らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

壺井一歩 弦楽四重奏曲第1番(1996/2010改訂)

2011年09月29日 23時37分41秒 | クァルテット
 第2回山響作曲賞21の折のことでした。受賞した壺井一歩作曲「はるかな祭りと海1999/2009」のリハーサルの時に、作曲者の壺井一歩氏(1975.6.10.~)が、山形テルサに登場していました。

 私も長いことフリーで仕事をしていて、作曲者がリハーサルに立ち会う現場には何回も遭遇しています。口うるさく要求する人や(いや表現したい音楽を譜面に書けよ!と愚痴ってもしょうがありません)、わざと難しく見せるために譜面を複雑にしかも汚く書く人や(半音ぐらいオマケしろ!)、楽器に極端な負荷をかける奏法を何の根拠もなく書く人(高い弓の木の部分でfffで弦をこするなんて出来ないよ!楽器を思いっきりたたくなんて嫌さ!やっているふり・・・)などなど、良いときも悪い時もあります。

 壺井一歩氏は、どちらかというと(彼の曲はその曲しか演奏経験がないのですが・・・)、俺は楽譜に書きたいことを書いたから演奏者に任せますみたいな態度だったような・・・。指揮者が提案をしても「よしなに・・・」といった具合です。私はその潔さに少し惚れました。

 休憩時に喫煙所で何回か顔を合わせている内に「ねぇ~弦楽四重奏曲書いてない??」と話しかけたのは私の方からでした。

 壺井一歩氏は「昔書いた曲がありますよ!良かったら楽譜送りましょうか??」のような会話をして、届いたのが今回の弦楽四重奏曲第1番です。送ってもらったのは昨年ですが、やっと今年、山形Qの第41回定期演奏会で出来る運びとなりました。

 この曲は、壺井一歩氏が東京音楽大学に通っていた20歳の頃の作品だそうで、学内初演をしたそうです。私は学生時代に作曲科の学生と少々関わって、何曲か学内初演したことがあるので、壺井一歩氏のこの作品を練習してみて、驚きを感じます。20歳そこそこでこんな曲書ける人ってやはりいるんだな・・・・。

 曲は5楽章からなり、3~5楽章は続けて演奏されます。第2楽章には、長いヴィオラのカデンツァと長くて難しいチェロのカデンツァがあります。下2人の見せ場です。汗。
 
 練習してきて、個人的に感じた事を少しだけ最後に書きます。

 交響曲に対して交響詩というのがあります。この第1番は、弦楽四重奏詩とも感じる事出来る力作のような気がします。最初は、W.A.Mozartの弦楽五重奏曲の前プロだったのですが、この第1番を演奏してからW.A.Mozartを演奏するのは少々しんどいなという結論に達しました。バリバリの聴きにくい現代曲ではありませんので(彼の作風のようです)、初めて聴くお客様ばかりだと思いますが、楽しんで鑑賞できると思います。是非、今を生きる作曲家の作品を聴いてみてくださいな!

 もし、お気に召さなかったら作品のせいではなく、私達の演奏のせいですな・・・・。大笑。大汗。

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