アベノミクスの効能 ~ マクロ雇用情勢は改善傾向を継続

2014-02-28 14:07:36 | 日記
総務省が今日発表した「労働力調査(基本集計) 平成26年(2014年)1月分」によると、先月の就業者数や雇用者数、完全失業率などについては次のようなもの。

 ・就業者数6262万人(前年同月比34万人増)
 ・雇用者数5548万人(前年同月比46万人増)
 ・完全失業者数238万人(前年同月比35万人減)
 ・完全失業率3.7%(前月と同率)

2012年からの毎月の推移を見ると、下の資料の通りとなっている。先のブログ記事で書いたように、賃金水準という点では未だアベノミクスの効能が現れているとは言えないが、マクロ雇用情勢という視点では安倍政権になってから確実に好転しつつあると言える。個別のミクロ雇用情勢はそれぞれ異なるし、『雇用情勢格差』は必然のことだ。

アベノミクスへの評価には厳しいものが多々出されているが、どれに注目するかで評価は変わってくる。貶してばかりではいけない。もちろん、一般的に最も景気動向を体感するのは、実質GDPや賃金の水準であろう。我々国民が特に肌で感じるのは賃金水準に違いない。そこに辿り着くまでには、今の傾向が続くにしても、もう少し時間を要する。



<資料>

(出所:総務省統計局資料

離職の理由 ~ 介護職だけが特殊ということでもない

2014-02-25 21:44:14 | 日記
介護人材を確保していく上での大きな課題の一つに、離職率をいかにして減らしていくかということがしばしば挙げられる。厚生労働省資料によると、平成23年度において、産業計での離職率は14%台、介護職での離職率は16%台となっているので、介護職だけが特別に高い離職率ということでもなさそうだ。

それはさておき、下の資料1〔=直前の介護の仕事を辞めた(他の介護事業所へ転職した)理由〕と資料2〔=若者の離職理由・就職する際の情報入手状況〕を見比べると、介護職の離職理由は一般的な離職理由とそれほど大きな違いはないように思われる。これらの調査では、離職理由の分類に限界があるので違いがわかりにくいというのもあろう。

どのような職種であれ職場であれ、離職率が高いことが問題だとするならば離職率を下げる工夫は必要だが、離職率が高くとも問題ないのであればその必要はない。介護保険サービスの場合には、介護保険財政との関係を常に念頭に置いておくことが肝要だ。現在の離職率を嘆くのではなく、それを前提とした制度づくりを選択していくべきである。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料

労働力の高齢化 ~ 「介護労働力」も高齢化

2014-02-24 13:56:03 | 日記
これは介護人材に限った話ではないが、日本全体として労働力が高齢化することは避けられない。下の資料〔=年齢別労働人口の推計〕を見れば、その傾向はよくわかる。全体がそうなるのだから、介護労働力も高齢化していかざるを得ない。介護サービス産業が若年労働力を優先的に確保できる保証はどこにもない。

そういう状態になることが今からわかっているので、介護サービス産業も含めて若年労働力を確保していくために、高齢化した日本国民ではなく、若々しい外国の移民を受け入れるべきとの話も以前から出ている。

移民政策には相応の難点があるので、産業ニーズだけでこれを進められるわけではない。移民を積極的に受け入れる場合には受け皿を作る必要があるが、そうでない場合には日本の高齢者の受け皿を作っておく必要がある。いずれの場合も長短両面あるが、結果として、とても緩やかな速度感での移民受入れと、かなり早い速度感での高齢者労働力受入れが、同時に進んでいくと見込む。

『老老介護』というのは、高齢者夫婦どうしの介護という意味もあるが、介護サービスをされる側も介護サービスをする側も高齢世代であることを意味するようになるだろう。既にそうなりつつある。介護保険財政配分の費用対効果が比較的高い仕組みを築いていくことは妙案かもしれない。介護労働力としての高齢者に向けた『介護最低賃金制度』を検討する価値は高いと思われる。



<資料>

(出所:厚生労働省資料

『意識改革』という難題 ~ 男性の育児休業の取得率は低い

2014-02-23 23:25:21 | 日記
相当以前から少子高齢社会に突入することがわかっており、かつ、現にそうなっている日本。少子化高齢化対策として様々な施策が打たれてきているが、高齢化はもちろんのこと、少子化も歯止めがかかっていない。

