木のように生きよう!!

「世界の巨樹を見に行く会」で巨樹を訪ねるとともに、日本の写真が海外のアート市場で認められるように頑張っています……。

奇形美

2008-10-30 12:17:00 | 巨樹の旅


空に向かってまっすぐ伸びる木も大好きですが、ちょっと変わった樹形の木も、私は結構好きです。


Img_0173 これは取材で訪れた鳥海山の中島台にある「あがりこ大王」というブナ。幹周りは7.62mで、奇形のブナとしては日本一だそうです。

アガリコとは江戸時代に薪炭材として用いた木で、地上2mほどで伐って、薪や炭に利用された木です。根元から伐り落とさなければ、数年後に伐り口を囲むように何本もの枝が生えて、それをまた薪炭材と利用できる。28日のブログ3枚めの木も同じアガリコで、中島台には、当時の人々によって利用されたそんなブナがたくさんありました。

ちなみに、同じようなものにイギリスの「ポラート」という木があります。


Img_0269_2鳥海山の鶴間池周辺には、こんなブナもありました。こういうのはどうやって幹周りを計測したらいいのでしょうかねぇ。

まあ、こんな格好をした人間とみた場合には、胴回りなら約2mといったところでしょうか。それにしても変な形です。

ただし、これはアガリコのように人為的な手が加わることで奇形化したものではなく、天然の力でこのような形になったものです。

おそらくは雪の重みなのでしょう。じつは、この木は「おもしろい木があるから見てきたらいいですよ」と石橋さんに教えてもらった木です。


1 こちらは9月の山形最上ツアーに行かれた方には懐かしい「幻想の森」です。ここにはスギですが、雪ですごい形になった巨木がありましたよね。

今回はこんな木に目が行きました。
右のは、私にはどうしても「モアイ像」のような顔に見えてしまうのですが、いかがでしょう。

それにしても、訪問4度目にして雨だった幻想の森はとてもきれいでしたよ。幹が雨に濡れていい色に変わっていましたし、なんといっても霧が流れていて、まさに幻想的でした。


Img_0307 さて、お次は山形県鶴岡市にある「添川の根子スギ」です。根元周囲は13.7m。おそらくは8本のスギの合体木で、いちばん太い幹は5.2mあります。

秋田県由利本荘市に「法内の八本杉」幹周り11.5mというのがありますが、それはいま8本の幹ではなく、5本になっています。この木にはちゃんと8本の幹がありますし、人間が入れるくらいの洞もあって、ちょっと恐さも混じる威厳がありました。


Img_0318最後は、山形県庄内町霊輝院にあったコブスギです。

じつはここには「三ケ沢の乳イチョウ」幹周り7.4mを見に行ったのですが、それより参道脇に立つ、この大きなコブがあるスギのほうに興味が湧いてしまいました。

コブは木の病気の現われだともいわれますが、それでも元気に生きてるわけですから、病気を克服した現われだと私は思っています。
だから、意外と、コブのある木って好きなんですよね。

長野県の鍋倉山にはかつて、これより大きなコブを持つコブブナがありました。コブの上部に大きなシダ2本が生えていて、それがどうしても私にはピースサインに見えてしまい、まんまる顔で笑っているようでとっても好きでしたっけ。

木は樹種の違いだけでなく、こうして環境や条件によって、さまざまな様相を呈しています。
人間でいうところの「生き様」がその姿に如実に現われているんですよね。

もうすぐ寿命らしく元気がなかったり、その逆に溌剌として葉をたくさんつけていたり、いろいろありますが、それ見ていると、考えさせられたり、楽しくなったり……。そんなところがまた、いいんですよね。

人間の変わりものすぎる方は閉口しますが、木のほうは変わりものであるほど、私にはおもしろくて好きかもしれません。意外に、人間の変わりものさんたちも味があって、深く知り合うと楽しいかもしれませんけど、ね。




森の写真家

2008-10-28 13:36:26 | 取材日記


デジタルカメラマガジン12月号(11/20発売)の「先駆者の現場」は、写真家・石橋睦美さんです。


Img_0175 石橋さんは、森の写真の第一人者といっていいでしょう。
私も『ブナ林からの贈りもの』(1993年)を読んで以来の石橋さんファンなので、今回はお会いできてとってもうれしかったです。


Img_0063 石橋さんととも訪れたのは、羽黒山、鳥海山、幻想の森などでした。
写真は羽黒山・出羽神社です。

写真の印象からは「巨匠」みたいな方かとも思っていたのですが、すごく気さくで若々しくって、一緒にいるととても楽しくって……。森好きという趣味も合うせいか、石橋さんのクルマで移動中もずっと、森のことや木のことを友だち同士みたいに、気楽に話させていただきました。
ああ、ホントに楽しかったぁ!!


