踊る小児科医のblog

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名古屋ウィメンズマラソン(3/12)の安藤選手は「国内歴代2位」に相当する快挙

2017年03月13日 | SPORTS
<新聞やスポーツニュースの扱いがあまりにも小さいので、改めて書き出してみました>

◎ 名古屋ウィメンズマラソン(2017)での安藤友香選手の記録がどれほど凄いのか、何で瀬古さんや高橋尚子さんがあんなに興奮していたのか、興味のない人には伝わりにくいのかもしれません。

◎ 「日本歴代4位」というのは、各選手の自己ベストの比較。
しかし、野口(2005)、渋井(2004)、高橋(2001)の19分台はいずれもベルリンの混合レースで、自前の男子ペースメーカー付きの記録。#1

◎ そこで、国内と海外の女子公式レースだけで比較してみたところ、野口(2003)に18秒差の「歴代2位」に相当することがわかりました。#2

野口みずき 大阪(2003)   2:21:18 A
安藤友香  名古屋(2017)  2:21:36 B
千葉真子  大阪(2003)   2:21:45
高橋尚子  バンコク(1998) 2:21:47 C
坂本直子  大阪(2003)   2:21:51 D

高橋尚子  名古屋(2000)  2:22:19(国内自己記録)
渋井陽子  大阪(2001)   2:23:11 D

A 国内最高記録
B 初マラソン日本記録
C 日本記録(当時)
D 初マラソン日本記録(当時)

◎ このほかに22分台の記録を持っているのは、山口衛里(1999東京)、福士加代子(2016大阪)、土佐礼子(2002ロンドン)、前田彩里(2015名古屋)、弘山晴美(2000大阪)という錚々たるランナー5名のみ。(ロンドンは混合レース)

◎ #2 → マラソンはコースや天候によって大きな差が出る競技であり、単純にタイムだけで評価するのは難しいという前提の上での比較作業であることをお断りしておきます。

◎ 高橋尚子のアジア大会(1998)は猛暑の中のレースだったので、この記録をトップと評価した方が良いのかもしれません。(…見逃したのですが)

◎ もう一つ、この上位5人の記録のうち3人が2003年の大阪だったということで、あの時のレベルの高さが今では想像もつかない程だったことがわかります。

◎ 特に、2003年の坂本直子の初マラソン日本記録はもう破られることのない大記録だと思っていたので、安藤の14年ぶりの新記録は歴史的な快挙と言えます。
(ずっと坂本の幻影を追い続けてきただけに感涙ものです)

◎ #1 → これも誤解のないように付け加えておきますが、たとえ混合レース+高速コース+自前ペースメーカー付きだったとしても、自分の足で駆け抜けた記録ですから、上位3人の記録に疑義を申し立てているわけではありません。あくまで、条件を近づけた上での比較を試みただけです。

◎ 更にもう一つ、五輪金メダリスト2人(高橋・野口)と銀銅メダリスト(有森)に押されて軽く見られがちな千葉ちゃんですが、タイムだけでなく、世界大会でトラックとマラソンの両方でメダルを獲得したのは男女通じて日本でただ一人という傑出したランナーだったのです。。
(いつになったらバイク便から卒業できるのだろう?)

◎ 正直、安藤選手は駅伝で見たことはありましたが、変わった走り方する選手だなという記憶しかなく、ほとんど知識もなく期待もしてませんでした。。

◎ マラソンでは期待された選手が、坂本直子さんのように怪我で大成できずに終わってしまうことが多々あるのですが、安藤選手の「忍者走り」は、高橋尚子さんが解説していたように、上下動も少なく効率的で怪我しにくい走り方のように見えるので、このまま順調に伸びていってくれることを期待したい。
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福島県の甲状腺がん(201702):疑い1名増加、3巡目の受診率低下を防止できるか

2017年03月13日 | 東日本大震災・原発事故
ポイントは、予想されている「受診率の減少」を防ぐことができるかどうか。

また、何度も繰り返すように、分母の違う集団からの「患者数」を累積して「足していく」のでは何もわからないということが、受診率の変化(低下)により理解しやすくなるかもしれません。
(求められる作業は発症率の推移を比較することです)

◎ 本格調査(2巡目)については、細胞診実施者が189人から195人に増加して、そのうち1名が甲状腺がん疑いとなっています。

◎ 本格調査(3巡目)は二次検査受診率が30%(143名)で、細胞診実施は1名、甲状腺がん疑いはゼロです。

-------------------------------------------
先行調査(1巡目:2011-2013)
確定101+疑い14=合計115人 
2016年6月追補確定版

本格調査(2巡目:2014-2015)
確定44+疑い25=合計69人
(疑い1名増加) 
2017年2月現在

本格調査(3巡目:2016-2017)
確定0+疑い0=合計0人 
2017年2月現在

(今回は変化がほとんどないので、グラフは次回まとめて掲載します)
-------------------------------------------

◎ 問題の一次検査受診率は

先行検査(1巡目)
 300,476/367,672=81.7%

本格検査(2巡目)
 270,489/381,282=70.9%

本格検査(3巡目)
2016
 83,866/191,855=43.7%
2017
 3,351/144,768=2.3%
合計
 87,217/336,623=25.9%

3巡目の1年目(2016年12月末現在)で43.7%という数字について、2巡目の同じ時期と比較してみました。

2014(2014年12月末現在)
 103,874/216,203=48.0%

数字で見ると、4.3%の低下に留まっているので、極端に大きな低下とまではいかないのかもしれません。

しかし、あまり楽観はできません。福島県、医大、小児科医会、メディア、(自称)識者らは事実上の検査体制の縮小(強く勧めずに自己選択とする)を推し進めているからです。