少子化対策の一つとして、育児休業を取得しやすい環境作りを官民挙げて行ってきていることになっている。下の資料〔=育児休業について〕にある通り、女性の育児休業取得率は近年8~9割で推移してきているが、男性の育児休業取得率は1~2%でしかない。

実際の日本社会を俯瞰すれば、男性が育児休業を円滑に取得するには、助成金などの制度的なものよりも、職場の雰囲気などの精神的なものの方が要因として大きいと思われる。女性の育児休業取得の場合にも言えることだろうが、特に男性の育児休業取得の場合には尚更、職場の意識が大きく左右するのではないだろうか。

こうした『意識改革』を短期間で行うのは、予算編成や法律改正とは比較にならないほど難しいであろう。育児休業を経験した世代が社会の大多数を占めるようになるまで待たなければならないかもしれない。しかし、それでは遅過ぎるので、予算や法律による手当を可能な限りで実施していくしかない。



<資料>

(出所:厚生労働省資料

過去最大を常に更新する指標 ~ 介護給付費実態調査月報(平成25年12月審査分) 

2014-02-22 21:32:33 | 日記
毎月のこの時期は、『介護給付費実態調査月報』が厚生労働省より発表される。一昨日発表されたのは平成25年12月分であり、概要は次の通りで、最近の推移は下の資料の通り。


1)受給者数:介護予防サービス1,055.5千人、介護サービス3,760.9千人
2)受給者1人当たり費用額:介護予防サービス40.4千円、介護サービス186.4千円


これについて、先のブログ記事で掲載した介護保険制度に係る「サービス種類別にみた受給者1人当たり費用額」と比較すると、各サービスの費用対効果の一端が見えてくる。「受給者1人当たりの費用額」の上昇をいかにして抑制していくかが、今までも今後も追求すべき介護保険財政の配分論だろう。

毎月出されるこの月報は、ただ眺めて終わるだけではいけない。統計は、持続可能性を維持していくための危機意識を醸成させるためにあると考えておくべきだ。活用していかなければ、何の意味もない。この月報に載る数値は、今後当面、常に過去最高を更新し続けることになる。



<資料>

(出所:厚生労働省資料

アベノミクスの効能はまだまだ弱い ~ 平成25年賃金構造基本統計調査

2014-02-21 22:16:56 | 日記
厚生労働省が昨日発表した「平成25年賃金構造基本統計調査(全国)の概況」は、全国の主要産業に雇用される労働者の賃金の実態を明らかにするためのもので、その概要は次の通り。


1.一般労働者(短時間労働者以外の労働者)の賃金(月額)
 (1) 男女計の賃金は295,700円(前年比0.7%減)
    男性326,000円(同0.9%減)
    女性232,600円(同0.2%減)
 (2) 学歴別
    男性では、大卒が395,400円、高卒283,200円
    女性では、大卒が281,300円、高卒200,900円。
 (3) 企業規模別
    男性では、大企業(常用労働者1,000人以上)378,600円、中企業(同100~999人)309,400円、小企業(同10~99人)285,700円
    女性では、大企業259,400円、中企業が229,700円、小企業が211,900円
 (4) 主な産業別
    賃金が最も高いのは、男性では金融業,保険業(459,900円)、女性では教育,学習支援業(307,100円)
    賃金が最も低いのは、男性、女性ともに宿泊業・飲食サービス業(男性263,700円、女性185,700円)
 (5) 雇用形態別
    男性では、正社員・正職員が340,400円、正社員・正職員以外が216,900円
    女性では、正社員・正職員が251,800円、正社員・正職員以外が173,900円

2.短時間労働者の賃金(1時間当たり)
 男性1,095円(前年比0.1%増)
 女性1,007円(同0.6%増)


これをいかに評価するかは一律には難しい。報道各社はいずれも、月額賃金が4年ぶりに前年割れになったことを報じている。この厚労省発表資料の冒頭にあるのが、まさに上記の概要の最初にある「男女計の賃金は295,700円(前年比0.7%減)」であり、これが最初に眼にするマクロ指標になっているからだろう。下の資料1がその素となっている。

アベノミクスの効能がどのように行き渡っているかという視点では、この厚労省発表資料のうち、例えば下の資料2や資料3を抜粋してみると、資料2からは企業規模別の直近動向、資料3からは業種別の直近動向が見て取れる。これはほんの一例に過ぎないので、他の指標も含めて更に細かく視ていくことが有用となる。

