踊る小児科医のblog

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リスク軽減を主題として協会の(脱原発・反核燃)活動を考える(2018年12月掲載原稿)

2019年01月30日 | 東日本大震災・原発事故
これは2018年12月に青森県保険医協会の新聞に掲載された記事です。紹介が遅れましたが(草稿の段階でFBに掲載しましたが一部修正されています)、一読してお分りいただける通り、現状に対する強い危機感と閉塞感から書かれたもので、最後段の提起については具現化を考えていますが道筋が立っていません。
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「リスク軽減を主題として協会の活動を考える」
 残された時間は長くない。福島原発事故の三十年後まで見届けることを誓ったが、2042年には高齢者数がピークに達する(河合雅司『未来の年表』)。私たちも例外なく老いて、今の子どもたちである現役世代は年々減少し、社会機能の維持が難しくなってくる。

 福島の廃炉作業は行き詰まって方針転換を余儀なくされているはずだ。核ゴミの最終処分場は解決の見込みがなく、次世代に持ち越せば更に困難となる。半ば永久的に青森県内に存在し続けることを前提に考えるべきだ。

 六ヶ所再処理工場が廃止されても被曝を伴う解体作業は長期間で莫大な費用を要する。各地の原発廃炉も含めて、被曝労働と費用を次世代に負担させるという倫理的問題が残る。

 原発・核燃問題に関しては、政府・推進派が誤りを認めて謝罪し、政策転換しない限り、中立的な立場や「二項対立を超えた議論」は存立し得ない。反対しなければ賛成とみなすという姿勢は変わっていないからだ。脱原発は公正な社会を遺すための最低条件と言える。

 一方で、日常的に県民の健康に関わっている医師・歯科医師の団体である協会は、どのようなスタンスで何を目標に活動すべきなのか。他団体やネットワーク、選挙や政治との関わりについて、中間的な8割の会員や県民の感覚と乖離していないか危惧している。

 プルトニウム削減が義務付けられ、核燃サイクルは事実上頓挫したが、政策転換は先送りされる。これらの現状を踏まえて、将来世代のリスク軽減という観点から、①高レベル廃液、②使用済み燃料/乾式貯蔵、③ガラス固化体/直接処分/最終処分場、④保有プルトニウム、⑤中レベル廃棄物、⑥再処理廃水と福島の汚染水、⑦廃炉作業、⑧立地地域対策等について、専門家を交えた本音の討論の中で現実的な合意形成を目指せないだろうか。

 再エネ地域電力の斡旋事業も着実な一歩だ。