麻生太郎副総理の憲法改正めぐる発言 全文「ドイツのワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に・・・」

2013-08-01 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

麻生副総理の憲法改正めぐる発言の詳細 
朝日新聞デジタル 2013年8月1日2時18分
〈麻生太郎副総理が29日、東京都内でのシンポジウムでナチス政権を引き合いにした発言は次の通り。〉

 僕は今、(憲法改正案の発議要件の衆参)3分の2(議席)という話がよく出ていますが、ドイツはヒトラーは、民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラー出てきたんですよ。ヒトラーはいかにも軍事力で(政権を)とったように思われる。全然違いますよ。ヒトラーは、選挙で選ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。間違わないでください。
 そして、彼はワイマール憲法という、当時ヨーロッパでもっとも進んだ憲法下にあって、ヒトラーが出てきた。常に、憲法はよくても、そういうことはありうるということですよ。ここはよくよく頭に入れておかないといけないところであって、私どもは、憲法はきちんと改正すべきだとずっと言い続けていますが、その上で、どう運営していくかは、かかって皆さん方が投票する議員の行動であったり、その人たちがもっている見識であったり、矜持(きょうじ)であったり、そうしたものが最終的に決めていく。
 私どもは、周りに置かれている状況は、極めて厳しい状況になっていると認識していますから、それなりに予算で対応しておりますし、事実、若い人の意識は、今回の世論調査でも、20代、30代の方が、極めて前向き。一番足りないのは50代、60代。ここに一番多いけど。ここが一番問題なんです。私らから言ったら。なんとなくいい思いをした世代。バブルの時代でいい思いをした世代が、ところが、今の20代、30代は、バブルでいい思いなんて一つもしていないですから。記憶あるときから就職難。記憶のあるときから不況ですよ。
 この人たちの方が、よほどしゃべっていて現実的。50代、60代、一番頼りないと思う。しゃべっていて。おれたちの世代になると、戦前、戦後の不況を知っているから、結構しゃべる。しかし、そうじゃない。
 しつこく言いますけど、そういった意味で、憲法改正は静かに、みんなでもう一度考えてください。どこが問題なのか。きちっと、書いて、おれたちは(自民党憲法改正草案を)作ったよ。べちゃべちゃ、べちゃべちゃ、いろんな意見を何十時間もかけて、作り上げた。そういった思いが、我々にある。
 そのときに喧々諤々(けんけんがくがく)、やりあった。30人いようと、40人いようと、極めて静かに対応してきた。自民党の部会で怒鳴りあいもなく。『ちょっと待ってください、違うんじゃないですか』と言うと、『そうか』と。偉い人が『ちょっと待て』と。『しかし、君ね』と、偉かったというべきか、元大臣が、30代の若い当選2回ぐらいの若い国会議員に、『そうか、そういう考え方もあるんだな』ということを聞けるところが、自民党のすごいところだなと。何回か参加してそう思いました。
 ぜひ、そういう中で作られた。ぜひ、今回の憲法の話も、私どもは狂騒の中、わーっとなったときの中でやってほしくない。
 靖国神社の話にしても、静かに参拝すべきなんですよ。騒ぎにするのがおかしいんだって。静かに、お国のために命を投げ出してくれた人に対して、敬意と感謝の念を払わない方がおかしい。静かに、きちっとお参りすればいい。
 何も、戦争に負けた日だけ行くことはない。いろんな日がある。大祭の日だってある。8月15日だけに限っていくから、また話が込み入る。日露戦争に勝った日でも行けって。といったおかげで、えらい物議をかもしたこともありますが。
 僕は4月28日、昭和27年、その日から、今日は日本が独立した日だからと、靖国神社に連れて行かれた。それが、初めて靖国神社に参拝した記憶です。それから今日まで、毎年1回、必ず行っていますが、わーわー騒ぎになったのは、いつからですか。
 昔は静かに行っておられました。各総理も行っておられた。いつから騒ぎにした。マスコミですよ。いつのときからか、騒ぎになった。騒がれたら、中国も騒がざるをえない。韓国も騒ぎますよ。だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。
 わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。ぜひ、そういった意味で、僕は民主主義を否定するつもりはまったくありませんが、しかし、私どもは重ねて言いますが、喧噪(けんそう)のなかで決めてほしくない。

 ◎上記事は[朝日新聞デジタル]からの転載・引用です
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麻生財務相に非難の嵐-「ワイマール憲法」発言で
 WSJ Japan Real Time2013/07/31 8:02 pm .