アベノミクスが始まってからまだ1年しか経ていないので、賃金への反映という点での評価をするのは些か早計だ。あくまでも途中経過でしかないが、今後の安倍政権の政策運営への刺激剤の一つとなるに違いない。要するに、賃金への反映としてはまだまだ弱いということである。全体の底上げは難儀なので、特定の産業分野への集中的な資源投下をしていくべきだ。社会保障関連産業などの規制緩和・規制改革と予算配分の緩やかな変更が最も望まれる早道だろう。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料


<資料3>

(出所:厚生労働省資料

中高年者の介護経験は急増傾向 ~ 「中高年者縦断調査」より

2014-02-20 10:47:47 | 日記
厚生労働省の「中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)」は、平成17年10月末に50~59歳であった全国の中高年者世代の男女に対して、家族や健康、就業の状況を同じ集団に対して継続的に調査しているものだ。昨日発表されたのはその第8回調査の概況で、調査対象者の年齢は57~66歳。調査の概要は次の通り。

1)今回 60~64 歳の者の就業希望と実態:第1回調査時(7年前)に、「60~64 歳は仕事をしたい」と希望していた者のうち、今回実際に 「仕事をしている」男は 81.2%、女は 66.3%。
2)今回 65,66 歳の者の就業希望と実態:第1回調査時(7年前)に、「65 歳以降 仕事をしたい」と希望していた者のうち、今回実際に 「仕事をしている」男は 67.5%、女は 57.5%
3)仕事のための免許・資格取得の有無と就業状況:第1回調査時(7年前)に「60~64 歳は仕事をしたい」と希望していた、現在 60~64 歳の者のうち、 今回実際に「仕事をしている」割合は、免許・資格を「取得したことがある」男が 82.9%、女が 69.9%

これらの詳細については「第8回中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)の概況」を参照されたい。この中に、介護をしている状況について、下の資料1・資料2のような結果が提示されている。ここ7年の経過において、介護をしている人の数は漸増だが、介護を経験した人の数は急増してきている。

親の介護か、伴侶の介護か、それ以外か、人それぞれであろうが、介護保険サービスへのニーズが高まっていることは、こうしたデータ推移からも容易に察知される。国レベルでは、介護保険財政の将来見通しと向き合いながら、費用対効果のより高い介護保険サービスのための環境整備と利用推奨を進めていくべきである。これについては、先のブログ記事などで何回も書いていることだ。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2>

(出所:厚生労働省資料

国民年金制度の綻び ~ 修正賦課方式を『再修正』するしかない

2014-02-19 16:30:15 | 日記
今日の厚生労働省の発表によると、平成25年12月末現在の国民年金保険料の納付率に係る概要は次のようなもの。

○平成23年度分(過年度 2 年目)の納付率は64.5% (23年度末から+5.9 ポイント)
○平成24年度分(過年度 1 年目)の納付率は62.5% (24年度末から+3.5 ポイント)
○平成25年4月分~平成25年11月分(現年度分)の納付率は58.2% (対前年同期比+1.5%)

国民年金保険料の直近の納付率は下の資料1〔=国民年金保険料の納付率(現年度分)の推移〕の通り。これを見ただけでも、国民年金制度がうまくいっていないことは一目瞭然だろう。国民年金保険料を納付していない人は、その気力がないのか、その能力がないのか等、様々なの理由があろう。いずれにしても、公的制度に必要な公平性の観点からも、国民年金制度は相当に綻んでいる。

国民年金制度は、年金制度全体の中でどのような位置にあるのか。年金制度はとても複雑だが、下の資料2〔=費用負担の仕組み〕と資料3〔=公的年金全体の流れ〕を見ると、国民年金や厚生年金の位置付けがわかる。資料4〔=年金特別会計(平成24年度当初予算)〕を見ると、単年度の年金財政規模がわかるが、その【歳入】の中の「国民年金勘定」のうち「保険料収入(16,245億円)」が上記の納付率を算出する素となる国民年金保険料である。

年金特別会計の全体規模からすると、国民年金保険料収入の割合は数%程度とかなり小さい。元々、賦課方式も修正賦課方式も、年金制度を持続ならしめるものではない。それが顕在化して久しい今、国民年金保険料の納付率が低いことに対して、どのような政策的手立てを講じるべきなのか。それは、国や自治体が納付率向上のための呼び掛けをし続けることなのだろうか。