確かにおおよその傾向は受診率がある程度低下しても把握できるかもしれませんが、受診率が極端に低下してしまうと誤差が大きくなる上に、見逃されている患者が増えることになり、その中で進行例の診断が遅れてしまう可能性を否定できません。

2巡目の推定発症率が1巡目より明らかに増加しているというこれまでのデータをどう判断するかは、3巡目の結果にかかっています。

その意味で、結果だけでなくその元となる受診率の推移にも注意していく必要があるでしょう。
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年齢別死亡率で男性は45年前、女性は40年前より10歳若返っている→高齢者の定義変更は不要かつ有害

2017年01月14日 | こども・小児科
高齢者の定義を65歳以上から75歳以上に引き上げるという老年医学会など2学会の提案がありましたが、医学的には全く必要のない定義変更であり、社会的・政治的な意味合いしかありません。

確かに昔の65歳は「おじいさん・おばあさん」だったけど、今は身体的にも精神的にもかつての50代に相当すると言えるかもしれません。それ自体は医学の進歩や生活習慣等の改善により引き起こされたもので、喜ぶべきことです。(財務官僚を除けば)

記事中に「10〜20年間に5〜10歳程度若返っている」という記載がありましたが、一部の疾患や運動能力のデータなどではなく、最も基礎的かつ重要な「年齢階級別死亡率」についての言及がありません。検索してダウンロードし、グラフ化してみました。(1955年〜2013年)


男性:2013年における75-79歳の死亡率[3688.1]と70-74歳の死亡率[2129.6]の赤線を左に辿っていくと、5歳下の階級とは1985年頃、10歳下の階級とは1970年頃に交差します。(死亡率は10万人あたりの人数)

同様に、


女性:2013年における75-79歳の死亡率[1695.7]と70-74歳の死亡率[908.1]の赤線を左に辿っていくと、5歳下の階級とは1989年頃、10歳下の階級とは1975年頃に交差します。

男性は1970年頃(約45年前)
女性は1975年頃(約40年前)
から、10歳若返っているということが死亡率から見て取れます。女性の方が若返りのスピードも速かった。

しかも、75-79歳、70-74歳のいずれにおいても、男性は女性の倍以上死亡率が高い(女性の死亡率が男性の半分以下)ということもわかります。
(グラフは縦軸のスケールを男女で変えてあるので、似たような曲線に見えるかもしれませんが)

もう一つ、女性では65-69歳と60-64歳の差が小さくなってきていることがわかります。それでも10万人あたり500人程度は亡くなっているわけですが、死亡率が急上昇してくるのは70歳代に入ってから。
男性は60-64歳で既に女性の70-74歳より高く、65-69歳で急上昇する年代に入る。

この男女差についてはいろいろな要因が言われていますが、喫煙率の差が一番大きな要因だと考えています。(詳しくは未調査)

以上、男性は約45年、女性は約40年で10歳若返っていることが死亡率から読み取れましたが、記事にあるような「10〜20年間に5〜10歳程度若返っている」というのは、一部のデータだけでみたある種の誇張(詭弁)といっても過言ではないでしょう。

最初に書いたように、医学的には定義変更の必要性はなく、国際的にも65歳以上が標準であり、過去のデータとの比較という意味でも、定義というのは変更してはならないものです。

65-74歳を前期高齢者(young-old)、75歳以上を後期高齢者(old-old)と分けているのは、後期高齢者医療制度を作るために厚労省が独自に作った用語ではありません。

元気な前期高齢者が、再就職やボランティア活動などで社会参加していくことは必要なことだし、それを可能とする社会的な仕組みも求められていますが、それは社会的・政治的なレベルの話で、医学の世界で「准高齢者」などと呼び替えることには何の意味もありません。

年金支給開始年齢を遅らせようとする政治的な要請(圧力)に応じた政治的な判断と考えるのが普通であり、両学会の良識が疑われます。

(「今回の提言を年金の支給年齢引き上げなど、社会保障制度の変更に直接結びつけることには、慎重な対応を求めている」などと但し書きを付けていること自体が、それに直結することを物語っています。)
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福島県の甲状腺がんマップ(201612)市部・3地域郡部別比較

2017年01月02日 | 東日本大震災・原発事故
前2つのentry(最後にリンクを列記)の続きで、13市と3地域の郡部との有病率比較をマップ化してみました。同様に「扱い注意」で、今後の推移を観察するために比較可能な形で提示したものであり、何らかの意味が読み取れるかどうかはこの時点ではわかりません。

先行検査①201606追補版


本格検査②201612暫定版


☆注意☆(追記)
このマップはタイトルおよび前entryで説明したように、13市以外の郡部については浜通り・中通り・会津の3地域で一括して比較しています。マップだけ見て各市町村ごとに色分けしているように誤解することのないようお願いします。市町村名が入っていないので、某所から拝借した地図を参考として載せておきます。(浜通り・中通り・会津の境界は「本格調査②暫定版」で分けられている線です)



有病率(発見率)は10万人あたりの人数で、スクリーニング効果や検査間隔での補正作業を行っていない、そのままの数字です。

前述のように、先行検査①のスクリーニング効果を10倍、本格検査②を2〜2.5年とすると、本格検査②では1/4に減少していなければならなかったのですが、県全体として先行検査①が38.3、本格検査②は25.1(2016年12月現在)で、受診率で補正すると先行検査①に匹敵する30台に乗ることが予想されます。(※)

色分けは前entryの表に準じていますが、より細分化し、色の違いがわかりやすいように変更しています。

市部・3地域郡部別有病率:先行検査①・本格検査②(10万人あたり)


