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職員室通信・600字の教育学

小高進の職員室通信 ①教育コミュニティ編 ②教師の授業修業編 ③日常行事編 ④主任会トピックス編 ⑤あれこれ特集記事編

通信票の総評コメントの総和がみなみ中の教育力だ

2005-12-23 13:34:20 | Weblog
◆12/20~21 通信表を点検する。
 通信票の末尾にある「総評コメント」はなかなかむずかしい。
 あの狭いスペースに「2学期、お子さんはこんなふうに活躍しましたよ。そして、こんなに成長しました。今後の課題はこうこうで、こういうふうに努力していくとよいと思います。学級担任としても支援します。家庭ではこんなふうに応援してください……」と展開するわけだから、かなり高い教育的技術を要する。
 青木Tがある生徒を励ますコメントを読んでいて、こちらが涙ぐんでしまった。スゴイと思った。
 教職経験2年目の中野Tのコメントも気合いが入っている。
 わたしが中野Tの年齢のときにはとてもこんなふうには書けなかった。
 本人の努力と同僚のよい刺激の賜だろう。
 総評コメントの総和がみなみ中の教育力だと思った。

◆12クラス分の通信票点検を終えてから、明日の終業式式辞を書く(正しくは、PCにむかってしゃべる)。
 構想としては、柱として①豊かな人間として存在するための条件 ②ひとりひとりの2学期の「成長」への賞賛。字数は1600~1800字。
 というつもりで書きはじめた(しゃべりはじめた)のだが、途中で文字数を計ると、既に2000字を超えていた。
 で、構想を変更。柱②は(←ほとんとはこれがメインだったのだが……)サラッと触れるだけにする。

〈式辞〉

◆今年は2人の「あいちゃん」がよくがんばりましたねぇ。ゴルフの藍ちやんと、卓球の愛ちゃんです。
 わたしが「えぇぇぇッ! スゴイなぁぁ!」と驚いたのは、2人のうち、卓球のほうの愛ちゃんでした。
 わたしはずっと、愛ちゃんが小さい頃から親に卓球をやらされて、小・中・高と卓球ばっかりやっている……どちらかというと「かわいそうだなぁぁ」という気持ちで見ていました。
 ところが、今年、愛ちゃんが中国のTVに出て、中国語でインタビューを受け、中国語できちんと答えていました。
 中国語のわかる人の話では、ほとんど中国の人と変わらない、きれいな発音だそうです。
 「これからは英語の力ももっとつけたい」と言っていました。
 愛ちゃんは卓球だけではなかったんですね。というか、愛ちゃんは卓球だけだったら、今のレベルまでいかない。日本と中国の懸け橋として活躍できる人間としての力がついてきたから、卓球であんなふうに力が発揮できるんです。

◆同じことを、シンクロナイズスイミングの井村コーチも、このあいだ、言っていました。
 井村コーチというのは、恐いおばさんコーチで、大阪弁で「あんたらなにやってんねん。ビシッとやらんとアカンやないのぉぉぉ!」とガンガン叱る、世界的にも有名なシンクロのコーチです。(わたしは井村コーチと同じ小学校の出身です。)
 その井村コーチが「シンクロだけやっていてもアカン。とても世界には通用しない。」
 では、何が必要か?
「人間性が豊かでないと、人を感動させるシンクロにはならない。」

◆そこで「では、豊かな人間性は、どのようにすればゲット、獲得できるのでしょう?」
 実は、わたしも、これは、よくわからない。
 ただし、これがすべてではないけれども、これだけはまちがいない、これができないと豊かな人間として存在できない……ということだったら、いくつか言える。
 きょうは、3つ。

◆まず、1つ目。
 先月、11/6、歌手の本田美奈子さんが若くして亡くなりました。彼女のマイクに乗った声は天使の声だ……どうしてああいう声が出るのか?と言われていた人ですけれど、その秘密がお葬式のときに、わたしはわかりました。
 お葬式で、歌手の岩崎宏美さんが「本田さんは、いつも前向きで、入院しているときでも人を励ましていました。本田さんは、人の悪口、陰口は絶対に言わない人でした。だから、あんな天使のような声で歌えたのでしょうね」と言っていました。
 これ、ちょっとジーンときましたね。
 「人の悪口は言わない」
 これが学級目標になっているクラスもありますね。
 ほんとうに大切なことだと思います。「人の悪口は言わない」「人の陰口は絶対に言わない。」これが人間性の豊かさにつながる1つ目です。

