゃないのかな。
裏を返せばそういう男にチヤホヤされて「アタシってもてるのよ~」と舞い上がる女性の方も同じ
レベルだろうけど、つまるところは、抑えられていた「もてたい願望」を満たせる状況になったもの
で、理性を見失ったということなのかな。

ホワイトハウスで不倫をやって弾劾されかけたビル・クリントンはそんな「大物」の最たる例だろう
けど、スキャンダルにまみれた任期を終えても元大統領としての政治的存在感は大きいし、政治
家としての評価も高い。ジミー・カーターから「最良の元大統領」のタイトルを奪取したかもしれない。
それはひとえにヒラリーという女性がいたからだと思う。民事弁護士の全米100傑に選ばれたくら
いの凄腕で、フェミニストの鏡のように思われていたヒラリーは、不倫を繰り返す夫ビルと離婚しな
かったことで、「自分の野心のために誇りを捨てた、打算的な女」と同性からさんざんに非難を浴
びていた。きっぱりと離婚すれば不幸な結婚に苦しむ多くの女性たちに勇気を与えられるのに、
「耐える妻」を演じるのは女性解放と自立の潮流に逆行する、と。

ヒラリーはそれでもビルを捨てなかった。あれだけの屈辱にさらされながらも「夫を愛している」と
公言し続けた。任期が終わってホワイトハウスを去った後で、執務室に入ったビルの頬が真っ赤
だった、ヒラリーの目が腫れていた、寝室から激しい口論や泣き声が聞こえたというホワイトハウ
ススタッフの話がTIMEのような雑誌などで報じられた。そうか、バカ夫の横っ面を張り飛ばしたこ
ともあったんだ。苦しくて夜通し泣いたこともあったんだ。ヒラリーは女として、妻として、深く傷つき、
怒り狂い、泣き叫びながら闘ったのだと思う。それはとうてい野心や打算のためだけにできること
ではない。稀代の「できる女」であるヒラリーなら、しょうもない夫を許し続けて同性の反感を買うこ
とが政治野心の妨げになることくらいわかるはずだ。(実際に大統領選の予備選では女性の支持
が思いのほか低かった。)ヒラリーはビル・クリントンという男を心の底から愛していたのだと思う。
なんと運のいい男なんだろうなあ。それに気づかずに自滅しそうになるなんてほんとにおバカだと
思うけど、まあ、人間たるもの男女を問わず、自分の運の良さはそれを無くして初めてわかるもの
らしいから、なくしかけたところでわかれば、それも運の良さなのかも・・・

あわびご飯とまぐろ2種

2009年06月27日 | 今日の風の吹きまわし
今日からジャンボ仕事完了へ向かってまっしぐら・・・だったんだけど、お天気もいいから、
ツレアイ君と連れ立ってまた散歩がてらの野菜の買出し。今回は熟れた地物のいちごを
1キロ半も買ってしまった。月の初めに暑かったから、ほれぼれするようないい色をして
いて、ほっぺたが落ちるほど甘い!

買い物に出かける前にチリあわび(ロコ貝)を大根といっしょにとろ火にかけておいた。
大根と煮ると柔らかくなるというので、それを炊き込みごはんにしようというのが狙い。
初めての試みなので、メインは手っ取り早くまぐろ2種・・・

  

キハダマグロのタルタル風
アルバコアまぐろの刺身
あわびご飯

赤身のキハダマグロはきゅうりとごま油とラー油でタルタル風。型の底に炒った白胡麻を
敷いて、逆さまにすれば頭に胡麻と刻みネギ。

白身のアルバコアまぐろは厚めの刺身。とろりとして甘みのある食感はキハダまぐろより
おいしいと思うんだけど。超薄切りの大根とかいわれをつま代わりに。あわびを煮るのに
使った大根も、せっかくしみこんだ味がもったいなくて、付け合せに。

あく?を取ったあわびのゆで汁を味を調え、かなり柔らかくなったあわびは薄くスライス
して、4分の1を残して、米に混ぜて電気釜にセット。炊き上がってお椀によそったご飯
の上に残しておいたスライスを載せて、刻みねぎをパラパラ。初めてのお試しとしては、
上々のお味。(よくできましたの花丸。)

冷やしておいたニュージーランド産のピノグリで乾杯!

やせたい人には言えない話

2009年06月26日 | 今日の風の吹きまわし
きのうはツレアイ君に頼まれて英語教室の「記念写真」を撮りにでかけた。あと1回で9月までの夏
休みに入ることになっているので、生徒さんから記念写真はどうかという提案があったんだそうな。
というわけで、極楽とんぼはデジカメ持参で即席カメラマン。夜のクラスは午後のクラスと違ってほ
とんどが仕事が終わった後で来ている人で、そのうち半分は男性。中国から移住してきてまだ半
月という女性もいる。この人たちにとっては、言葉の壁は「通せんぼ」ではなく、未来のためのチャ
レンジくらいでしかないらしい。みんな少しでも英語のレベルを上げて居心地を良くしようと熱心だ
から、ツレアイ君先生もやり甲斐があるというもの。全員2列に並んで、一番背の高いツレアイ君
先生は一番後ろの真ん中。うまくフレームに収まったところで、は~い、Cheese!

