事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

あえてフライング

2011-07-10 03:49:24 | SF
ジェノサイド ジェノサイド
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2011-03-30

昔ブラウン神父が言った
ニセ弁護士が私をだますのは簡単だがあんた(本物の弁護士)をだますことはできない
以下細かいニュアンスは忘れたが、自分は「奇跡」の専門家だからインチキな奇跡にはだまされないということだった

本作品は今年の直木賞候補作として圧倒的に評判が高い、だがいかに何でも内容がデタラメ過ぎ、約600ページの200ページまで来たところでほとんど読む気が失せた
なぜか?私は軍事にはシロウト以下だが生物のことならちょっとは知っている、だから作者がお話のテーマになる架空の難病をどこから考えついたか、その病気にちょっとした細工で特効薬を作れるとなぜ安易に考えられたのか、おおむねのところ(作品には書かれてない)ウラが読めるし、それがいかにもシロウト考えな「一知半解」によるものだということも見当がつくのである、いわく
男性ホルモンとか女性ホルモンとか(中略)働きかける細胞の表面に受容体があるからである
ないよ、性ホルモンに受容体はもちろんあるけど「細胞表面」にはない、それを知らないというだけでこの作者は信用できないのだ、それにいかにも文系人種らしく自然科学研究の実態を(知ってるように書いてるけど)知らない、大変な金と時間と何よりもとんでもない人手をかけなくてはできない「研究」というものをいい加減に考えてる、ナメてるとしか思えない
この調子じゃ軍事とか諜報活動とか特殊工作とかの知識もアヤシイものなんじゃないか、お話を成立させるためにムチャなゴマカシをやってるんじゃないかと疑っちゃうのだな、民間軍事会社に雇われた主人公たちアフリカ潜入部隊のいかにも不自然な(本人たちがハッキリそう思ってる)行動を見る限り、これはマンザラの誤解じゃない気がする

まあ最終評価は読み終わってからにすべきだろうけど、こんなのが受賞するようじゃ直木賞もオシマイ、医学部出身の渡辺淳一あたりに絶対反対してもらいたいところであるのだが

朝になってから追記-読みなおしてみたが別に訂正の必要はないと思う、「非現実でどこが悪い?面白ければ何でもありなのがフィクションじゃないか」というヒト必ずいるハズだけどこの作品の非現実は超能力や時間旅行や恒星間飛行とは違うのだ、21世紀日本の非現実、やっぱ壊れかけた安アパートの一室に-70度のフリーザーを置いたり(マチガイなくブレーカー落ちるね)、マウス(それも一部は遺伝子改変動物)を何十匹も飼ってもらっちゃ困るのである、しかも主人公は自分が世話しなきゃ死ぬことがわかってる彼らを見捨てて自分だけ逃げる、捕まれば拷問の上で殺されるというこれまた非現実にムチャな設定に(たぶん)なってるんだろうが、しかし自分のヒーローにこんな行動をとらせる-というか平気でそんな設定をデッチ上げ(あえてこう言う)られる作者を許すわけにはいかんのだ、少なくとも(スレッカラシのミステリ読みでかつちょっとは生物のことを知ってる)私はね

さてでは続きを読むとするか、以下次号

午後の追記-「マウスたちを捨てて逃げた」というのは飲んだくれてた故の誤解、ここはオヤジが用意してくれた秘密基地で、警察に探知されておらず(これがまた安易だと思うけど)彼はここに立てこもってるのだった、まあ一応お詫びしとこう(消さんけど)、だが壊れかけたアパートの一室で特効薬を合成できるなんて設定をデッチ上げる作者を許しがたいという事実は全く変わらん

後1/4ほどなんだが・・・・今度こそ以下次号