このような不公平な状況を放置すべきでないという理由も含めて、積立方式に移行すべきとの機運が醸成されるのは必然のことである。人口ピラミッドの形が逆転しつつある時代における年金制度は、現行制度の基本である“世代間扶助”の機能強化ではなく、自己責任原則を基本とする制度へと『再修正』していく改革が必要である。実は、多くの人々は既にこれに気付いているのではないだろうか。



<資料1>

(出所:厚生労働省資料


<資料2:費用負担の仕組み>

(出所:厚生労働省資料


<資料3:公的年金全体の流れ>

(出所:厚生労働省資料


<資料4:年金特別会計(平成24年度当初予算)>

(出所:財務省資料

アベノミクスは『賃金』に未だ効果なし ~ 昨年末の状況

2014-02-18 11:54:29 | 日記
先のブログ記事では、2月5日に厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査 平成25年分結果速報」に関して書いたが、今日は確報その解説が発表された。

同時に、毎月勤労統計調査の平成25年12月分も発表されている。下の資料は平成25年12月の月間現金給与額の調査結果である。こうした調査結果をどのように評価するかは、評価する人の立場によって異なるだろう。

例えば、「電気・ガス業」について対前年比が著しく成績が悪いのはエネルギー政策上の諸事情が絡んでいるわけだが、「建設業」に関しては震災復興事業を始めとした公共事業の増加によると思われる。マクロの視点では、「調査産業計」で対前年比0.5%というのは、それほど大きな景気好転を体感できるものとは思えない。

業種ごとに『賃金動向格差』が出るのは、実は仕方のないことだ。政府は経済全体の底上げを目指すとは言うものの、実態的に政府に求められるのは特定分野の成長の牽引役を一つでも多く創るような制度設計である。それは目新しいものではなく、前世紀末から挑戦し続けられている規制・制度改革や予算配分の改正であろう。その中核は、社会保障制度改革であり、退役世代から現役世代への資金移転を促進することに他ならない。



<資料>

(出所:厚生労働省資料


日本の高齢者就業率 ~ 欧米諸国より高く、韓国より低い

2014-02-17 23:08:42 | 日記
日本が諸外国に比べても少子高齢社会に突入していることを示すデータは様々ある。下の資料〔=高齢者の就業率の国際比較〕はその一つだ。まさに、「高齢者の就業率は諸外国と比較して高い水準にあり、特に65歳以上層ではかなり高い水準にある」ことがわかる。

この資料の限りだが、日本は、米国とは概ね近い傾向にあり、欧州諸国と比べると高い水準にあるが、韓国と比べると低い水準にある。韓国の高齢者就業率が突出して高い理由を知りたいと思う一方で、欧州諸国の高齢者就業率が日本よりも低い理由には更に興味を引かれる。

日本と欧州諸国では社会構造が同じではないので、高齢者就業率の多寡を単純比較して評価することは短絡に過ぎる。しかし、日本の高齢者就業率が欧州諸国並みに低ければ、日本の年金受給世代未満の世代、とりわけ若年世代の就職難易度は、今よりも遥かに改善されるだろう。

欧州諸国の退役高齢者たちは、どのような暮らしぶりで、どのような毎日を過ごしているのだろうか。日本の『退役すべき高齢者』にとって参考になるものを探していくべきだ。



<資料>

(出所:厚生労働省資料

一体改革で置き去りにされたもう一つの『待機児童』 ~ 放課後児童クラブ(学童保育)

2014-02-16 11:36:06 | 日記
「待機児童」というと、0~6歳児までの未就学児であって希望する保育サービスを受けられない児童のことを指すことが一般的だと思われるが、小学生以上の就学児にも『待機児童』がいる。それが、放課後児童クラブ(学童保育)を利用できない児童のことだ。

厚生労働省の直近の調査によると、概要は次の通りで、近年の推移は下の資料〔=クラブ数、登録児童数及び利用できなかった児童数の推移〕に掲げる。


○放課後児童クラブ数 平成24年 2万1,085か所 → 平成25年 2万1,482か所
○登録児童数 平成24年 85万1,949人 → 平成25年 88万9,205人
○利用できなかった児童数(待機児童数) 平成24年 7,521人 → 平成25年 8,689人

今年4月からの消費増税が、社会保障財源の充実のために実施されるものだが、高齢者向け対策に偏重していることに加え、配分の少ない子ども子育て対策にあっては、未就学児童の保育政策には若干配分されるものの、学童保育への配慮は殆ど期待されていない。

