極楽とんぼは風まかせ

東は東、西は西。交わることなき二つとはいえ、
広い太平洋、東の風が吹き、西の風が吹き・・・

母の心子知らず、子の心母知らず

2011年02月28日 | 今日の風の吹きまわし
月曜日。車道はほぼ100%、歩道も大半の雪が解けた。気温の予想は日中の最高も夜間の
最低も向こう1週間はしっかりとプラス。あさっては相当に凶悪な嵐が来るらしいけど、まあ、白
くなければちょっとぐらいの荒れ模様でもいいか。やれやれ・・・。

午後いっぱいは例の「注文の多い」仕事の見直し。元がフツーの文章で、内容そのものがごくフ
ツーのことだったら、訳文も良くして「フツー」のレベルで、それ以上にはやんごとないレベルに
はならないんだけどなあ。まあ、やってやれないことはないけど、英語でいうならtongue in
cheekとでも言うのか、「やってらんにゃ~い」というような滑稽さが漂ってしまいそうでいけない。
早い話が、日本の総理大臣の演説をオバマ大統領のようなレベルの英語に訳せと言っている
ようなものかもしれない。ひと言で言って、ムリ、no way、nada。ま、このあたりの葛藤があんが
い翻訳商売における自虐的な楽しみだったりするんだけど・・・。

仕事にかまけているうちに、いつのまにか州の首相が新しくなっている。3期続いたキャンベル
政権が州の売上税の連邦売上税との統合を強引にやってのけたことで与党の支持率が凋落
する結果になって辞任を表明。新しい党首を決める選挙が土曜日にあって、選ばれたのが元閣
僚のクリスティ・クラーク。キャンベル政権の閣僚だった頃に出産して、赤ちゃんを執務室に寝か
せて仕事を続け、わりと美人ということもあって将来を期待されて副首相にもなったのに、なぜ
か育児と家族に専念すると言って政界から引退。この数年は地元のラジオ局でトークショーを
やっていた。ラジオ番組のホストだけあって、立て板に水のしゃべりっぷり。いつのまにか離婚し
たようで、今回は9歳の息子を持つ45歳のシングルマザーとして州首相に就任するんだから、
そのエネルギーはすごい。ま、野党の新民主党も似たような内輪もめで女性党首を退け、もう
すぐ党首選があるから、そうでなくても何が起きるかわからないBC州の政治風景、彼女の政
治手腕や政治日程は別としても、これからまたちょっとおもしろくなるかもしれないな。

今日の郵便にカレシの弟のジムから一通の封筒。宛名が2人になっていたから、何だろうと思っ
て開けてみたら、小切手が1枚。ぺたんと貼ってあった黄色い付箋には、ジムの筆跡で「ママが
みんなにあげると言っているから」という、謎めいた短いメモ。よくみたら、額面は1000ドルで、
ジムの筆跡で書いてあるけど、サインは間違いなくママのもの。「ボケが始まって、頭がどうかし
ちゃったんじゃないだろうな」とカレシ。さっそくジムに電話をして事情を聞いたら、満期になった
定期預金の分配だということだった。90代になって改めて定期預金に入れ直してもしょうがない
し、かと言って自分の生活は老齢年金とジムが管理している投資信託の配当だけで十分以上
だし、今すぐ役に立つところで使われた方がいいと決めて、夜の9時過ぎにジムを呼び出して小
切手を作らせて、郵送させたんだそうな。

ジム曰く、「ママは好きなように使えと言っているんだから、そうするのが一番だと思う。いらなけ
ればどこかに寄付したっていいし」と。だけど、ポケットマネーと言えるような金額じゃないから、
カレシは「ほんとに正気なのか」と心配。たしかに、去年の立て続けの骨折事故と入院の後には、
食事を拒否したりして周囲を心配させたけど、今はきちんと食事をするようになって、薬で消耗
した体力もかなり回復したし、ホームの中を歩行器具なしで歩けるようになっている。カレシに言
わせれば、この先まだ何年もあるんだから、生活に困っていない子供や孫に金を配るなんてど
うかしているということらしい。だって、このまま120歳まで悠々と暮らせるお金があるなら、設
備も介護も環境もこのあたりで最高のホームに入ることだってできると思う。だって、大恐慌時
代と、第二次世界大戦、そして極貧生活の時代を、働いて、家庭を切り盛りして、3人の息子を
育て上げたママが築いた老後資金なんだから当然だとみんなが思っているのに、と。

よく「親の心、子知らず」というけど、「子の心、親知らず」も然りなのかな。最後的に、「せっかく
だから、何か有意義なことに使おうね」と、納得したのかどうかわからないけど、カレシの結論。
うん、120歳まで悠々自適ということなら、安心してありがたくもらっちゃっていいか・・・。

人間も死滅回遊するのか・・・

2011年02月27日 | 今日の風の吹きまわし
日曜日。薄目を開けて、ん、明るくも暗くもない。起きてみたら、おお、雨だ!正午過ぎのポーチ
の温度計はプラス1度。あったりまえだよなあ。だって、あしたはもう弥生3月じゃないの。もっと
も、3月はライオンのごとくやって来るというからなあ・・・・

ゆっくりやれる仕事の方はきのうのうちに約25%を終了。ふむ、ほんとは50%であるべきなん
だけど、ま、いいか。格調の高い英語がご所望なんだそうだけど、日本語の原稿はあまり格調
が高いとは言えないなあ。コンピュータが普及し始めた頃に「GIGO」という言葉が流行ったけど、
これは「Garbage in, garbage out」、つまり、くだらないことを入力したって、くだらない結果しか
出てこないという意味。まさに、フツー(あるいはそれ以下)の日本語文を書いておいて、格調の
高い英語文もへったくれもあるもんかという、気分になってしまう。まあ、文章を書いた人たちは
みんなエライ学歴と高い学位をお持ちのエライ人たちのはずなんだけど、そういうエライ人が自
分で発注業務なんてやってるわけがないから、いくら文句を言ってもむだだけど。んっとに、まっ
たく、もう・・・。

きのう、ロイターズ経由の記事に「日本の女子高校生のほぼ4分の3が自分は太っていると思っ
ている」という見出しがあって、その記事が読売新聞の英語版にも転載されていた。(日本語版
では見つけられなかった。)東京のある研究機関が、日本、アメリカ、中国、韓国の7千人以上
の高校生を対象に調査をしたところ、自分が太っていると思うと応えた割合は、日本71%、韓
国57%、中国39%、アメリカ29%なのに対して、実際の平均BMIを見るとアメリカが一番高く
て22.6、日本は一番低くて20.0だという。日本の政府でさえ最近は日本の若い女性は痩せ
過ぎだと言っていたのに、それでも「太っている」と思うというのはどういうことなんだろうな。それ
が女性の美の基準となっているのか、それとも幼児的な体型への憧れなのか・・・。

この調査では、日本の高校生は4ヵ国の中でも「自尊感情」が最も低く、「自分は価値のある人
間」と思う割合はわずか7.5%(アメリカ57%、中国42%、韓国20%)。この他にも、自分をポ
ジティブに評価しているか、自分に満足しているか、自分には能力があるかと思うか、といった
項目についても、日本の高校生の肯定的な回答の割合はすべて4ヵ国中の最低だったそうな。
バブル崩壊以来の経済的の停滞に一因を求める向きもあるようだけど、どうなんだろう。ワタシ
は自信のなさの元凶はずばり「教育」にあると思うけどな。バブル時代に「ジャパン・アズ・ナン
バーワン」と煽てられて舞い上がったオトナが作った教育指導要領の影響をもろに受けたのが、
バブル崩壊後の様変わりした現実世界で暗中模索を強いられている今の若い世代ではないの
かと思う。バブルの後遺症といえなくもないけど、問題はまだ社会に出ていない世代がすでに
自分を見失って、閉塞しているということかな。

稲作社会の日本には、元々から村の「和」を尊ぶあまりに個人(自我)の尊厳を否定する文化が
根底にある。ワタシは、子供の頃から持って生まれたいろんな要素が「和」を乱すとして叩かれ、
成人してからも人間らしく生きるために懸命だっただけなのに「(オレより)上に出るな」と叩かれ
て、それでも生き延びてきた「ぼっ杭」だから、個人の人格を否定するようことには人一倍敏感
なところがあるとしても、今の日本の社会文化は自分を肯定する人、信頼する人、大事にする
人を叩いて、貶めようとする「いじめ文化」が疫病のように蔓延しているように思う。人が自分の
考えを述べることも、自分をポジティブに評価することも、自分はまっとうにがんばったと思うこと
も、受け取る側にはすべて悪。目立つな、人の迷惑になるな、人を不快にするな、人の考えや
感情を最優先して考え、行動しろ・・・。

