事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

黄昏抜歯

2010-09-27 15:11:51 | ファンタジー
綺譚集 (創元推理文庫) 綺譚集 (創元推理文庫)
価格:¥ 756(税込)
発売日:2008-12

著者検印入りの初版本がどこかに埋もれてみつからないので文庫を買った、なるほどこの解説が石堂さんなんだ

しっかし改めてコワいことばかし考えつくヒトだよな、自転車のハンドルがささっちゃった女の子、おいおい君ら救急車呼べよと思ってるうちにお話はどんどんとんでもない方向へ-とか、先生にとりついて狂わせてやるという小学生の幽霊、子供は死んでも残酷だ-とか、イヌを殺されて殺人犯兼放火犯になる男たち、いや気持ちはよーくわかるけど、でもって、このお話をユーモラスとおっしゃる解説者、いや、まあ、確かにさうなんだろが・・・・・

前に読んだ時タイトルの作品が一番気に入ったと思う、親知らずが腫れて痛いのはイヤ(これがまたリアルなのだ、絶対実体験、いや違うかな?)だし、受験生時代に治療するヒマがなくて歯がボロボロになったっていうのも自分のことみたいでイヤだったが、ミステリとしてキッチリ決まってたとこがよかった、やっぱ私はミステリが好き、二階へ上がってハシゴをはずされるのは苦手、別の言葉でこれを異界への移動と言ったり、あるいは夢オチ、妄想オチということもあるかもなんだが、この作者の場合、どれでも説明つかんことがあるし

おっと話がそれた、前回は「犯罪が明らかになった」というミステリ的解決に納得して、肝心な「抜歯」の意味をちゃんと理解してなかった気がする、歯には記憶が宿ってる、辛い記憶につながる歯を抜いてもらったらそれと深くかかわってた恋人のことまで忘れちゃったらしい-というどこかシュールな結末が完全に記憶から抜け落ちてたのだ、そっか、最近新しいことを記憶できんくなったのは、ここ十年ほどでいっぱい歯をなくしたからだったのだな(飲んだくれてばかしいるからに決まっとるじゃないか、このアホが!!)

わたくし率 イン 歯ー、または世界 (講談社文庫) わたくし率 イン 歯ー、または世界 (講談社文庫)
価格:¥ 400(税込)
発売日:2010-07-15

でこの作品、このヒトの読者にはなるまいと思ってたのに、アイディアがパクリじゃないかとの疑惑が生じたおかげで買ってしまった、一冊よけいに売れたぜ、喜べ作者-しかしいったいどういうタイトルや、いやタイトルだけやない、内容もやな、もーちょっとわかるよーに書け、純文学=わからん文章と思っとらへんか?(また岐阜県人になってしまった)

何と言うか、リアリティゼロいやほとんどゼロ、主人公がデパートの化粧品売場で働いてて歯科助手に転職したという出だしも唐突なら、そこでの人間関係というか、見習い歯科医の主人公に対する態度や二人のやりとりもメチャメチャ、わずかに歯科医院の道具立てだけリアルに描写されてる(だからリアリティゼロとは言わない)、主人公は「奥歯が自分や」と思うことにしたのだが、なぜそうしたのか説得力なし、だいたい奥歯言っても親知らずだけで4本あるんやで、そのうちどれがアンタなん?そんくらいはっきりせーや、延々と無意味(いやほとんど無意味)な記述が続いた後、ようやく始まるストーリー、恋人が治療に来る、後を追う、アパートの前でわけのわからんことを言って恋人(実は主人公の一方的な思い込みだったことが判明)の彼女から徹底的に罵倒される、歯科医院へ行って「麻酔なしで!!」奥歯を抜く・・・・・

この「時系列」どうなっとるん?恋人が来た時、医院は閉店寸前だった(だから主人公は抜け出せた)、恋人宅で大騒ぎの後、1時間半かけて歯科医院へ行った?そこでまた散々にモメまくったあげくに抜歯?いったいそれ何時や?
歯を抜いたことまで含めてすべてあんたの夢か妄想ちゃうのん?こん中に一行も現実の事件はないんとちゃう?いやそんならその方がええ、「麻酔なしで抜歯」なんて野蛮な事件もなかったならなかった方が私の気は休まる、けど全編妄想の小説、そんなんありか?(ありかもな、それが純文学)

アイディア盗用はまあ事実やろけど、内容似てないから盗作とは言えん、そも盗用するならもうちょっとうまくやってくれんかなあ、元ネタが明晰なミステリとして完成してるのに、パクリの方は徹底して妄想だけのシロモノて・・・(絶句)


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