Img_0155 撮影されていた森の写真はやっぱりさすが。舌を巻く上手さです。


Img_0179 撮影中もずっとくっついて撮り方を拝見させていただいていましたが、どの写真のときも構図を細かく説明してくださいました。
この取材ではどの写真家の方もどうしたらいい写真が撮れるのか話してくれますが、石橋さんの説明がいままでいちばんわかりやすかったです。こうすればいいんだと、よぉくわかる説明をしてくださいました(内容は本誌で詳しく書きますね)。


Img_0127 撮影地や撮影ポイントをていねいにやさしく教えてもらったので、副編のU田さんはいつにも増して、写真を撮ること撮ること。いつにも増して、楽しそうでした(写真は獅子が鼻湿原。新しいカメラに撮影スタイルまでバッチリ決まってます!!)。


Img_0082 石橋さんが撮影された場所はその後、アマチュア写真家のメッカになってしまうくらい、いい場所ばかり。
鳥海山の鶴間池以外に教えてもらったここもそのひとつです。まだ、地元の数人しか知らない場所なので、ここでは伏せておきますが、水がブルーに撮れるとても素敵な場所でした。


Img_0101 空港まで迎えに来ていただき、ずっと運転してもらい、撮影法、撮影地を教えていただいて、今回はどちらが取材させていただいているのかわからないくらい、本当にお世話になりました。

そのうえ、酒田市では石橋さん行きつけのお店で、とってもおいしいものまでいただきました(おいしいもの好きの趣味も一緒だったのですねぇ)。なんだか、申し訳ないくらい。本当にお会いできて、うれしかったですよぉ。

森好きの人はやっぱりいいなぁと思いました。
自然のなかでも、山、森、木、同じものが好きなので、ずっと話していたい感じ。そういう方には、きっとまた会うんだろうなって、思っています。

意外にも、日本から出たことないという石橋さん。
今回はいろいろ教えていただいたので、「今度はぜひ、一緒に世界の森へ行きましょう」と言っているところで~す。








ブナの森

2008-10-26 23:15:00 | 旅行記


山形県鳥海山のブナの森へ行ってきました。


Img_0289 紅葉しはじめていたブナの森は本当にきれいで、毎日、森を歩いてはニコニコしていたことは言うまでもありません。


Img_0255 こちらは写真家・石橋睦美さんに教えていただいたブナの森の穴場「鶴間池」。ブナに囲まれたきれいな池があるところで徒歩20分。ただし、ロープとはしごを伝って下りる急傾斜を行かねばなりません。
でも、本当に静かでいいところ。のたうつように生えた奇形のブナもありました。


Img_0259 ただ、ちょっと残念だったのは、9月に冷え込んだ日があったため、鳥海山のブナは黄葉することなく、このように茶色に枯れていたことでした。東日本の今年の紅葉は当たり年といわれていたので、ちょっとがっかりしたのですが、それでも私にはとてもきれいに見えたので、まずまず満足。


Img_0246 こんなに密にブナが生えた純林の紅葉は初めてでしたし、そんな山全体の美しい眺めを見るのも初めてだったせいかもしれません。
明るくて、落ち葉でふかふかのブナの森のよさを改めて、実感しました。


Img_0279 ブナの山はキノコもいっぱい。コケむした倒木にはおいしいそうなキノコがたくさん生えていましたよ。

今回、ブナの森の美しさに感動したので、来月には時間をつくって、もう少し北のブナ林へいってみたいと思っています。そこは、石橋さんが日本のブナ林のなかでもっとも美しいといわれていたところ。

さぁて、どんどん仕事を片付けて、また、ブナの森へ行こうっと!!!