そうやって自己否定を強要することを、友だちや家族、夫婦の関係では「モラルハラスメント」、
俗に「モラハラ」と呼ぶんだけど、バブル崩壊後の「失われた20年」の間にいつのまにか「常識」
とか「マナー」と呼ばれるものになって正当化されて来たように見える。去年の教材関係のプロ
ジェクトで資料として渡された教科書を見て、バブル期に始まっていわゆる「ゆとり教育」で頂点
に達した教育政策がその元凶で、基本的にアメリカの教育思想を取り入れたはずなのに、その
趣旨とは逆の結果が生まれたように見えるのは、やはり「個人(出る杭)」を尊重するという考え
が抜け落ちていたからではないかと思った。他人とは違う自分の存在を認識していなければ、
どうやって肯定すれば良いのか・・・。

何年か前に漁業に関する文書を訳していて「死滅回遊」という言葉に遭遇した。魚が海流など
の影響で本来の生息域から遠く離れてしまい、元の海に戻れないまま、新しい環境での条件に
適合できないために死滅してしまうことを言う。英語では「abortive migration」となっていたのに、
海洋生物学の専門家にそんな用語は聞いたことがないと言われて頭を抱えた。どうやら迷子に
なった外洋の魚がうっかり日本の海岸に来て、釣り上げられたり、死んで打ち上げられたりする
ことを指す、四方を海と海流に囲まれた日本ならではの表現らしい。でも、こんなところで「死滅
回遊」なんて物悲しい言葉を思い出したのは、海流に押し流されて、あてもなく大海を漂流して
いるような若者たちのイメージと重なったからかな。どこへ行くんだろう・・・。

ちょうどほどほどのところで・・・

2011年02月26日 | 今日の風の吹きまわし
土曜日。目を覚ましたのは午前11時40分。ん、何だか薄暗いな。そういえば、お昼前後から雪
が降り出すという予報だったから、もう降っているのかなと思って起きてみたら、曇っているだけ
で、まだ。まあ起き出してしまったからと、顔を洗ったり何だりして、バスルームから出てきたら、
うわっ。粉雪がわ~っと降っていて、地面はもう真っ白。ポーチの温度計はマイナス4度。何だ
か知らないけど、この頃の天気予報は「何時ごろから」とピンポイントで、当たるときはほんとに
その通りになるからおもしろい。

外で舞う粉雪を見ながらの朝食で、2人してトーストをかじっては「ラッキー、ラッキー」の連発。
というのもこのトースト、もう少しで食べられないところだった。きのうの夕食後、カレシがいつも
のようにブレッドマシンに材料をセットしてスタート。ところが、2、3回くらい混ぜたところでガキン
という音と共にストップ。容器がしっかりはまっていなかったのかと思って、カチッとはめ直してか
ら再スタート。3回くらいでまたガキン。蓋を開けてみたら容器が外れている。もう一回トライして、
やっぱり容器が外れる。5年くらい使っているから寿命なのかな。とにかく、パンを焼いてくれそ
うにない。どうする?木曜日だからモールは9時まで営業しているね。よし、容器にラップをかぶ
せて、(イーストが働き始めないように)冷蔵庫に入れて、それっ。

モールまでは車で5分足らず。ベイの地下のキッチン用品売り場へ直行して、同じ型のブレッド
マシン(といってもクイジナートのこれしか置いてない)の箱を持って、レジへ直行してベイのカー
ドで支払い(土曜日まで15%オフ!)。まあ、ショッピングの最短時間記録だろうな。家まで急行
して、冷蔵庫から出した生地が室温に戻るのを待つ間に、新しいキカイを箱から出して、容器を
洗って、まだ少し冷たい生地を移して、スタート。3時間10分後、無事にパンが焼き上がった。
それにしても、新品のキカイが数年使ったものとまったく同じというのは、モデルチェンジの激し
い今の時代ちょっと驚き。デザインも機能もボタンも、何ひとつ変わっていない。(価格は少し安
くなっていたような・・・。)

緊急事態が今夜だったら、雪が積もって「ひとっ走り」というわけには行かなかったかもしれない。
もっとも土曜日のモールは6時までしか開いてないんだけど、ま、雪雲の来るのが1日早かった
ら、けさこうしてトーストを食べられなかったということ。冷蔵庫に入れられたり、容器を変えられ
たりしたわりにいつもより良く焼きあがっていたのは、新品のキカイが焼いたからかな。数えて
みるとブレッドマシンはこれが7代目で、一番長持ちしたのは6代目。つまり、これからまた5年
は大丈夫と言うことかなあ。見直したぞよ、クイジナート。

バンクーバーとしてはめずらしく細かな粉雪。ひとしきり降って止んで、気温はマイナス3度。今
日とあしたは冬ごもりして、少しゆっくりのペースで仕事をすることにする。ゆっくりだから、PC
の前に座れば寄り道三昧。今日も世界のいろんなニュースが駆け巡っている。最近おもしろい
のが健康関連のニュース。コレステロールが多いからあまり食べない方が良いとされて来た卵。
今度は飼料などの改善で「食べた方が良い」。肥満の原因になる「甘いもの」と一緒にされて来
たチョコレートも、カカオ65%以上のダークチョコは酸化防止成分のフラボノイドが豊富で、血
圧とコレステロール値を下げる効果があるから「食べた方が良い」。健康に良いのか悪いのか
二転三転するコーヒーも、糖尿病やがんにかかるリスクを減らす健康効果があるから「飲んで
良い」。成人病の元凶扱いされて来たアルコールも、実は心臓病の予防効果があるから「飲ん
でも良い」。

もちろん、どれにも「ほどほどに」という但し書きが付いているけど、イギリスでは1日あたりのカ
ロリー摂取量の基準を引き上げる動きがあるというから、「ほどほど」の線引きもあまりあてにな
らない。病気で食事療法を必要とする人でもない限り、健康、健康と、細かな数字にこだわりす
ぎたり、マスコミが流す「危険情報」にいちいち反応してむやみに怖がったりしていたら、今度は
ストレスホルモンが増えてしまって、せっかくの健康への努力も逆効果になってしまいそう。つま
るところ、ゆったりと構えて他人に振り回されることなく、何でもほとほどの量をおいしく食べて、
楽しく飲んで、ほどほどの運動をしなさいってことで、医学の進歩に関わらず、健康に生きるた
めの秘訣は昔から基本的には変わっていないんだろうな。「変われば変わるほど、元のまま」と
いう名言があるから。

午後4時すぎ。また雪が降り出した。今度は少し大きめの雪ひらだからけっこう積もりそう。ポー
チの温度計はマイナス2度。天気予報を見たら、日曜日の明け方の最低気温はプラス1度、日
中の最高気温はプラス5度で、天気は雨。なあんだ、今回も備蓄してある融雪塩の出番はなさ
そうだな。ま、ほどほどに降って、ほどほどのところで消えてくれれば・・・。

すずめ百までバイリンガル

2011年02月25日 | 今日の風の吹きまわし
金曜日。けさもまぶしい。最低気温は空港で午前7時にマイナス8度だったそうな。ここでの観
測データがバンクーバーの公式記録ということになる。午前7時と言うとちょうど日の出の頃か。
夜明け前が一番暗いというけど、夜明け前は一番冷える時間でもあるのかな。

きのう寝る前に仕事にひと区切りついたので、今日は休み。ちょこちょこと休みが入るのはやっ
ぱり楽だな。再来年の春に年金をもらうようになったら、やっぱりこんな風に仕事をしては休み、
休んではまた仕事をするといったライフスタイルにしようかな。小町で普通の女性が働き続ける
のは何たらかんたらというトピックがあって、どうも働きたくないらしい(20代の)投稿者が、「(結
婚した女性は)のんびりとしたいことを仕事にして自分のペースで生きていくことが、精神的にも
肉体的にも大事」と言って井戸端論議をかもしている。まあ、女性雑誌か何かの働く奥さんのイ
メージに逆行することに気が咎めるのかもしれないな。「働かない」ことを正当化しようと躍起に
なればなるほど、「働きたくない」ことを肯定してもらいたいのがはっきりして来る。のんびりとや
りたいことをやって生きて行けたらさぞかし楽だろうと思うけど、人間として生きている以上はそ
うは問屋が卸してくれない。自分の人生なんだから、働くも働かないも、自分で決めて堂々と生
きて行ったらいいのに。

どうもこの人はフリーで「のんびり」とやりたい仕事をしている友達が羨ましいらしい。のんびりと
やっているフリーランスもいるんだろうけど、ワタシはのんびりとやれたことがないな。左脳と右
脳をこき使って、2つの言語の間を行きつ戻りつしている身として、つい最近あちこちのメディア
に載った「バイリンガルは認知症の発症を遅らせる」という研究発表の記事にちょっぴりはげま
された気分になったくらい。これは別に新しい発見でも何でもないんだけど、2ヵ国語が話せて、
日常生活で両方をよく使う人はアルツハイマーのような認知症の発症が4年か5年くらい遅く、
両方とも流暢ならもっと効果が高いらしい。ただし、少し先延ばしできるという程度で、予防には
ならないらしい。それに、バイリンガルだと知能水準が高いというわけでもないそうで、単にバイ
リンガルの人は脳内での処理能力のやりくりに長けているということらしい。おもしろいと思った
のは、バイリンガルの人はモノリンガルの人と会話をするときにもう一方の言語が混じることは
ないということ。つまり、英語をちりばめた日本語を得意になってしゃべって顰蹙を買っているら
しい海外帰りの日本人はまだバイリンガルの域には入っていないってことかな。日本の新聞記
事にはそこのところが抜けていたような気がするけど・・・。

