【新帝国時代】第2部 インテリジェンスなき国(1)検証アルジェリア人質事件 飛び交う数字「全て推測」

2013-02-05 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

【新帝国時代第2部 インテリジェンスなき国】(1)検証アルジェリア人質事件 飛び交う数字「すべて推測」
産経新聞2013.2.3 15:14
■「134人が死亡した」 電話会談で怪情報も
 日の出前の砂漠。1月16日早朝(日本時間同日午後)、アルジェリア当局が異変を察知した。傍受に成功したイスラム武装勢力の衛星携帯電話から叫び声が聞こえてきたのだった。
 「行くぞ!」
 当局は場所の特定に努めたが、すでに遅かった。攻撃されたのは南東部イナメナスの天然ガス関連施設。警備が厳重なはずの施設は夜陰に紛れてやってきた武装勢力の侵入をいとも簡単に許してしまった。
■1日たっても分からず
 一報はベトナムを訪問中の安倍晋三首相に伝えられた。日本政府はまもなくプラント建設大手「日揮」から日本人17人が巻き込まれたとの報告を受けた。その後、事件発生から1日たっても現地の様子は詳しくは分からなかった。
 安倍首相は17日午後4時(同6時)、施設の主契約者BPが本社を置く英国のキャメロン首相に電話した。すると「アルジェリア軍が攻撃するかもしれない」と告げられた。電話口からは切迫した様子が伝わってきた。キャメロン首相は「これからコブラ(緊急事態対策委員会)があるから」と電話を切った。
 安倍首相は午後7時(同9時)からタイのインラック首相との会談に臨むが、開始後間もなく、英政府からアルジェリア軍が攻撃を開始したとの一報が入る。安倍首相には次々とメモが差し入れられた。政府高官は「邦人死亡情報が入れば会談を中止することにしていた」と振り返る。
 「人命最優先にし、すぐに攻撃をやめてほしい。米英の支援を受けるべきだ」
 17日午後10時半(同18日午前0時半)、安倍首相はアルジェリアのセラル首相との電話会談で「人命優先」を求めたが、「それは無理だ。この作戦がベストだ。信頼してくれ」と強気だった。「日本人は何人亡くなったのか」とただしても「作戦中だから分からない」とにべもなかった。
■「内閣の命運がかかる」
 「内閣の命運がかかる事態です。日程変更を」
 18日朝、バンコクのホテルの一室。安倍首相は世耕弘成官房副長官の言葉に耳を傾けていた。
 アルジェリア軍の情報管理が厳しく、事態が把握できない。日本が頼った米国も「情報不足だったのは明らか」(ウェイン・ホワイト元国務省情報調査局分析官)だった。
 外務省幹部らは予定通りインドネシアを訪問し、全日程をこなすべきだと主張し意見が分かれた。官房長官、副長官を経験し危機管理対応に慣れている首相は落ち着いていた。
 「この時点で日本に戻っても事態は変わらない。ならば…」。ユドヨノ大統領はイスラム系テロ組織ジェマ・イスラミアと対峙(たいじ)している。首相は腹を固めた。
 「会談でテロとの戦いに断固たる決意を示す」
 会談では予想外の成果も得た。大統領は2007年にアフガニスタンで韓国人19人がイスラム原理主義勢力タリバンに拉致された事件を説明し、解放のためインドネシア外交官が交渉したことも明かした。
 「われわれはイスラム原理主義者と交渉できる」
 大統領はこうも語った。事件が長期化した場合、インドネシアの協力は外交上の武器になり得た。
■「どうやって特定した」
 だが事件の展開は急で、予定を早めて帰国した首相を待っていたのは厳しい現実だった。19日夜、アルジェリア政府から名前付きの5人の日本人死亡情報が伝えられた。
 20日午前0時半、2度目の電話会談で「デゾレ(申し訳ありません)」と切り出したセラル首相に、安倍首相は「どうやって5人を特定したのか」と2度追及したが、要領を得ない。アルジェリア政府は耳を疑う情報も伝えてきた。「134人が死亡した」
 後に判明した死者は、人質となっていた8カ国の外国人37人で、あまりにかけ離れた数字だった。
 「間違った情報は流すな。ただし事実はどんな小さなことでも発表しろ」
 これを政府発表の原則にしていた首相だが、アルジェリア側の情報をそのまま国民に発信できない。かといって各省庁が独自に収集した情報で補強しようにもそれも信憑(しんぴょう)性は低かった。
 「どこの役所も『何人無事、何人死亡』とそれなりの数字を出してきたが、すべて推測だった」。首相周辺は続ける。「一次情報があまりに乏しかった」
   ◇
■テロ情報収集に「致命的欠陥」
■長老文化