まとめる力

2008-10-21 12:18:49 | 日々の暮らし


少し前に、「力のある人はやはり、温和で腰が低くて素敵だな」と感じさせてくれる方に会いました。


Img_5792 写真家・石橋睦美さん。日本の森を撮りつづけてきた方で、ずっと以前から会ってみたいなぁと思っていました。
多くの写真集を出版されていますが、最近また、私はこの2つを手に入れました。


Img_5797 『日本の森』(新潮社)は2000年出版。北海道から沖縄まで、日本の40の森を訪ねた写真集です。


Img_5799 96年から月刊誌『シンラ』の連載として、3年3カ月にわたり、石橋さんが選んだ日本の原風景のような森を訪ねられています。


Img_5804 『神々の杜』(平凡社)のほうは昨年12月の出版。
デジタルカメラによる撮影で、日本の森林をテーマにした撮影を写真集『森林日本』(2003年出版)にまとめた後、次なるテーマとして据えた「神を祀る場を訪ね歩く」撮影をまとめたもの。やはり、東北から沖縄までの神社の杜が写し込められています。

石橋さんの写真集を拝見して、一冊をつくるには、それをまとめる力がないとできないのだな、と改めて感じさせられましたね。

何をまとめる(伝えたい)かを見据える。まとめるだけの要素を集める。その要素たちを上手く展開させる(つなげる)。一冊に仕上げるにはさまざまな力が必要です。

まとめるためには自分に欠けているものに気がつくことも必要でしょう。それには、まず始めてみて、それを少しまとめてみる。そうしないと、欠けている細々としたものには気づけない。

だからといって、欠けている力を蓄えるのを待ったのでは作業は止まります。蓄えられた後だと最初からやり直したくなるかもしれませんから、全体をまとめる(最後まで行き着く)という力をつけるまでにはますます時間を要します。

ですから、足りない力を発見するためにはまとめ始めることが必須。そして、それを発見しても止めることなく、とりあえず最後まで仕上げる。最後までやってみて初めて、見えてくることもあるはずです。いまの私にはそれがいちばん必要なんだな、なんて思っています。

少しずつ、少しずつ……。そして、続けているうちにいつか次のステップに立っている。だから、人生はおもしろいのかもしれません。
な~んて、新しいところに進むといろいろ考えさせられて、これもまた、おもしろいんですよねぇ。



ええ、明日からは久々、仕事で森歩きに出ます。5日間くらいかな。
(なので、ブログはお休みしますね)
じつは、石橋さんにもお会いするんですよねぇ。ああ、楽しみ!!






シッポがあれば

2008-10-19 23:59:00 | 日々の暮らし


ずっとひとりで家にいたので、今日はちょっと癒しをいただきに……。


Img_6887 ときどき預かっているワンちゃんの顔を久しぶりに見に行って、一緒に散歩することにしました。

最近、ずっと会っていなかったので、私の顔を見た途端、もうシッポはブルンブルン。「うれしいよう」と盛んに振りながら、ほっぺたを足にすりすりしては、「なでて、なでて、ボク会いたかった。会えてうれしいよう」としばらく離れません。


Img_6856もう13歳なので、いつもは少しの散歩だけで十分。5分くらいでトボトボするようになっていたのに、今日は全速力で走る走る。

しまいには、草ぼうぼうの道をふたり(1人と1匹)で探検しました。

クモの巣をかき分け、草の種などもついてしまったので、シャンプーもしてあげました。こうなると、ワイルドに変身して、私に追いかけっこを仕掛けてきます。

いや、こういうときのワンちゃんはまるで濡れネズミみたい!

Img_6857しばらく遊んであげると、濡れた身体が寒いのにハタと気づき、今度は「乾かしてぇ」とまた、すりすりと甘えます。なので、ドライヤーで乾かしてあげました。

乾くとやっと、ワンちゃんらしくなり、ワイルドに飛び回るのがやっと納まります。

そんなワンちゃんを見ていて思ったのですが、「人間もシッポがあれば、うれしさがみんなに伝わって、楽しいのになぁ」。

哀しいとき、恐いとき、ワンちゃんはシッポをお腹のほうに入れてしまうそうですが、そういうのが周囲に見えてしまうのも、それはそれでいいのかなぁとも思います。そうなっちゃうとわかっているほうが、肝を据えて、事にあたる心構えもできることでしょう。

シッポがあれば、結構、いいのになぁ。

でも、神様は案外、人間にもしっぽの代わりをつけてくれているような気がするんだけど……。