白  0
桜色 0<
桜鼠 10<
虹色 20<
宍色 30<
赤紫 40<
中紅 50<
茜色 60<

※一次検査
  受診者 270,454人
  判定  270,431人(99.99%)
 二次検査
  対象者 2,222人
  受診者 1,685人(75.8%)
これらの数字で補正すると推定有病率は33.2となる。

<関連リンク>
福島県の甲状腺がん 二巡目で確定44+疑い24=68人 有病率25.1→推定発症率10.0人/10万人(201612)
2016年12月28日
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/077c3feb0d7465c3e4e40fb32747baf6

福島県の甲状腺がん(201612)13市と3地域郡部別比較(暫定版)「地域差無し」とは言えない
2016年12月31日
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/c552065a58e08d9f24e5b199bc6bb170
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福島県の甲状腺がん(201612)13市と3地域郡部別比較(暫定版)「地域差無し」とは言えない

2016年12月31日 | 東日本大震災・原発事故
この表の数字(マップ化する予定ですが作業未)は、1)本格検査(2巡目)についてはまだ7〜8割の段階であることと、2)市部の個々の数字については規模によって誤差が大きくなるので、この比較だけで何か言えるわけではないことを最初におことわりしておきます。
(1)については、特に会津地域の二次検診がまだ進んでいないものと思われます。)



地域別の比較の作業を以前一度試みてみたのですが、ポリシーの一貫性がなく不首尾に終わってました。
今回は、わかりやすさと継続性を重視して、福島県内の13市と「浜通り・中通り・会津」郡部の16地域に分けて比較してみることにしました。
(浜通りの中には差があることも承知していますが、人口規模を考えると個別に比較することは難しいと思いますので)

受診者数は、市部では相馬市の4,749人から郡山市の48,034人まで幅がありますが、13市合計で217,865人。
浜通りの郡部は10,797人、中通りの郡部は29,892人、会津の郡部は11,900人でした。

この表の数字は、一次検診受診者数あたりの甲状腺がん「疑い+確定」患者数を「10万人あたり」で表したものであり、前のentryで行ったような操作(先行検査ではスクリーニング効果10倍と仮定して1/10、本格検査では検査間隔を2.5年として1/2.5)を行っていない段階の、単純な「発見率(有病率)」であることにも留意してください。

(この仮定の元で増えずに一定の割合で検出されているとすると、本格検査②は先行検査①の1/4のレベルにならなくてはいけないのですが、実際にはほぼ同じレベルに達しようとしています)

マップにしてみるともう少し何か言えるかもしれませんが(…あるいは先走った誤解を助長することになるのかもしれませんが)、少なくとも「福島県内で地域差はみられない」という委員会の中間とりまとめの結論は、否定されつつあると言えそうです。
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福島県の甲状腺がん 二巡目で確定44+疑い24=68人 有病率25.1→推定発症率10.0人/10万人(201612)

2016年12月28日 | 東日本大震災・原発事故
これまでの予想より上方修正して、単純計算でも先行検査に迫る有病率になることが予測されるようになりました。

● 先行検査(1巡目)
<2016年6月追補版>
確定101+疑い14=115人
有病率 38.3人/10万人
推定発症率 スクリーニング効果10倍として 3.83人/10万人・年

● 本格検査(2巡目)
<2016年9月>
確定34+疑い25=59人
有病率 21.8人/10万人
推定発症率 検査間隔2.5年として 8.7人/10万人・年

<2016年12月> 12/27発表
確定44+疑い24=68人(+9人)
有病率 25.1人/10万人
推定発症率 10.0人/10万人・年

グラフは以下の通りです。


ここで、12月のデータを「一次受診者の判定率と二次対象者の受診率が100%」として計算すると、
有病率 33.2人/10万人
という数字がはじき出されます。
あれほど「スクリーニング効果だから何の心配もない」と訴え続けてきた先行検査の「38.3人」に近い数字が、たった2〜2.5年で検出されようとしているわけです。

なお、依然として多くの方は先行検査と本格検査の患者数を累積して○人(今回は183人)になったと訴えているように思えますが、このグラフと上のグラフの違いをご理解ください。


累積患者数は10年20年と続けていけば増えていくのは必然で、その数字に意味はありません。
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青森山田高校のカンピロバクター食中毒記事「鶏肉の湯通しなどの加熱処理が不十分」湯通し??

2016年11月30日 | こども・小児科
細菌性食中毒でカンピロバクターが検出された(13人中2人だけにせよ)なら「鶏肉」、しかも2日連続で使っているという教科書的な事例ですが、、
鶏肉の加熱で「湯通し」はあり得ないでしょう。不十分というレベルの話ではない。
「湯通し」という単語を記者が何の手がかりもなく書いたとは思えない。まして保健所がそんなこと言う可能性はない。
記事では「同校は調理過程で湯通しなどの加熱処理が不十分だったとみている」とあるので、青森山田高校の側から出た発言。
ということは、鶏肉を湯通しだけで食べたのか?(マサカ)
保健所は何を調査したのか?(もう少し手がかりがわかるはず)

山田高調理科13人が食中毒 2016年11月26日(土)
 青森市の青森山田高校の調理科3年生13人が今月17、18日に行った調理実習の後、腹痛などを訴えていたことが25日、分かった。青森市保健所は実習の料理による集団食中毒と断定した。現在、女子生徒1人が入院しているが、快方に向かっているという。
 同保健所や同校によると、実習を行った3年生31人のうち、男子5人、女子8人が腹痛や下痢、発熱などを発症。保健所が調べたところ、2人の便から食中毒を引き起こす「カンピロバクター・ジェジュニ菌」が検出された。
 2日間の実習では鶏肉を使っており、同校は調理過程で湯通しなどの加熱処理が不十分だったとみている。同科で食中毒が発生したのは初めてで、当面は実習を自粛する。
 25日夜、記者会見を開いた同校の花田惇校長は「このような重大な事態が起きたことをおわびしたい。保健所の指導を受け、より衛生管理を徹底していく」と話した。
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「青森市長選の公報」を読んで蚊帳の外から勝手に論じるの巻

