どこまでも逃げ去る扉、追い続ける道、、
" The " long and winding road ふたたび。
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青の物理学――空色の謎をめぐる思索 |
ピーター・ペジック | |
岩波書店 |
イエスタディ ~ どこまでも逃げ去る色 で書いた、どこまでも逃げ去る青という色。
空の色には不思議な魅力がある。
その理由は、捉えきれない、刻々と変化し続ける移ろいにあるのではないか。
台風が近づくウィンディな夜、この本を読みながら、空や空気の色が私たちに与える気分の違いの不思議についてふと考える。
雨風の強い夜には、古代中国の「詩経」で歌われたような蒼天の空のような遥か彼方の宇宙には思いがむかない。
意識はもっと手元の近い場所にむかう。
昼間でも同じだ。
夏の午後のような青空に憧れながら、雨風の日の空は白っぽく見える。
気分までグレーで淀んだ感じにならないよう、mistyでロマンティックな景色だと思うようにしたりもするが、
青空の日とは明らかに気分は違う。
心の望遠機能は停滞し、より身近な距離に気持ちが向かう。
地球の大気に含まれる分子は、(水滴と異なり)可視光の波長より小さく、もっぱら短い波長の光を散乱するゆえ、空は青くなる。
大気中の分子の密度も関係する。
大気中の分子構成が同じだとしても、分子数密度が地球のそれより30倍大きくなると散乱のピークは青から橙色にシフトする、という。
また空の色には、分子より大きな粒子からの影響もある。
雲に含まれる水滴(これは大気中の水蒸気よりもはるかに分子サイズが大きい)の密度が濃くなると、どの色の波長の光も何度も散乱を繰り返す結果、混ざり合って白くなる。
光や闇が作りだす空の色には、彩度や色相を含めて、さまざまな要素が絡み合っている。
人間の眼の認識能力を超えたレベルで、ひとつとして同じ色はない。
~ 雨が洗い去っていった風の強いワイルドな夜、
残されていった涙のプールたちが 明るい日射しを求めて泣き叫ぶ ~
風と雨が洗い流していくワイルドな光景が、残された水溜りという小さな心象風景へと、一夜を挟んで、僅か1フレーズで切り替わる、
センチメンタルだけど、すごい詩だ。
最初の1音 " the" を聴いたとき、その一瞬で これは凄いと感じた、と前に書いた。
この曲にはそのような、逃げ続けるがゆえに追い続けてゆかざるをえない、みたいな、
移ろい続ける瞬間を、音のフィルムに絡め取ったような凄さを感じる。
The Beatles The long and winding road
( ↓ ) 昨年の春に撮影した、雨が洗い去っていった夜から明けた朝のモクレン。
青空に映えるマグノリアも美しいが、雨風に花を散らしながら佇んでいる姿にも惹かれる。
う~ん、ゴルフィーさんは詩人でもあるんですね
この曲、ベルギーにホームステイしていた時よく聴いていたので、その頃のことを思い出しました。
まさに時や人の移ろいを、しみじみと味わいながら
本業のはずもなく、習作のままにつき、お見苦しい際にはこっそり教えてくださいm(__)m
ベルギービールをご馳走します〓