「老後」の不安は何か? ~ 若年層は「生活費」、高齢層は「健康」・・・

2014-09-07 21:09:40 | 日記
先のブログ記事の続編で、年齢階級別にみた老後において最も不安に感じるものは何かという調査結果が、『平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書』に掲載されている。

下の資料にあるように、老後において最も不安に感じるものは、「健康の問題」(45.7%)と「生活費の問題」(35.1%)で大多数を占めており、「住居」や「家族とのつながり」、「生きがい」などは少ない。これは年齢を問わない全体でのことだが、年齢階級別では老若で分かれる。若年層では「生活費の問題」の割合が多いが、高年齢層では「健康の問題」の割合が多い。

高齢層で「生活費の問題」への不安が比較的少ないのは、年金の水準がまだそれほど低くないからではないだろうか。この既得権は今後、若年層が高齢層に移行していくに従って縮小していく。年金不安の根底には、人口構成の変遷見通しが大きく関係している。

高齢層で「健康の問題」が最も不安視されるのは仕方ないことだ。高齢層の政治参加度が若年層のそれよりも相当高いことが、医療費の抑制・削減への政治力を弱めているのだろう。高齢層の「健康の問題」が大事なことであることは重々承知しつつも、日本国の持続可能性を維持・向上させる観点からは、この両者を天秤にかける政治的発想が顕在化していく必要がある。

後者を優位とする判断をした場合には、子ども子育て支援を含めた若年層への財政配分を手厚くし、そのために高齢層向け財源から所要財源を転用することになる。前者を優位とする判断をした場合には、今の傾向の延長線上でしかなく、国力が弱まることを許容せざるを得ない。見通しは明るくないといういか、今のままではお先真っ暗である。



<資料>

(出所:平成24年高齢期における社会保障に関する意識等調査報告書