 アルジェリアで人質事件がおきる前、外務省は渡航者に注意を呼びかける「渡航情報(危険情報)」のレベルを、危険度が最も低い「十分注意」としていた。事件当時、在アルジェリア日本大使館の日本人職員は13人。事件後増員されたが「大使館発の目立った情報はなかった」(政府関係者)。
 現地に進出する日本企業の幹部は「大使館員の数が少ないうえ、しかも若い人が多い。『長老文化』のアラブでは若い人だと情報収集は難しい」と語る。
 これまで欧米は首脳クラスが訪問しているが、日本の現職首相の同国訪問はない。最近では平成22年に前原誠司外相が訪れた程度だ。
 このとき、前原氏はブーテフリカ大統領と会談。大統領は前原氏を食事に誘い「日本には人間国宝がいるそうだが、すばらしいことだ」と述べるなど、日本に対する豊富な知識を披露し、日本側を驚かせた。
 ある閣僚経験者は「日頃の意思疎通がないのに緊急時に情報をとろうとしても無理だ」と語る。
 また、外務省ではアルジェリアは中東1課、フランス軍が介入した隣国のマリはアフリカ1課が担当しており、国境を越えて活動する「イスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ組織(AQMI)」の動きを軽視していたとの批判もある。
   ◇
■防衛駐在官の増強検討
 人質事件で情報収集に手をこまねいた教訓から、首相周辺は改善策として(1)多岐にわたる情報ルートの構築(2)信頼度に応じた情報源の価値付け-を例示する。その一環として「防衛駐在官」の増強が検討課題に浮上している。
 アフリカなど新興国では政治指導者より軍が優位に立ち情報を囲い込むケースもあり、軍との接点は欠かせない。イラクやシリアの大使館で勤務経験のある大野元裕前防衛政務官(民主党)は、「文官と軍人の間には垣根がある」と指摘する。自衛隊幹部も「軍人同士では情報を提供するが、文官には面会すらしない軍人もいる」と話す。
■2カ国だけ
 防衛駐在官の存在意義は大きいが、駐在官は36大使館2代表部の49人に限られ、アフリカではエジプトとスーダンの2カ国だけ。在スーダン大使館への駐在官配置にかかわった防衛省幹部は「ほかの地域と異なり米軍の存在感が希薄。人脈開拓や情報収集のノウハウについて米軍の支援を得にくい」と振り返る。
 米軍は2008年、新たな地域統合軍として「アフリカ軍」を創設したが、地の利や影響力という点で英仏など旧宗主国に劣る。
 資源獲得をにらみアフリカ進出を加速させている中国は19カ国に駐在武官を派遣している。昨年1月、スーダンで道路建設を請け負っていた企業の中国人29人が武装組織に拉致された事件では、救出作戦にあたったスーダン軍に中国人の雇い兵を送り込んでいた。日本とは対照的に、中国はテロに対する自前の対処能力を高めつつあるのだ。
   ◇
■陸自部隊が“武器”に
 ただ、自衛隊にも大きな“武器”が存在する。
 陸上自衛隊唯一の特殊部隊「特殊作戦群」。国内外での偵察や破壊活動も想定し、空挺(くうてい)・レンジャー資格者のうち知力、体力、精神力に優れた300人の精鋭をそろえる。海外で捕虜になった際の拷問・尋問への対応訓練も受ける。
 隊員は住宅建築から医療行為に至るまでありとあらゆる知識を習得する。海外で地元住民に溶け込む術となるからだ。陸自イラク派遣では警備要員として現地に入り、モスクに毎日通い続け地元住民の「心」を掌握した隊員もいる。
 平成16年3月の発足から3年にわたり初代群長を務めた荒谷卓(あらやたかし)氏は「『対テロ戦』では特殊部隊を『平時』から情報収集活動に投入するのが世界の常識だ」と語る。
 特殊部隊の隊員は大使館に警備要員として勤務したり、巨大プロジェクトでは出向という形で民間企業に送り込まれたりと形態は問わない。
 世界各地で特殊部隊の所属隊員だけが集う「情報サークル」もアメーバ状に広がる。テロリストの動向など機微にわたる情報を日常的に交換しているが、日本はその輪に入っていない。
 このままだとテロの兆候把握など致命的な情報過疎は改善されないままだ。欠陥を埋めるには、特殊作戦群に所属したことのある隊員を海外に送るのが効果的だ。情報はおのずと集まり、人質事件が起きれば救出任務の先遣隊としても機能する。
 そうした情報を「日本版NSC(国家安全保障会議)」に直接報告させ、NSCは新たな情報収集も求めるなど官邸が運用の権限を握れば、首相直轄の「諜報(インテリジェンス)機関」と位置づけられる。