数年ほど、読み書きには困らないのにしゃべろうとしても日本語が出てこないと感じていた時期
があった。翻訳を生業としているんだから、忘れたということにはならない。かなりの悪文でも読
んで理解できる。(できなかったら英訳の仕事はできない。)仕事以外には日本語を使わないか
ら、耳から日本語が入って来ない。そのせいで話し言葉とつながらなくなって、音声として出て
来なくなりつつあるのかと憶測して、引退すれば日本語はどんどん遠くなるだろうから、それも
ありでいいかなと思っていた。それが、おととしの春にひとりで日本へ行って来てから少しずつ
変わって来て、去年行って帰ってきてからは、単語を思い出せなくてつっかえることはあっても、
けっこうすらすらと話せるようになっていることに気が付いた。耳や喉の奥にずっと垢のようにた
まっていたものが取れて軽くなったような、なんかすっきりとした感じがする。たぶん日本語を話
せなくなったんじゃなくて、日本語「で」話すことができなくなっていたのかもしれない。それが、
「日本語での会話」に抵抗がなくなって来たということなんだろうと思う。

ということは、どうやらワタシも数年はボケるのを先延ばしできそうということか。書くことにかけ
ては、日本語でも英語でも饒舌きわまりないのはわかっているし、口の方だって、延々1時間も
英語でしゃべり続けたくらいだから、それに輪をかけたような饒舌な日本語のおしゃべりに辟易
する人が出てくる日もそう遠くないかもしれないな。あんがい百歳までボケないかも・・・。

体感温度マイナス17度!?

2011年02月24日 | 今日の風の吹きまわし
木曜日。目が覚めたら、うん、明るい。雪、降った?と起き出したカレシに聞いたら、「グリーンだ
よ」という返事。ほっ、雪は降らなかったんだ。だけど、天気予報を見ていたら、明日の明け方の
最低気温は2月末としては新記録のマイナス8度で、「風速冷却指数(windchill factor)」、要す
るに「体感温度」はマイナス17度だって!(ご託宣の主は気象庁の予報官で、その名もコール
ドウェル(Coldwell)さん・・・。まさか、天気に関係のありそうな名前の人を優先採用しているっ
てわけじゃないだろうなあ。)ま、それでも、どれだけ寒かろうが、雪が降ろうが、せいぜい日曜
日の午後までの辛抱らしい。それにしても、バンクーバーっ子は天気の話をするのが大好きと
いうことになっているけど、ワタシもここんところ天気の話ばっかりしているような感じ・・・。

天気がいいし、クリニークではおまけがつくし、ということで、トレッドミルの運動に替えてモール
までひとっ走りすることにした。午後1時半の気温はプラス2度。走るといっても、トートバッグを
肩に猛烈な早足で歩くんだけど、うわ、風が冷たい!手袋をしていない手がじ~んとする。(だっ
て、手袋なんか持ってないもん。)露出した頬っぺたもじ~んとして、寒冷じんましんが出そう。
だけど、背中に日差しをいっぱいに浴びて歩いていると、フリース裏のジャケットの中はじ~んと
暑くなって、冬物のTシャツ一枚でも汗が出てくる。カレッジの前には着ぶくれした人たちがぞろ
ぞろ。言葉からして寒がりやで知られるアジア人留学生らしいけど、まだ氷点下になってないよ、
キミたち。今からまるで北極圏にいるみたいにぶくぶくに着込んでいたら、もっと冷えるあしたは
どうする~?

ベイのクリニークのカウンターでクリームやらローションやらを買って、おまけを2セットもらって、
地下の郵便局で私書箱を開けてきしっと詰まっていた郵便物(カタログに混じって、お、売上税
還付の小切手も!)を引っ張り出し、ついでにキチン用品売り場に寄り道。新しいスチーマーが
欲しいし、フライヤーも欲しいし、フードプロセッサも欲しいし・・・とぶらぶらと眺めて歩いていて
見つけたのが、おひとり様サイズの蓋付きのキャセロール鍋。レンジでもオーブンでも電子レン
ジでも使えて焦げ付かないというもので、直径が10センチくらい、容量は300ミリリットル。おお、
コースメニューのときに「なんちゃって○○鍋風」を出すのにうってつけじゃないの!食べる人が
蓋をあけるまで中身をヒミツにできるのも、ちょっとしたお楽しみ要素を演出するのにもってこい。
黒いのにしようかなあ、それとも外側が赤いのにしようかなあと、1分くらい迷って内側も外側も
真っ黒なのを4つ買った。

これだからカレシに急かされないひとりショッピングは楽しい。せかせかしていないときは、思い
がけないめっけものがあるってことなのだ。「ゆっくり走ろう北海道」だもんね・・・関係ないけど。
ブランドショップのウィンドウに赤が多いのは、ひょっとしたらこの春の「流行色」ってことなのか
なあ。赤はいいなあ。ピンクと違って、赤は華やかなエネルギーを感じさせるから好きな色。情
熱的ってことかな、やっぱり。流行には関心がないけど、好きな色が主流になれば選択肢が増
えてうれしい。

明るい春のファッションを眺めて息抜きをした気分になって、またテクテクと早足で家路に。いや
あ、そんなに強くはないけど、南斜面のふもとの川面から吹き上げてくる風の冷たいの何のって。
夜間の「体験温度マイナス17度」は脅しじゃなさそう。この分だと、日曜日になって雨が降り出
すまでは冬眠だなあ。仕事の方は、はて、はかどるんだろうか・・・?

ちょこっとしばれるんだって

2011年02月23日 | 今日の風の吹きまわし
水曜日。春眠何とやらと言うけど、目が覚めたのは正午過ぎ。今日は通ったはずのごみ収集の
トラックの音にもリサイクル車の音にも反応しなかったもので、すわ、大雪か?と思ったけど、目
を開けたらなんだか春爛漫みたいな明るさ。起きてテレビをつけたら、ビクトリアではなんと25
センチの「ドカ雪」が降って、街中が大混乱しているというニュース。しかも、まだまだ木曜の朝ま
では降り続けるんだそうな。そろそろ街中の花を数えて、まだ冬最中のカナダ全国に見せ付け
る恒例の「フラワーカウント」の時期なのに、大変だなあ・・・。

ビクトリアではカレシの仕事の都合でほんの6ヵ月ほど住んだ時にも記録的な雪が降ったっけ。
もう31年も前のことだけど、州都ビクトリアは公務員の街で、まだカナダ国籍になっていなかっ
たワタシには働き口がない。しかたなく失業保険でぶらぶらしているうちに年が明けて、ある日、
雪が降り出し、まあよく降ること。翌日には40センチも積もったからびっくり。カレシの職場は歩
いて20分ほどの近さで良かったけど、「臨時専業主婦」のワタシは車でスーパーまで買い物。
当時はホンダのシビックに乗っていて、スノータイヤには替えてあったけど、道路はぐしゃぐしゃ
で、車線のラインは見えないし、止まるたびにスリップして魚の尻尾のように後部が振れるから
怖い。何とか事故を起こさずに乗り切れたはいいけど、生まれて初めてすごいホームシックにか
かって、ひとりだけでも先にバンクーバーに帰るとカレシにだだをこねた。カレシが州税監査官
に転職が決まってバンクーバーに戻ったのは、セントへレンズ山が大噴火する前の日・・・。

今日が英語教室最後の授業になるカレシは「雪が降ったらキャンセル」と予告してあったそうだ
けど、曇って来たのに雪が降り出す気配はない。それでも午後4時の気温はゼロで、じわじわと
冷えてくるのがわかる。家の外にある水道栓は内側からシャットオフしたし、まだ芽を出したば
かりの野菜の苗はトレイごと家の中の園芸ルームに避難させたし、これで準備万端、さあ、冬の
最後のあがきを見せてもらおうか、とヘンに威張ってみたけど、雪、降りそうにないなあ。まあ、
最後の日にキャンセルと言うのはなんだよなあ~と言いつつ、ワタシにとってもご用納めになる
超特急の夕食をして出かけて行った。

テレビの天気予報のレーダー地図を見たら、あ~ら、厚い雪雲は国境のすぐ南、ワシントン州を
東へ移動中。メトロバンクーバーの予想積雪は2センチくらいだそうで、ちょっと拍子抜け。まあ、
雪に埋もれて花の数を数えるどころじゃないビクトリアの人たちには悪いけど、Better you than
me(こっちに関係なければ、そっちのことはどうだっていいっつぅ~の)!予報では、あしたの木
曜日から晴れで、気温はどんどん下がり、金曜日と土曜日の明け方の最低気温はマイナス7度。
うわ、しばれる!(といっても、道産子にはマイナス7度じゃ「厳寒」のうちには入らないけどね。)
土曜日の夜から雨交じりの雪になり、最高気温が7度まで上がる日曜日から先は、なあんだ、
ただの雨、雨・・・。

