荻窪鮫

元ハングマン。下町で隠遁暮らしのオジサンが躁鬱病になりました。
それでも、望みはミニマリストになる事です。

あしたのジョーの巻。

2013年03月02日 | 偽りの人生に優れたエンターテイメントを
いわずと知れたボクシングマンガの金字塔で、ちょいと前にも山P主演で二度目の映画化となりました。

興行的に成功したのかコケたのかは知りませんが、評価はサンドバッグ状態。

僕からしますと、セットなんかはよく出来てましたが、試合会場やバックに映る建築物が思いっきり現代なのが残念ポイントでした。

山P自身もパート2製作には積極的な様であります。

さて、マンガの連載開始は1968年。TVアニメパート1放映開始は1970年。いずれも僕が幼稚園入園前の時代です。

勿論、当時は【ジョー】をマンガで読んだ事はありません。

僕の世代では、1980年にスタートしたTVアニメパート2が最も馴染みのある作品でありましょう。

一般に【ジョー】と申しますと、やはり力石徹との闘いをイメージされる方がほとんどだと思います。

しかしながら、僕の様にTVアニメパート2からリアルタイムで観ていた者にとっては、力石の死後の方が親近感があるのです。

尤も、力石の死迄はさんざん語られておりますからねぇ。【ジョー】を詳しくご存知ない方でもそこそこの知識はあるのではないでしょうか。

名シーン揃いのこの作品ですが、爆笑問題の太田光のいち押しシーンは、世界バンタム級チャンピオン、ホセ・メンドーサ戦直前の白木葉子との会話シーンだとか。

『好きなのよ矢吹くん、あなたが』葉子の悲痛な叫びが視聴者の心に響きますな。また【あなたが】を倒置法にしているトコがまた良い。

僕のいち押しシーンは、白木葉子そっくりさんの林屋の紀ちゃんとデートするシーン。

『矢吹くんは、寂しくないの?同じ年頃の若者が突っ走り、踊り狂い、街に海に山に青春を謳歌してるって言うのに』

と、ジョーのボクシングのみの生き方に疑問を投げかけます。

するとジョーは『ブスブスとした、そこらにある見てくれだけの不完全燃焼とは訳が違う。ほんの一瞬にせよ眩しい位に真っ赤に燃え上がるんだ・・・そして、その後には何にも残りゃしない・・・灰だけが残る・・・燃えカスなんか残りゃしない、真っ白な灰だけだ』

と、紀ちゃんに理解不能な行動原理を語るのです。

この時の【真っ白な灰】がラストシーンにつながったと聞きました。

ジョーを好いていた紀ちゃんですが『あたし・・・ついて行けそうもない』と決別を決意。結果、マンモス西の嫁になっちゃう訳ですな。

その後もマリッジブルーに陥った紀ちゃんが、ジョーに未練をタラタラ言うシーンがありましたねぇ。



【ジョー】はやはり至高にして唯一無二のボクシングマンガだと思います。

【はじめの一歩】も面白いですが、どうしてもインパクトに欠けるのです。

考えてみれば、ほとんどのボクシングマンガの主人公って、みんな弱気な男の子ってパターンが多いと思います。

そんな男の子がボクシングを始める事によって心身共に成長していくって感じ。

矢吹丈は真逆でした。滅びる為に生ききった青年像は決して色褪せる事はないでしょう。





ジョーと紀ちゃんのデート。何度観てもグっときます。

ジョーって童貞だったんだろうなぁ・・・。


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