事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

コーヒー豆のミステリ

2012-04-30 18:57:36 | ミステリ
ホテル・ピーベリー ホテル・ピーベリー
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2011-11-16

なのである、この本、やっぱこの作者(近藤史恵さん)はうまいと思うし、こういう本を宣伝することこそスレッカラシのミステリ読みを自認するものの義務だと思う(もち、役に立てるわけはないけど)、今ちょっと時間ないのでとりあえずこんだけ

主人公は仕事をやめてふらふらしている若い男、旅行好きの友人に勧められてハワイ島にある小さなホテルへやって来た、失業した事情は小説が半ばを過ぎてから明かされるが、勤め先が小学校で「夏への扉」にハマッてたというヒントが出されてるのに見当つけられなかったとはスレッカラシ失格(と書いたからとて別にネタバレじゃないと思う)
日本人夫婦が経営する「ホテル・ピーベリー」はなぜかリピーターお断り、滞在できる期間は最大3ヶ月という、主人公はホテルを一人で切り回す感じのいい奥さん(かなり年上)と早速いい仲になったが、宿泊客が立て続けに二人変死してホテル経営に危機が迫る・・・

人物の入れ替わりトリックというネタ自体はさして珍しいものじゃないが、読み終わってからはっと気がつく、あれ、最大のナゾがナゾのままなんじゃない?「日本へは帰らない」という奥さんの過去にはいったい何があったのか、まさか続きがあるとは思えないけど、でも「冷凍睡眠」とはちょっと思わせぶりかも・・・・

「ピーベリー」は1個の果実に種子(=豆)が1個しかつかない品種、普通は2個つくのに1個ではさびしい、うまくペアになれない人類の男女を象徴してるような、なかなかイケてるタイトルなのである


映像化不可能作品

2012-04-29 19:12:04 | ミステリ

絶対あると思う、たとえば「京極堂シリーズ」は強引に映画化されたけど甚だ不出来、にもかかわらずまさかの「狂骨」にチャレンジと聞いて、もし公開されたらやっぱ怖いもの見たさで行っちゃうだろなと思ってる今日この頃なのであるが・・・

Another(上) (角川文庫) Another(上) (角川文庫)
価格:¥ 700(税込)
発売日:2011-11-25
Another(下) (角川文庫) Another(下) (角川文庫)
価格:¥ 700(税込)
発売日:2011-11-25

これまた「アニメ化だって、そんなんどうやるんだ、ムリだろ」とはどこで聞いたか忘れたが、ともあれそういうものだという作品を職場の売店でみつけてしまった以上買わずんばあるべからず、早速読了

なるほど、これはネタバレを避けると何も言えなくなるタイプのミステリだけど普通活字でしか成立しないよね、文字情報だけの「本」という媒体はある意味何でもありなのだ

たとえば登場人物が家で家族の誰かに「オマエ、ヒトがTV見てる時に掃除機かけるなよー」とか言ってて、翌日職場で上司に「ボス、先週のデータがまとまりました」と言ったら、普通「オマエ」と「ボス」が同一人物だとは思わんよね
でもそういう設定は活字ならできるし、それでもって読者をミスリードするミステリもできると思う(もちろん私はとてもそんな能力ないが)、けどこれが実写だったら(いやアニメでも)、ハナからギャグにしかなり得ない

あ、これだけでカンのいいヒトにはネタバレになっちゃったかも、他にもいろいろシカケはあるけど・・・ってあれ、よく見たらアニメはもう放送された後?


