生涯を完結させるまでに歌いたい歌、最近始めたヴァイオリンとフルートはどこまで演奏できるようになるか、と時々ワンコ

死は人生の終末ではない。 生涯の完成である。(ルターの言葉)
声楽とヴァイオリン、クラシック音楽、時々ワンコの話。

Verdi Rigoletto Duet Mio Padre! Dio Mia Gilda  ヴェルディ リゴレット ジルダとリゴレットの二重唱

2015-01-31 23:44:31 | ヴェルディ
 レッスンに行って来ました。いよいよ5月の演奏会の曲が決まって来ました。以前別の門下の発表会で歌ったヴェルディのリゴレットの「悪魔め鬼め」と3幕の四重唱を希望したところやりましょうと言うことになり、四重唱のほかにドゥッカとジルダとリゴレットそれぞれのアリアと、ジルダとリゴレットの二重唱も歌う予定になりました。ジルダとリゴレットの二重唱はモンテローネが牢屋に連れて行かれる場面からの「Si Vendetta」とばかり思っていたら、「悪魔め鬼め=Cortigiani」から連続する「Mio Padre! Dio Mia Gilda」から「Si vendetta」まで通して歌うことになりそうです。

 「Cortigiani」はドゥッカの手下どもに攫われた娘ジルダを返してくれと、怒り、脅し、最後は懇願する重いアリアです。舞台の進行が一区切りついたところで、ドゥッカから逃げてきたジルダがリゴレットとであって何があったのかを話し、それを聞いたリゴレットが心の中を独白する二重唱、そしてリゴレット(とドゥッカの二人)に呪いをかけたモンテローネが牢に連行されるシーンを挟んで、ドゥッカに復讐を誓うリゴレットをそれを止めようとする二重唱が「Si Vendetta」。ものすごくテンションの高い歌が続きます。2年前に歌ったときは「Cortigiani」だけで本番の後1ヶ月ぐらいは歌を辞めようかと思うくらいの放心状態になっていました。「Si Vendetta」は2分ほどの短い曲で怒り狂っている勢いだけで歌ってしまえるといえばそういう曲です。

 ところがその間に挟まる「Mio Padre! Dio Mia Gilda」は、リゴレットのものすごく複雑な思いの独白を含んでいます。大きなコブが背中にある見難いセムシとして生まれ人々から忌まわしげに扱われてきたのに、ただ一人そんなリゴレットを愛しながら早くに死んでしまった女性の忘れ形見であるジルダの幸せこそを願い、ジルダに降りかかろうとする不幸は代わりに全て自分の上に降り注いでくれとのみ神に祈ってきたのに、その祈りが神に通じなかったのか、という嘆きです。とてもではありませんが、こんな複雑な心情は歌える気がしません。少しづつ咀嚼して腑に落としていかないと。リゴレットの原作はヴィクトル・ユゴーの「王は愉しむ」ですが、ユゴーが凄いのかヴェルディが凄いのか、とんでもない作品だと思います。改めてオペラの最高傑作だと思います、少なくとも私にとっては。

 そう言えばレッスンの最初に永澤先生が仰っておられました。”歌曲は歌曲で勉強になるけど、オペラのアリアを歌わないと、歌うための体力はつかない。”はい、先ずは体力をつけて何とか歌える様にしましょう。


 今後の予定です。

 ・5月31日 声楽家団体横浜ピッコロ第8回定期演奏会
 ・6月10日 市民オペラ「リゴレット」合唱参加
 ・6月11日 市民オペラ「リゴレット」マルッロ

Francis Poulenc  Un Soir de Neige P・アリュエール F・プーランク  「 雪の夜  FP126 」

2015-01-30 23:57:17 | プーランク
 天気予報は当たりますね。朝起きると自宅前の道路が真っ白でした。と言っても車が一台通ると黒々としたアスファルトの轍が出来るので、積雪は精々1cmぐらいでしょうか。私が出社するため家を出る頃には振り方も大分弱まっていました。帰宅時には殆どの雪が消えていました。

