生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

ザビエル・モンサルヴァッゲ Xavier Montsalvatge

2017-06-09 23:03:06 | 器楽・楽器

 以前、インターネットのオークションサイトで落札したCDで、手元に届いた直後を含め複数回聞いていたCDがあります。今日たまたま聞き直したところ、妙に心に滲みてきました。ブランドは例によってNAXOS。無名の作曲家の作品や、有名な作曲家でも演奏頻度の低い作品を優先してアルバムリリースしている老舗の拘りブランドですね。

 さてその作曲家は誰かと言えば、スペインというよりも、画家のパブロ・ピカソやチェリストのパブロ・カザルスと同郷のカタルーニャ人でのザビエル・モンサルヴァッゲ(1912-2002)です。没後15年で日本でも著作権が切れるまでまだ35年もあるため、ペトルッチ(IMSLP)に楽譜がアップされている筈もないと思い、確認していません。しかし、少なくともスペインでは名前が通っているようで、ネット上の動画サイトには多数の音源がアップされています。

 声楽曲と器楽曲とを取り混ぜて11曲収録しているアルバムなのですが、その中の「Serenata a Lydia de Cadaques」はピアノ伴奏つきのフルートの独奏曲です。フルートを吹く前に聞いたときはそれ程の印象を与えてくれなかったのかもしれませんが、そこそこフルートが更ける現在、この曲は右の耳から左の耳に聞き流してお仕舞い、という訳には行きません。冒頭は同じ音程でフラッタータンギングやスタッカート等のアーティキュレーションが迫ってきます。この様にリズムの変化が激しい時は案外テンポは淡々と刻んでいるようですね。リズムとテンポが同時に乱れたら何が何だか分からなくなりますものね。異なる音程が登場しだしたころは、まるで邦楽の尺八を彷彿とさせるようなメロディーが続きます。とは言えそこは良くも悪くもフルートというモダン楽器ですから、尺八の世界からは直ぐに離れて西洋音楽の世界に戻ってきます。とは言え古典派やロマン派の調性感の支配する世界ではなく、モンサルヴァッゲが生きた20世紀の現代音楽の息吹が伝わって来ます。この曲フルート演奏家であればその存在を認識して演奏される機会を増やしても良いと思います。

 フルートを始める前に落札したCDなので、落札時は間違いなく声楽作品を目当てにしていました。このアルバムの中にはカザルスが国連の特別演奏会で演奏したカタルーニャの「鳥の歌」も収録されています。スペイン語あるいはカタルーニャ語だと思いますが、ソプラノの歌唱が含まれています。その他にも疲れた心に染み入ってくる声楽作品も複数あります。声楽作品については改めて紹介させていただきます。