写真撮影が終わったら、仕事に追われるとんぼは文字通りとんぼ返り。教室が終わって帰って来
たツレアイ君が「おい、大変なことになったぞ」。そういいながら火急の一大事が起こったような顔
はしていないから、へえ、大変て、何が?「ネイバーフッドハウス協会の総会か何かでボランティア
を表彰するのに、ボクのことを推薦したんだって」。なんだかよくわからないけど、つまりはハウス
の団体が表彰してくれるってこと?「そうらしい。イタリア文化センターで集まりがあって、ただ飯を
食わしてくれるらしいけどね」。ただ飯はまあどうでもいいけど、ツレアイ君が表彰されるのはすご
いじゃないの。もう8年もTESLを独学で勉強しながら教えて来たんだもんね。社会貢献が認めら
れたってことで、とんぼもすごくうれしい。あのとき英語教師を続けたいというツレアイ君をやめさせ
なくてよかった・・・。ハウスは政府の補助金や交付金をかなりもらっているから、ひょっとして市や
州議会の議員たちや市長も(ただ飯を食いに)来るのかなあ。

一夜明けて、ツレアイ君は朝から「ボク、体重がどんどん減ってるんだよ。きっとどこかが悪いんだ。
ドクターに行かなきゃ」と、今にも死んでしまうかのようなパニック声。ツレアイ君はティーンの頃に
あまりにもやせっぽちだったものでだいぶ苛められたらしい。太ることよりもやせすぎることが怖い
たちで、急に体重が減ったから慌てているらしい。でも、いくら減ったのかと思ったら1ヵ月で2キロ
ちょっと。あのさあ、ツレアイ君はトレッドミルで汗をかいて2キロちょっとだけど、とんぼは仕事に
かまけて運動しないのに同じ1ヵ月で1キロ半減ったよ。だって、まず1ヵ月の間で赤身の肉を食べ
たのは1回だけで、魚が26日だったでしょ。ミルクは全乳を2%にしたでしょ。料理にバターを使わ
ないでオリーブ油とカノーラ油だけにしたでしょ。アイスクリームもやめたし、お酒だってディナーの
ワイン1杯だけにしたでしょ。それだけカロリー摂取量が減ったってことなのよ。

だけど、ツレアイ君は「どこまで減るんだろう」とまだおろおろ。まあ、1日のカロリー摂取量と体重
が釣り合ったところで下げ止めになるんじゃないのかな。だって、飢饉じゃあるまいし、毎日ちゃん
と三食ふつうに食べているんだし、おなかが減って飢え死にしそうなわけでもないでしょ?それよ
りも、そうやってやみくもに心配するストレスの方が身体に悪いと思うんだけどね。はあ、そっちも
まだ納得が行かない顔。だけど、いつものようにあちこちググって回って、「ストレスに強い人は善
玉コレステロール(HDL)の値が高い」という情報を見つけて、いくらか納得が行ったらしい。そう、
ネガティブなエネルギーは悪玉コレステロールと同じようにねばっこいから、心の気流のあちこち
にべっとり張り付くと文字通りの「心筋梗塞」になっちゃうんだよねえ。だから、ポジティブなエネル
ギーをどんどん補給して気の流れを良くしてやらないとね。

結局は、コレステロール対策と減量防止の兼ね合わせについては、カロリーを落とさずにコレステ
ロールと飽和脂肪の摂取を減らせる食事方法をプロの栄養士に相談することで話がまとまった。
それじゃあ、がんばってジャンボ仕事を終わらせて、時間を作らなきゃ!

引退、する?しない?

2009年06月25日 | 今日の風の吹きまわし
きのうはおしゃべりしながらゆっくりとお風呂に入って、それでもいつもより早めに眠りについて、そ
れで目が覚めたらなんと正午過ぎ。外を通るゴミ収集車とリサイクル収集車の轟音にも気づかず
に9時間も眠って、それでもまだ眠り足りない気がするけど、眠いのに眠りにつけないで悶々とす
るよりはずっと気分はいいな、と、ツレアイ君に言われるまでもなく、自分を他人みたいに観察して
いる自分がいる。別に体外離脱しているわけじゃなくて、ただ自分という人間を観察しているだけ
のことなんだけど・・・。

極楽とんぼにはたぶんに物事を考えすぎる傾向があるのかもしれない。外から見ると行き当たり
ばったりのお気楽な極楽とんぼなんだけど、内なる自分は何でも「どうして、ああして、こうなって、
而して・・・」と分析して考えたがるところがある。ずっと前に「なんというかintrospective extrovert
(内省型の外向的人間)だねえ」と言われたことがあるけど、まさにそういう矛盾した人間なんだろ
うな。この世に内なる矛盾を抱えていない人がいるのかどうかはわからないけど、まあ、外向的な
人はアルツハイマーの発症リスクが低いそうだから、内省型分析癖をうまく活用すれば、100歳
になっても頭脳明晰でいられるかな。まあ、フツーにボケる可能性もあるけど、そうなったらいろん
なことに思いをめぐらせることもなくなって、ほんとの極楽とんぼばあちゃんになるだろうな。なんか
それがハッピーエンドの人生かなあという気もするけど・・・。

ツレアイ君に「65になったら仕事をやめようかな」と言ったら、「ボクはやめられないほうに賭ける
な」とにやにや。なんだ、なんだ。そっちが「やめたらいいのに」と言うから、やめるのが怖いと言っ
たら、「やめて何の不利益があるのか」と突っ込んできたのは誰だったの?おかげでああだこうだ
考え出して、しまいには解決していたはずのアイデンティティの問題まで蒸し返して、自問自答の
あげくに考えすぎてもやもやしてしまったじゃないの。いや、今はやめられるという気がして来た。
仕事をやめて日本とのつながりなくなっても、今つながっている人たちとも切れてしまうわけじゃな
いもの。とんぼはどこの何国人に関係なく、自分もひっくるめて「人間」が好きなんだと思う。まあ、
追い払われても立ち去らないのはどうかと思うこともあるけど、なにせ向こうも人間だから・・・。

