木のように生きよう!!

「世界の巨樹を見に行く会」で巨樹を訪ねるとともに、日本の写真が海外のアート市場で認められるように頑張っています……。

人生って、なんだろう?

2006-09-29 22:40:08 | 日々の暮らし
今日は、ふっとした瞬間に「あぁ、そうだったのか」と、急に納得したことがありました。

少女のころから、私はいったい何のために生まれてきたのだろうとよく考えました。
その答えを見つけるために生きていて、それが見つけられたら、幸せになれるとも予想してきました。

ずっと昔は、文章を書いて、それを読んだ人がすこしでも元気になってくれれば、それが私の目標であり、人生の目的なんじゃないかと感じたことも多々ありました。
ライターになったり、本の編集をしたり、という仕事を選んだ心の底には、そんな理由があったように思います。

そういう仕事をしながら、いろんなところに旅をし、風景や木や人に感銘するうちに、その感動を本とか雑誌ではなく、実際にできるだけ多くの人に味わってもらいたいと思うようになりました。それだけ、いい旅をさせてもらった仕事にはいまも感謝しています。

でも、今日、ふと思ったのは、そうして旅をともにしてもらった人々に喜んでもらうこと自体が、私の人生の目的だったのではないんじゃないかということでした。
確かに、喜んでもらえることは嬉しいので、旅以外にもいろんなことを企画したりするのを楽しんできました。

しかし、その行動の目的は、自分の人生を楽しむためだったんだな、と気づいたのです。(自分のためなんてごくごく当たり前のことなのに、どこかに人のためという意識を持っていたかったのかなぁ……)

そう思うと、そうか、「私の人生というのは、自分で楽しんだり、幸せを感じたりするのが目的なんだ」と、
急に、目覚めた感じがしたのです。
すご~く勝手に、すご~くプラス志向的に解釈して、魂の生まれ変わりがあると解釈したとすれば、
前世でずっと苦労してきたので、今回はたくさんの人に助けてもらって、幸せな人生を送る回なのかもしれないとも思うのです。

まっ、いずれにしろ、あいかわらず能天気に、楽しく過ごそうという姿勢は変わらないわけなんですが……。

若いころ、「自分の人生の目的を解明しなくては」と、結構、真剣に考えたことがあったものですから、
今日はそんなことを思い出して、その答えは「な~んだ、自分が満喫することが目的だったんじゃない!」って、急に楽になった次第です。


雨上がり

2006-09-27 17:25:39 | 日々の暮らし
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昨日から冷たい雨が降り続いて、雷鳴まで聞こえたのに、
3時過ぎぐらいから急に日が射してきて、とってもいいお天気になりました。

ホントに「女心と秋の空」でしたよね。

そして、夕方になったら、なんともいえず日差しがきれいになりました。
あまりのきれいさに、うっとりしつつ、久しぶりにバルコニーの木を撮ってしまいました。


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雨に洗ってもらったジャカランダの葉はとっても気持ちよさそうで、
夕日を浴びながら、微笑んでいるかのようでした。

昨日は、雨で靴もGパンもぐっしょり濡れて、冷たかったけれど、
雨上がりには、植物たちがシャワーを浴びて、すっきり元気になるので、
見ているこちらも、自然に元気になってしまいます……。

そして、日がすっかり暮れたら、ナント、焼き芋やさんが来ました~。
「や~き~いも~、い~し~や~き~いも~」って、なんて、温かい響きなんでしょう。
秋はおいしいものもたくさんあるので、なんか、楽しくなってきますね!


3.虹の満月

2006-09-25 02:10:10 | 巨樹ドタバタ紀行
最近、歩いていると、キンモクセイの甘い香りがするようになってきました。つくづく秋なんだなぁと感じる今日この頃です。さてさて、今回は2003年のオーストラリアでの出来事です。
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そこは、オーストラリア北西部にあるキンバリー地方。Out back(=へき地)と呼ばれるアボリジニの人々が多く住む場所で、アフリカ以外で唯一、バオバブの木が生育している場所だ。写真家Y氏とO画伯と私は、そのバオバブを見るために、6月の乾燥した大地をキャンプしながら旅していた。

空港のある小さな町で6日分の食料を調達した私たちは、ギブリバーロードという全長700kmの未舗装路を走りながら、大きなバオバブを見つけると、そこで止まっては撮影したり、絵を描いた。ほかのクルマとすれ違うことはほとんどなく、果てしなく続くような赤土の道では私たちの四駆だけが土ぼこりを上げていた。