 と言うことで雪をテーマにした歌を探してみました。クラシックの声楽曲としてはクリスマスをテーマにした曲の方がはるかに多いのは、長らくキリスト教会がクラシック音楽にとってのパトロンであったと言う歴史と、西欧社会そのものがキリスト教社会であるからでしょう。

 とは言え、雪をテーマにした名曲がありました。ポール・エリュアールの詩にフランシス・プーランクが曲をつけた「雪の夜」です。。独唱者と合唱との無伴奏の組曲です。さすがは梅丘歌曲会館で、原詩と日本語訳と更に短い解説が記載されています。短い解説ですが非常に有用な情報が記載されています。著作権があると思うので引用しませんが、是非梅丘歌曲会館のサイトで確認して下さい。

 ペトルッチ(IMSLP)のサイトに楽譜が公開されています。また有名な作品だけ有って動画サイトにも多数音源がアップされています。小編成から大編成まで、大半がキリスト教会の内部で歌われているようですが、音楽ホールで歌われている音源もあり、色々な観点から聴き比べることが出来ると思います。

 プーランクの作品は一聴してプーランクとわかる独特の和声感があると言われているそうなんですが、まだプーランクの音楽と出会って日の浅い私はそこまでプーランクの世界を咀嚼できていないと、この曲を聴きながら思っていました。ところでふと気付いたのですが、無伴奏の作品なので純正調の響きですよね。プーランクの殆どの声楽作品は平均律のピアノ伴奏のものが多いので、この「雪の夜」はいわゆるプーランクの和声感とは違うのかな、と思いました。どなたかコメントをいただけると嬉しいです。

 フランス声楽作品は詩の意味、その奥行きが非常に深いと感じていますが、一つは時代背景の複雑さが反映していると思います。フランス声楽作品の詩の世界に踏み込んでしまうと、ただ綺麗、美しいとばかり言っていて良いのだろうかと言う疑問を感じざるを得ないと思います。プーランクの「雪の夜」も正にそんな作品で、雪が森々と降りしきる深夜に、この曲を聴きながら飲むべき酒があるとしたらやはりフランスワインで、濃厚芳醇なボルドータイプではなく、繊細である意味気難しいブルゴーニュタイプこそでしょう。そう、昨日紹介したクロズリー・デ・アリズィエなら文句なしです。一人で飲むか、気の置けない人と飲むか、最愛の人と飲むか、あなたはどのように飲みますか?



今後の予定です。

 ・5月31日 声楽家団体横浜ピッコロ第8回定期演奏会
 ・6月10日 市民オペラ「リゴレット」合唱参加
 ・6月11日 市民オペラ「リゴレット」マルッロ

CLOSERIE DES ALISIERS BOURGOGNE PINOT NOIR クロズリー・デ・アリズィエ ピノ・ノワール

2015-01-29 23:44:45 | 
 夕食時に大変美味しいブルゴーニュ・ワインを頂きました。 フランスワインあるいはフランスタイプのワインはこれまでに高いものから安いものまで、どれだけ飲んできたか判りません。その中でブルゴーニュあるいはブルゴーニュタイプのワインは間違いなく1割以下です。半数以上は間違いなくボルドーあるいはボルドータイプで、次いでコート・ドゥ・ローニュあるいはコート・ドゥ・ローニュタイプを合わせれば9割以上だと思います。ちなみにタイプと言っているのはセパージュ(葡萄の品種)で、ブルゴーニュと言えばかのロマネ・コンティのそれがピノ・ノワールで、ボルドーと言えばカヴェルネ・ソーヴィニヨンとメルローが2大品種で、その他にシラーという品種がボルドー以外でも使われています。以上全て赤ワインの話です。

 ボルドーワインの赤は太陽の日射を十分に吸収した力強さ、タンニンの程よい(弱すぎない)渋みが魅力で、完熟した馥郁とした葡萄らしさが魅力で、ある意味誰にでもわかりやすい美味しさだと思います。音楽に例えれば賢覧豪華なロマン派音楽と言えましょうか。