まあ、こんなふうに頭の中のめざましが鳴って、だんだんに目が覚めてきて、もやもやが晴れて来
たということもあるけど、「65才で定年退職するのもいいかなあ」という気持になって来た背景には
年金という現実的で色気のない要素もある。RRSPという個人の年金積立制度があって、現在高
や積立額、年令などを入力すると退職予定年令に達したときの「年金」がいくらになるかを計算し
てくれるサイトを見つけた。さっそく現在の積立残高や退職までの年間の積立予定額で、65才で
退職して、90才まで受け取るとしたらいくらになるか試してみたら、かなり大きな数字が出てきた。
これに2つの公的年金を合わせるとツレアイ君の年金合計額を少し下回る程度で、ひとりになって
もゆとりで暮らせる金額。二人いっしょなら現役世代の平均世帯収入よりもずっと多い。な~んだ、
それなら、65になったらさっさと商売をたたんで、ツレアイ君とのんびり隠居暮らしをした方が割に
合いそう・・・。

あと3年と10ヵ月。ツレアイ君が「やめ(られ)ない」に賭けるというなら、こっちは「やめ(られ)る」
の方に賭けようか。いいのかなあ、ツレアイ君。この賭け、とんぼの勝ちかも・・・。

地球は今日も左巻き

2009年06月24日 | 今日の風の吹きまわし
久しぶりに本格的な雨が降って、空気も気分も洗われてちょっとさっぱり。週末に駆け込みでねじ
込まれた仕事を片づけて、来週はいっぱいですと予防線を張って、ひと息。これで落ち着いてメガ
仕事にまい進できる・・・かなと思ったら、先に終わった仕事をチェックしている日本人の担当者か
ら質問が飛んで来る。英語の文だって暗黙の了解があったり、行間に本音が埋め込んであったり
するんだけど、この人はそういうところを実に的確に(しかも日本人の観点から)ついてくるから、
自分の思考を見直して、長ったらしい講釈で答えることになる。実はこっちの方が翻訳をやってい
るよりもずっと刺激になって楽しいくらい。(文学の造詣が深い人なので、たまにオフで交換する文
学談義のメールも楽しみな刺激剤。)

メガ仕事にかかる前に、小町のタイトルをざっとながめる。一歩下がって見渡したら、なんだか変
わり映えがしないなあと感じる。ま、ある意味で「離乳期」にさしかかったというところなのかもしれ
ないけど、国際結婚してどこにも属するところがないという嘆きトピックは、あまりにも孤独そうなタ
イトルに引かれて開けてみた。現地の言葉や文化、日本人社会との交流など、悩みの種は同じ。
優しい夫がいて、生活も安定しているのにさびしい、生きがいを見出せない。難しい問題だなあ。
グローバル時代の今はそういう人は国籍人種を問わず世界中にごまんといるだろう。言葉、文化、
制度、習慣・・・どこを見ても壁、壁、壁。だけど、国際結婚トピックを読んでいる限りでは、日本人
にとっては日本社会を取り巻く壁が一番高いんじゃないかと感じる。(外から見ている極楽とんぼ
にはどれだけ高いのかわからないけど、かなり高そうに思える・・・。)

この人もそうなのかなあと読んでいたら、最後の方で「日本人に嫌われる=この世の終わりではな
い」というレスのタイトルに出くわして、おもわずドッキリ。「傲慢に聞こえるかも知れませんが、私
はもう日本人にどう思われようが、気にしない事にしています。嫌うならどんどん嫌えば?位に思
いながら生活しています」と。うは・・・。住んでいる国が好きだという。どこの国か知らないけれど、
それでもきっといろんな思いを乗り越えてきたんだろうな。たしかに、嫌われても日々の暮らしには
どうってことないだろうし、住んでいる国の人に嫌われる方がよっぽど生きにくい人生になりそうだ
し、そこまで割り切れたら怖いものなしだな。極楽とんぼも、まあ、好かれなくたっていいんだけど、
そこまで言い切ってしまえるかなあ。ああ、グローバル時代の国際化、されど国際化・・・

遠くて近きは男女の仲というけれど、アメリカはサウスカロライナ州の知事が1週間も所在がわか
らなくて騒いでいたら、なんとアルゼンチンにいる愛人に会いに行っていたんだそうな。功なり名を
遂げた男が女で身を滅ぼすというのもまた国籍人種を問わないグローバルな現象みたいだなあ。
どうしてなんだろうねえ。しょうがない男がなぜか出世する世の中なのか、しょうがない男が出世し
て思わずそのしょうのなさを露呈したのか。日本ではどこかの元県議会議員が公園に勝手に自分
の銅像を建てようとしたとか。自分の尽力で公園ができた功績を後世に残したかったんだって。聞
くところによるとこの元県議氏は公職選挙法違反で辞職したという。それじゃあ誰も銅像なんか建
ててくれないだろうなあ。だからって、じゃあ自分で建てればいいやという思考もなんだかなあ。