 防衛相経験者は、ソマリア沖の海賊対策で自衛隊がジブチに設けている活動拠点の機能を強化すべきだと提言する。「アフリカ・中東の情報収集の拠点とし、各国軍やアフリカ連合の部隊との人脈も築ける」からだ。航空自衛隊のC130輸送機を置けば輸送任務に即座に派遣できる。
■法の制約
 だが、大きな壁が立ちはだかる。自衛隊法には「安全が確保されているとき」「航空機か船舶で」「武器使用は正当防衛など」の制約があるためだ。
 「混乱する現場で武器を使い、他国の人命を傷つければ国際問題に発展する」「輸送機や車両に乗せ切れないと、見捨てたと国内で批判が噴出する」
 8年ほど前、極秘に自衛隊が実動を交え邦人救出シミュレーションを行い、そこで浮上した数十項目にも上る検討課題の一部だ。
 人質事件を受け、政府・与党は邦人救出の派遣条件も見直す検討に入ったが、安全を確保しつつ自国民を保護することは簡単な任務ではない。
 自衛隊幹部は「法律を改正し自衛隊を投入しやすくしても、大きなリスクを伴うことを政治家と国民は覚悟すべきだ」と警告する。
   ◇
 アルジェリア人質事件は日本の情報収集・分析に大きな課題を残した。日本が「対テロ戦」に立ち向かえるための態勢づくりは急務だ。「新帝国時代」第2部では諜報とも情報とも訳されてきたインテリジェンスに焦点をあてる。
=========================================
『最終目標は天皇の処刑』 中国「日本解放工作」の恐るべき全貌 ペマ・ギャルポ著 飛鳥新社 2012年1月27日 初版第1刷発行

        

p4~
はじめに
 「日本が危ない。既に中国の半植民地に成り下がっている」「中国が日本の財界とマスコミ界を牛耳っている。独立国家であるはずの日本で中国を批判する言論はマスコミによってふるいにかけられ、中国に対しての批判的な記事は掲載しないだけでなく批判的な出版物に対しては書評の対象にすらならない」「日中友好の名の下、当たり前のように日本の言論の自由、思想の自由を間接的にコントロールしている」
  こう書くと、大半の日本人は「何を大袈裟な!」と一笑に付すでしょう。しかし、中国に侵略されたチベットに生まれた私にとっては、事態が、そのように進行しているとしか思えないのです。というのも、1972年に発掘された『中国共産党・日本解放第2期工作要綱』という文書に添う形で、日本社会が変容しているからです。この文書については後段で詳述しますが、チベットが中国に本格的に侵略される以前と同様の現象が、この日本でも起きているのです。
p5~
  また、中国が、日本国内の土地や資源を買い漁っていることは「資本主義社会における自然な商業行為」との意見もありますが、日本人が中国の土地を自由に購入できない以上(中国の土地はすべて国有で70年以下の賃借)、外交における相互主義からは疑問が残ります。しかも、それが自衛隊基地周辺の土地に集中しているのは決して穏やかな話ではありません。
  更に、2011年3月の東日本大震災で政府が混迷し、政治が空白を生んでいる時期を狙って、中国は火事場泥棒のように日本固有の領土内に入り挑発的な行為を続けているだけでなく、今や南シナ海の諸島に対して領有権を主張し武力的な実力を発揮して、周辺諸国と摩擦を起こしています。(略)
 最近南沙諸島の領有権問題で中国と対立を深めているフィリピンのアキノ大統領は、中国との領土問題を国連機構、即ちハーグの国際司法裁判所で決着することを希望しましたが、中国側は拒否。現実に目覚めたフィリピンはアメリカに再び助けを求め、2011年6月下旬から7月にかけ、米海軍と同国沿岸で11日間の合同軍事演習を敢行しました。
p6~
  また、米国議会では民主党のジム・ウェッブ上院議員ら与野党4名の議員の共同提案で中国の南シナ海における挑発的行為を批判する決議案が採択されました。(略)
 現実問題としての中国の脅威に対処するため、大西洋から太平洋に米国の安全保障の重点が軌道修正されている事実を、日本人もきちんと認識すべきでしょう。
  侵略は決して武力、暴力という目に見えるものばかりではありません。例えば中国の温家宝首相は財界や観光業界などを使って積極的に日本政府に圧力をかけ、中国の観光客が(p7~)沖縄に出入りするための3年友好の数次ビザ(期間中何度でも出入国できるビザ)の特権を獲得、1回の滞在期間も15日から90日に延長することに成功しました。名目上の理由は“震災からの復興のための観光収入増収”ということらしいのですが、それならばなぜ、他の途上国の観光ビザを数次ビザ同様のものに変更しないのでしょう? なぜ中国だけなのか? また何故中国がこんなに熱心なのか?