どこから来たのか知らないけど、北海道語の「しばれる」という言葉はガチンと冷え込んで金縛
りになったような雰囲気がよく出ていると思う。寒波が続けば、何もかも「がんがらがん」になる
し、手は「かじかむ」けど、それでもちゃんと「まかなって」いれば心配なし。「雪かき」を「雪はね」
というのはいかにも北海道らしいエネルギーが感じられるし、「捨てる」ことを「投げる」というのも
豪快でいい。まあ、ごみを「投棄する」というから、「投げる」方が正統派のような気もするけど。
昔は雪が降ると「スコップ」を持って外に出たものだけど、今は主婦の仕事になっているらしくて、
積もった雪を押してかき退ける道具を「ママさんダンプ」というんだそうな。いやあ、これはもう豪
快を通り越して、どさんこ女性のパワーが全開といったところ。うん、北海道語、なつかしいなあ。
だけど、仕事があと3つ。のんきに油売ってたらからっぽやみといわれそうだし、たいぎでもはっ
ちゃきこいてやらないと予定がわやになるべさ。

食事の作法と縁結びの関係

2011年02月22日 | 今日の風の吹きまわし
火曜日。今日もいい天気。いくら寒波が来るといっても、晴れれば日中の気温はまさに春うらら
の陽気だから、生理的なリズムも何となく狂いがちなのか、ふたりして朝から「かったるいな~」。
ほんとにもやもや~っとかったるいんだけど、仕事があるしねえ、といったら「ボクもまだ2回レッ
スンがあるなあ」と。うん、今夜とあしたの夜のレッスンが終われば、英語教室は一応は「無期
休校」。だけど、その先はその日その日に予定を決めればいいわけだから、お気楽で良さそう
に見えるけどなあ。

もっとも、そうなったらそうなったで、あんがい「旗本退屈男」になってしまうかもしれないな。ふむ、
そのときには、「じゃあワタシがばりばり仕事をして稼ぐから、アナタは主夫になって家計と家事
とワタシのめんどうを見てちょうだいね」と言ってみたいような気もするけど、ま、それは夢のま
た夢のは百も承知。だって、家事なんて、やらないし、やれないし、やりたくもないし。家計だって、
会計士だからお手のものだろうと思ったら、「職業だから家に帰ってまでやりたくない」と丸投げ
したままだし、ワタシのめんどうを見るなんて、めんどうをみてもらうのは自分の方だと思ってい
るらしいから、どうなることか。だから、やっぱり「痒いところが痒くなる前に手が届くくらいのかい
がいしい世話を焼いてくれる専業主婦のかわいい奥さん」の方がこの人にはふさわしかったの
かなと思わないでもないんだけど、実際にそういう痒くなる前に掻いてくれるようなかいがいしい
世話を焼かれると逆にうるさがる人だから、どうなることか。

長いこと夫婦という関係でひとりの男と親密に付き合っていると、「縁は異なもの味なもの」とは
よく言ったもんだと思えてくる。恋をしたいからといって恋人募集をかければ、いいってもんじゃ
ないし、結婚をしたいからといって婚活すればいいってもんでもなさそう。まあ、「運命の赤い糸」
なんて言うけど、たぐりよせるのにあまり強く引っ張るとプツンと切れてしまいそうな感じがするし、
何本もあってどの色合いにしようかと決めかねることもあるだろうし、これだ!と思った糸がすぐ
に色あせてしまうということもあるだろうし・・・。やっぱり先立つものは「縁」かな。だけど、この
「縁」というやつ、ほんとうにあったのかどうかは何年も一緒に暮らしてみなければ確信が持てな
いものらしくて、その間にいろいろと「疑い」を喚起するような波風が立つからやっかいだな。

小町で、最近婚活で知り合った人と食事をしていて彼氏がビックリする行動をしたので、『食事
マナーができていない彼氏』というトピックを立てて、「お別れしたほうが良いでしょうか」と聞い
ている人がいる。イケメンでもなく、高給取りでもないけど、優しくて大切にしてもらえそうな彼氏
だけど、食事中に(一応上品そうにフォークに刺してだけど)パンでお皿を拭って食べたのが「あ
りえない」と。トピックそのものは、フランスでは、イギリスでは、作法では、マナー教室では・・・と
定番の「半径5メートルの知識」をひけらかしてのマナー論争になっていたけど、それはさておき、
同様にマナーのできていない夫たちが続々と登場するからおかしい。(国際結婚関連のトピック
にもマナーのできていない外国人オットたちがたくさん登場して来るから、男のマナー問題は人
類共通なのかな?)

結局は、マナー違反じゃないと言われた投稿者が「お皿を舐めるような行為と感じて嫌だった」、
つまり、相手のマナー云々よりも相手の行動に生理的な嫌悪感を持ったという「本音」を吐露し
た形になったけど、それだったら気持が冷めて別れようかと思うのは理解できる。誰かがいみじ
くも「結婚は生理現象だ」と書き込んでいたけど、あんがい男女の縁というのはそういう生理的
な感覚での「相性」のことなのかもしれないな。ちなみに、カレシも小町女性のものさしで測ると
食事のマナーができていない部類に入る。外では、毎週外食するようになってからだんだんに
高級な方へ足を向けるようにしたら、周囲の雰囲気から自分でグッドマナーを吸収したようだけ
ど、家では食事中に何かに気を逸らされて席を立つのはしょっちゅうだし、ゲップはするし、屁は
こくし・・・。でも、ワタシが作った料理をいつも「おいしい」と言いながら食べてくれるから、まっ、
いいか~となる。

それでも、もしも初デートでのカレシがそんなテーブルマナーだったら、これはダメだと思ったの
かなあ。(初デートは2人ともコチコチだったけど・・・。)たぶん、今風に結婚がしたくてコンカツに
勤しんでいたとしたら、「縁がなかった」と言ってお別れしたかもしれないな。まあ、恋は盲目の
状態になっていたら、あばたもえくぼでちっとも気にならなかったんじゃないかと思う。いざ結婚
してそれが「問題」になったときにのそれぞれの反応に、2人の間にほんとに「縁」があった(We
were meant for each other)かどうかが見えてくるのかもしれないな。

絶対に安全で安心なところがあるのかな

2011年02月21日 | 今日の風の吹きまわし
月曜日。ちょっと曇り空。テレビの天気予報は「北極の寒気が来る」とうるさい。先週は不意打ち
を食らって、雪で難儀した地区の住民からブーイングの嵐だった?から、今度こそは先回りして
やれというわけかな。雪かきシャベルとスノータイヤを用意したほうがいいって、どこの話なの?
まあ、週間予報を見ると、日中の最高気温はプラスだけど、週中を過ぎて晴れると最低気温が
マイナス3度か4度まで下がることになっている。問題は曇りの日。中途半端な気温だから、ま
た雪のところと雨のところが出そうだけど、予想積雪1センチじゃあたいしたことないって。2月が
終わる月曜日にはプラスになって、春3月・・・たぶん。

今日のアメリカドル為替レートをチェックしたら、うわ、またカナダドルが上がっている。中東で盛
り上がっている民衆デモがリビアにも飛び火して、こっちは大変な流血になっているせいだと思
うけど、アメリカドル建ての収入に頼るワタシとしては、手取りが目減りするからちと辛い。リビア
はエジプトと違って大産油国だから、動乱が起きて安定供給が危ないということになれば、世界
中で石油価格が高騰し、需要側は安定した代替の供給元を探すだろうと思う。カナダは世界で
6番目の大産油国で、生産高はリビアの倍もある。埋蔵量だって世界3位で、この先何年持つ
かとなると世界一で200年近い。石油マネーがカナダの油田に投資をしてきても不思議はない。
だけど、それでカナダドルがどんどん上がれば、ワタシの手取りはどんどん下がる。おまけに円
安傾向のダブルパンチで換算した収入がさらに目減りすると、回りまわってカナダ政府が手に
する所得税だって減ることになる。だから、誰か、何とかしてくれないかなあ・・・。

午後4時半。カレシの後に続いてトレッドミルの時間。着替えをしていて、ひょいと窓の外を見上
げたら、おいおい、雪が降っているよ。それも、すご~く大きな雪。まるで大きな花びらがわさわ
さと舞い降りてくるような感じ。たぶん3センチはあるだろうなあ。真っ白な大輪の花。家の中か
ら眺めている限りは、ちょっと幽玄で、ちょっと華やかですてきだけど、積もりませんように・・・。