漢字の読み違いで有名な日本の総理大臣が電子辞書を買ったという新聞記事に「麻生さんが間
違いをしなくなったら、我々はどうやって正しい漢字の読み方を学べばいいのか?」というイントロ
をつけて登録してあるブックマーキングサイトに投稿したら、8時間でトップページに移動した。これ
で113本の投稿すべてトップページ入りの百発百中。(麻生さんは「しゃべる辞書」を買ったのか
な?)別のサイトを見たら、ヘンな英語で「外国人の中にはEROGEに嫌悪感を持っている人が
いるようです。したがって我々の文化を守るために外国からのアクセスを禁止しました。外国に住
むファンのあなたにはお気の毒です」みたいなことを書いた日本のエロゲメーカーのウェブページ
があった。日本製のレイプゲームをめぐって国際的なひと騒ぎがあったせいだろうけど、「我々の
文化を守る」ってのはなんだかねえ・・・

友好的外来帰化種

2009年06月23日 | 今日の風の吹きまわし
きのう、ディナーの後でひと息ついて、やおら仕事にかかったところで、ツレアイ君の弟のジムから
電話。「まだ薬、飲んでるの?」ジムはコレステロール値が高くてもう7年も薬を飲んでいる。この前
ツレアイ君が医者がどうの製薬会社がどうのと文句たらたらだったので、どんなことになっている
かと、様子伺いというところらしい。うん、まじめにやってるよ、文句は多いけど。ジムは「あはは、
そうだろうと思った」。(ツレアイ君がパパに次ぐ文句たれという家族の評は昔からのことだけど。)

代わったツレアイ君はひとしきりのおしゃべり。末弟のデイヴィッドから電話があるときもそうだけど、
この頃の兄弟の電話はえらく長い。時差が3時間あるトロントに住むデイヴィッドは眠れないときに
かけて来て、最長通話時間は今のところ2時間とちょっと。車で1時間半の郊外に住むジムとも、
それほどではないにしてもしゃべり始めるとかなり長い。ひとつ違いで子供の頃からあまり仲がよ
くなくて電話をかけ合うことがほとんどなかったジムとも、去年あたりから電話で話したり、互いの
「地元」のレストランで食事をしたりするようになった。互いに年を取ったと感じ始めたせいなのかも
しれないけど、自分の妹にはご無沙汰の不義理のしっぱなしなのを棚に上げて、いつも口を酸っ
ぱくして「兄弟の付き合いを大切にしなさい」と言っていた極楽とんぼにとってはうれしい展開。

コレステロールの話から食べ物の話、幼友達の話、昔のガールフレンドの話、誰それが死んだと
いう話が延々と続く。照明器具の製造会社を経営するジムは交流範囲が広いから、実によくいろ
いろな人たちの消息を知っている。その会話の片方をそばで仕事をしながら聞くともなしに聞いて
いるのがとんぼだけど、ローカルの掲示板でよく目にした投稿を思い出して、おもわず忍び笑い。
カナダ人夫の家族との交流にムカついている日本人妻の愚痴がいろいろある中で、「家族(特に
母親)との頻繁な電話や長電話」も槍玉に上げられていた。

まあ、小町でも日本在住の日本人妻が外国人夫の長い国際電話に愚痴をこぼしているし、日本
人同士の夫婦でも夫が実家に密着しているのを嘆く妻は多いから、「義理の家族」は国籍人種を
問わずムカつく存在なんだろうな。アタシと結婚したからにはアナタはもうアタシだけのもの、脇目
もふらずにアタシだけをかまってねってことか。我が家はどっちかというとツレアイ君の方に「ボク
だけをかまってほしい」的なところがあったよなあ。でもさ、日本じゃそういう夫は「濡れ落ち葉」と
言われて、妻にうっとうしいと嫌われるらしいよ。憧れの国に行って憧れの今どき妻を娶っていたら、
ツレアイ君はとっくに大爆発していただろうなあ。Count your blessingsといったところだよね。

先月から3部に分けてやっているメガ仕事の一番でかい最後の部にやっと着手。文字数で見れば
原稿用紙に詰め込んでざっと130枚強。期限まで2週間しかなくなってしまった。テーマが興味を
そそるものだから、おもしろくてけっこう進むんだけど、それが「侵略的」外来生物。第1部をやって
いたときにふと、極楽とんぼもいうなれば「外来種」かなと思ったのがあれこれ考え出す引き金に
なったのかもしれない。カナダの土に根を張ってけっこうはびこってはいるけど、live and let live
の精神で生物の多様性を善しとするから(だって、みんな同じじゃどれが自分かわからない)、まあ、
侵略的じゃなくて「友好的」外来帰化植物ってところだよね。

とんぼの目は乱視の複眼

2009年06月22日 | 今日の風の吹きまわし
大手新聞社の編集部が目を通している小町のような掲示板でも、日本国外に住む日本人が日本
や日本人について疑問を投げかけるのは短い導火線に火をつけるようなものらしく、トピックを立
てた人は「外国かぶれ」だ何だとさんざんに叩かれるし、他人のトピックに自分が住んでいる国の
例をあげて書き込むことさえかなりのリスクを伴うように見える。海外在留邦人同士なら助け合い
のひとつもするのかと思いきや、バンクーバーのある掲示板は一触即発の火薬庫のようなもので、
日本や日本人に関する批判がましい発言をしたり、カナダの方がいい、好きだなどと言おうものな
ら、必ずといっていいほどバッシング。