  政府は「沖縄の観光振興」と説明していますが、中国人が一旦沖縄に上陸して一泊すれば、他の日本各地に移動することは自由となっています。つまり、90日に1度出国すれば、3年間の長期滞在が可能になるということです。収入の要件も、年収25万元(日本円で300万円強)以上の富裕層となっていたものを、民主党政権は、2010年、10万元以上の中流階層にまで緩和しました。
  これらの階層が、はたして日本の物価でどれだけの購買力、消費能力を持っているというのでしょうか?
  しかも、これらの緩和が、決まって、中国共産党の創立記念日の7月1日に合わせて施行されたのは、何故なのでしょう? 私には、民主党政権が、自ら、日本国内に「トロイの木馬」を招じ入れようとしており、そのことは安全保障の観点から、きわめて危険であり、(p8~)前述した中国政府の『日本解放第2期工作要綱』を更に深化させる愚行に思えてならないのです。これは、私自身の体験からそう言いきれるのです。中国の正体を一番知っているのは、中国と最も苦い体験を持つチベットのような国、既に植民地化され中国的植民地主義の餌食にされた周辺の国々でしょう。だから私は絶対日本にはチベットと同じ過ちを犯し、植民地化されて欲しくないのです。
p113~
「日本解放第2期工作要綱」
   「日本解放第2期工作要綱」は、冒頭に「日本が現在保有している国力のすべてを、我が党(=中国共産党)の支配下に置き、我が党の世界解放戦に奉仕せしめることにある」という基本戦略が掲げられています。中国は第2次世界大戦のどさくさに紛れて、火事場泥棒のごとくチベットを武力併合しましたが、さすがにこの時代になると国際社会の目もありますから、そう乱暴なこともできません。そのため「基本戦略」は、まずは中国の意のままに動く傀儡国家を作るということが目標になっているのでしょう。ただし、チベットの例を見てもわかるように、その過程で日本固有の文化や価値観は徹底的に破壊されます。武力侵攻のように目には見えませんが、気がついたら行動を支配されているという文化的、精神的な侵略のほうが恐ろしいのです。
  工作員の具体的な任務は、第1期目標が日中の国交を正常化させること、第2期目標が日本に民主連合政府を成立させること、第3期目標が天皇制の廃止(天皇は戦犯として処刑)と日本人民民主共和国の樹立となっています。
  こうした「任務達成の手段」として、工作員は直接手を下すのではなく、日本人が自発的に行動するように仕向けることを強調していますが、この手法はチベットにおいて、僧侶たちに「キリスト教国主導の国連に入るのは反対」と言わせたのとまったく同じです。
  また、「統轄事項」として派遣する工作員を2000人とし、国交回復時にまず800人から1000人を送り込み、その後徐々に増やしていくとしています。
p114~
  そして工作員は「大使館員」「新華社社員」「各紙特派員」「各種国営企業代表又は派遣員」「教員」の公的身分で入国します。ただし、その身分はまったくの表向きだけのものです。どんな肩書で来ようと、工作組織責任者だけの命令に従って、工作に専従すると書かれています。また、工作員は全員「第48党校日本部」の出身者から選抜するとしています。“党校”とは、一般に中国共産党直属の党員養成機関ですが、なぜ第48党校なのかは、その後の組織改編等もあり、現在ではわかりません。
p115~
  第2期工作要綱が発掘された1972年は、日本にとって重要な意味をもつ年だったと思います。「日中国交回復」「沖縄返還」さらには「あさま山荘事件」と、数多くの歴史的な出来事が起きています。(略)
 前年の1971年を振り返れば、中国が突然、尖閣諸島の領有を主張し始めています。それと合わせるかのように、朝日新聞の本田勝一(かついち)記者によって、“南京大虐殺”など旧日本軍の罪を捏造した『中国の旅』の連載が始まり、日本人に中国への“贖罪意識”を植え付ける工作が始まっています。不思議な話ですが、それ以前は中国国内で南京大虐殺に関する研究発表など、ほとんどありませんでした。ところがこれ以降、中国が南京大虐殺を喧伝するようになるのです。もちろん、本田勝一氏が中国の工作員であったと断定するつもりはありません。が、ここに書かれているように普通の日本人であっても正体を隠した工作員と接触する中で、本人が知らないうちに中国政府の走狗と化してしまう、という可能性も否定できないのです。
