最近感じること(ブログ版)

粕井貫次の書き下ろし個人エッセイ

ロートレック展を見て

2007年09月13日 | 感じること
 昨日のテレビ番組、ためしてガッテンの「美術館での鑑賞の仕方」を
見て早速大阪天保山のサントリーミュージアムへ行きました。9月11日
から11月4日まで、「ロートレック展」が催されているからです。
 でも昨日学んだ鑑賞の仕方は見事に吹っ飛んでしまいました。と言う
のは多くの作家の絵が一堂に集められている場合は、最初にさっと全体を
見てその後、自分が気に入った作品をじっくり鑑賞することには大賛成で
す。しかし、一人の作家、特に亡くなった人の生涯の作品の一代記を鑑賞
するとなると、また違った見方になります。
 実は入場とともに音声ガイドのイヤホーンを借り出し、その解説に従っ
て会場をまわったのでした。その前に10分間でしたが、「鑑賞の仕方」
の解説があり、ロートレックの生い立ち、画を学び始めた動悸、ムーラン
ルージュ近辺での生活や交友、他の画家からの影響、ポスターが人気を呼
んだ経過、36歳で亡くなる前後の様子などを予備知識として知りました。
 その上で、音声ガイドによって一つひとつの作品ごとの解説を聞くので
すから、前もってストーリーが出来上がっていました。
 ところでロートレックが愛したモンマルトルへは私は3回ばかり行きま
したし、時代は違いますがムーランルージュにおいてもショーを鑑賞した
ことがありました。
 彼は油絵とともにリトグラフ(石版画)をこなし、多くのポスターを
手がけています。彼とは2周りほど若い私の父(雅号は豊誠)は石版画を
家業としていましたので、ロートレックに他の画家とは違った親しみを
感じます。ポスター作家と芸術家が一体となっているからです。私の父も
家業のかたわら日本画をものにしていたからです。
 私は父と家業の雰囲気から子供の頃から画が好きで、小学校では一番
得意な学科は図画でした。商業学校では高学年になってから才能を買われ
たのか先生から絵画部に無理に入れさされ、デッサンの修行と油絵を描き
ました。
 でも父はいくら家業が忙しくても、一切絵を描く仕事を手伝わせません
でした。石版画がやがて写真版になるという技術革新を見通していたの
と思います。ある腕のいい弟子が「写真製版に移りたいからヒマを下さい」
と申し出た時、悲しい顔をしたことを思い出します。
コメント (1)
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