まあ、異文化と異言語の中で、夢と現実の間に挟まっていろんな欲求不満やかなり複雑に屈折し
た感情が吹き溜まっているんだろうけど、日本人同士で中傷誹謗貶し合うのは、金魚鉢のような
狭い日本人社会での「言論統制」のように見えた。こんなことを書くとまた「お前は何様のつもりだ」
と匿名メールが来るかな。いつだったか、ブログの「メッセージを送る」機能から送ったらしいメール
が届いて驚いたことがある。たまたま行き当たったブログで日本を貶していると憤慨したものらしく、
コメントを残せばいいものを、表に出ないでひとことガツンと言ってやろうと思う人もいるってことだ
ろう。(「いかがなものか」なんて文章だったけど・・・)

たしかに日本のことをいろいろと書いているけど、カナダと比べて、欧米と比べて、日本がどうのこ
うのとは言っていないつもりなのだ。日本は日本、日本人が日本で何をどうしようと日本人の勝手
だということは百も承知だし、自分の考えること、感じることをまとめておこうというだけなんだけど、
小町なんかを読んでいると、日本国外にいる日本人が日本のことをあれこれ(悪く)言うと、なぜか
反感を持たれるんだなと感じないわけにはいかない。ある発言者曰く、「たった5年アメリカにいた
だけで、アメリカ人として日本人を語っているから不快なのだ」と。Bingo!とどのつまりは、欧米に
いる日本人が「欧米人」になったかのようにふるまって、「欧米に比べて日本は(劣っている)」みた
いなことを言うから気に触るんだろうな。これは明治以来の永遠のテーマじゃないのかなあ。

日本では「外国人」が書いた比較文化論的ニッポン評ならけっこう読まれるらしい。某氏が英語で
書いた日本女性の生態観察記みたいな本でさえ日本語に翻訳されて出版されるという噂だから、
「欧米人」がとんぼが書いて来たような「ワタシの見たニッポン」といったエッセイを書いて出版した
ら、おもしろいかもしれない。実際に、ポール・ボネという名前で『不思議の国ニッポン』という、「フ
ランス人が見た」ニッポン評をシリーズで書いていた日本人(誰だったか忘れたけど)がいる。相当
な数の著作はかなり売れていたらしいから、極楽とんぼが本名で「不思議の国ニッポン-二十一
世紀編」みたいなエッセイを書いたら、どんな反応があるんだろうな。そんな悪文なんか読めねぇ
よと言われるかな。(ガイジンが書いた日本語なんだからしかたないでしょ。)

脳内めざましが鳴った

2009年06月21日 | 今日の風の吹きまわし
ゆうべ、やっと雨が降った。いつものように何か物音を聞きつけて外に出たツレアイ君が入ってくる
なり、「雨だ。降ってるぞ」。何日ぶりだろうな。だけど、しばらくしてまた外に出て行ったツレアイ君、
「止んじゃった」と言いながら戻ってきた。これでは庭の水遣りにもならないと残念そう。シアトルで
はかなり降ったらしいから、あまり残ってなかったんじゃないのかな。夏至。今日から公式に「夏」。
それにしては、なんか急に涼しくなってしまったけど・・・

いつものようにひと仕事の合間にのぞく小町だけど、この頃はもやもやしていて、タイトルを見るだ
けのことも多くなった。極楽とんぼにとっては、不特定多数の匿名掲示板は「日本人」の擬人化に
他ならないから、人種が同じという以外は共有するものがなくなった「話の合わない友だち」との間
に距離を感じるようになって来たのかもしれない。何だかつまらなくなって来たということもあるの
かもしれない。まあ、Out of sight, out of mind(去るものは日々に疎し)というから、しょうがない。

でも、あるトピックへの書き込みを読んでいたら、頭の中でけたたましく目覚ましが鳴って、どろん
とかかっていたもやが少しだけど晴れて来たような感じがした。背中でしきりともぞもぞしているお
化けを引きずりおろせるかもしれない。そう思ったら、うつっぽかった心がちょっと軽くなって、よっ
しゃ、仕事をせにゃあ、という気分になって来るから、極楽とんぼもいい加減なもんだなあ。とんぼ
追跡レーダーがあるのかどうか知らないけど、あれもこれもと仕事を送って来るクライアントもなあ。
メガ仕事の期限が近づいているってのに。ま、いっか。とんぼは仕事のオニヤンマ・・・

だらだらやっていた仕事の方にやる気エネルギーを向けることにして、背中のお化けの対処は少
しずつ考えていくことにしよう。まとめて考えようとするから、考えすぎてしまうんだろうし、そうやっ
てずるずるとあり地獄に落ち込んで、二進も三進もいかなくなるのかもしれないからね。とにかく、
今夜はぐっすり眠りたいなあ。眠れるだけ眠って、眠りまくってみたい。もちろん、気分さわやかに
目が覚めてくれないと大変なことになるけど・・・いや、ちゃんと覚めるって。

DINE-INスペシャル第15回

2009年06月20日 | 今日の風の吹きまわし
2週間前のDINE-INスペシャルの第14回は、お客を交えてのおしゃべりに夢中で、
写真を撮り忘れていたけれど、肉を食べないお客のために海鮮づくしで大成功。

ツレアイ君の高コレステロール/(境界域)高血圧症対策として、丸4週間続いたのが
魚中心の食生活。28日のうち、魚の日が24日、鶏肉の日が2日、ベジタリアンの日が
2日。ドクターもびっくりの好成績だと思うから、今日は月に1回くらいはいいと言われた
「肉の日」・・・

今日のメニュー: 大根とビーフのベトナム風スープ
            韓国風ひと口ポーク
            豚ヒレ肉とりんごのロースト、あんずソース、オクラ添え
            サラダ二通り