2016年11月26日 | 政治・行政
あと1日しかないし、ここに書いたことは誰かに対するメッセージなどではありません。部外者が野次馬根性で書いてるだけと御批判していただいても結構ですが、今回の青森市長選の結果は、青森市の浮き沈みだけでなく、青森県や、県内市町村の今後の方向性を左右していく分岐点になると考えてウォッチングしています。
これまで情報をチェックしたり考えたりしてこなかったので、かなりの難題なのではないかと感じてます。。青森市民が、この状況で選択して、あとで「こんなつもりじゃなかった」ということにならないか。。(←いずれの候補が当選しても)

公報PDF
https://www.city.aomori.aomori.jp/senkyo-kanri/kurashi-guide/senkyo/sityousen_top/documents/senkyokouhou.pdf

全部読み終わって → 渋谷氏の敵は小野寺氏ではなく横山氏だと思うが、陣営も支援者も小野寺氏を追いかけることばかり考えて、現実が見えてないのでは(…違ってれば良いのだが)。
隠れトランプ票と同じではないが、隠れ横山票の存在が勝敗を左右することになるのでは。。
何の根拠もない予想では、小野寺:渋谷:横山は5:4:2または4:3:2。。もちろん、何の根拠もないので外れる可能性はあります。外れる場合にどう外れるのかも予測できません。
結果として、青森市が何らかの形で踏みとどまっていくという観点では渋谷>横山>小野寺だろうと思いますが。。

(追記)予想を渋谷>小野寺≧横山に変更(11/26夜)

渋谷氏
・基本的に鹿内姿勢の継承をうたってるために、踏み込んだ政策や、前市政への批判や相違点が伝わってこない。
・特にアウガについては、最終的に鹿内さんがどう決着をつけようとしたのか曖昧なままで、一番具体策がない。
・「市民が主役」と言いつつ、市民が主役となるプロセスが提示されていない。
・自公が反対した「子供医療費無料化」についても、他候補が(選挙戦術上)批判したり撤回を公約に入れていないので、アピールポイントになっていない。
・市役所建設費について、見直しや圧縮の可能性が述べられていない。(現行予算のままということ)
・一番穏当で現実的で、なおかつ市民へのチャンネルも開かれた市政になるように思うが、鹿内後継というだけで鹿内票がそのまま入るとは思えない。

横山氏
・「駅前アウガ中心のまちづくりとの決別」や「駅舎44億円負担の撤回」だけでなく、他の政策も一番具体的で、公報・公約としては出来がいい。(その是非はともかくとして)
・上記の「駅前アウガから除雪費用へ」というのは馬鹿らしいほど単純でわかりやすい。(同上)
・独自の視点(墓地建設と県外利用者への開放など)もあり、かなり多くの人の意見を聞いて取り入れたのではないかと想像。
・ただし、これらが全部実現したら、駅前も郊外も一緒に雪の中に沈んでいく可能性大。
・青森市の生き残り戦略や将来像が不明確。主要産業は除雪、ねぶた、県庁(職員の消費)ということにならないだろうか。
・アウガ破綻処理の場合、現存施設(ホールや図書館、その他のスペース)はどうなるかよくわからない。
・コンパクトシティ構想とアウガ破綻の問題は全部一致するのか、それぞれ異なった側面があるのか、どう考えているのかわからない。(この公報を読む限り両者一体という考えと受け止められるが)

穴水氏
・青森市でフルマラソン開催という点だけ評価するが、ハーフですら悪評が絶えないのに(…参加したことはないのですが)、フルを開催できるとは思えない。
・学歴と職歴でどういう方なのか想像しにくいし、まったく知りません。
・最低限、字が潰れない原稿を提出する程度のことはすべき。
・立候補の意味も含めて不明で、医師への不信・嘲笑を増大させた。

小野寺氏
・演説の「キング牧師」で滑っていたが、公報も同様で、写真は2枚もいらない。
・自民党と広告代理店が見栄え良くつくろうとするとこうなる。
・具体的な政策は市役所アウガ移転という点だけ(「一部」とは書いてない)。
・市民はアウガに市の窓口が移転したら、不便になるでしょう。そんな(何人か市民に聞けばわかる)常識的な判断すらできない。(あるいは、わかっていてやろうとしている)
・他の項目は、読むに値しない。自分に投票する人は公報などに関係がなく、公報は害にならない程度でいいというメッセージに思える。
・強調している「リーダーシップ」とは、県知事や国会議員との合意の元で、市長から市民に発せられる号令という意味なのだろうか。
・同様に「夢(I have a dream)」は時代錯誤。。オバマさんを狙った?
・「ぶれず、真っ直ぐ、前へ進む」とどこに行き着くのか、経路と目的地が不明。。レミングスみたいに陸奥湾に真っ直ぐ進んで行くことにならなければ良いのだが。。
・公報・公約などに関わりなく、国と県と市が一体となって進んで行くのがベストと信じている方には疑う余地のない候補なのだろう。(ご本人もそう信じているなら)
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福島原発事故後の5年半に青森県保険医協会の新聞に掲載した9回分の原稿を読み直してみた