道路沿いにはそれほど大きくはないが、たくさんのバオバブが見えた。乾燥した草原ではバオバブしか育たないのか、木はバオバブしかないからでもあった。それ以外には水辺でユーカリの木を見るくらいだった。ただ、乾期の草原にはときどき驚くような色とりどりの花畑が広がっていた。ワイルドフラワーの花々である。とくに目立ったのは黄色いワトルや薄紫のエバー・ラスティングの群落、そして、アオイに似たピンクのデザート・ローズの花だ。

そんな見事に自然だけに囲まれた草原でテントを張っていたある晩のことだった。
昼は30℃を越えるが、夜は涼しい風が吹いて心地いい。いつものように暗くなる前に夕食を済ませた私たちはそれぞれのテントで午後9時にはすっかり寝入っていた。

12時ごろ、ふと目覚めた私は外へ出た。あたりにはO画伯とY氏の健やかな寝息と、草を揺らす静かな風の音が聞こえるだけだ。

なにげなく夜空を見上げたところで、私は「えっ!!」と声を上げて、息をのんだ。

そこにあったのは、見たこともない満月だった。

薄い雲が満月を覆うと、周囲に虹のような輪ができるが、そんな淡い色の虹ではない。白い満月の外側はくっきりとしたオレンジ色で、その外側が黄色、そして、緑、いちばん外側は青。どの色も濃く、透けてもいず、それぞれの色の輪の境界線もはっきりとしている。あまりに美しい風景を見ると、心象風景のように感じるものだが、見たこともない美しい風景というものは人を驚愕させる。私はその満月があまりにきれいなので、天変地異でも起こるのではないかとさえ思ってしまった。

そして、O画伯とY氏にもこの月を見せたいと思ったのだが、彼らのテントからはあいかわらず、とてもいい寝息が聞こえている。起こすのも忍びないので、私はテントからカメラを出してその満月を撮ることにした。しかし、何度撮ってみても、白い満月しか写らない。ホント、このときは自分のテクニックのなさが悲しかった!!

翌朝、そのことをふたりに話したが、案の定、私が興奮したほどの美しさはなかなか伝わらなかった。
(みなさんにも、写真がないと伝わりませんよね。あ~、くやしいなぁ、ホント)
だんだん、私は自信がなくなってきたが、このときのガイドさんに絵を描いて話すと、彼女もそんな満月をこれまでに2回見たことがあると云った。ガイドさんは地元生まれの52歳だった。
そして、「初めて来てあれが見られるなんて、あなたはかなりラッキーよ!」とも云った。

いまでも写真が撮れなかったのは残念だが、あの虹の満月は、真夜中にあそこでひとりぼっちで見たからこその美しさだったのかもしれない。そう思うと、見ただけで幸せだったのだろう。

あの虹の満月のことはいつまでたっても忘れられない。思い出す度に、一緒に旅をしてくれている全員に、あんな景色を見てもらいたいなぁとつくづく思うのだ。





ドイツの巨木本

2006-09-16 00:35:48 | 日々の暮らし
今年2回目の「世界の巨樹を見に行く会」ツアーはニュージーランドに決まった(近々、吉田さんからお知らせがみなさんのところ行くと思います)のですが、私のほうは、来年のドイツツアーについて、引き続き、ボン大学植物園の友人とやりとりを続けています。

そんななかで、友人から、ドイツにも巨木の本があることを教えてもらいました。

それは160本の巨木が掲載されたもので、Amazon.co.jpでも購入できるので、早速、注文してしました。

ただし、ドイツ語で書かれているのが、ちょっと難点。でも、どんな木があるかはわかると思うので、楽しみにしています。
手元に届いたら、内容をお知らせしますね。

また、ほかにも the International Dendrological Society(国際樹木学協会かな?)というのがあるらしく、そのなかのthe committee of the German Dendrological Societyのメンバーである人が、個人的にドイツの巨木データを持っているらしいのです。
台湾にも、巨木マニアの方がいて、そのおかげで私たちはツアーに行くことができたわけですが、ドイツにもまた、そんな方がいるんですね。

友人はその方にも会って、いろいろといまデータを集めてくれています。
訪問時期は来年の7月がおすすめとのことですが、また、何かわかったら、みなさんにもお知らせしたいと思っています。


2.マダガスカルのお祭り

2006-09-10 01:53:26 | 巨樹ドタバタ紀行
前回のブログで、初めてブリッスルコーンパインの森へ取材に行ったときのことを書いたら、コメント以外にも何人かの方から「巨樹の旅でのこぼれ話をまた」とメールをいただきました。ありがとうございます。
そんなメールをいただくと、すぐにその気になってしまうのが私でして……。で、これからはときどき、こんなことも書いていこう思ってしまいました。
タイトル(=カテゴリー)は『巨樹ドタバタ紀行』です。しばらく書かせていただきますので、よろしくお願いいたしま~す。
さてさて、第2回目はマダガスカルでの出来事です。