     

昆布だしと醤油味で大根を煮て、ライムジュースと白コショウと唐辛子ペーストで味付け。
彩りの絹さやに火が通ったところで、薄切りの牛肉を入れてさっと火を通してできあがり。
なんとなくベトナムのフォーのような味になったから、アラ・フォー・スープ・・・

     

しゃぶしゃぶ用の薄切り豚肉が4枚。ブルゴキソースでもんで、もやしを横においてさっと
焼いて、口直しにブルーベリー。

  

青りんごのスライスを並べて、その上にコショウを振ったヒレ肉を載せ、その上にさらに
りんごを並べて、カルヴァドスをたっぷりとかけ回してロースト。ほんのりとりんごの味。
前回のあんずのクーリを温めて、肉のソースに。つけ合わせはりんごと蒸したオクラと
あんず。ほんとに豚肉にはフルーツがよく合う。

     

サラダはツレアイ君菜園産のグリーンにトマトとアニスのサラダに、きのうの残りものの
豆サラダ。さやインゲンの色はよくないけれど、ドレッシングの味がよくしみていた。

たまにはいいよねえといいながら、ほぼ1ヵ月ぶりの肉料理。久しぶりだからよけいに
おいしいのかも・・・


知らず嫌い

2009年06月20日 | 今日の風の吹きまわし
土曜日。うす曇なれど夜来に雨が降った形跡はなし。シアトルでは29日ぶりに雨が降ったという
から、いつも反時計回りに回る雨雲がこっちに回って来るかと思ったのに。それでも今日は20度
以下でぐんと涼しく感じる。

議会は、イギーが振り上げたこぶしを下ろして、しゃんしゃんと予算案を可決。夏の総選挙は一応
秋まで(また)お預けで、議員さんたちも安堵しての長い夏休み。総選挙に対する世論は「ノー」だ
し、イギー率いる自由党はハンパじゃない借金を抱えているもので、実は今すぐ選挙を戦える状
態ではない。一方のハーパー首相率いる与党保守党は少数政権。いうなれば三すくみの状態な
のがカナダの政治事情。一説によると、政権党だった自由党が大敗した5年前の総選挙でどっと
誕生した新人議員が悠々自適を約束する年金をもらえる資格ができるのは来年の6月以降。特に
躍進したおかげで新人を多数抱えるケベック連合としてはそれまでは選挙を避けたい。三すくみ
にもうひとつひねりが入ってややこしい。景気回復のほのかな光明が見えるということで、野党とし
ては回復しないうちに選挙をやりたいだろうから、思惑の入り乱れはさらにややこしくなる。でも、
誰も総選挙に乗り気じゃないなら、選挙回避のための妥協も吝かではないわけで、与党が野党の
主張を真剣に考慮するという利点もないではない。ここが「民主政治」のおもしろいところ。

イランはえらい情勢になりつつある感じがするけど、だいたい、ごり押しの独裁を脅かす力の矛先
を「悪いのは欧米だ」とテロリストお気に入りのターゲットに向けようとした時点で独裁者はもう終
わっている。おもしろいのは、世界のどこであれ他国の内政問題に便乗して「西欧が過去にああし
たから、アメリカが過去にこうしたから」とほじくり出して欧米叩きをやりたがるのがぞろぞろと登場
すること。そういうのに限って「ではどうしたらいいのか」という建設的な意見はまず持っていない
から始末が悪い。意見がないどころか、逆に「てめえのところだってああだこうだ」と矛先を変えて
来るのになると、不毛の「砂場の子供のけんか」になってよけいに始末が悪い。イランの未来のた
めに命をかけている人たちにしたら、今はそんなことどうでもいいんじゃないかと思うけど。

さらには個人に対するごく個人的な嫌悪感と(少なくとも民主主義社会の)国民の意思に基づいて
いる国家を混同して、擬人化した嫌悪の対象について感情的に「○○(の言動)が悪い」と、件の
独裁者やテロリストと似たようなことを言い出したりするのもいる。当人たちはそのつもりはないか
ら、そう言えば猛反発してするだろうけど、「ダメなものはダメ、嫌いなものは嫌い」という、昔から
ある「My mind is made up. Don’t confuse me with the facts」というジョークを地で行っているよ
うなもの。「こっちの考えは決まってるんだから、事実を持ち出して混乱させないでくれ」といった意
味あいで、昔は進歩派が因循姑息な保守派を揶揄するのに使ったらしいけど、最近は「進歩派」
の、特に若い世代にそういうタイプが多いような気がする。まあ、昨今は情報がもたらす世界の広
がりと情報の受け手の視野の広さが反比例の方向に向かいつつあるような感じがするし・・・。

だけど、個人的に知りもしない人間や行ったことも住んだこともない国を感情的レベルで嫌ったり、
憎んだりできる人がたくさんいるらしいのは驚きだ。見るだけ、考えるだけで胸くそが悪くなったり、
排除したくなるのは「嫌悪感」によるものなんだろうけど、それが消えてほしいとか、抹殺したいと
いう感情に進展したのが「憎しみ」なんだろうか。喜怒哀楽は状況の変化や時間の経過によって
薄らいだり、和らいだりするもので、そうでないと前進がなくなってしまうけど、「憎しみ」は一筋縄で
は行かない強い感情なんだろうな。「大嫌い」の段階で似たような反応をする人もいるけど、見た
目やファッションを生理的に受け付けられないというのならまだしも、やっぱり内情を知らないもの
や人をどうして憚らずに「嫌い」と言ってしまえるのか不思議だな。食べ物の好き嫌いには「食わず
嫌い」と言うのがあるけど、その延長線で「知らず嫌い」なのか、あるいは「人見知り」なのか。まあ、
マスコミやネットの情報に曝されているうちに、「知っている」という感覚になるのかもしれないなあ。
「己の知らざるを知らざるは知を知らざるより危うし」と孔子様は・・・言ってないって?あ、そう。