2016年11月16日 | 東日本大震災・原発事故
2011年の東日本大震災・福島原発事故後の5年半の間に、青森県保険医協会(医師・歯科医師約1300人)の新聞の連載「核燃を考えるリレートーク」に掲載した9回分の原稿を読み直してみた。不幸なことに、震災直後から危惧した事態は現実のものとなってしまった。書いたことが間違いではなかったのが「不幸中の幸い」と言っても、喜こべません。記録としてリストアップしておきます。

1) 2011.9「福島原発事故後に考えたこと「まだ終わりではない 今度こそ終わりにする」」
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/1c19919dd5ce082a459bfbce72cb8453

2) 2012.10「原発ゼロでも核燃サイクル堅持を喜ぶ青森県の悲喜劇 中間貯蔵施設をどうするか 最低→最悪政権の次の選択は」
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/9b36c43a3bd1fb5e47ecda772541182d

3) 2013.7「福島県の甲状腺がん検診結果をどう読むか 発生率1〜2人/10万人はベラルーシと同じ」
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/7098ce074b9500449ee9c5f8dc2bfb52

4) 2013.12「原発推進と秘密保護法は表裏一体 福島県の甲状腺がん検診続報 原発は民主主義の対極にある」
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/5ee5a44b449709fcfe1610397f3ec378

5) 2014.11「脱原発のために「核のゴミ」県内長期保管の議論を」
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/c79c98633ce5b27497cab3ed280df6ad

6) 2015.5「繰り返す「国家の暴走を止められない歴史」戦争、原発、タバコ」
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/3f9212dc4ac96329d2c00c252b9696ae

7) 2015.11「福島県の小児甲状腺がん 本格調査で「増加」が明らかに」
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/81abc3d45c9d6868551d433340e0943e

8) 2016.6「新認可法人「再処理機構」は自滅サイクルの始まり」
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/1fde7406616018033675591a714c52b4

9) 2016.11「福島県小児科医会の甲状腺検査見直し要請を憂慮する」
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/80a774093d908a0cbff92b6ac2e55f11
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「優性思想」は国家の政策ではなく社会の「空気」で形成されるもの 新出生前診断の商業化はその帰結

2016年11月12日 | こども・小児科
(哲学カフェで言い残したことの、考えのまとまらないメモです。別にまとめるつもりですが…どうなるかわかりません)「優性思想とは国家が政策として行ったとき…」ここに引っかかりを感じて帰りました。

 確かに、ナチスや日本(戦後を含む)など、歴史的にはそうだったのかもしれません。もちろん、個々人が内心どんな差別主義の思想を抱いていても、一人一人追及して罪を暴き立てることはできないし、それこそ思想警察に繋がります。

 ただし、今の時代に国家が優性政策を実行するという事態は(内戦でのジェノサイドは別として)まずありえません。

 むしろ、個々人の思想が集まった社会の「空気」として、今回少し紹介した「新しい出生前診断」で異常が発見されれば中絶するのが当然という無言の圧力(※)が形成されれば、国の政策というあからさまな形を伴わない「優性思想(優性政策)」と考えることができるのではないでしょうか。

 ※→該当疾患の子が生まれたら、親が出生前診断と中絶の機会を逃して、社会への迷惑をかえりみず「自分勝手に」産んだのだから、その費用は親が負担すべきという「空気」。

 実は、その「新しい出生前診断」について、学会で限定した基準を逸脱した商業ベースの検査をネット上で提供する会社(医師)がいま問題になっています。(メディアはどこも取り上げていないので知られていませんが)

 学会の基準というのは何ら強制力を伴わないものですので、このような事態は最初から予見されたものでした。(だから、私はこの検査が「一線を越えた」ものだと当初から考えていました)

「優性思想は全否定されるべきものなのか」という観点で考えてみます。重い遺伝病について、絨毛検査や受精卵診断なども限定的に行われており、「新しい出生前診断」で検出できる3つの染色体異常(21トリソミー=ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミー)との間で一線を引くことは困難です。

 私のかつての感覚では「18」と「13」はやむを得ないが、「21」は抵抗感があるというものでしたが、「18」や「13」でも数年という長期生存例があることを見聞きすると、このような検査の実用化が親と子にとって福音と言えるのか、過去、現在、未来のいずれが幸せなのかわからなくなります。

 学会では臨床研究として基準を満たした施設と対象者に限って実施しているという名目になっていますが、実際には発見された94%(3年間で400人弱)が中絶しているという結果が明らかになっています。

 一人一人の親の選択の結果が総体として94%という数字になっただけだと言うこともできます。その判断の積み重ねが「結果的に」ダウン症候群や他の2つの染色体異常を減らすことにつながるのであれば、否定することは何もないと。

 親が幸福追求権を行使すれば、結果として社会への「迷惑」も減るし、誰にとってもハッピーである。別の事例で、私は「当事者の論理」という言葉を使ったことがありますが、これもその言葉が当てはまるのかもしれません。

 ここで「誰にとってもハッピー」とか「当事者の論理」などという乱暴な言葉で書きましたが、お気付きの通り、「胎児」という「当事者」の論理が抜け落ちています。憲法は胎児の幸福追求権まで保証してくれません。中絶されてしまえば、幸福を追求しようがないのですから。

 親の幸福追求権とは、「異常を持った赤ちゃんが生まれない方が(親にとっても子にとっても)幸せである」という判断だと言い換えることも可能かもしれません。その、一人一人の親の判断の総体が94%という数字である。決して、中絶した親を非難しているのではありません。

「優性思想は全否定されるべきものなのか」という問い対する決まった解答は得られそうにありません。商業ベースの検査会社が問題視されるのは、一つには偽陽性の存在を知らずに羊水検査をせず中絶する可能性、もう一つはここに書いたような逡巡を何ら経ずに判断される可能性が高いこと。

