妖怪大魔王・コバ法王日記

オートバイを分解して磨き、正確に組み立て独自理論でラインを探り、ストップウォッチと頭脳で感性を磨き、日々の想い語ります

妖怪・小林 vs. 永井慎、走法の違いは

2020-12-11 18:03:03 | 走行動画の紹介

妖怪・小林が、当時のトップライダー 永井氏と初めて同じクラスで争った時の走行映像です。 ライディングの考え方や走行方法の参考になるでしょう。


『 映像のあらまし 』

1988年、当時、カワサキ社が全国的に主催していたジムカーナ大会で、最も競技人口が多くて盛んだった東京地区の大会へ遠征した妖怪ですが、参加した Bクラス(400㏄以下・中型車)で好成績を収めたため、翌年・1989年、本来ならば 大型車(401㏄ 以上)で 優秀な成績を収めたライダーだけが参加を許されたクラス(エキスパートクラス)へ特別に編入される事になりました。

そのため、当時、日本のジムカーナライダーの中でトップの成績を収めていた 永井慎 氏と、同じクラスで、前年と同じ 400㏄車で順位を争う事になった最初のイベントの映像です。



『 永井氏の走り:剛の走り 』

永井氏の走りの特徴を一言で表せば「剛」になります。 それは、圧倒する様な走りの雰囲気やエンジン・排気音のイメージからも感じられるでしょうが、彼の「剛」の走りで一番注目すべきは「フロントタイヤの使い方」です。

フロントタイヤのグリップを最大限に活かす為、フロントブレーキを常に適切に使用して、時に生まれたグリップ力を活かしたまま操舵(腕の力で)を加えてフロントタイヤの向きを変えて、直ぐに加速状態へと移る走行方法が最大の特徴であり魅力です。



 
 
『 妖怪・小林の走り 』


一方、妖怪の走りは「柔」にも見えますすが、どちらかと言えば「滑らか」でしょう。
それは、単にスムーズで速度を落とさないコーナリングを指すのではなく、アクセルの使い方にこそ最大の特徴があると言えます。

アクセルの開け閉め(ON・OFF)の回数を減らして、可能な限り早く長く開けるアクセルワークが、この映像での永井氏との走り方との比較で、際立っています。その一つが「開けながらの “切り返し”」です。



『 開けながらの “切り返し” 』

映像の中にもあるセクションですが、下図の様なコースを走行する際は、右旋回から左旋回へと移る時に “切り返し” が必要になります。

f:id:youkaidaimaou:20201211163331j:plain


中央・左の位置から右下のパイロンへと向かうコースですが、最初は右にバンクさせたまま 加速して(赤い山形マークの加速区間)、次に左旋回に向けて切り返し(緑色マーク)て、それから 改めてアクセルを開けて加速するのが一般的です。

何故なら、ライダーのみなさんなら理解できると思いますが、アクセルを開けたまま切り返しをするのは簡単ではなく、無理にしようとすれば転倒が待っている事が充分に予感できるからです。 ただ、小林の場合はそれを行なっているのです。
  

f:id:youkaidaimaou:20201211164018j:plain


それを実現させる為に、切り返しの区間を長く取り、最初のアクセル開度は少し抑え、そして 一番肝心な事ですが、切り返し時にもフロントタイヤを接地させておく為に、切り返し方向前方への荷重移動を一時的に行なっています。

この 「開けながらの “切り返し”」は、映像の走行コース上では、目立つ場所だけで 4ヶ所以上行なっていますので、興味のある方は、是非、確認してみてください。
エンジン音だけを聴いても、アクセルを開ける回数が少なく、エンジン音がより高く長く続いている事でも聞き分ける事も出来ます。



f:id:youkaidaimaou:20201211173501j:plain

 

f:id:youkaidaimaou:20200509003314j:plain?




 


レギュレーターと延長ハーネスの交換

2020-12-08 21:45:32 | 妖怪ガレージ、奮戦記

レギュレーター (含む レクチファイア)を念の為に交換して、併せて 動脈硬化(熱害による配線硬化)を起こしていた延長ハーネスを交換しました。

f:id:youkaidaimaou:20201208212909j:plain


従来のレギュレーターより小型になったので、少し間が抜けた様子に見えますが、実は 15g も重いのです。 見た目は最新のモードを纏っていますが、熱害さえ無かったから 交換はしたくありませんでした。


f:id:youkaidaimaou:20201208212929j:plain



f:id:youkaidaimaou:20200509003314j:plain?
















