【脱中国元年】中国・北朝鮮には、防衛戦略の抜本的改変から(5)~日本の核保有シナリオを検証

2013-02-24 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

【脱中国元年】中国、北朝鮮には寝技で対抗 新外交は防衛戦略の抜本的改変から★(5)
zakzak2013.02.24
 防衛大綱の見直しが決まった。
 将来的に日本は、核兵器で恫喝する中国や北朝鮮の脅威に、どう抑止力(対抗能力)を持つことができるのか。あるいは核バランスをどうやって達成できるか?
 選択肢として従来いわれたシナリオも多いが、本稿で筆者は「考えられないことを考える」(ハーマン・カーン)。
 日本が自主的に核兵器開発を行うには、もはや間に合わない。そもそも、核拡散防止条約は日本に核武装させないための世界の監視体制であり、IAEA(国際原子力機関)の査察は日本の原発の軍事転用を防ぐ目的で設営された。
 であるとすれば、短時日裡に日本が核保有するには、常識では「考えられないシナリオ」を検証しておく必要がある。
 (1)パキスタンから買う。これまでの累積援助5000億円をチャラにするのが交換条件で軍事専制のパキスタンと秘密交渉を展開する。同時にこれはパキスタンの同盟国=中国に強い猜疑心を生ませるだろう。
 (2)インドと安保条約を結び、インドが中国へ向けている核兵器を一時借用するなりの密約を締結する。密約がなくともあるように国際社会の舞台裏で撹乱(かくらん)情報を流す。
 (3)日米安保条約の下、在日米軍があり、第7艦隊が横須賀、佐世保に寄港している。在日米軍の施設など総資産はおよそ25兆円程度で、年間維持費は2兆円程度と推計される。
 日本が持つ対米債権は1兆2000億ドル、為替差損ですでに40兆円ほど損をしているが、これを政治的に有効に使えばよい。つまり対米債権を担保に、在日米軍と第7艦隊を一時的にでも日本の指揮下におく。在日米軍を核兵器付きで傭兵化するという日米同盟の密約は技術的に可能ではないか
 (4)腐敗した中国軍の高官を買収し、中国から核兵器を横流しさせる。あるいは中国の軍の一部を買収し、将来の日本への亡命を条件に、日本向けミサイルの頭脳にあるコンピューターを入れ替えるなどして無効化する。
 これらの作戦を実践するには、強固なハッカー部隊と、インテリジェンス部隊が日本に必要とされることは言うまでもない。
 うさぎの耳はなぜ長いのか。
 戦後日本は自ら謀略を仕掛けることもなく、ひたすら国際社会の「善意」に期待して外交を展開し、国家安全保障を米国に依存してきた。このため、未曾有の危機に遭遇しても自らは何をなすべきかの判定さえできなくなった。
 尖閣戦争が近いという危機の到来がこうした幼児性、劣化した安全保障感覚を呼び覚まし、危機管理の中枢とは何かを考えさせてくれる絶好の機会となった。
 国家たるべき条件は、インテリジェンス戦略の確立、そのための情報機関設立が喫緊に必要とされている。 (評論家、ジャーナリスト・宮崎正弘)=おわり *強調(着色)は来栖
........
〈来栖の独白 2013/2/24 Sun. 〉
 実に具体的なシミュレーション。これを「右翼」の世迷いごとと一笑に付すとしたら、国際社会の現実がわかっていない。
 このたびの北朝鮮の核実験で中国が怒り、ロシアが深く憂慮したのは、これが引き金になって日本が核武装するのではないか、という深刻な怯えからであった。平和ボケの日本人は、自国が核武装など、思ってもみないだろうが、国際社会は前の大戦以来、日本に対して常に不安と猜疑の目で見てきた。その証拠が「核拡散防止条約」であり、IAEA(国際原子力機関)の査察、そして国連憲章の「敵国条項」であろう。
=========================================
北の核実験に中国が激怒 「日本の核武装につながるから」と識者 2013-02-17 | 国際/中国/アジア 
 北の核実験に中国が激怒 日本の核武装につながるからと識者
 NEWSポストセブン2013.02.17 07:00
 ならず者の暴挙と見るだけでは足りない。中国の情勢に詳しいジャーナリスト・富坂聡氏が、核をめぐって緊迫する日本と中国、北朝鮮の関係について解説する。
 * * *
 北朝鮮の三度目の核実験が強行された2月12日以降、日本国内には北朝鮮の脅威を伝えるニュースが再びあふれかえった。
 報道の中身は、2006年の第1回の核実験以降何度も繰り返し行われてきたことの繰り返しなのだが、とくに強調されているのは「今度こそ世界も堪忍袋の緒が切れたのではないか」といった内容だった。なかでも注目されたのが中国の反応だった。
 核実験が強行された当日、中国の楊潔篪外相は北朝鮮の駐中国大使を呼び、「強烈な不満と断固たる反対」を伝えたとされる。これを「先例のない強い抗議だ」と日本の各メディアは伝えているのだ。
 この裏ににじむのは「いよいよ中国も北朝鮮を見放すのか」という淡い期待だ。日本に根付いている「中国が本気で経済すれば北朝鮮などすぐに干上がってしまう」という見方がそのベースとなっているのだろう。
 だが、残念ながら現在のところ中国の対応に大きな変更が起きているとは考えにくい。西側と歩調を合わせる必要があるため強い口調で抗議はするものの、相変わらず西側に対しては自制を求めているからだ。
