川天使空間

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駅鈴(はゆまのすず) 久保田香里著 くもん出版

2016年08月07日 05時36分29秒 | 創作・本の紹介
児童文芸新人賞を受賞された「氷石」につづく、奈良時代の史実を元にした物語です。
解説は「氷石」と同じく、奈良大学文学部史学科寺崎保広教授。
奈良時代が現代と地続きになったような、NHK大河ドラマになりそうな、すばらしいお話でした。

13歳になる小里(こざと)の家は、近江国の篠原駅家(うまや)を仕切っている。
駅家(うまや)というのは、役所や朝廷からの手紙を運ぶ使者-駅使(はゆまつかい)の馬を交換したり宿泊所となる施設で、三十里ごとに置かれている。
駅鈴(はゆまのすず)は、正式な使いであることを証明する鈴で、急ぎの使者である飛駅のときには激しく鳴らされる。
カランカランと激しく響く駅鈴の音を聞くと、小里の胸は高鳴る。
女だからなれないと言われるけれど、小里は駅使を先導する駅子(うまやのこ)になりたいのだ。

駅使の従者として篠原駅家にやってきた若見は、歌詠みをする若者だった。
若見の兄は遣唐使の従者として大陸に渡り、疫病で命を落としていた。

小里は馬にまたがり後ろに若見を乗せ、路を疾走する。
馬の背で風を顔に受けながら子里は叫ぶ。「父さんのわからずやーーー!」
それにつられて、若見も兄への思いを叫ぶ。
小里と若見は、しだいに惹かれあうようになり…

読みだして止まらなくなった。
ぜんぜん知らなかった駅使のあれこれはとても興味深く。
小里と若見、そして大伴家持や安積皇子…

こんな文章に、じーんとした。

 きれいな空だった。雨あがりの野も、光りかがやく湖面も、ゆったりとした山も。
 見るものすべてが心にひびいた。
 そこに身を置くだけで、胸に満ちていくものがある。
 いっぱいになって、あふれたものを、書きとどめておく。
 その気持ちが小里にもわかった。

描写の醍醐味ってこれだよね。

久保田さまのご本は、ワンダーランドをいつも見せてくれる。
しっかり文献を調べた上でのワンダーランドは、重みがちがう。

久保田香里さま、ますますのご活躍を!

朝ちょっと書いて昼から山へ行った。
けれど車を止めたら車の周囲にブヨや虻が大集合。
とても車から出られずそのまま撤退してドライブをした。
今日は朝早くに出かけて昼には撤収予定。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)

コメント (2)
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