空に向かってまっすぐ伸びる木も大好きですが、ちょっと変わった樹形の木も、私は結構好きです。
これは取材で訪れた鳥海山の中島台にある「あがりこ大王」というブナ。幹周りは7.62mで、奇形のブナとしては日本一だそうです。
アガリコとは江戸時代に薪炭材として用いた木で、地上2mほどで伐って、薪や炭に利用された木です。根元から伐り落とさなければ、数年後に伐り口を囲むように何本もの枝が生えて、それをまた薪炭材と利用できる。28日のブログ3枚めの木も同じアガリコで、中島台には、当時の人々によって利用されたそんなブナがたくさんありました。
ちなみに、同じようなものにイギリスの「ポラート」という木があります。
鳥海山の鶴間池周辺には、こんなブナもありました。こういうのはどうやって幹周りを計測したらいいのでしょうかねぇ。
まあ、こんな格好をした人間とみた場合には、胴回りなら約2mといったところでしょうか。それにしても変な形です。
ただし、これはアガリコのように人為的な手が加わることで奇形化したものではなく、天然の力でこのような形になったものです。
おそらくは雪の重みなのでしょう。じつは、この木は「おもしろい木があるから見てきたらいいですよ」と石橋さんに教えてもらった木です。
こちらは9月の山形最上ツアーに行かれた方には懐かしい「幻想の森」です。ここにはスギですが、雪ですごい形になった巨木がありましたよね。
今回はこんな木に目が行きました。
右のは、私にはどうしても「モアイ像」のような顔に見えてしまうのですが、いかがでしょう。
それにしても、訪問4度目にして雨だった幻想の森はとてもきれいでしたよ。幹が雨に濡れていい色に変わっていましたし、なんといっても霧が流れていて、まさに幻想的でした。
さて、お次は山形県鶴岡市にある「添川の根子スギ」です。根元周囲は13.7m。おそらくは8本のスギの合体木で、いちばん太い幹は5.2mあります。
秋田県由利本荘市に「法内の八本杉」幹周り11.5mというのがありますが、それはいま8本の幹ではなく、5本になっています。この木にはちゃんと8本の幹がありますし、人間が入れるくらいの洞もあって、ちょっと恐さも混じる威厳がありました。
最後は、山形県庄内町霊輝院にあったコブスギです。
じつはここには「三ケ沢の乳イチョウ」幹周り7.4mを見に行ったのですが、それより参道脇に立つ、この大きなコブがあるスギのほうに興味が湧いてしまいました。
コブは木の病気の現われだともいわれますが、それでも元気に生きてるわけですから、病気を克服した現われだと私は思っています。
だから、意外と、コブのある木って好きなんですよね。
長野県の鍋倉山にはかつて、これより大きなコブを持つコブブナがありました。コブの上部に大きなシダ2本が生えていて、それがどうしても私にはピースサインに見えてしまい、まんまる顔で笑っているようでとっても好きでしたっけ。
木は樹種の違いだけでなく、こうして環境や条件によって、さまざまな様相を呈しています。
人間でいうところの「生き様」がその姿に如実に現われているんですよね。
もうすぐ寿命らしく元気がなかったり、その逆に溌剌として葉をたくさんつけていたり、いろいろありますが、それ見ていると、考えさせられたり、楽しくなったり……。そんなところがまた、いいんですよね。
人間の変わりものすぎる方は閉口しますが、木のほうは変わりものであるほど、私にはおもしろくて好きかもしれません。意外に、人間の変わりものさんたちも味があって、深く知り合うと楽しいかもしれませんけど、ね。