 コート・ドゥ・ローヌの赤ワインは、ボルドーワインに似ていますが、ボルドーワインに比べるとやや豊かさが大人しくなって、スパイシー感が強くなっているように感じます。ボルドーよりは個性的で辛いというイメージがあります。それでもボルドーワインに似ていると思います。あるいはイタリアワインやスペインワインとも似ていると思います(イタリアワインやスペインワインはやや輪郭がぼけてくるようなイメージがあります)。

 世界最高峰のワインと言われるロマネ・コンティがブルゴーニュ地方にあり、ブルゴーニュを代表するピノ・ノワールという葡萄品種から作られていることから、これまでにも何回もブルゴーニュワインを意識して嗜んで来ました。ボルドーワインに比べると繊細というか華奢というか、デリケートで難しいと言う印象を感じて来ました。わざわざブルゴーニュワインを愉しむために、これまたワイングラスとしては最高峰と言われている独リーデル社製のブルゴーニュ用のワイングラスも購入しました。リーデル社のブルゴーニュ用のワイングラスを用いて飲んでも、正直なところ飲んだ第一印象が美味しい!!!というブルゴーニュワインはありませんでした。

 本日、たまたま夕食をピザにしたことからワインでも開けようか、ということになり、昨年の暮れに子供(随分以前に成人しています)にお金を渡して正月に飲む酒を適当に選んで買って来てもらった中にあったブルゴーニュワインを開けてみたということです。初めて飲んだ瞬間に繊細だのデリケートだのと余分なことを考えずに、ただただ美味しい!!!と思いました。子供に色々まとめて買って来てもらった中の酒なので幾らで買ったものか正確にはわかりませんが、2,000円内外の筈です。それでしっかりとブルゴーニュの範疇の中でこれだけ美味しいワインがあるとは、正直驚きました。ちなみにヴィンテージは2013です。極めて若いワインですね。

 ボルドーワインを大編成のオーケストラに例えると、ブルゴーニュワインは弦楽四重奏でしょうか。声楽曲に例えるとすれば、ボルドーは大編成オーケストラと大編成合唱団によるオラトリオ、ブルゴーニュは小編成のアカペラ、またボルドーをロマン派絶頂期に例えるとブルゴーニュは現代音楽の洗礼を受けている作品。万人向けではないが判る人には答えられない魅力がある作品だと思います。

 ただ、純粋に酒の味だけの効果なのか、それ以外に私自身の身体的な変化が影響しているかなのかははっきりしません。と言うのは、少し前から低炭水化物ダイエットと尿酸値を下げるためにみかんを積極的に食べる食習慣に変えており、ここ数年(十数年???)無かった軽い体重にまで減量できており、体質が変わってきている気もするからです。

 今まで聞いたことの無かった音楽作品と出会うことも大きな生きる喜びですが、今まで飲んだことの無かった美味しいお酒と出会うことも大きな喜びです。2018年のリリ・ブーランジェの没後100年には、ブーランジェにちなんだ美味しいフランスワインを愉しみながらブーランジェの作品を聞いて見たいものです。



今後の予定です。

 ・5月31日 声楽家団体横浜ピッコロ第8回定期演奏会
 ・6月10日 市民オペラ「リゴレット」合唱参加
 ・6月11日 市民オペラ「リゴレット」マルッロ

熊田嵩大  音楽と世界史 ~音楽の分岐点~

2015-01-28 23:35:56 | 論文・資料紹介、書評
 クラシック音楽史を理解するにはヨーロッパの歴史を最低限度把握しておく必要があります。音楽大学の先生や、一般大学の歴史の先生が著した論文は専門的過ぎて、大雑把に全体像を捉えるには不向きと思われることがあります。そんな中でヨーロッパ史を大掴みに理解するために絶好の資料を見つけました。それが熊田嵩大氏の「音楽と世界史 ~音楽の分岐点~」です。なんと氏の高校1年次の自由研究なのでしょうか、前橋高校の文化・芸術系ゼミの論文と思われます。