買い物ついでに日光浴

2009年06月19日 | 今日の風の吹きまわし
起きたときは中途半端な寝不足もあってか、脳内にもやもやとくもの巣がかかっているような気分
だったけど、日曜が納期の置きみやげ仕事は小さいし、お天気はまだ青空だし、野菜の冷蔵庫は
空っぽ。ということで、今日は概ね「休み」ということにして、とんぼの絵柄の大きなトートバッグを
持って、二人で徒歩で野菜の買出しに出かけた。

いつのまにかどこもバラの花盛り。よそさまのおうちの花壇を見物が楽しい。ツレアイ君は菜園の
生育状況の報告をしてくれる。きゅうりが実を付け始めた温室のきゅうりのつるが照明を吊るして
いるバーにからんで、この分だと温室中にきゅうりがぶら下がるかも。トマトも順調に育って、この
夏はトマトソース作りに忙しくなるかも。もう実をつけないかと思っていた二十世紀梨の木に小さな
実が鈴なりになっていること、などなど。コンピュータが目の前にないもので、行き帰りは絶好のお
しゃべりタイム・・・。

去年秋までの不動産ブームが崩壊して、売り家の看板はほとんど見かけなくなった。この2、3年
ほどに建った家は、どれもちょっと古風なデザインで、全体が濃い色だからどっしりとした感じがす
る。20年くらい前に大流行だった「ゲッ」と来そうなけばけばしいピンクの建売住宅は、かなり色が
くすんでしまってもうあまり目立たない。暖かいところからの移民がどっと増えて、半年以上は曇り
空と雨の薄暗いバンクーバーで、燦々と輝く太陽を思わせる「カリフォルニアピンク」という名前の
派手な色がもてたのかもしれない。それでも、いかにもしょぼく見えるピンクハウスでも、このあた
りでは大幅に下がったとは言ってもまだ百万ドル前後はするんだろうな。どうりで売り家の看板を
見かけなくなったはずだ。

青果屋に着いたら、おお、地物のいちごが出ている。山盛りのパック1個は多すぎて食べきれない
から、半分だけ袋に入れてもらう。ブルーベリーはカリフォルニア産だけど、これまた大きな容器に
いっぱい。アスパラガスは大きな束が2つで5ドル。この頃は年中あまり値段が変わらないな気が
する。小ぶりだけど太い大根とかいわれ。ほかに付け合せのフィドルヘッド、オクラ、さやいんげん、
平茸、インスタントラーメン用のもやし。ツレアイ君はトマトにアボカドに赤ピーマンにバナナ。トート
バッグに詰めてもらって、取っ手を片方ずつ持って、またおしゃべりをしながら家路。日差しが暑い
くらいで、じっとりと汗ばんで、今日のエクササイズということにする。気分がちょっとすっきり。

今日のディナーはみじん切りの生姜と白ワインで緩めた味噌を塗ったティラピアを焼き、ツレアイ
君の要望でローストしたガーリックを少し使ってポテトと平茸のソテー、そして蒸したアスパラガス。
サラダはツレアイ君特製のライマビーンと赤いキドニービーンとさやインゲン。白っぽい緑と、濃い
赤と濃い緑色の彩がきれい。これで魚ダイエットは4週間。その間、魚以外のメニューだったのは
4回だけというなかなかの好成績。赤身の肉は月一回くらいはいいというから、週末は久々の肉
料理にしようかなあ。

魚料理は手間がかからないだけでなくて、比較的コストが低めだから、その分たまに食べるだけ
の肉は高いものを買っても懐に響かない。レシピは魚をよく食べるアジアのものにシンプルでいい
ものが多い。おいしいものを食べられるなら、食事療法もまた楽しからずや。おまけに健康向上に
役立つならなお言うことなしだなあ。コレステロールさまさま・・・

もやもやは人生の潮目か

2009年06月19日 | 今日の風の吹きまわし
ゆうべは目が覚めていたのか、夢を見ていたのか、よくわからないけど、いろいろと考えごとをして
いた(らしい)。はっきり覚えていないと言うことは、たぶんほとんどが夢だったんだろうけど、ひとつ
だけ何となく記憶に残ったトピックがある。誰かが聞いてくれていたのか、ブログを書いていたのか
はわからない。日本語で覚えているからブログだったのかもしれないけど、コンピュータの映像が
記憶にないところを見ると誰かにしゃべっていたのかな。それにしては、相槌を聞いた覚えがない。
でも、薄暗いところだったから、眠りに落ちる頃にはとっくに日が昇っている今なら、眠れないまま
ぐずぐず考えていたということでもなさそう。話の内容をかいつまんで言うとこんなこと・・・。