ニュージーランドではまたクライストチャーチで大地震。かなり浅い直下型らしい。かって一度だ
けバンクーバーで直下型の地震を感じだけど、マグニチュードが2くらいの微々たるものだった
のに、地震王国の釧路育ちのワタシが瞬間的にわけのわからない恐怖感で目が覚めた。不動
であるはずの大地がぐらぐらと揺れ動くのは何ともいえない不気味さで、精神的に動揺せずに
はすまないのに、下からずしんと突き上げてくるような直下型地震は魔物に襲われたような気
分だと思う。前回の地震で被害を受けて、まだ修復されていなかった建物はひとたまりもないだ
ろうな。昼休みだったそうだから、たくさんの人たちがその建物の中にいたんだろうな。クライス
トチャーチにはカレシの母方の親戚がいるらしい。系図を調べないと名前もわからないくらい遠
い親戚だそうだけど、みんな無事だといいな。

それにしても、日本の新聞サイトを見ると、安否のわからない日本人学生の一行がずいぶんい
るらしい。大学の語学研修の時期なのかなあ。2月、3月といえば学年末だろうに、期末試験の
ようなものは心配しなくてもいいのかな。日本からの留学生が減ったのは、就活に支障が出ると
いう理由が大きいとからと聞いたけど、語学学校への短期の「研修ツアー」なら問題ないってこ
となのかな。(中学生まで団体で語学研修旅行だって。)最近のニュージーランドは日本人の間
で語学留学やワーキングホリデイの人気スポットになっているらしいけど、バンクーバーの語学
学校の経営が苦しいらしいのは、(大得意の韓国が不況という要因があるとしても)ニュージー
ランドにお客を奪われているということもあるのかな。こういうことにはやっぱり流行り廃りがある
ということで、「世界一住みやすい都市」(エコノミスト誌のランク)で、(今のところ)地震がなくて
安全なバンクーバーがまた人気スポットに返り咲くかもしれないってことかなあ・・・。

まあ、お客の都合はどうでもいいんだけど、地球はひとつの丸い球だし、地殻の上に乗っかった
プレートもくっついて押し合い圧し合いしているんだから、バンクーバーだっていつグラッと来る
かわからないんだけど・・・。

おいしく食べて健康なのが医食同源

2011年02月20日 | 今日の風の吹きまわし
日曜日。今日もまぶしい。なぜかとろ~んとした気分で起きた。春眠何とかと言うし、春っ気がさ
しているのかもしれないけど、ちょっとばかりとろんとし過ぎ。月変わりであたふたしていたときに
は110台/70台に上がっていた血圧もだんだん下がって来て、けさは2度測っても100以下
/70以下。どうしてかなあ。ま、別に問題がないからいいけど、日曜日でもあるし、残っている
仕事の量を確認して、今日も休んじゃお・・・。

新聞を見たら、メトロバンクーバーでは、2012年の終わりまでに家庭から出る生ごみを普通の
ごみと一緒に出すことが禁止されるというニュース。植生ごみと一緒に集めて、堆肥としてリサ
イクルするんだそうで、すでに導入済みの市もあるけど、全域で実施になったら、「グリーンご
み」を毎週1回、普通ごみは隔週の収集になり、生ごみを普通ごみと一緒に出したら罰金を取ら
れるらしい。2015年には業務用の生ごみも対象になるそうで、カナダ全国の平均の3倍も高い
メトロバンクーバーのリサイクル率を80%に引き上げるのが狙いとか。いいことだと思うね。もう
埋め立てる場所がないんだし、焼却処理場の話は出ては消えするばかり。その話をカレシにし
たら、「池の跡に埋めるからいいよ」。うん、裏庭の真ん中に隕石が落ちたような大穴が開くもん
ねえ。我が家は市が支給する植生用のごみ容器をもらっていない(収集料は固定資産税で取ら
れているけど)。雑草も野菜もみんなカレシが堆肥にしてしまうんだけど、大きなバケツにいっぱ
いの野菜くずからできる堆肥はひと握り。大きな穴を埋め尽くすにはいったいどれだけの魚の
頭やコーヒーかすがいることやら。そんな貴重な原料を「市役所になんかやるもんか」と、なぜ
か妙に対抗しているカレシ・・・。

ではさっそく、というわけじゃないけど、夕食に食べる魚を3枚におろして、頭やひれ、骨をカレシ
に提供した。ラベルに「ゴールデン・ポンパーノ」と書いてあるから、調べてみたら「コバンアジ」。

     

最近セイフウェイの魚のフリーザーに登場したもので、頭から尻尾まで30センチくらいあって、
せいぜい4ドル(400円弱)のお買い得。丸くてなんとなくかわいいけど、全体的にはがっちりと
した感じがする。それもそのはずで、骨がえらく硬い。一見ほっそりした尾ひれの付け根は包丁
では切り落とせなくて、キッチン鋏でバチッ。内臓は腹側のせいぜい前半分くらいにしか入って
いなかったから良かったけど、3枚にするのにちょっと苦戦。クリスマスのプレゼントにもらった
専用のナイフが大活躍してくれた。ぽん酢をさっと塗って、細く切ったしょうがと刻みにんにくと赤
唐辛子をたっぷり載せて蒸してみた。身がしまっていて、味はあっさりだけど、脂身はとろっとし
た感じで、なかなかいける。オメガ3がたっぷりなんだそうな。

オメガ3といえば、最近カナダの保健省が卵をコレステロールの「要注意品目」から外したという
ニュースがあって、卵好きのカレシを喜ばせた。飼料の改良で昔ほどコレステロールが高くなく
なったので、他の栄養素の豊富さを考えると「食べた方がいい」ということらしい。カレシのコレス
テロール事件以来めったに食べなくなって、消費が減った分、鶏舎の中を走り回って、オメガ3
が豊富な亜麻の種を添加した有機飼料を食べるニワトリが産んだ「デザイナー卵」を買うように
なった。これがまたスーパーで普通に売っている卵と比べたら、殻は硬いし、黄身は色が濃くて、
いかにも卵!という味がする。まあ、食べた方がいいと言われたからって、今さらもっと食べよう
というわけでもないけど、好きだけど健康に良くないんだよなあ・・・というような後ろめたさがな
い(guilt-free)のがいいな。

赤身の肉をほとんど食べなくなってもう2年近いけど、ベジタリアンに転向したわけじゃないから、
2人分のチヂミに薄切りの豚肉3枚、フォーにしゃぶしゃぶ用の牛肉を4枚といった具合に、とき
どきは食べるし、ご馳走のときはラムの骨付きヒレのローストを作ることだってある。完全にやめ
たのは豚と牛の挽き肉で、その代わりに買うのが大豆と小麦のたんぱく質で作った「人工ひき
肉」。スーパーでは「ベジタリアン食品」のコーナーにあって、低カロリーでコレステロールはゼロ。
おまけに鉄分、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB6とB12、それに亜鉛がたっぷり
配合されている。我が家ではmock beef(牛肉もどき)をもじって「マクビーフ」と呼んで、挽き肉
が必要なミートソースのパスタやタコスを食べたいときに重宝しているけど、これも食べつけると
なかなかいい味がある。

我が家の食は、何でもオーガニックじゃなきゃダメなんてこだわらないし、無理にベジタリアンに
思想転換することもないし、好きなものを(食べ過ぎない程度に)おいしく食べていればいいわけ
なので、食べることへのストレスがない。ま、これも医食同源(英語でいうと、You are what you
eat・・・かな?)に通じるんじゃないかと思うけど。

他人が自分と同じはずはないのに

2011年02月19日 | 今日の風の吹きまわし
土曜日。いや、まぶしいのなんのって、すっかり春が来たような気分。道路向かいの大きな桜の
木をよくよく観察したら、日当たりの良い上の方の枝に3つか4つ、ピンク色の点が見える。おお、
桜が咲き始めたぞ。バカ暖冬だった去年よりは少し遅いけど、平年よりはちょっと早い。寒い冬
を持って来るはずだったラニーニャ嬢はいったいどこをほっつき歩いているやら(きのうはトロン
ト周辺にふらりと現れたらしい。)ま、週間予報では、来週の水曜日あたりは雪がちらつき、その
後は晴れの日が続いて冷え込む(最低気温は氷点下)そうだから、まだ油断はできない。常春
のバンクーバーだって、エイプリルフールに雪が降ることもあるんだから・・・。

さて、仕事のパッケージの一番大きいのが済んだところですんだし、世間では週末ということで、
今日はワタシも「休み」。何にもせずにダラダラしていたいなあ、とは思うけど、だいたいのところ
は、ちんたらちんたら仕事をやって、切羽詰ったところで猛然とダッシュしては「ワタシってがん
ばってる~」と自分の肩を叩いているのが「平常勤務」なもので、仕事が休みだからといってダラ
ダラしていてはまったく区別がつかなくなような気がする。そこで、まあ少しは家事もやらねばと
いうことで、まずは洗濯。ランドリーシュートを開けたら、は、また3ラウンドか・・・。