 17世紀の30年戦争から紐解いて、イギリス産業革命、フランス革命とその反動期等を概観しています。専門的には掘り起こしが物足りない点も多々指摘できるとは思いますが、そんな重箱の隅をつつく議論ではなく、彼の視点の高さと広さ、志を素直に受け止めさせて頂きたいと思います。ドイツ、フランス、イタリアの当時の地政を図を用いて極めて判りやすくまとめています。若さによる大胆な省略や整理の結果が判りやすさになっていると思います。重箱の隅をつつく議論なんて全く不要に思えてくる、潔さが魅力です。一読を薦めます。


今後の予定です。

 ・5月31日 声楽家団体横浜ピッコロ第8回定期演奏会
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ALTO del CRMEN

2015-01-27 23:02:55 | 
 カルメンと言う酒がありました。正しくは「 ALTO del CRMEN 」です。

 ソプラノ、メゾ・ソプラノ、アルト、テノール、バリトン、バスと、それぞれの声種毎にオペラアリア名曲集というような楽譜集が出版されています。どの声種のものでも大半はイタリアオペラのアリアで、次いでドイツオペラのアリアがあれば良い方と言う感じで、フランスオペラのアリアが収録されている楽譜は珍しいくらいです。とは言え何事にも例外はあるもので、ビゼーのオペラ「カルメン」に出てくる有名なアリアは収録されていることが珍しくありません。ということでバリトン向けの名アリア集というような楽譜に収録されているフランスオペラのアリアはなんと言っても「カルメン」の中で闘牛士エスカミーリョが歌う「 Votre toast 」、日本語で言えば「諸君の乾杯を喜んで受けよう」あるいは「闘牛士の歌」ですね。

 その「闘牛士の歌」ですが、オリジナルの劇場版では全くの独唱と言う訳ではなく、エンディングに近いところで、カルメンだけでなくフラスキータやメルツェデスといった綺麗どころから”ラムール””ラムール”という合いの手が入ります。ところが名アリア集といった楽譜集に集録されているものは全くの独唱でも歌える様に、せっかくの綺麗どころの合いの手が省略されています。日本に限らず声楽会は女声が多数で男声は常に少数、日本のアマチュア声楽界ともなれば女声に比べて男声は一桁少ないなんてことも珍しくはないので、声楽教室の発表会で「闘牛士の歌」を歌うとすれば、”ラムール”だけの合いの手でも喜んで歌ってくれるお姉さま方がいるだろうとの発想が出て来ました。

 そこで例によってamazonでカルメンのヴォーカルスコアを買おうかな、ついでにカルメングッズに良いものがあるかな? と言うことで、いつもなら”Vocal Score”×”Carmen”で商品検索するところを、”Carmen”のみで商品検索してみました。すると何故か洋酒が出て来ました。なんと「 ALTO del CRMEN 」という酒があったんですね。「 ALTO del CRMEN 」というのは南米はチリにある村の名前で、その村で作られている葡萄ベースの蒸留酒の様です。アルコール度数は40度。僅かに色味の付いた透明の酒が、ハゲワシのマークの付いた透明なガラスのボトルに入っています。やや癖があるだけの特に美味しいとは思えない味です。味わう酒というよりは酔うための酒のようにも思います。売る側も心得ているようでカクテルベースとして使うように様々なカクテルのレシピが添えられています。あるいはアンデスの空高く舞うハゲワシの姿を思い浮かべながら、ひなびた癖を味わうのも良いかもしれません。

 カルメンにちなんだ歌を歌った後の打ち上げ等で、話の種に飲んで見てはいかがですか。



今後の予定です。

 ・5月31日 声楽家団体横浜ピッコロ第8回定期演奏会
 ・6月10日 市民オペラ「リゴレット」合唱参加
 ・6月11日 市民オペラ「リゴレット」マルッロ