踊る小児科医のblog

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子どもに無煙環境を(喫煙防止授業配布資料)

2010年12月28日 | 禁煙・防煙
 小学校などの喫煙防止授業で子どもと保護者向けに渡している資料を改定しましたので、こちらにも掲載しておきます。

● 学校・家庭・地域が一体となって無煙環境を

 児童・生徒および保護者のみなさまへ
 学校や飲食店などの公的施設の禁煙化には、受動喫煙の防止と未成年の喫煙防止という二つの大きな目的があり、そのためには学校の禁煙化や喫煙防止教育だけでなく、家庭や地域が一緒になってタバコの害を理解し、子どもが朝から夜寝るまでタバコに接することのない「無煙社会」を作っていくことが必要です。

● 想像をはるかに超える受動喫煙の害

 タバコの副流煙と喫煙者の呼出煙が混じった煙を吸わされることを「受動喫煙」といいます。タバコの有害物質のほとんどは、主流煙よりも副流煙に高濃度に存在しています。

 喫煙者の2人に1人は肺がんや心筋梗塞などのタバコによる病気で命を落としていますが、日常的に受動喫煙にさらされている人も10~20%がタバコによる病気で亡くなっているのです。これは環境汚染物質許容基準の1万倍以上の“猛毒”であることを意味しています。

 現在、国内で喫煙により毎年約20万人が死亡しているのに加えて、受動喫煙によって1~2万人もの人が亡くなっているという、想像をはるかに超える被害の実態がわかってきました。

● 子どもの喫煙が及ぼす深刻な影響

 未成年の喫煙は「法律で禁じられているから」悪いのではなく、大人にも有害なタバコが未成年にはより深刻な影響を及ぼすからいけないのです。19歳以下で喫煙を開始すると、同等量の喫煙で肺がん発生のリスクを1.8~6倍も増加させます。また、未成年は短期間で「ニコチン依存症」に陥りやすく、いったん吸い始めるとやめられなくなるのです。

● 未成年の喫煙防止には包括的な対策を

 未成年の喫煙を防ぐためには、家庭や学校における防煙教育、タバコの広告や自動販売機の撤廃、タバコ税の大幅増税などとともに、学校や家庭、各種施設や飲食店などを含めた子どもをとりまく「無煙環境」の実現が必要です。親や教師などの身近な大人が「喫煙しない」という望ましいモデルを子どもに示すことが何よりも重要なのです。

● 分煙では誰の健康も守れない

 タバコの害を教育する場である学校や医療機関、行政施設などは例外なく全面禁煙にしなくてはいけません。中途半端な分煙では受動喫煙をなくせないだけでなく、タバコの被害者でもある喫煙者が禁煙する機会を失わせることにつながりかねません。

● 「ストレス解消」は大きな間違い

 多くの喫煙者は「タバコはストレス解消になる」と言いますが、それはニコチン依存症による離脱症状(禁断症状)が一時的に解消されているだけであり、大きな間違いです。実際には喫煙によってストレスは増加しているのです。

● 禁煙は意志の強さとは関係ない

 タバコの依存性により禁煙したくてもやめられない教職員や保護者の方でも、最新の禁煙支援・治療により、飲み薬や貼り薬を使って苦しまずに禁煙できる時代になっています。

 未成年のくり返す喫煙には、厳しい叱責や処分ではなく、早期からの医学的なサポートで救い出してあげることが必要です。

● 「無煙世代を育てよう」(世界禁煙デー標語)

 喫煙という致命的な悪習を次世代に持ち越させないためには、まず大人社会が変わらなければいけません。学校や飲食店などの公的施設の全面禁煙化はそのスタートラインに過ぎません。無煙社会の実現にむけて学校、家庭、地域、行政が一体となって取り組んでいくことが、私たち大人の責務と言えるでしょう。(院内報より)

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