チュニジアで始まって、エジプトで盛り上がった中東の「変化」への要求デモは、あっちこっちへ
飛び火してかなりややこしいことになっている。インターネットがグローバル化した今の時代は、
都合の悪い情報を管制しようとしても、あの中国でさえ「もぐら叩き」の状態なんだから、デモが
始まったとたんにあわててネットを遮断したってムダ。迂回路はいくらでもある。だけど、何十年
も政権に居座って来たお山の大将にはふもとのことはわからないんだろうな。だから、急にデモ
隊が押し寄せてきて慌てる。慌てるから、バカのひとつおぼえみたいに軍隊を繰り出して制圧を
図る。群衆は怒り、デモは膨れ上がり、死傷者も続出する。暴力で制圧しようとすればするほど、
火は燃え盛る。わかってないなあ。ま、それほど既得権というのはおいしいもんなんだろうけど、
さっさと札束をかき集めてすたこらと逃げ出せばいいのに。

政治や外交というのは、国家や企業や宗教や文化やその他ありとあらゆる利害がスパゲッティ
みたいに絡み合っているからややこしい。国家が国民の集団で形成されているなら、政治も外
交もその国民性が反映されると思うし、その国民性というのは良きにつけ悪しきにつけ国民の
大多数の「性格」の表現だと思う。とどのつまりは政治も外交も人間関係の延長線上にあるよう
なもので、だから天井桟敷から見ていると、人間ドラマとさして変わりがないように見える。最近、
どこだったか忘れたけど日本の大手新聞のサイトに(例の尖閣列島事件の関連で)日本の外交
史について触れた論説があって、日本外交の根本的な欠陥は相手国が「本質的に自分たちと
同じ」と考えることだと書いてあった。日本人同士の交渉と同じ思考で外交交渉をやろうとした
のがそもそも無理な話だということだろう。だから、尖閣列島問題でも、中国漁船の船長を釈放
して返すという「温情」を見せれば、中国側もそれに応えて、「事を荒立てずに矛を納めてく
れるだろう」と思ったのに、中国は日本が本質的に自分たちと同じだとはこれっぽちも思ってい
ないから、中国流の対応をして来て・・・。

これを個人のレベルに持ってくれば、他人を「本質的に自分と同じ」と考えるのが日本人の国民
性ということになるんだろうけど、妙に納得が行った気がした。小町のような掲示板には、自分と
他人はまったく別個の独立した人格だという概念がないとしか思えないような投稿が多い。つま
り、他人は「本質的に自分と同じ」で、自分が感じることを同じように感じ、自分が好きなものを
同じように好きで、自分が嫌いなものは同じように嫌いで、自分がすることには同じように応え
てくれるはず・・・。だから、翻訳原稿にもたびたび登場する「同じ○○として~」という表現がい
ともあたりまえのように使われるのかな。日本人が外国で何かやらかすと、「同じ日本人として
恥ずかしい」という反応が出てくる。民族的にはワタシも「日本人」なんだけど、(国籍を問わず)
他の日本人が日本の外で事件を起こしたら、「バカなことをやっちゃって」とは思っても、恥ずか
しいという感覚はないし、事件を起こした当人が恥じるべきことをなんでワタシが恥じなきゃなら
ないのかわからない。でも、もしも日本という国が他国を攻撃したり、国の品格を貶めるようなこ
とをしたら、「日本人のひとり」として残念(regrettable)に思うだろうけど。

そういえば、カレシのオンナノコたちが、カレシがワタシの欠点(たいていは嘘八百だったけど)
をあげつらうたびに、「I am ashamed as the same Japanese woman (同じ日本人女性として
恥ずかしい)」と応えていたっけ。まあ、ワタシという人間は元から日本人規格から外れているも
ので、カレシがガラスのケースに入った日本人形を期待していたなら、「注文したものと違うじゃ
ないか」と文句を言うのはわかる。だけど、カノジョたちがそれに対して「同じ日本女性として」恥
ずかしいと思うのはどういうことなんだろう。だって、ワタシの欠点を恥ずかしいと思うと言うこと
は、あわよくば押しのけてその後釜になろうともくろんでいた相手(ワタシ)を「自分と本質的に同
じ」と考えていたということで、つまりはカノジョたちがワタシから欠点を横取りして、自分たちの
ものとして恥じていたと言うことになるの?なんだか頭がこんがらがってきたけど、だとしたら、
何とも滑稽な話だし、本質的に違うワタシをカノジョたちに同化されると言うことはワタシの人格
をハイジャックされるようなもので、大きな迷惑なんだけど・・・。

日本語を訳すのは大変なのよ

2011年02月18日 | 今日の風の吹きまわし
金曜日。うわっ、まぶしい。午後の気温はプラス10度。昨日のめっちゃくちゃな天気は夢だった
のかなあ?それともまだ目が覚めていないのかなあ?これじゃあ、さすがに移り気な「乙女心」
さえ「うっそぉ~」と叫んでしまうだろうな。たまたま昨日雪が積もった区域に住んでいて、スリッ
プ事故で車をぶつけてしまった人には恨めしい春の陽気。たった24時間でこの違い!

カレシは起き出してすぐヒーターをオフにしに温室へ直行。春の日差しがいっぱいで、正午には
もう屋根が開き始めている。キッチンの窓に置いた無線温度計で温室内の温度をモニターして、
5度以下に下がったときに電気ヒーターを入れるんだけど、熱効率のいい業務用電気ヒーター
だから電気代がかさむ。氷点下に下がる寒波が続くときは、せいぜい12平方メートルの温室の
暖房に、185平方メートルの家全体の(電気)暖房の倍以上のコストがかかってしまう。単位面
積あたりにしたら30倍以上ということになるけど、まあ、二重壁とはいえポリカーボネート製の
温室と省エネ構造の家の暖房効率を比べても意味はないか。園芸はカレシの生涯の趣味なん
だし、それに、新鮮な有機栽培野菜を最短距離で地産地消だし・・・。

さて、来週の終わりまで5つ並んだ仕事のその2。ざっと見たところで、当たり障りのない文章だ
からスイスイかな。寝る前に仕上げて送り出した「その1」は、原稿用紙をびっしり埋めても数枚
程度の文字数なのに、英語になったらやたらと語数が多い。五掛けで出す大雑把な見積もりよ
りも2割も多かったからびっくり。ワタシはこんなに口数が多くないはずだけど・・・と思ってよく見
たら、漢字の数がすごい。四文字熟語がぞろぞろ出てくるし、専門的な小難しい言葉も漢字の
オンパレード。これがITの分野だったら、カタカナ語のオンパレードでぐっと経済的になるところ
だけど、表意文字の漢字を表音文字の英語にするには、一文字に複数の単語が必要な場合が
多いから、結局は仕上がりの語数が増える。仕上がりの語数が料金請求のベースになってい
る方としては、ダラダラした文で語数を増やせば儲かるんだけど、そこはそれ、プロの自尊心っ
てものがあるから、できるだけ簡潔な訳文を心がける。だから、黙っていても語数が増える漢字
満載の略語や略称、四文字熟語をじゃんじゃんと使ってくれるエライ人たち、だ~い好き!

でも、そういうエライ人たちがかなりの年だと、難しい言葉を多用するから要注意。漢字は読め
ないし、何のことかわからないしで、中国語起源の古い四文字熟語が出て来たりすると、まずは
日本語訳をば、ということになる。そこではたと困るのが(ワタシには)「読めない漢字」。英語な
ら単語の発音からスペルの見当をつけて調べることができるけど、日本語は上の漢字が読め
なければ、和英辞書を引こうにもどの「音」の項を探せばいいのかわからない。例の「国際結婚
は大変」トピックに倣って、「だから日英翻訳は大変なのよ!」と言ってみたところで、「アンタが
選んだ商売でしょ!」と、誰も同情してくれないしね。もっとも、ネット時代の今は漢字をコピーし
て同業仲間に聞くと言う手もあるけど、だいたいは返事を待っている暇がないし・・・。

まあ、一番手っ取り早いのは、英語版ワードで日本語入力するのに使うIMEのパッドを使って、
部首の画数を数え、同じ部首の漢字のリストから漢字を見つけ、カーソルを置いて音読みと訓
読みを見つけ、それから日本語辞書を引いて定義を調べ、相当する英語がわからなければ和
英辞書を引き・・・はあ。漢字の画数を数えるのは部首だけでもめんどうな作業で、角を曲がっ
たら2画?それとも線の続きだから1画?日本語を読み書きして育ったワタシがこうなんだから、
日本語育ちじゃない人たちはもっと大変かもしれないな。「止揚する」なんて言葉、和英辞書に
は「哲学用語。(独)アウフヘーベン」と書いてあったけど、それって独英辞書を引けってことな
の?しょうがないから、ネットの独英辞書サイトで調べたら、意味合いの違う定義が動詞だけで
も20近くも出てきてしまった。さて、エライ人はどんな意味で使っているのか・・・?