 


トラ君の、燃料シール膨潤テストの結果報告(その1)

2020-12-06 21:19:43 | 妖怪ガレージ、奮戦記

トライアンフのトラ君、復活修理劇場、燃料ポンプ編、「シール膨潤テスト」の段
燃料ポンプのシール候補選考会で、膨潤テストの結果を報告します。
     
名乗り出た 6候補を一週間ガソリンに浸けて、どの程度ガソリンを吸って成長、いや膨潤するかをテストしたのですが、残念な事に、恐らく、全ての候補が失格になりそうです。

f:id:youkaidaimaou:20201206211526j:plain

   
シールが収まる場所のサイズは、内径 約 87.5 mm 深さ 3mm に合わせるべく、育ち盛りの成長分を見込んで、小さめのサイズの候補ばかりだった筈ですが、測定結果は最も小さいもので 約92 mm, 大きく育ったモノでは 約100 mm と、みんなガソリンが大好物の様子です。
    
という訳で、改めて 候補生を募集して、第2回、ガソリン食べ放題、膨潤テストを実施する事になりました。第一回目のテスト結果から、どのメーカー、組成のモノがどの程度膨潤するのか傾向が見えてきそうなので、きっともっと、好結果が出るでしょう。
それと同時に、例え新品のシールと交換するにしても、短時間でも膨潤させてから組み込まないと、シールを破損させて、ガソリン漏れを引き起こす可能性がある事を学びました。 ガソリン系のシールは他にも数カ所ありますので、その時の適切なケア知識になりました。


               **********************

【 第一回 膨潤テスト結果一覧 】

f:id:youkaidaimaou:20201206224817j:plain


テストした候補生 6名の材質は 全て NBR (ニトリロゴム)で、膨潤率は 約 10% 程度に収まる事が判明しましたので、次の候補生も 材質NBR で、目標サイズの 約 10% ダウンで何名か受け付けて、再度、膨潤テストを受けてもらってから、合格者にはそのまま現場で働いてもらう予定です。



f:id:youkaidaimaou:20200509003314j:plain?
















OBD システムの弊害について

2020-12-01 16:17:39 | オートバイのアレコレ

みなさんの所有している二輪車や四輪車には、ほとんど必ず、OBD という規格の 自己診断用システムが備わっています。 より詳しく言えば、その検査システムに繋げられる端子が車両のどこかにあります。
       

f:id:youkaidaimaou:20201201155208j:plain

f:id:youkaidaimaou:20201201155225j:plain



この OBD 用の端子を利用して、車両の状態の簡単なチェックや、場合によっては エンジンの調整さえ可能です。更に、みなさんにとっての朗報は、世界中の殆どの車両も この OBD 規格を採用させられているので、その端子に接続する専用の機器は大変にポピュラーで溢れていて、下の図で示す様な スマホで確認や調整が可能になる機器でさえ US $10.00以下でネット購入が可能な程です、

 

f:id:youkaidaimaou:20201201155250j:plain


正に、夢の様なシステムですが、逆に僕は この OBD システム自体は好きになれません。 理由は、車両ユーザー本位に立って 必要な情報を提供するシステムの発展を阻害していると思えるからです。
詳しくは、その歴史を含めて 1ページにまとめていますので、興味のある方はご覧下さい。

 

【 OBD システムの弊害について 】

http://gra-npo.org/policy/yokai_column/garage/202011_engine_recovery/7_about%20OBD%20tester.html



< 以下、一部を転載・紹介します >
 
人・ライダーによっては、車検に出す行為を人間ドックに入れるのと同じ位に貴重な機会だと信じている人も居るし、この OBD 端子に専用のテスターを繋いでチェックしている様子を見て心電図を診ていもらっている様に感じている人も居るが、それは全て誤解だと言いたい。テスターで車両の状態の確認できるのは間違いないけど、そのテスターの精度は 0.1℃ の単位の表示が無い体温計と同じか、それ以下、例えば 37.5℃ の体温だったか、又はそれ以下だったかを計測しているレベルだからなのだ。

f:id:youkaidaimaou:20201201155342j:plain


もちろん、メーカーによって多少の違いはあるし、センサーの種類によっても違いはあるけど、電子制御システム自体、そこまで精密な計測を求めていない項目が多くある事は間違いない。
「そんなレベルであっても医者は医者だ、必要だ」と言う人はいるし否定はしないけど、OBD 自体はその程度のレベルが基準になっている事を忘れるべきではありません。



クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
ページ中の画像は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています
文章等は許可無く転載することを禁じます / Copyright GRA All Rights Reserved.



http://gra-npo.org






 


トライアンフのトラ君、エンジントラブル修理日記 掲載しました!

2020-12-01 00:36:04 | 整備&セッティングの基本・妖怪講座

妖怪が乗っているトライアンフのトラ君が、10月、イベント開催先の会場でエンジントラブルに見舞われて自走出来なくなりました。

f:id:youkaidaimaou:20201201001837j:plain


他人に車両を任せたくない、いや、自分で楽しみたい天邪鬼(あまのじゃく)な代表ですから、ガレージに持ち帰ってじっくりとトラブル解消を行なっている記録です。
一旦分解を始めたら、手につく所、目に入った所構わず、トラブル解消はそっちのけで、この時とばかり色々な箇所を分解しています。

f:id:youkaidaimaou:20201201002244j:plain


後付けの怪しげな新規配線の確認から、エアクリーナーケースの話、燃料ポンプのチェック、そして自己診断規格・OBDの対応まで、豊富な話題に溢れています。
どうぞ、楽しみながら読んで下さい。

f:id:youkaidaimaou:20201201002327j:plain

f:id:youkaidaimaou:20201201002336j:plain

f:id:youkaidaimaou:20201201002353j:plain



f:id:youkaidaimaou:20200509003314j:plain?