◆2つ目。
 他のためにがんばる、他のために汗を流す、そのことを喜びと感じる人間。
 毎日、ゴミを拾うというのでもいい。
 清掃時間、いっしょうけんめいにやることをとおして他のためにがんばるというのでもいい。
 委員会や学級の当番・係の仕事を徹底してやることをとおして、他のためにがんばるというのでもいい。
 けさ、雪かきをやってくれた人もそうです。
 親を1日1回喜ばせるというのも、この中に入ると思う。
 母さんが夕食準備中「ああ、キャベツ買うの忘れたぁぁ」と言ったら、「母さん、ボク、行ってくるよ。他に買うものない?」というと母さんは喜びますよ。
 他のためにがんばる、そのことを喜びと感じる人間。これが豊かな人間の2つ目の条件です。

◆3つ目。
 夢を持つ。
 これはよく言われる。当たり前のこと。しかし、教師として、これまでいろんな人に接してきて、やっぱり大切だなぁぁと思いました。
 かなえられなくとも、この「夢」があったから、わたしもなんとか生きて来られたと思います。
 夢に大きい、小さいはない。
 たとえば「わたしは、日本がアジアのリーダーとして尊敬される国になるように、中国語のできる外交官になる。ハングル語のできる外交官になる」というような夢。
 2年生は先日、職場体験に行きました。
 獣医さんになりたい。
 小学校の先生になりたい。
 絶対、保育士さんになりたい。
 そういう今の夢を大事に大事にしてください。

◆「人の陰口は絶対に言わない。」「他のためにがんばる」「夢をもつ」という豊かな人間性の条件を3つ話しました。
 4つ目、5つ目は、きょうの学活で学級担任の先生から聞いてほしい。担任の先生は、「これが4つ目、これが5つ目」と言わないかもしれません。
 ただ、きょうは大切な日ですから、担任の先生は気持ちをこめてみなさんに話すと思います。
 その話の中から、みなさんが、「4つ目、5つ目」を見つけ出してほしい。

◆10日後、12/31日の大晦日。除夜の鐘を聴きながら過ぎ去った1年を静かに振り返ってください。
 中学という時代は、毎日、悩みの連続です。苦しみの連続。失敗の連続。恥をかくことの連続。
 これが青春です。これが人生です。
 そういう苦しみ・悩みに直面して、乗り越えて、ひとつずつ成長する。
 今年、自分の力で乗り越えた人がある。
 友人の助けで乗り越えた人がある。
 親の励ましで乗り越えた人がある。
 先生の応援で乗り越えた人がある。
 そうして乗り越えた「成長」がたくさんあるみなみの1年でした。
 みなさんもがんばったけれど、みなみの先生方もよくがんばった1年でした。

◆南中生一人一人が、過ぎ去りゆく年に感謝し、気持ちを新たにして新年、平成18年・2006年を迎えることを強く願い、あわせて冬休み期間、道路を渡るときは右をみて、左をみて、もう一度右をみて安全に気を配り、かつ、1日1回親を喜ばせる南中生であり、とりわけ3年生については、受験の年の冬休み、誘惑に負けず、受験勉強の孤独のさびしさに負けず、机に向かって奮闘努力することを強く強く願い、式辞とします。

 平成17年12月22日
                八戸市立白銀南中学校
                      校長 小高 進

◆画像はわたしの背負いカバン。


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12 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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トラックバック、失礼致します。 (しんた)
2005-12-23 15:31:00
私のブログへのご訪問&トラックバック、

ありがとうございました。

中学校の校長先生でいらっしゃるのですね。

式辞も読ませていただきました。

感性を育てる・・・3つの項目、どれも素晴らしい

言葉だと思います。共感いたしました。

きっと、先生の中学校で学ばれている中学生は

勉強のこと以外も色々と学ばれているのだろうと

推察いたします。

私は塾経営者なので立場が違いますが、「教育」

として大切なことは共通すると思っております。

また、良い言葉を拝見しに来ます。
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Unknown (Unknown)
2005-12-23 18:31:18
本日は拙Blogへ、TBありがとうございました♪(ランクリしました)