学童保育に係る待機児童数の把握に加え、この分野への予算配分を今後加速していく必要がある。政府の待機児童解消加速化プランは、学童保育を組み入れる形で大幅に拡充していく必要がある。膨れ上がり続ける高齢者向け対策予算のほんの幾ばくかを振り分けるだけでも、『2つの待機児童』への対策となる。

今後当面の政治の役割は、高齢者一人当たりの利権を現役世代の子ども子育てに徐々に転用していくことである。少子高齢社会における福祉厚生の配分のあるべき姿とは、そういうものであろう。



<資料>

(出所:厚生労働省HP

介護ロボットは誰のためか ~ 人材難市場における『人材代替』

2014-02-15 14:27:17 | 日記
アベノミクスのいわゆる成長戦略は、昨年6月に閣議決定された『日本再興戦略』のことで、そこでは「国民の『健康寿命』の延伸」の重点施策として「ロボット介護機器開発5カ年計画の実施」が掲げられ、介護現場の具体的なニーズに応える安価で実用性の高いロボット介護機器の開発を進めることとされている。多くの国民は、これを知らないか、忘れているかのどちらかであろう。

こうした類の政府決定文書には、何でもかんでも掲載される傾向がある。それは、掲載されるいずれも政策ダマも最も重要なものばかりだからであり、裏を返せば、そうした文書に載らないと優先順位が著しく低くなってしまうことにもなりかねない。

これに関連し、昨年9月12日に内閣府が「介護ロボットに関する特別世論調査」の概要を公表した。要旨は次の通り。


○在宅介護する際に「利用したい」・「どちらかといえば利用したい」は計59.8%。
○介護を受ける際に「利用してほしい」・「どちらかといえば利用してほしい」は計65.1%。
○介護ロボットの魅力について(複数回答)は「介護をする側の心身の負担が軽くなること」(63.9%)、「介護をする人に気を遣つかわなくても良いこと」(41.5%)、「介護を受ける人が自分でできることが増えること」(35.8%)の順。
○介護経験がある人に苦労したこと(複数回答)を尋ねると「排せつ」(62.5%)、「入浴」(58.3%)、「食事」(49.1%)、「移乗」(48.3%)、「起居」(47.7%)の順。

政府は「ロボット介護機器開発・導入促進」のために施策を本格的に打ち始めた。端的に言えば、介護ロボットによって介護人材の代替をしていける領域を広げていこうとするものだ。生身の人間による介護現場をロボットが奪うことになるといった理由で反対する向きもあろうが、そうも言っていられない切実な事情が既に顕在化している。

先のブログ記事などでも書いてきたが、介護サービス市場はかなりの人材難に直面している。今後の介護ロボットに係る技術実証動向などにも依るが、介護ロボット導入によって介護保険財政の費用対効果が高まっていくことを前提に、積極的にそれを推進していくべきだ。

介護ロボットの導入によって介護人材難に係る指数が低減していくのであれば、それに越したことはない。それほどまでに、介護サービス需要は膨張し続ける見通しなのである。介護ロボット技術の進歩は、介護産業の裾野を内外に広げることが期待される。

出生率と待機児童数 ~ 相関関係は地域ごとに異なる

2014-02-14 23:21:06 | 日記
厚生労働省が昨日発表した「平成20年~平成24年 人口動態保健所・市区町村別統計の概況」によると、合計特殊出生率について、最高は鹿児島県伊仙町で2.81、最低は京都府京都市東山区で0.77となっている。下の資料〔=市区町村別にみた合計特殊出生率の上位・下位30位〕に詳しく掲げられている。

これを、先のブログ記事の資料〔=全国待機児童マップ(都道府県別)〕と並べ見てみると、出生率下位の地域での待機児童数はかなり多い傾向にある一方で、出生率上位の地域での待機児童数も比較的多い場合もある。前者については東京都や大阪府、後者について沖縄県など。

ここからだけでは、出生率と待機児童数には有意な相関関係があるとは断言できず、地域ごとに異なるようである。ただ、出生率の低い地域における待機児童数が比較的多いことは見て取れる。出生率と待機児童数の厳密な関係については、今後の研究が待たれる。待機児童対策など保育施策が充実している環境が子育てへの安心感を醸成していくことは間違いないので、政策的にはこうした施策を優先順位を上げながら強力に推進していくべきであるに決まっている。



<資料:市区町村別にみた合計特殊出生率の上位・下位30位>

(出所:厚生労働省資料