『彼は、私が疲れているとボクはすごく疲れていると言い、具合が悪いときはボクも何かの病気か
もしれないと、自分の方がつらいとアピールするから、私の疲労や病気は労わられることも慰めら
れることもなく、まるで椅子取りゲームの敗者のように押しのけられていたの。夫婦という空間は
二人のものなのに、私たちの間には安らぎを得る「椅子」がひとつしかなくて、いつも彼に先を越さ
れる私には疲れても、具合が悪くても、座れるところがなかったの。そのうちにその空間が彼をチ
ヤホヤする人たちで溢れてしまって、私は隅っこに立っているのがやっとになって、あるとき、何も
かも投げ出したくなったのよね。あの「もうどうでもいいや」という気持はどんな疲労や病気のつら
さよりも暗くて、どろんと重くて、何かに飲み込まれるようだった。今、あのときの「もうどうでもいい」
という気持を漠然と感じるからちょっと怖いのよね・・・』

いったい誰にこんなことをしゃべっていたんだろうなあ。夫婦の間の「椅子取りゲーム」とはいい得
て妙だけど、二人の間に椅子がひとつしかなければ、どっちが座るかという問題になるだろうな。
でも、ほんとうはどっちが座るかじゃなくて、どうしてひとつしかなくて、しかも片方ばかりが座って
いるのかということの方が問題じゃないかと思うけど。まあ、この点に関してなら、「もうどうでもい
い」が「何とかしなければ」になり、「何とかなりそう」に向かったあたりで、ツレアイ君が自分も疲れ
ていると言うなら二人で床に寝そべればいいし、自分も具合が悪いと言うのなら、二人いっしょに
寝込んでしまえばいいじゃないかと思い当たってから、押しのけられたような気持はなくなったんだ
けど、じゃあなんで今ごろになって、あんなことを愚痴っていたんだろうなあ。

目が覚めてもやもやと気になるのは「もうどうでもいいや」という気持。何がもうどうでもいいという
のか、自分でもわからないから困る。来年は満20年を迎える仕事がもうどうでもよくなって来たの
かなあ。そろそろ飽きてきたんだろうか。それとも、単に忙しすぎて絵を描くことも、創作に浸ること
もできないでいるもどかしさが募ってきたんだろうか。なにしろ極楽とんぼはexpressionistだから
なあ。カンバスも絵の具も絵筆も創作ノートも、すべていつでも手を伸ばせるところに置いてあるの
に、イーゼルに立てたカンバスはまっさらのまま、創作ノートは山のように詰み上げた書類やカタ
ログの下に埋もれたまま。これじゃあ、見るたびに腹ふくるる思いになるのも当然かな。あのさあ、
身の回りを片づけようよ、少しは。もやもやするときは人生の潮目なのかもしれないんだから・・・

夏休みをください

2009年06月18日 | 今日の風の吹きまわし
なんとなくの疲れがなんとなくのまま抜けないから困ったなあ。串団子のさいごのお団子が終わっ
て、そろそろ気になっていたメガ仕事に着手できそうな雲行き。日本は金曜日だから、こっちで夜
中さえ過ぎてしまえば、極楽とんぼも週末(といっても、またおきみやげがあるんだけど・・・)。この
週末に少しずつでもかからないと、また徹夜になりかねない。ま、退屈な決算報告ばかりが続いた
から、まったく違う分野は楽しみでもある。それにしても、今頃の季節に中小企業の決算報告を英
訳する需要っていったいどんなことなんだろうな。投資業界で何かおもしろいことでも起こっている
のかなあ。

今日の血圧は109/70で、まあまあ。でも、やっぱりいろんなことがありすぎたのか、ここのとこ
ろやたらと咳が出る。昔はほんとうの空せきだったけど、年のせいなのか、咳き込むと喘息のよう
にぜいぜい、ヒューヒューと、「すわっ」と周りが総立ちになりそうな派手な「発作」に聞こえてしまう
からいけない。本人はそれほど苦痛でもないんだけどね。日本には「心療内科」という医療分野が
あるそうで、ときどき来る人事問題の書類にもよくセクハラやパワハラで心療内科にかかっている
というのを見るけど、そこへ行ったら心因性の喘息は治してもらえるのかな?それとも「心の風邪」
のほうを治すのかな?あの、心の風邪って、ひいてない(と思う)んだけど・・・

長年のお客さんからある分野が専門の人の紹介を頼まれたので、お隣のワシントン州の人を推
薦しておいたら、話がまとまったと言って来てひと安心。翻訳業も人が余っている分野もあれば、
いつも人手が足りないところもある。特許や医療といった特に専門性の高い分野は万年人手不足
らしくて、有望だと思われているのか翻訳学校に専門のコースまであったりする。もっとも、分野の
如何にかかわらず翻訳のメカニズムだけ学んでも即戦力というわけにはいかないから、翻訳学校
が増えても、人手不足はあまり解消されていないらしい。まあ、ごまんとあるらしい翻訳学校が「在
宅でできるサイドビジネス!」なんて宣伝してくれていたりするから、まるでアルバイトか小遣い稼
ぎでやるなんちゃって仕事のような感じで、そんな動機では使えるプロは育たないだろう。かくして
今日も、(手を出さない分野はあるけど)一応は「何でも屋」のとんぼのデスクには雑多な分野の
仕事が降り続ける。これって、喜んでいい状態なのかどうか。

まあ、仕事に追われている方が今はまだ深く考えなくてもいい「課題」を考えなくて済むからいいと
いえばそうなんだけど、深く考えられる余裕がないだけのことで、考えることは考えてしまうから、
そっちの方がストレスが大きいかもしれない。(と、自分でややこしくしているところもないではない
けど、そこがとんぼの悩めるところ。)だからこそ、どこかでゆ~っくり、の~んびりできる夏休みが
ほしいんだけど、自営業はどこに「休暇届」を出せばいいの?