それはいまから10年以上前。バオバブのカレンダーをつくるために出かけていたときのことだ。私にとっては二度目のマタガスカルへの旅だった。

私とカメラマンは現地ガイドとともに、バオバブの観光地として有名なムルンダバで何日めかの撮影を行なっていた。ただし、「バオバブ・アベニュー」という観光客が行くバオバブの並木道ではなく、民家の畑のなかに生えている数本の大きなバオバブのほうだ。なぜ、そこがよかったかといえば、そこのバオバブはみな樹高20m以上、幹周りも10m以上あって見栄えがいいだけでなく、見渡す限りバオバブ以外何もなかったからだ。

撮影しやすい場所を見つけると私たちは早朝と夕暮れにその場所へと出かけて行った。斜光のほうが光がきれいだし、立体的に撮れるからである。しかし、そのころはそれとは別に真っ暗になるのを待って撮影する開始することもあった。それは暗い中に浮かび上がる巨樹を撮るためだ。暗闇に浮かぶ巨木はおそろしいほどに迫力がある。

さて、そんな写真を撮るにはどうするか。そのころはまだデジタルカメラなどなく、カメラマンも4×5という大判カメラで撮っていた。ストロボを当てようにも巨樹の大きさではとても無理だ。そうしてカメラマンが考えだしたのが、露光時間を長くしておいて、その間にバオバブの上から下まで何度も繰り返し、懐中電灯を当てるという方法だ。つまり、シャッタースピードを15分とか30分、45分などにして、そのシャッターが切れるまで3人それぞれの場所から懐中電灯でバオバブだけを照らすのである。

5分とか、10分とかいうのはまだいいが、30分以上になると大木の上から下まで、さらには枝先までなぞるように懐中電灯を当てていると腕も疲れてくる。寒いところではないからまだいいし、少し離れていてもひとりではないからいいが、これがもし、ひとりだったらとてもいられない。マダガスカルの田舎では電気もないから相当あかるい月明かりでもなければ、何も見えないからだ。ちなみに、この当時、田舎には水道もガスもなかった。

「でも、電気がないから、こんなに夜空がきれいなんだなぁ。まさにミルキーウェイだわぁ」と、そろそろ懐中電灯ふりにも飽きて、夜空を見上げながら手を動かしていると、誰もいないはずの背後で気配がした。「えっ、なんだろう」と思いながらも、手を動かしながら振り向くと、なんと、そこには地元の人らしい姿があった。3人くらいはいただろうか。みんな目を輝かせるように興味津々で見つめている。よく見ると、そんな姿がガイドやカメラマンのうしろにも見えてきた。

「なんだか、人がいるよ~」。びっくりして大きな声でガイドにそれを伝えると、「みんな楽しいんですよ。電気なんて見たことないですから~」とガイドがいう。確かに、聞き耳を立てているとなんとなく嬉しいそうにヒソヒソ話しているようだ。それに人の数はどんどん増えている。いったいどこから来たのかなぁ……。

しばらくして、「そうか、みんな楽しいんならいいやぁねぇ。私も楽しくなってきましたぁ」なんて、独り言をいっていたときのことだ。今度はいきなり背後から、ヒツジだかヤギだかの断末魔のような叫び声が聞こえてきた。喉を切られたときのような悲しい鳴き声だ。

「ひえぇ、なんだぁ~。どうしたんだぁ~」。怖くなって背後を見渡すと誰の姿もない。ガイドやカメラマンの後ろにいた人々も消えている。しかし、見えないが私の後ろのほうでかなりの人数が動き回っている。お~、なんだか、踊っているような……。怖いような、楽しいような、見てはいけないような、どうしよう……。

やっと、懐中電灯振りから解放されて、ガイドに聞くと、どうやら彼らは初めての電気を見て、それを記念したのかお祭りを始めたようなのだ。でもって、ヤギだがヒツジだがを神様に捧げたらしい。確かに、いつも暗い空が突然、明るくなったらびっくりするよなぁ。そりゃ、お祭りだって始まっちゃうかもしれない。気持ちはよくわかる、ような気がする。

しっかし、懐中電灯でお祭りが始まっちゃうなんて、なんだか、とっても平和だ。よく考えてみると、このとき以来、私はマダガスカルが気に入ってしまったのかもしれない。