(「優性思想を全否定する」ことから始めると現実を無視することになると思いますが、やはりまとまりませんでした)
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子どもの事故防止の原則は2つ→予測が難しいときに命を守るには(神宮外苑焼死事件をうけて)

2016年11月08日 | こども・小児科
今回の「神宮外苑 幼児焼死事件」は、悲惨すぎて言葉になりません。これまで伝えられた情報によると、出展者側で火災防止についての知識も想像力も、考慮された形跡もなく、二重三重のチェック体制もなく、観客の警告も無視するなど(※)、ほとんど論外と言える状況のようです。

「責任はすべて大学にある」神宮外苑の火災受け学長
2016年11月7日14時21分
http://www.asahi.com/articles/ASJC7339PJC7UTIL009.html

※ 特にこの証言の内容は過失ではなく「未必の故意」であることを証明しています

出展者(学生)や大学の責任は免れませんが、どんな罪に問われようとも子どもの命は還ってきません。
今回のケースに限定するのではなく、一般化してどうすれば守れるのか考えてみます。

子どもの事故というのは、1)繰り返されてきた状況で同じ事故が起きている、2)新しいモノや状況が生まれると新しい事故が発生する、という二つのことがわかっています。

2)については難しいので後回しにします。今回の例は特殊ですがここに入るかと思います。

1)については原則が二つあります。
①事故の原因を除去して可能性をゼロにする
②なくせない場合は、頻度を減らしたり重症化を防ぐ

「○○に気をつけましょう」では事故はなくなりません。

①の例としては、
・タバコ誤飲 →「タバコや灰皿を子どもの届かない高さに置く」は間違った指導例。家庭や訪問先(祖父母宅など)にタバコが全くない状況であれば、タバコ誤飲はゼロになる。
・歩行器やクーファンからの落下事故 →必要のない育児用品であり、買わない、使わない、人にあげないこと。
・大型自動回転ドアに挟まれた事故 →センサーの不備を改善するのではなく、もしセンサーが正常に作動しなければ(改善しても可能性はゼロではない)子どもが死ぬような装置は使用しない。

②の例として、
・自動車事故はゼロにはできないが、チャイルドシート(かつては法制化されていなかった!!)/衝突防止装置などの技術革新/歩道・交差点等の改善/取締りの強化/キャンペーン・啓発活動などにより、まだ許容できない範囲ではあるが、死者は確実に減少している。

①②を混同した例として、①コンニャクゼリーと②餅の窒息死を同一視した議論がある。(これがわからない人が多いというのも事実)
タバコとアルコールも同様。

風呂での溺水防止のために、②鍵をかけるというのは不可(事故はたまたまやらなかった時に起きる)で、①最後の人が必ずお湯を抜くというのが正しい対策。

原発事故についてもあてはまるが、最後に書きます。

2)の、リスクが不明(程度が様々)だったり予測困難な場合はどうすれば守れるか。

一言では言えないが、一般的な知識、経験(子どもの頃からの直接的、間接的、具体的々な体験から得た常識的判断力)、想像力、危険察知能力などを常に働かせるようにする。

東日本大震災を経験した私たちは、「いま大地震が来たらどうするか」というアンテナは辛うじて張れるようにはなったはずですが、未体験の状況(実際にはそういう事態が大半のはず)で、後悔しないように動けるか、自信を持って断言することはできません。

ただし、車の運転で一番大事なのは「他人の運転を信用しないこと」。これは自動車学校でも免許更新の講習でも一度も言われたことがないが、長年運転してきて誰もが実感しているはず。子どもの事故防止にも、同じことが言えると思う。

もう一つのキーワードは「東京」にあると考えますが、まとまっていないし、ここでは詳しく書けません。。

原発事故については、多重防御という考え自体が②(事故はゼロではない)を前提とした話だったはずが、いつのまにか①と同じ「絶対安全」にすり替わっていた。②なのに「絶対安全」ということは「絶対にない」ということはわかりきっていたのですが、①と受け止めて「絶対安全」だと思っていた人が相当数いたということ自体が、大きな驚きでした。

無論、①の可能性をゼロにする方法は、原発の稼働をゼロにする以外にはありません。②の対策で、いくらヨウ素剤を配布されたり、避難の船や避難先の体育館を確保されたからといって、これで安心、いつでも再稼働して下さいと主張する首長や議員らは、一旦事故が起きたときには福島のように故郷を捨てなければいけないという事態を許容したと言っているに等しいのです。
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運動療法は禁煙治療の第一選択となり得るか 〜「運動+禁煙」により「喫煙・肥満・うつ」の悪循環から脱出を

2016年10月26日 | 禁煙・防煙
#2016年9月19日に日本タバコフリー学会(神戸)で発表した演題の抄録です。

運動療法は禁煙治療の第一選択となり得るか
〜「運動+禁煙」により「喫煙・肥満・うつ」の悪循環から脱出を

【目的】運動が禁煙の助けになることは経験的に知られており、助言指導や行動療法の一つとして取り入れられているが、運動自体が各種の依存症を根治し得るという知見が明らかになりつつある。運動療法が禁煙治療の第一選択となる可能性について論じたい。

【背景】青森県は男女とも平均寿命が最下位で、喫煙率は男性1位、女性2位(2010年)と高く、飲酒率(男性)、食塩消費量、インスタントラーメン消費量、運動をする人の割合などもワースト1である。青森県タバコ問題懇談会では、受動喫煙防止対策などの規制を求める活動を続けてきたが、喫煙対策でも全国の後塵を拝してきた。脱短命県を最重点課題として官民の取り組みが行われているが、喫煙対策はおざなりの状態にあり、現状を打破していく必要性を感じてきた。