好きでやっている仕事ではあるけど、だけど、だけど・・・。

天気も家族も何となく機能不全

2011年02月17日 | 今日の風の吹きまわし
木曜日。正午に起床。キッチンに下りて来たワタシを見るなり、先に起きていたカレシが、「白い
ものがヒラヒラしていた」と言った。ええっ?たしかに「かもしれない」という予報はあったけど、今
ごろ雪なんて困るなあ。

昼のニュースはとなりのバーナビーでの突然の「大雪」のトピックがトップ。5センチくらい積もっ
たらしく、坂道では車がずるずるとスリップ。山のてっぺんにあるサイモンフレーザー大学はバ
スが登れなくなって休講状態。(あんな山の上に大学を作ろうなんて考えたのはいったい誰なん
だ?通学用のゴンドラを作ってはどうかという構想もあるけど、チェアリフトの方がいいかも。)メ
トロバンクーバーはけっこう面積が広いし、地形が複雑なせいかどうか、微小気候とかいうのが
あって、正確な天気予報が難しいんだそうな。だから、バンクーバーではただの雨なのに、隣り
合っているバーナビーでは「大雪」なんてことはそれほどめずらしことではないけど、「雪交じり
の雨」の予報だったのが朝起きてみたら一面の銀世界というのはちょっとめずらしい。

今日は午後いっぱい仕事をして、夜は楽しみにしていた芝居。予約してあったチケットをピック
アップするのに早めに行って、イアンとバーバラが来るまで近くのWilliams Sonomaをのぞき
に行った。スタンリー劇場からはグランヴィル通りの反対側で2ブロック先。みぞれ的な雪がちら
ちらし始めたと思ったら、店に着くまでに猛烈な雪で歩道があっという間に白くなった。帰りは大
丈夫かなあと心配しながら、店の中でキッチン道具を眺めて楽しんで、劇場に戻ろうと外へ出た
ら、雨がしょぼしょぼ。さっきまで雪が降りしきっていたのが嘘のような話。イアンとバーバラが
劇場に到着したところで、バーバラが「リッチモンドで少し降っていて、途中は雨で、車を止めた
頃は雪だったのに、ここまで歩いて来る間に雨になったの」と。てことは、我が家のあたりは雨と
いうことか。それにしてもマザーネイチャー、ご乱心・・・?

芝居はトレーシー・レッツ作の『August: Osage County』(8月:オセージ郡)。2008年にトニー
賞とピュリッツァー賞をまとめてもらったブロードウェイのヒット作だそうで、全3幕、2回の休憩を
はさんで3時間の太作。オクラホマ州オセージ郡の暑い夏。詩人の夫べヴァリーと処方薬中毒
の妻ヴァイオレット、次女アイヴィー、ヴァイオレットの妹夫婦、雇ったばかりの家政婦ジョナ。そ
のべヴァリーが行方不明になり、まず(実は別居中の)長女バーバラと夫ビル、十代の娘ジーン
が駆けつけてくる。べヴァリーが溺死体で発見され、も自殺したらしいということになる。葬式の
ために三女のカレンが(いかにも詐欺師っぽい)婚約者を連れてフロリダからやって来て、(それ
ぞれに問題を抱える)三人姉妹がそろい、これでも家族なのかというくらいの機能不全家族が
互いに過去の恨みつらみを洗いざらいぶちまけあう中で、中心は母ヴァイオレットと長女バーバ
ラの確執。近々映画化されて、メリル・ストリープとジュリア・ロバーツがこの2人を演じるという
話で、名優メリル・ストリープのヴァイオレットは見ものだと思う。笑ったり、しゅんとなったり、目
頭が熱くなったりで、3時間がちっとも長いように感じられなくて、ずっしりと見ごたえのある作品
だった。

劇場を出たら、歩道や駐車している車の上に薄く雪が積もっていたけど、天気は小雨。我が家
に帰り着いてみたら、雪が降ったような形跡はどこにもない。ふむ、マザーネイチャーも相当の
機能不全とみたけど、はて・・・?

ライラック色の夕空は何の予感?

2011年02月16日 | 今日の風の吹きまわし
水曜日。ごみ収集トラックの音で目が覚めたらまだ午前7時をすぎたばかり。ちょっと耳をそば
だてたら、うわ、窓に雨が叩きつけられる音がする。いつも(外の音に過剰反応して眠れなくなる
カレシのために)BGM代わりにひと晩中流している安眠脳波サウンドの「降りしきる雨」の音よ
りもすごい。雨の音が2つ重なったら土砂降りもいいところだけど、ああ、勤め人でなくて良かっ
たあと思う瞬間・・・。

ちなみにこのサウンドマシン、安眠用、リラックス用、脳の活性化用の3種類の脳波を導き出す
のに効果があるちうサウンドがいくつかずつ入っている。マシンを使い始めたのはもう15年くら
い前からで、今のはぐんと進歩した2代目。先代のキカイでは「波打ち際の音」をよくかけていた
けど、あまり音質は良くなかった。買い替えて5年くらいになる今のキカイは技術の進歩のおか
げか、降りしきる雨に混じってぴちょぴちょと落ちる雨だれの音も聞こえるくらい質が良い。まあ、
海際で育ったワタシはどっちかというと波の音に揺られて眠る方が好きなんだけど、雨の都バン
クーバー育ちのカレシはやっぱり「雨の音」。(じゃぶじゃぶ降る音を聞いた友達に「夜中にトイレ
に行きたくならないの?」と聞かれていたけど、子供だったらおねしょをしてしまうかなあ。)安眠
効果が良すぎて、旅行先にも時計つきの小型のを持って行く始末・・・。

正午前に起きて、朝食を済ませて、シーラとヴァル(とレクシー)が来る頃には雨風が止んで曇
り空。気温は5度。カレシがネイバフッドハウスでのミーティングに出かけたので、その間に切れ
ていたドアオープナーの電球を取替えにガレージへ。オープナーがガレージのど真ん中の頭の
上にあるもので、車があると取り替えられない。どういうわけか知らないけど、電球が切れてい
るのを発見して「切れてるぞ~」と知らせるのはいつもカレシで、その切れた電球を取り替える
のはいつもワタシ。電球を取り替えるなんて、女子供にだってできてしまうくらい簡単なことなん
だから、大の男にできないはずはないと思うけどなあ。そういえば、何かが故障したときにも、
「壊れている」と知らせてくるのはカレシで、点検や修理をするのはいつもワタシ。まあ、子供の
ときによく母に「アンタは器用貧乏」と言われたもんだけど・・・。

車がなくて妙にがらんとして見えるガレージの真ん中で、脚立に登って、照明のカバーを外して、
新しい電球に取り替えて、ふと下を見たら、いつのまにかレクシーが入って来て見上げている。
プードルとコッカースパニエルの雑種だそうで、「コッカプー」とかいうらしい。クリームがかった白
い巻き毛とふさふさした耳と尻尾がいいし、ルックスもワンちゃんとしては「美犬」だな。悪質な繁
殖業者のところから救出されてシェルターにいたのをシーラが引き取ったもので、初めはおどお
どしていたのが、やっとワタシにも慣れてくれたらしく、この頃は「遊んで~」というモーションをか
けて来るようになった。掃除の間、ちゃかちゃかと家の中を走り回ったり、天気のいい日は二階
の陽だまりに寝そべったり、束の間だけペットがいるような気分になる。たぶん、ときどきお守り
をする孫と同じで、「ときどき」だからかわいいと思うのかもしれないけど。

ミーティングから帰って来たカレシ、ロバータが今後の暫定的なプランを全部OKして、土曜日の
午後に教室をやるなら、閉館後でも誰かを受付に残すと言ってくれたとうれしそう。まあ、カレシ
の英語教室はハウスのプログラムの一部になっているし、微々たるものだけど政府から補助金
をもらっているそうだから、継続したいのはわかる。移民向けの公的な英語学級のELSAも最
近は受講者が減って、政府からの資金を切られそうになっているらしい。あっちの教師は有給
だから、資金が途切れたら教師はレイオフ、ELSAは閉鎖ということになるんだろう。でも、まっ
たく無報酬のカレシは条件さえ合えばいつでも教室を再開する用意があるわけで、ロバータとし
てはキープしておきたいというところか。そうか、どうやらカレシの英語教室終了は「引退」じゃな
くて、再開の条件が整うか、カレシがその気になるまでの「無期サバティカル」ということになりそ
うだなあ。あんがい思ったよりも短そうな予感が・・・。

夕方、水平線の雲が切れて、沈む間際の夕日がパッとさして、ちょっとの間ライラック色の夕焼
けになった。嵐の後だからなのか、それとも朝方には冷え込んで雪混じりの雨が降るという予報
だから、嵐の前の何とかなのか・・・。

2400年分の献立!