 終業式式辞、素敵な内容ですね。是非!ナマで聞きたいなぁと、思いました

 シンクロの井村コーチは、大好きな人だし、ハングルの出来る外交官も良いナア!と思いました。式辞を読んでいたら、私も、中学時代の事、少し思い出してしまいました。

 今年も、あと少しですが、とても“さわやかな気持ち”になりました。ありがとうございました。
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TBありがとうございます (healgreen)
2005-12-23 22:32:34
こんばんは。青森は大雪でしょうか?私のブログに訪問下さりありがとうございます。校長先生の式辞とてもわかりやすかったです。学校の大切な事、学力も大切ですが、生きる力、生き方教育、自立へのサポートこんな事が大切だと思っています。
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TBありがとうございます! (うめ☆)
2005-12-23 22:46:40
私のブログへのTBありがとうございます。

早速記事を拝見させていただきました。中学校も大変そうですね。

私は日本語教師なので、生徒はみんな外国人で、年齢も私より上の学生が何人かいます。

私はまだ1年目の新人教師なので、教育のむずかしさを知ったばかりです。

「人の悪口を言わない」「人のために何かする」「夢を持つ」確かにそうですね。

外国人学生は日本人とは大切なことの順位が違う、ということがよくあります。私は教育者として、そして日本人の代表として、自分も常にきれいな心を持ち続け、一人でも多くの学生に日本人の心を持ち帰ってほしいと思っています。

教師の向上心がなくなったら、学生を教えることなんてできませんし。



素敵な言葉をありがとうございました。
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TBありがとうございます。 (archan)
2005-12-24 11:28:12
TBありがとうございました。

校長先生でいらっしゃるんですね。私はボランティアで定時制高校に通うおばさんを通して教育を考えています。先生のお言葉を通して色々考えさせられます。中学生は思春期で一番大変な時期ですよね。学校に反抗心をもっている生徒も多いでしょうし。でも一番楽しい時期でもあると思います。またこちらに遊びに来て勉強させていただきたいです。どうもありがとうございました。
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TBありがとうございました! (こだま)
2005-12-24 12:24:17
こんにちは!TBありがとうございます。



私も子どもの通知表で一番気になる部分は総評コメントです。実は各教科の評価としての数字はほとんど気にしていません。参考程度です。おそらく先生がちがえばもらってくる評価がちがうかもしれないからです。



ところで、この間は私のコメントを記事にのせていただきましてありがとうございました。恐縮しております。こちらも気合いを入れてコメントを、と思っていましたら、のびのびになってしまいました。申し訳ございません。

前の記事に対するコメントをさせていただきました。お読み頂けると、嬉しく思います。(^^)



PS

ところで、貴ブログの記事の一部とこのブログでの私と先生のコメントのやりとりをコピーして、記事にしてもよろしいでしょうか。
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お詫び (こだま)
2005-12-24 14:55:34
私のブログの記事をいつものように編集していて(TOP・PAGEを目次としていますので、いつもこのページを削除しながら編集をおこなうのです)、せっかくTBしていただいていたのに、うっかり消してしまいました。きちんと調べて、事前にお知らせすべきでした。外のページにTBしていただくということはできないでしょうか。

申し訳ございませんでした。m(_ _)m
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拝見しました (【pi】)
2005-12-24 18:31:56
トラックバックありがとうございます。

またお時間がありましたらお越しください。
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TBありがとうございました (ガク爺)
2005-12-25 15:13:44
TBありがとうございました。

内容の豊富なブログですね。これからも拝見させていただきます。

子どもたちを育む環境が揺れています。

教育にかかわる者として,知恵をだしていきたいものですね。
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TB有り難うございました (HIRO)
2005-12-25 23:46:23
感性豊かな子ども達の顔が目に浮かびます。



背負いかばん、効果的ですね。



自転車のかごも、地道ですが大切だと思います。



子どものために、できることからできるだけ、していきたいです。
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