【仮説】喫煙(ニコチン依存症+喫煙関連疾患)は「運動不足・肥満・糖質塩分過剰・アルコール依存症」および「うつ・産後うつ・自殺・虐待」と相互に連関して悪循環を形成している。食生活から取り組んでも行動変容・意識改革は困難であり、鍵となっている薬物依存症であるタバコを断ち切るために、運動と禁煙治療(薬物療法)の組み合わせにより、非喫煙+運動・適正体重・適量飲酒+メンタルヘルスという好循環への変容が可能となる。

【文献上の検証】Rateyは著書『脳を鍛えるには運動しかない』(2008)において、運動によりドパミン、セロトニン、エンドカンナビノイド等が増加し、ほとんどの人にとって運動が依存症・うつ・ストレス・抗加齢などの最適処方となり得ると記載している。一方、Cochrane LibraryにおいてUssherら(2014)は、運動群で6〜12ヶ月後の長期予後が有意に改善したのは20の臨床研究の中で2つだけだったと統括している。

【考察】個人レベルでは村上春樹氏のように走り始めて禁煙したという人は珍しくない。薬物の刺激により生じた依存症を、生理的な依存症(ランニング依存症など)に置き換えることにより、爽快感、達成感、自己肯定感が得られ、再喫煙の危険性は小さくなる。基礎疾患がある場合は程度に応じた負荷強度の選択が必要だが、既にCOPDを発症している場合でも、呼吸リハビリよりも下肢の運動リハビリの方が長期予後を改善するとされており、運動は禁煙の導入・維持のみならず、残存する疾患リスクや他の生活習慣病リスクの軽減にも寄与することが期待できる。

【結論】運動療法を禁煙治療の単独の項目と位置づけて、全ての喫煙者に推奨すべきである。
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福島県小児科医会の甲状腺検査見直し要請を憂慮する

2016年10月24日 | 東日本大震災・原発事故
 甲状腺がんに関する錯綜した状況について、何らかの判断ができるのは三巡目を見てからで、最終的な結論には10年は必要、それまで医療不信を解消しつつ受診率を維持することが肝要とお伝えしてきたが、危惧していた事態が現実となってしまった。

 鎌田實氏は「福島県小児科医会には、驚いた。いったい、どういう考えなのだろうか」と批判した上で、「二巡目でも多数見つかっていることは、スクリーニング効果では説明できない。不安を取り除くには、しっかりと甲状腺検査をし、見つかったがんはできるだけ早期に治療すること。もし甲状腺検査を縮小すれば、不信感が起こり、かえって不安を増長することになる」という至極真っ当な見解を表明した(毎日新聞)。

→さあこれからだ/132 甲状腺検査縮小 隠れる真実=鎌田實
 毎日新聞2016年9月18日
 http://mainichi.jp/articles/20160918/ddm/013/070/026000c


 同会が福島県に要請した声明を確認してみたが、縮小という文字はないものの、「事業実施の一部見直しを含む再検討」という表現には現状維持という意味はなく、地元紙の記事でも「会長は、規模を縮小しても放射線被ばくによる影響の有無などを把握することは可能との認識を示した」と、明確に規模縮小について言及している。

→平成28年度福島県小児科医会声明(2016年8月28日)
 http://fukushima-ped.jp/archives/147.html


 これに批判的な意見の中には、一巡目での「多発」が確定的であるという見解が含まれているが、ここではその立場はとらない。3月に発表になった「中間とりまとめ」では、被曝線量、発見までの期間、事故当時の年齢、地域別の発見率の4点を総合的に判断して、放射線の影響を「完全には否定できない」が「考えにくい」と評価している。しかし、この評価には二巡目との比較を考慮していないという重大な欠落がある。

 同会の声明にも二巡目と比較して考察した形跡は見当たらない。

 ここで、9月までの甲状腺がん検出状況を確認してみると、先行検査(一巡目)では確定101+疑い14=115人、本格検査(二巡目)では確定34+疑い25=59人。有病率は先行検査が38.3人、本格検査は21.2人/10万。推定発症率の推移はグラフに示した。「先行検査は保留、本格検査での増加は確実」という1年前の判断は何ら変わりない。



 推定発症率は、スクリーニング効果を10倍と仮定して計算した。これを20倍まで上げれば、検討委員会の評価も妥当と言えるかもしれないが、その場合は本格検査との差が更に大きく拡がってしまう。原因の如何に関わらず、本格検査での増加は否定できない。

 生検や手術は従来からのガイドラインに従って実施されており、過剰治療の可能性は否定されている。本格検査における年齢分布が先行検査と大差ないことは希望的材料と言えるが、現在の検出状況を合理的に説明できる見解はどこからも出されていない。

 いずれにせよ、最低でも三巡目の結果を待たなくてはならず、「中間とりまとめ」でも検査継続の必要性が強調されている。同会の要請は問題点をはき違えた間違った判断だと言わざるを得ない。

 何よりも問題なのは、同会の要請に対して、全国の小児科医や医療関係者から批判的意見が全くと言っていいほど聞こえてこないことだ。鎌田氏が指摘したように、この事態が医療不信を増長させたことは間違いない。

(この記事の内容は環境部や保険医協会の統一見解ではなく、青森県小児科医会とも全く関わり合いがないことをお断りしておく)

※某業界紙に掲載予定の原稿です
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「甲状腺がん累積174人」という数字(足し算)は無意味。有病率・推定発症率(割り算)が問題

2016年10月08日 | 東日本大震災・原発事故
安倍首相が福島県の甲状腺がんの患者数を答えられなかったからと言って鬼の首をとったように騒いだり溜飲を下げている方たちへ。お願いだから、少し頭を冷やして、一緒になって脱原発や社会のあり方を変えていく方向で考えていただけませんか。

別の原稿を書いている途中のところですが、この2つのグラフの違いは、一目みればおわかりいただけると思います。

1)累積患者数(2016.09)


先行検査①で115人、本格検査②で59人、合わせて174人もの甲状腺がんが発生している、さあ大変!
とおっしゃっている方の頭の中には、こういった積み上げグラフのイメージがありませんか?