2011年02月15日 | 今日の風の吹きまわし
火曜日。目が覚めたときは明るかったのに、朝食の頃には曇ってきた。まあ、予報はずっと雨だ
から、ちょっとひと息だったのかもしれないな。気温は正午を過ぎて7度。日が差さなければあま
り下がることはないし、高台で雪がちらつくくらいに下がっても、確実に春はそこまで来ていると
いう感じはする。道産子のカンみたいなものかな。

バレンタインの東京は雪だったそうな。お客さんが滑るし、靴は濡れるしで、歩くのが大変だった
と言っていた。雪が降るといつも雪道で転んで怪我をした人の数が報道されるけど、いちいち報
道するのって東京圏に雪が降ったときだけのような気がする。水分の多い雪はスノー底になっ
ていない靴で踏みしめるとよけいに滑りやすくなるからめんどう。まあ、それなりに雪道の歩き
方というものがあるんだけど、ふだんあたりまえに何気なく歩いているときにはあまり使わない
筋肉までがっちり働かせないと、つるり、すってん。そんなときにもしも、寒いからって手をしっか
りポケットに入れていたら・・・。

今日はカレシの英語教室。「今日を入れて後4回で終わりだぞ~」と、なんだか定年の日を指折
り数えている勤め人みたい。まあ、最初のときは定年までまだ8年もあったのに雇用主側から
「退職」の引導を渡された形での退職だったので、指折り数えて待つチャンスがなかったから、
第二の引退を楽しむのもいいかもね。もっとも、あしたボランティアプログラム責任者のロバータ
と会って話をした結果次第では9月までの「サバティカル」ということになる可能性もなきにしもあ
らずらしいけど、それはカレシ次第。けさは久しぶりに元同僚でつかず離れずの長いつきあいを
続けているリチャードから電話でランチをしようという誘い。さっそく英語教室の準備の時間が不
要になる再来週の火曜日に約束を入れていた。(リチャードはカレシより15歳年下で、弁護士と
会計士のダブル資格を持つ秀才で、今は投資会社の共同経営者になっている。裕福な家のお
坊ちゃん育ちだし、ちょっと見たところは水と油のような2人なんだけど、ウマが合うらしいから、
人間関係はおもしろい。)

カレシを送り出して、やおらチヂミのソース(タレというのかな)を作り始める。検索して見つけた
レシピが3つあって、共通のコチュジャンとにんにくとゴマ油と醤油以外は少しずつ材料が違う。
めんどくさいから3つのレシピに書いてあるものをぜんぶ入れて、すった白ゴマをたっぷり入れ
て、ミニ鍋で火を通してできあがり。たっぷり入れたコチュジャンが効いてちょっと辛い。あとは、
午後11時のランチの時間になったら、チヂミのミックスにニラをたっぷりときのうのディナーで使
い残した細切れビーフのブルゴキを混ぜ込んで、ちょっと変わった(でもないかな)コリアンパン
ケーキを焼いてあげる。これがカレシの大好物で、好きだった日本のお好み焼きよりもふか~く
はまってしまって、特にリッチモンドの日本食レストランで注文したお好み焼きにマヨネーズがか
かって出てきてからは、そっちには見向きもしなくなった。(日本のマヨネーズはしょっぱいから
好きになれないんだそうな。)

今日のジャパンタイムズにクックパッドと楽天レシピの熾烈なシェア争いの記事が載っていた。
クックパッドはワタシもどうしていいのかわからない日本の食材を買ってしまったときにのぞいて
みるけど、レシピの数87万件、利用者1千万人。うち96.5%が女性で、そのうちの75.3%は
既婚。有料の会員は日本の人口の300人に1人に相当する45万人で、会社の売上は20億円
を超え、利益も5億円超とか。この87万件もあるレシピを毎日ひとつずつ試してみるとしても、
ゆうに2400年近くかかってしまう勘定で、考えただけでおなかがはちきれそうな感じがするけ
どな。まあ、ワタシはどうもマニュアル通りに事を運ぶのが苦手な性質らしくて、あまりまじめに
レシピの通りに料理することがない。手順をざっと読んだ後は「極楽とんぼ流」にやってしまうか
ら、レシピとは似ても似つかない料理が出来上がることが多い。それで誰かが腕によりをかけた
あんこう鍋のレシピが「なんちゃらあんこう鍋風スープ」に変身してしまうんだけど、そこはそれ、
言葉が生きものなら、料理だって生きもの。おかげで毎日の料理当番も飽きないし・・・。

今夜はバレンタインデイ・スペシャル

2011年02月14日 | 今日の風の吹きまわし
月曜日。カレシの腕の中で目を覚ました。あ~ら、なんだかちょっぴりロマンチックなバ
レンタインデイというところかな。外はかなりの雨。きのうはスケジュールの少しばかり
の遅れを取り戻すべく一日中わき目も振らずに超集中で超特急の仕事。原稿を読んで
いる方は超退屈なんだけど、訳文を利用する方にとっては人生の分かれ目になりかね
ないから、なんとなく責任を感じてしまうような仕事・・・。

朝食後も再び午後いっぱいかかって超特急で見直しを済ませて、なんとか予定通りに
送り出して、さ~て、今夜は「極楽とんぼ亭」でバレンタインを・・・。

今日のメニュー: アミューズブーシュ(アスパラガスのしょうが風味スープ)
            変わりかまぼこ入り茶碗蒸し
            ほたて、きゅうりとしょうがのぽん酢漬け
            なんちゃってあんこう鍋風魚介スープ
            ブルコキビーフ入りポテトコロッケ
            スズキのフライパン焼き、野菜添え
            (サラダ)

いつもながら大枠のメニューとして食材の核となる魚介類や肉を決めて解凍しておく。
付け合せは、使いそうな野菜類をカウンターに並べておいて、後は行き当たりばったり。
どうなることやらと思うけど、まあ、そこは極楽とんぼ亭シェフ得意の思いつき料理・・・。


     

アスパラガスを3本、しょうがの塊と一緒にチキンストックでゆでて、しょうがを取り出し
てから、ハンドミキサーでビューレ。ほんのちょっぴりの生クリームとフランスのしょうが
のリキュールを少し加えて、ショットグラスでテーブルへ。クリームスープにしようと思っ
ていたけど、しょうがの微妙な味が意外とアスパラガスの青い味によく合っていたので、
クリームはほんのおしるし程度。グラスを使ったのでスプーンはいらないんだけど、日
本で買った漆塗りの小さなスプーンを添えてみた。

     

おめでたそうなきれいな模様のかまぼこ。茶碗を使うと量が多くなるので、小さな深皿
を使ってみた。卵は1個を溶いて半量くらいを取り分け、卵と合わせるだしには底に入
れたしめじをゆでただし汁も足した。今度はすが通らずにうまくできたから合格点・・・。

     

スライスしたきゅうりと、刻んだきゅうりとしょうがを混ぜたものをぽん酢に漬けておいて、
ホタテはそのままフライパン焼き。きゅうりのスライス、ほたて、刻みきゅうりとしょうが、
ほたての順に積み上げて、かいわれ大根で彩り。

     

思いつきで買ってしまったあんこうのぶつ切りは、いろいろ調べて、初トライはごく少量
を鍋風に調理してみるのが無難と判断。切り身に熱湯をかけておいて、一緒に入って
いたしっぽはだしに入れて味を出し、白菜、ねき、しいたけ、しめじ、エビとイカを加えて
できあがったのが「なんちゃってあんこう鍋風」のスープ。写真で見たふにゃふにゃして
いそうな姿かたちのわりには歯ごたえがあった。

     

土曜日にTojo’sで出された和牛のコロッケにヒントを得て、挽き肉の代わりに牛肉の
スライスを細かく刻んだものをブルゴキソースに漬け込んでおいて、ゆでて潰したポテト
の中に「あん」のように入れて揚げてみた。ふた口ぐらいで食べられるミニコロッケ。コ
チュジャンを入れたらもう少しピリッとしたかもしれない。衣の下の卵は茶碗蒸しに使っ
た1個の残り。すそにさっと残りの残りの卵をつけたアスパラガスとグレープトマトを軽く
揚げて、ブルーベリーと一緒に付け合せ。

    

スズキ(sea bass)はあまり手をかけない調理方法が甘さが生きて一番おいしい。そこ
で、こしょうと紫がかった(すごく塩辛い)ハワイのアラエアの海塩をパラパラと振って、
オリーブ油でフライパン焼き。大きなシャンテレルきのこは大粒の白ぶどうといっしょに
バター焼きにして、蒸したアスパラガスとスナップえんどうと一緒に付け合せ。飾りにグ
レープトマトとかいわれ大根を添えたら、けっこう華やかなメインコースになった。写真
がボケて見えるのは、マティニとワインのほろ酔い効果・・・?


下ごしらえに1時間弱で、アミューズブーシュをテーブルに出してから、各コースを調理
して出しながら、メインコースに至るまでの所用時間はだいたい2時間。まあまあ手際
よく行ったと思う(駐車時間オーバーの違反切符もないしね。)ハッピーバレンタイン!

さて、気合いを入れて仕事の続きにかかるか・・・。