介護職員の賃上げ方針 ~ “月額1万円”では全産業平均にはまだまだ遠い

2014-09-28 14:28:16 | 日記
今朝の日本経済新聞ネット記事によると、政府は2015年度から介護職員の賃金を引き上げるとのこと。

<記事要旨>
・介護サービス事業者が受け取る介護報酬に職員の賃金を増やす原資を加算。
・月額1万円程度の増額を目指す。
・介護は人手不足が深刻なため、賃上げで人材の確保につなげる。
・賃金以外に払う介護報酬は抑え、介護を支えるための保険料や税の負担急増を避ける。

介護保険と関係ない介護サービス事業はさておき、介護保険による介護サービス事業はいわば国家の公共事業である。介護職員の報酬を法定しているのだから、その賃金水準が他産業との比較においてあまりに低いとなれば、国の責任においてそれを引き上げるべきだとなる。

先のブログ記事に書いたが、私の試算(☆)では、年間1兆円の財源があれば、介護職員の給与水準は全産業平均のそれに比肩し得るものとなる。
〔試算(☆)〕
 ・介護職員1人当たり月3万円引き上げるのに必要な予算額:年間3180億円
 ・介護職員1人当たり月6万円引き上げるのに必要な予算額:年間6360億円
 ・介護職員1人当たり月9万円引き上げるのに必要な予算額:年間9540億円

産業別・職種別の給与水準については、下の資料を参照されたい。“月額1万円”では、全産業平均にはまだまだ遠い。因みに、先のブログ記事で紹介したが、介護サービス産業の場合、労働者と施設長では給与額に大差がある。

介護サービス産業それ自体は確かに人手不足ではある。しかし、他の産業を比べると介護サービス産業だけが突出して人手不足というわけでもない。先のブログ記事で書いたように、例えば離職率で見ると、産業計での離職率は14%台、介護職での離職率は16%台となっている(いずれも平成23年度)ので、介護職だけが特別に高い離職率ということでもない。

介護保険財政にも限りがあるのは当然のことだ。だから、「賃金以外に払う介護報酬は抑え」つつ、「職員の賃上げ原資以外の介護報酬では効率化策を徹底する」ことは、やはり当然のことである。



<資料>

(出所:厚生労働省資料