2)有病率・推定発症率(2016.09)


こちらについては、確定した評価方法が提示されているわけではありませんが(=そのこと自体が大問題)、先行検査①と、その後の本格検査②とで、有病率や推定発症率がどう変化しているか(増えているのか減っているのか)を比較するために、独自に、
 先行検査① 10で割る(スクリーニング効果10倍)
 本格検査② 2.5で割る(検査間隔2.5年)
という方法でグラフ化したものです。
(詳細は一つ前のentryや、ブログ内で「甲状腺」で検索して過去の記事を御覧ください。)

当ブログでは、先行検査①の「多発状況」が放射線被曝のために増加しているかどうかは保留のままとしております。スクリーニング効果を20倍程度と仮定すれば、ほとんどがそのためと考えることも可能ですが、前entryにも書いたように、そうすると本格検査②との差が更に広がってしまい、本格検査②の検出状況は危機的な数字ということになってしまいます。

1)の累積患者数で先行検査①に本格検査②、本格検査③(まだ始まったばかり)を足していくことでは、何もわかりません。

最大の焦点は、2)のグラフの右下にある本格検査③の0という数字です。
これが先行検査①、本格検査②よりも更に上に伸びていくのか、その中間か、①と同程度か、①よりも下回るか。
それによって、これまでの数字の意味合いは全く変わってきます。

だから、検査はまず三巡目まで見て、その後最低でも10年までは追い続けないといけないのです。

前entryの最後と同じ結びですが、その意味で、福島県小児科医会の要望は言語道断だと言えるのです。
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福島県の甲状腺がん 115+59=174人 本格検査の推定発症率(8.72)は先行検査(3.83)の倍以上

2016年10月02日 | 東日本大震災・原発事故
2月以降作業できていなかったのですが、6月と9月発表のデータを一緒にチェックしてみました。結果としては新たな変化はなく、これまでと同じペースで甲状腺がん(確定・疑い)が増えており、その解釈は三巡目以降の変化にかかっているという点でも見解は変わりません。
-------------------------------------------------------------------------------------
先行検査①(2011-13)
       甲状腺がん     有病率   推定発症率
       確定+疑い=合計  1/10万 (※1)
2015年8月  98 14 112 37.3  3.73
2016年6月 101 14 115 38.3  3.83
-------------------------------------------------------------------------------------
本格検査②(2014-15)
       甲状腺がん     有病率   推定発症率
       確定+疑い=合計  1/10万 (※2)
2016年2月  16 35 51  21.6  8.64
2016年6月  30 27 57  21.3  8.52
2016年9月  34 25 59  21.8  8.72
-------------------------------------------------------------------------------------


(これまで折れ線グラフで表記していましたが、各時点での検査の進捗状況を<増加>と誤解しやすいので、縦棒グラフに変更しました)

9月から三巡目の本格検査の結果も公表されていますが、まだ判定結果は出ていません。混同を防ぐため、ここでは先行検査①、本格検査②、本格検査③と表記することにします。

先行検査①では経過観察の中で確定が3人増加し、115人に達しています。本格検査②でも51→57→59人と増加し、その中で確定例の割合も増加しています。

ここで、先行検査①(115人)と本格検査②(59人)を足して174人に増加したと書くことは、それ自体間違いとは言えませんが、それぞれの検査の性格と経時的変化を見誤ることにつながるので、ここでは「足して増えたと騒ぐ」のではなく、「割って比較する」ことを続けています。

有病率(検査集団における発見率)は一次検査受診者数を分母にして単純に割った数字で、推定発症率は当ブログでは独自に次のような方法で比較しています。
 ※1 先行検査① スクリーニング効果を10倍として 1/10
 ※2 本格検査② 検査間隔を2.5年として 1/2.5

繰り返しになりますが若干の説明を加えます。スクリーニング効果にもっと大きい数字を入れれば先行検査①における推定発症率は低くなりますが、本格検査との差がより大きくなってしまいます。本格検査②の検査間隔は2年の人が多いので、平均すれば2.5年よりも短くなるので、2.5で割っているのは保守的な数字です(実際よりも低く見ている可能性が大きい)。

推定発症率は、
先行検査①が2016年6月の時点で 3.83
本格検査②が2016年9月の時点で 8.72

本格検査②の59人の、先行検査①の結果は「A判定が54人(A1 28人、A2 26人)、B判定が5人」です。

スクリーニング効果が大きいと思われる先行検査①の115人で大騒ぎしている人が、その後たった2〜2.5年で59人(本格検査②)も発症(*)していることに鈍感なのは、繰り返しになりますが、「割らずに足している」からだと思われます。

*ここで言う「発症」は、がんが実際に発生した時期に関わらず、検査で検出されて診断されるまで増大したことを意味します。

本格検査②だけで判断すれば、これまでと同様に「先行検査①と比べて増加は明らか」となりますが、これが実際に意味のある数字なのか、何らかの影響による見かけ上のものなのかは、三巡目以降の結果を追っていかないと判断できません。

その意味でも、福島県小児科医会の要請は言語道断と言えます。その点については、稿をあらためたいと思います。
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