「上海」は約80年前の小説(青空文庫にあり)、舞台はこの都市で1925年に起きた「五三○事件」である、イギリス租界に「犬と中国人は入るべからず」、ソ連政府に追われたロシア貴族もいるし、警官隊はイギリス政府が派遣したインド人、かと思えばインド独立をを目指す愛国者も潜む(なぜかネルーに敵対してるらしい)、アメリカ、ドイツ、日本の企業が進出して中国人を搾取している、中国に排外なんてできるもんか、できるのは排支(那)だけだなんて思ってたらこれが意外(なわけはない、中国だって進んでたのだ!)、東洋紡(実在の会社だけどいいんだろか)の工場破壊から始まった暴動があっという間に全市ストへ発展、外国人は食べるものも買えなくなって途方に暮れる・・・という状況を背景に展開するのは「白皙明敏な中古代の勇士のような」主人公参木(さんき、ファーストネームなし)、と「(辻原登が泣いて喜ぶと思う)不運不幸を絵に描いたような」ヒロインお杉(ファミリーネームなし)のラブストーリーなのだ
参木はとにかく女にもてる、容貌もカッコイイが、今は人妻になった友人の妹を思い続けているので周囲の女性をセックスの対象として見られない、そこが普通の男と違うからと会う女、会う女(トルコ風呂の女主人、ロシア貴族の娘、中国人の工作員、ダンスホールの踊り子)に片っ端から信頼され愛されちゃうのである、ああこれ男性作者のかなわぬ夢を表してない?
一方お杉はトルコ風呂で働いていたが、参木が自分になびかないのは彼女のせいだと勝手に思い込んだ女主人に突然解雇され、一時参木の部屋へ身を寄せるが諸般の事情(ややこしいから省略)で街へ流れ出て当然のように春を売る境遇へと身を落とす、こちらの描写はちょっとしかない、これまた時代だね
参木は(途中省略)食べ物を求めてストの街をさまよいスラム街へ向かって、何とか自分が最初から好意を持ってたお杉の家へたどり着く、お杉はもちろん大歓迎だがここに食べるものはないし電気どころかロウソクもなくて真っ暗、こんな状況でようやくいっしょになれた恋人どうしの明日はどっちだ?(完、アニメのマネだけど実はこれが言いたかった)
何かめんどうになったしもうすぐ日付変わっちゃうから今日のところはこれでアップ、渡部直己の新潮連載についてはまたいずれ(もし書けたならば)