p124~
 日中記者交換協定
  1972年時点において、工作要綱に第2期と名付けられていることからもわかるように、すでに日本国内に相当の工作機関員が潜伏していました。特にマスコミ工作に関しては、かなりの環境作りがなされていたようです。そうした環境作りの一環といえるのが1964年に結ばれた日中記者交換協定でしょう。この日中記者交換協定によって朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、日本経済新聞、西日本新聞、共同通信、NHK、TBSの9社の報道機関が、国交がない段階で北京に常駐できることになります。ところが、68年の改定で中国側から「政治3原則」が押しつけられ、各社は否応もなくそれを飲まされることになりました。
1、中国を敵視してはならない。
2、「2つの中国」を作る陰謀に加担しない。
3、中日両国関係が正常化の方向に発展するのを妨げない。
 p125~
  これ以降、中国はジワジワと日本のマスコミに圧力をかけていくのです。例えば当時、日本のマスコミでは台湾の国民党政府(中華民国)と区別するために、北京政府を中共と呼んでいました。(略)そのため国交が樹立して真っ先に要求してきたのが、“中共”という呼称を中国に変えさせることでした。本当の中国は自分たちであり、台湾ではないということを認めさせたのです。この協定が結ばれて以降、中国に不利益となる報道はできなくなります。
  例えば、林彪がモンゴルで墜落死した事件が大手新聞社で報道されたのは、事件後半年も経ってからでした。おそらく、政権内部で権力闘争が続いていることが公になって、中国が推進する日中国交樹立に支障を来すことを危惧した新聞社が自主規制したのです。
  その後も朝日新聞などを中心として、“中国ブーム”のようなものを起す動きが顕著になっていきます。国交回復を機に贈られたパンダブームもそうですが、中国は巨大市場であり、中国は膨大なエネルギー資源があり、日本は近しくならなければ損であるといった具合に、マスコミによって親中国の世論醸成がなされていったように私は感じます。当時、朝日新聞に中国には大油田があり、関係がよくなれば石油は心配いらなくなるという記事が書かれていたのをはっきり覚えています。
p126~
  そして1972年の日中国交回復から、1978年の福田赳夫内閣による日中平和友好条約締結を経て、翌年からは大平正芳内閣によって莫大なODA供与が開始されることになるのです。
  この記者協定を楯にした、報道規制は現在でも明らかに残っています。2011年、北アフリカでわき起こった「ジャスミン革命」の余波が、中国にも波及しました。中国各地で民主化を求める集会が開かれましたが、その際、中国政府は集会をインターネットで呼びかける市民を逮捕するなどの弾圧を加えました。そして、こうした動きを取材しようとする日本や欧米のメディアに対しては、強制国外退去をちらつかせて圧力をかけるなど、いまだに自由がない国であるということを世界中に知らしめました。ところが、そのような事実があったことを、いつもなら「報道の自由」を口にする日本のメディアが積極的に報道したとは言えません。そうしたことも日本の大手マスコミが記者協定に縛られている結果だと思われます。また、先に述べたように、東日本大震災において台湾から過去最多の義援金が送られたにもかかわらず、中国ばかりが目立つような報道がなされたのも、記者協定という見えない圧力があったとみて間違いありません。
p127~
  日本で報道されていることが逐一、情報部員によって詳細に分析され本国に報告されているのはもちろんですが、一時期は中国大使館から各メディアに対して、今日の報道よかったとか悪かったとか、いちいち電話をしていたこともあるといいます。今はそこまで露骨ではありませんが、それでも厳然たる圧力が存在します。
p203~
アメリカの軛
  私は、日本の政治家が個々の政治信念や権力闘争の中にあっても、国益というものを最優先するようになれば、日本の政治は変わると思います。例えば、インドとアメリカの外交関係を見てください。クリントンがアメリカ大統領として初めてインドを訪問して、友好関係を築く声明を出しました。クリントンとブッシュ(ジュニア)は政策的にも思想的にもかみ合わない関係ですが、ブッシュ政権下でも、さらにそれは推し進められていきます。
p204~