麻生太郎副総理兼財務相(7月25日、東京での講演で)麻生太郎副総理兼財務相は、平和憲法の改正のモデルとして日本が戦前ドイツのナチス政権時代に目を向けるべきだと一部の人々に解釈されかねないような発言をしたとして批判を浴びている。ただ、麻生氏の側近たちはそうした意図を否定している。
麻生氏のこの発言の報道を受け、ユダヤ人の人権団体と、日本の旧植民地の韓国から、直ちに批判が起きた。麻生氏は今年これまでにも、靖国神社を参拝して韓国の反感を買っていた。
国内メディアによると、麻生氏は29日の東京での演説で、「ドイツのワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。誰も気が付かなかった。あの手口に学んだらどうかね」と述べた。この発言については麻生氏の事務所が確認した。
麻生氏の側近たちは、同氏が31日、地元の九州にいて、コメントは取れないと述べた。しかし、麻生氏の発言は文脈を無視して引用されていて、麻生氏はナチス・ドイツを称賛するようなことは何も言っていないと説明した。むしろ、麻生氏は、憲法論議は静かな環境で進めるべきだとの認識を強調したものだと指摘した。
大臣秘書官の1人、村松一郎氏は「ワイマール憲法改正の事例について、反面教師としてとらえた方がいいとの趣旨」と述べた。さらに、「感情的に議論していると、誤った方向に行く。憲法改正は慎重に議論すべきだと言っている。大臣は、ナチス憲法の方がいいと言っているのではない。(憲法改正のやり方でナチスから学ぶ点があると発言が受けとめられているとすれば)大臣の意図とは間逆だ」と続けた。
共同通信も、ワイマール憲法が当時の欧州でいかに最も「進歩的」だったか、しかし、その憲法下でナチス政権が誕生したと麻生氏は言及したと報じた。良い憲法のもとでさえ、こうしたことが起こると述べたと引用された。
麻生氏の意図するところが何だったにせよ、国内メディアで大々的に報じられたことは、時々そうしたケースがあるように、麻生氏の発言が時にとりとめがなく、同じ聴衆の中でも違った解釈につながったり、あるいは、少なくとも困惑したりする人がいることが示されている。
麻生氏は公益財団法人、国家基本問題研究所主催のイベントで演説した。同研究所は改憲を求めている保守派のシンクタンクで、戦時中の戦地での慰安婦の強制連行に日本軍が関与したとの主張を否定して議論を呼んでいる。
麻生氏の発言報道を受け、韓国は直ちに批判した。日韓関係は戦時中の日本の行為やこのところの領土問題をめぐる論争を受けて緊張が高まっている。また、戦後の平和憲法の改正を訴える安倍晋三首相の動向を韓国は慎重に眺めている。
韓国外務省の報道官は30日、記者団に対し、麻生氏の発言が「多くの人々を傷つけることは明らかだ」と表明した。
韓国外務省の公式表明によると、報道官は「過去に日本帝国が侵略した近隣諸国の国民がこうした発言をどのようにみるかは明白だ。日本の政界のリーダーたちは発言や行動に慎重になるべきだと確信している」と述べた。
また、ロサンゼルスに本部を置くユダヤ教の人権団体、サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)は30日に声明を発表し、麻生氏に発言の説明を求めた。
この声明は、SWCの副代表で宗教指導者エイブラハム・クーパー氏の発言を引用し、「ナチス政権のどの「やり方」──民主主義をひそかに無能にするやり方──が学ぶ価値があるのか」と問いかけた。
クーパー氏は「麻生副総理はナチス・ドイツの支配力が素早く世界を地獄に連れ込み、第二次世界大戦の甚大な恐怖に人類を巻き込んだことを忘れたのか。統治をめぐるナチス第三帝国からの唯一の教訓は、権力の地位にある者がどう振る舞うべきではないかということだけだ」と続けた。
