オデッサ・ファイル

監督 ロナルド・ニーム
キャスト ジョン・ヴォイト、マクシミリアン・シェル、マリア・シェル、デレク・ジャコビ、ピーター・ジェフリー、ギュンター・マイスナー、ハンネス・メッセマー
1974年　イギリス、西ドイツ
ジャンル：ドラマ、サスペンス

【あらすじ】
1963年のハンブルグ。ルポ・ライターのミラー（ジョン・ヴォイト）は、ふとしたことから自殺した老人の現場に出くわし、そこから元ナチスSS隊員たちによる秘密組織“オデッサ”の存在を知る。やがてミラーは、オデッサへの復讐を企てているグループと知り合い、厳しい訓練を経てオデッサへ潜入するが…。

【感想】
「ジャッカルの日」がベストセラーとなったフレデリック・フォーサイスによるサスペンス。ストーリーはそれほど捻ったものではありませんでしたが、ジョン・ヴォイトの好演のおかげで主人公が危険に晒されるのはとても緊張感がありました。

また「ジャッカルの日」同様、ストーリーが一度動き出した後の展開はスピード感がありました。ただその分、緻密さに欠ける面も見受けられたと思います。そのためか原作を読んだ人の間では不評だそうです。個人的には原作の要素を詰め込み過ぎて難解にするよりは本作くらいの方が鑑賞しやすいのではないかと思っております。

この作品で一番印象に残ったのはラストシーンでロシュマンが語ったナチのユダヤ人に対する行為を正当化するかのようなセリフでした。共感できるものではないにせよ一部には説得力があって考えさせられるものがありました。ロシュマンは僅かな時間しか登場していないにもかかわらず主役を食ってしまうような個性がありました。

特に正義感が強いわけでもなく単なるフリーの記者に過ぎない主人公がなぜロシュマンを殺そうとまでしていたのかについては最初はおかしいと感じていましたが、少々露骨だったため真相の部分が読めてしまいました。

ナチスの残党が今でも様々なことを企てているという真相は多くの映画で見られますが、年代的には本作が一番最初のような気がします。

お薦め度：★★★★★★★☆☆☆

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