  そして原子力に対して協力関係を結ぶというブッシュの政策を、野党の民主党が多数を占める議会も支持し、最終的には満場一致という形まで持っていきました。そして、再び民主党政権となった今日、オバマ大統領はインドとの関係強化に乗り出しています。そうしたことが見られるのも、やはりアメリカの政治家が国益を重視しているからです。
  日本の政治家には、なかなかそれができません。
  さらに日本の場合、政治家が的確な外交判断をするための情報が十分に取れていません。手を打つには、相手の事情を探る情報機関、諜報機関は必要不可欠です。日本にも内閣情報調査室、警視庁公安部、防衛相情報本部、法務省管轄の公安調査庁など数多くの情報機関があるにはあるのですが、収集した情報を有機的に生かすシステムがないのです。
  また、日本の情報機関、諜報機関は一般の公務員と大差ありません。権限にしろ予算の使い方にしろ、制約が多すぎるのです。おそらくコーヒー一杯飲んでも領収書が必要になるでしょう。そうした制約の中では、貴重な情報は取れるはずがありません。諸外国の諜報機関の場合、たとえば独自の資金作りをするために何世代にもわたって相手国に人員を送り込んで、現地で経済活動をしていたりもします。戦前は日本にもそうした組織があったのですが、戦後はそうした態勢をとるに至っていないのは残念です。もちろん、中国なりアメリカなりが、強力な情報機関ができるこおを阻止していることは言うまでもありませんが、憲法改正をしなくても、情報・諜報機関の強化を図って、十分な予算を組み、大国並みの組織にすることは可能だと思いますし、そうした組織を国策に役立たせる必要があると思います。
=========================================
【新帝国時代】第2部 インテリジェンス(諜報)なき国()「幻」の北スパイ事件、政治に翻弄された捜査 2013-02-07 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
  「外交交渉の決め手の一つがインテリジェンス(諜報)であることは世界の常識。だが、日本は海外での諜報を本格的にやっていない。 . . . 本文を読む
----------------------------
【新帝国時代】第2部 インテリジェンス(諜報)なき国()中国の最大の標的は米軍事機密 2013-02-06 | 国際/中国/アジア
  「ハニートラップ」も… . . . 本文を読む
----------------------------
【新帝国時代】第2部 インテリジェンス(諜報)なき国()人海戦術で諜報 危うい尖閣 2013-02-05 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
  中国の諜報関係者が研究者や記者を装い、大学や企業の研究機関、メディアなどに紛れ込んで日本で活動することは多い . . . 本文を読む
--------------------------------------
【新帝国時代】第2部 インテリジェンス(諜報)なき国()李春光書記官 諜報疑惑「捜査は見送ったんだ」 2013-02-05 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
  「1等書記官にしては威勢がよい」。佐藤氏は工作機関との関わりを疑った。 . . . 本文を読む
----------------------------
【新帝国時代】第2部 インテリジェンス(諜報)なき国()検証アルジェリア人質事件 飛び交う数字「すべて推測」 2013-02-05 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉 
  アルジェリア人質事件は日本の情報収集・分析に大きな課題を残した。日本が「対テロ戦」に立ち向かえるための態勢づくりは急務だ . . . 本文を読む
========================================
新帝国時代 2030年のアジア/中国の野望にくさび打て/急激な衰退は予期せぬ形で起きる/「爆食」中国 2013-02-05 | 国際/中国/アジア 
-------------------


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。