日本の政府報道官はコメントを避け、この問題は麻生氏の問題だと述べた。菅義偉官房長官は31日の会見で、麻生氏の発言への認識を問われ、「麻生副総理が答えるべきだ」と述べるにとどまった。
麻生氏は失言や政治的論争と無縁ではない。2001年に経済財政相だった麻生氏は外国特派員クラブで行われた講演で、「日本に外国人が働いていることは良いことだと思う。独断と偏見だが、金持ちのユダヤ人が住みたくなる国が良い国だと思う」と述べたことがあった。
記者: Alexander Martin and Mitsuru Obe
原文(英語):Japan Finance Minister’s ‘Weimar Constitution’ Comment Draws Fire
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2013/07/31/japan-finance-ministers-weimar-constitution-comment-draws-fire/ 

 ◎上記事は[WSJ Japan Real Time]からの転載・引用です
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麻生太郎氏 首相らの靖国参拝念頭に「静かにお参りすればいい。敬意と感謝の念を払わない方がおかしい」   
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◇ 「麻生発言」=朝日新聞はこのように事柄を歪曲し、日本を国際社会の笑い物にしていくのか 櫻井よしこ 
 【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】朝日が日本を国際社会の笑い物に…歪曲された麻生発言
 産経新聞2013.8.5 17:26
 なるほど、朝日新聞はこのようにして事柄を歪曲(わいきょく)していくのか。麻生太郎副総理発言を朝日新聞が報じる手口を眼前にしての、これが私自身の率直な感想である。
 8月1日と2日、朝日の紙面は麻生発言で「熱狂」した。日によって1面の「天声人語」、社会面、社説を動員し、まさに全社あげてといってよい形で発言を批判した。
 討論会の主催者兼司会者として現場に居合わせた私の実感からすれば、後述するように朝日の報道は麻生発言の意味を物の見事に反転させたと言わざるを得ない。
 7月29日、私が理事長を務める国家基本問題研究所(国基研)は「日本再建への道」と題した月例研究会を主催した。衆議院、都議会、参議院の三大選挙で圧勝、完勝した安倍自民党は、如何(いか)にして日本周辺で急速に高まる危機を乗り越え、日本再建を成し得るかを問う討論会だった。
 日本再建は憲法改正なしにはあり得ない。従って主題は当然、憲法改正だった。
 月例研究会に麻生副総理の出席を得たことで改正に向けた活発な議論を期待したのは、大勝した自民党は党是である憲法改正を着実に進めるだろうと考えたからだ。
 が、蓋を開けてみれば氏と私及び国基研の間には少なからぬ考え方の開きがあると感じた。憲法改正を主張してきた私たちに、氏は「自分は左翼」と語り、セミナー開始前から微妙な牽制(けんせい)球を投げた。
 セミナーでも氏は「最近は左翼じゃないかと言われる」と述べ、改正論議の熱狂を戒めた。私はそれを、改正を急ぐべしという国基研と自分は同じではないという氏のメッセージだと、受けとめた。
 「憲法改正なんていう話は熱狂の中に決めてもらっては困ります。ワァワァ騒いでその中で決まったなんていう話は最も危ない」「しつこいようだが(憲法改正を)ウワァーとなった中で、狂騒の中で、狂乱の中で、騒々しい中で決めてほしくない」という具合に、氏は同趣旨の主張を5度、繰り返した。