賞買い

2012-04-29 10:35:27 | 本と雑誌
舟を編む 舟を編む
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2011-09-17

と言っても本屋大賞はたいして信用してないのであるが、Twitter文学賞でもわりといいセン行ってたのでこれは買いだと思ってて、たまたま職場の売店でみつけたので即購入

Show まー人気の理由はわかる、「辞書を作るべく生まれて来た」主人公のキャラがいかにも決まってるのだ、このオビを見ただけでジャケ買いしちゃうヒトもいるかも(あ、このイラスト、主人公はメガネの兄ちゃんね、若い女の子はその恋人、こっち向いてるカッコイイ男の子は同僚)

ただ・・・途中までは文句ない
主人公が学者に書いてもらった長ったらしい原稿を書き直して辞書らしくするクダリ、「西行」には「不死身」の意味がある(「富士見の西行」なる画題に由来するとのこと)、流れ者や旅人を「西行」ということもある(こっちはよくわかるな)と言ったトリヴィア
ボロ下宿(「早雲荘」、同僚が「信玄荘」とわざわざ間違って「戦国武将みたいなアパート」、これけっこうウケた)での暮らしぶり、「旅猫」(あっちこっちの家を渡り歩く猫のこと、小田島隆の表現)のトラさんもいい、いささかオトギ話めいた主人公たちの恋愛関係も(何せ女の子の名前は「かぐや」ちゃんである、そんな名前つけるってどういう親だよ?)オカシクてよいかも

だが13年後にようやく辞書「大渡海」が完成するクダリは・・・
「西行」の項をあれだけバッサリ切りまくった主人が「愛」の項目に「愛妻、愛人、愛猫」(これに後輩がつっこむ)とは何だよ、そんな言語感覚で辞書を作れるか?!

人気ゲームの大百科も編纂した、まあそれはいーよ、だけど
「アワム星人の貴族はテレパシーで会話する」なら「貴族以外は言語を発話するということで?」
そら普通そうだろ、そん程度の設定も決めんでゲームを売り出す作者はおらんハズ、辞書編纂者に突っ込ませるならもうちょっと高度な質問考えろよ

「大渡海」発売直前に監修者の先生が亡くなる、78歳、え?てことは13年前は65歳?そん時定年を迎えてた先輩(只今73歳)とたった5歳の差?オビのイラスト見てくれよ(左手前が先生、その隣が先輩)、そんな年齢差に見えるかよ?

辞書用ペーパーの品質にはにこれだけこだわってながら、お話のディテイルはいささか(いや相当に)雑、「美は細部に宿る」って知ってる?(私が言っても説得力ゼロだがな)

追記-とは言えAzonのレビューを流し読みして改めて自分は揚げ足鳥だと思ったな


ツイート風に

2012-04-27 10:19:56 | SF

「ジェノ」について質問あり、お読みいただきありがとうございます、ニノチカ様
もしお急ぎでなければ去年の記事(こちらこちら)をごらんくださいませ、数学ネタは後の方にあります

1月に買った「バレメカ」をようやく読了、前の記事(こちらこちら)に付け足すことはあんましないけど、何かずいぶんエロな文章だと思った、前読んだ時はさほど印象なかったのに

脳外科医の龍神が視力を失ったってクダリを完全に忘れててちょっとショック、だって第三章でもちゃんと見えるように行動してるもんね、あれはバーチャル空間だからできることなのか、でもハイテクなホームレスやカイセン病みの不幸な犬はリアルな存在としか思えないし

何という残酷なことを考える作者か-と思ったけど、これは津原さん本人の症状なんだ、あの時はまだ知らんかった

「網膜色素変性」(「ガラパゴスの箱舟」にも出てる)の原因は様々で必ずしも失明にいたるとは限らないとのこと、そう言えば私の先輩にも一人いたと思う、もう何年か前に定年を迎えたハズだけどどうしてるかな?
ともあれお大事になさってください(我ながら空虚なセリフ)

追記-おっと、イカちゃん、コメント感謝(4/24の記事)、こんな作者を儲けさせるのはシャクだからできれば買わずに読んでちょうだい(よけいなお世話)、あの「統合失調症」は100%詐病だと信じてるからそこには責任感じてないよ、ただこれほど(誹謗中傷が)エスカレートするとは想定外だったとは思ってるかも