 事実を見れば熱狂しているのは護憲派である。改憲派は自民党を筆頭に熱狂どころか、冷めている。むしろ長年冷めすぎてきたのが自民党だ。いまこそ、自民党は燃えなければならないのだ。
 にも拘(かか)わらず麻生氏は尚(なお)、熱狂を戒めた。その中でヒトラーとワイマール憲法に関し、「あの手口、学んだらどうかね」という不適切な表現を口にした。「ワイマール憲法がナチス憲法に変わった」と氏はいうが、その事実はない。有り体に言って一連の発言は、結局、「ワイマール体制の崩壊に至った過程からその失敗を学べ」という反語的意味だと私は受けとめた。
 憲法改正に後ろ向きの印象を与えた麻生発言だったが、朝日新聞はまったく別の意味を持つものとして報じた。
          ◇
 たとえば1日の「天声人語」子は、麻生発言を「素直に聞けば、粛々と民主主義を破壊したナチスのやり方を見習え、ということになってしまう」と書いた。前後の発言を合わせて全体を「素直に聞」けば、麻生氏が「粛々と民主主義を破壊」する手法に習おうとしているなどの解釈が如何(いか)にして可能なのか、不思議である。天声人語子の想像力の逞(たくま)しさに私は舌を巻く。
 朝日の記事の水準の高さには定評があったはずだ。現場にいた記者が麻生発言の真意を読みとれないはずはないと思っていた私は、朝日を買いかぶっていた。
 朝日は前後の発言を省き、全体の文意に目をつぶり、失言部分だけを取り出して、麻生氏だけでなく日本を国際社会の笑い物にしようとした。そこには公器の意識はないのであろう。朝日は新たな歴史問題を作り上げ、憲法改正の動きにも水を差し続けるだろう。そんな疑惑を抱くのは、同紙が他にも事実歪曲(わいきょく)報道の事例を指摘されているからだ。
 典型は「読売新聞」が今年5月14、15日付で朝日の誤報が慰安婦問題を政治問題化させたと報じた件だ。読売の朝日批判としては珍しいが、同件について朝日は説明していない。
 古い話だが、歴史問題にこだわるなら、昭和20年8月の朝日の報道も検証が必要だ。終戦5日前に日本の敗戦を示唆する政府声明が発表され、朝日新聞の編集局長らは当時こうした情報を掴(つか)んでいた。新聞の使命としていち早く、日本敗戦の可能性を国民に知らせなければならない。だが、朝日新聞は反対に8月14日、戦争遂行と戦意高揚を強調する社説を掲げた。これこそ、国民への犯罪的報道ではないか。朝日の歴史認識を問うべきこの事例は『朝日新聞の戦争責任』(安田将三、石橋孝太郎著、太田出版)に詳しく、一読を勧めたい。
 これらのことをもって反省なき朝日と言われても弁明は難しい。その朝日が再び麻生発言で歴史問題を作り出し、国益を害するのは、到底許されない。
 それはともかく、自民党はまたもや朝日、中国、韓国などの批判の前で立ちすくむのか。中国の脅威、韓国、北朝鮮の反日、米国の内向き志向という周辺情勢を見れば、現行憲法改正の急務は自明の理だ。それなのに「冷静な議論」を強調するのは、麻生氏を含む多くの自民党議員は憲法改正に消極的ということか。日本が直面する危機に目をつぶり、結党の志を横に措(お)き、憲法改正の歩みを緩めるのだろうか。であれば、護憲の道を歩む朝日の思う壺(つぼ)ではないか。自民党はそれでよいのか。私の関心は、専ら、この点にある。

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です *強調(=太字)は来栖
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【この度し難き鉄面皮 朝日新聞の頬被り】西岡 力 『正論』8月号 総力特集「慰安婦」包囲網を突き破れ  
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