 そもそも日本でよく聞かれるこの発想には違和感を覚える点が少なくない。例えば、日本が望む解決のためになぜ中国がリスクを冒す必要があるのかということだ。
 国際社会の駆け引きは、何もしないで利益だけ得られるのが理想なのだ。その反対の行動をする国があるはずはない。
 第2に、たとえ中国が本気になったとしても経済制裁をしたくらいで北朝鮮が核保有を諦めるはずはないということだ。日本人の発想のなかで抜け落ちているのは、中国にとって北朝鮮の核武装は、日本以上に深刻な脅威だという視点だ。外交に永遠の友も永遠の敵もないという原則からすれば当たり前の話なのだが、それ以上に中国にとって頭が痛いのは、北朝鮮が核武装をすれば次には必ず日本が憲法の桎梏から解かれることが予測され、下手をすれば核武装の道も開かれてしまうかもしれない、ということだ。
 そうなければ中国のこの地域で有している圧倒的アドバンテージが失われることは避けられない。この事実を中国がどう受け止めるかである。つまり、北朝鮮の核武装は中国にとって看過できる問題ではなかったのである。
 だが、その核武装を中国は止められなかった。これこそが中国の北朝鮮に対する影響力の限界なのである。日本人はそのことを頭に刻むべきだろう
=========================================
「北朝鮮が核兵器開発を進めれば、日本も核武装に踏み切る可能性がある」ロシア プシコフ下院外交委員長 2013-02-16 | 国際/中国/アジア
 韓国が核兵器を持ったら
 産経新聞2013.2.16 03:19[産経抄]
 きのう東京・大手町は、雪になる一歩手前の冷雨がしとしと降っていたが、ロシアではとんでもない空からの贈り物があった。晴天を切り裂くように隕石(いんせき)が落下、衝撃波などでビルの窓ガラスが破れ、多くのケガ人が出た。▼ほぼ1世紀前の1908年、シベリアの森林地帯で謎の大爆発があったが、空からの落下物が原因との説が有力とか。死者が出なかったのは不幸中の幸いだったが、隕石よりもっとタチの悪い空からの贈り物を用意している国がある。▼3回目の核実験を強行した北朝鮮は、「大陸間弾道ミサイルで敵に恐怖を与える」と脅迫した。既にかの国は、日本の広い範囲を射程に置くノドン型ミサイルを実戦配備しており、受ける脅威は米国の比ではない。▼ロシアの下院外交委員長は「日本も非核武装の立場から離れるため、しかるべき対応を始めるかもしれない」とつぶやいた。大多数の日本人は「唯一の被爆国なのにとんでもない」と一笑に付すだろうが、他人はそう見ない。▼ならず者国家に核兵器を搭載したミサイルの発射を思いとどまらせるためには、最終的には報復用の核兵器を持つしか手がないのが、安全保障の常識である。韓国でも核保有論が急速に盛り上がっており、お調子者の李明博大統領は「愛国的な考えで、高く評価する」とあおっている。▼韓国に核兵器を持たせるとどうなるか。核ミサイルの照準を平壌とともに東京や大阪に向けるのは、竹島や慰安婦問題でみせる劣情ぶりをみれば、火を見るより明らかだろう。朝鮮半島の北も南も核兵器を持てば、日本の選択はひとつしかない。隕石は避けられないが、ヒトが作り出す脅威は、断固たる決意ひとつで退けられる。
--------------------------
「核武装論は間違っていない」李大統領…「だが時期尚早」
産経新聞2013.2.15 23:17
 【ソウル=黒田勝弘】韓国の李明博大統領は15日、退任を前に東亜日報とのインタビューで韓国の核武装論について「愛国的な考えという点で高く評価し、そうした発言が北朝鮮や中国に対する警告にもなるので間違っているとは思わない。われわれの社会にそう考える者もいなければならない」と述べ支持を表明した。
 しかし一方で「国際協調を通じた核放棄が最終目的なので政府が核保有を語るのは時期尚早でよくない」と述べ、現時点での核武装論議には消極的な立場を明らかにした。
 李大統領は24日で退任するが、韓国の現職大統領が核武装論自体を支持し高く評価するのはきわめて異例だ。北朝鮮の核実験強行を機に国内で台頭している「核武装を交渉カードに北に核を放棄させよう」などといった独自核武装論を勢い付ける発言だ。
 また日韓関係で竹島上陸を強行したことについては「(当時)野田首相をはじめ日本の政治が右傾化競争をしており、独島(竹島)問題や歴史問題、慰安婦問題が深刻になるようだった。誰かがブレーキをかけなければならないと思った。日本の歴史の流れを見て先制的措置を取ったものだ」と説明し強気の姿勢を変えなかった。
 「天皇謝罪要求」発言については「日王は(自分の発言以後)『謝る用意もあり韓国を訪問したい』と明らかにしたという。実際より少し誇張されて自分の発言が伝えられた面がある」と語った。
==================================
北朝鮮が核実験 「成功」「核小型化進めた」と発表 2013-02-12 | 国際/中国/アジア
 【北核実験】ロシア紙「日韓の軍拡競争を促進」
 産経新聞2013.2.13 20:53 【モスクワ=佐々木正明】
 13日付のロシア主要紙は北朝鮮の核実験について、隣接する極東地域の不安定化への懸念を伝えた。
 コメルサント紙は同地域の放射能汚染の危険性を伝えるとともに、安全保障の観点から、隣国の韓国や日本の「軍拡競争」が促進される側面を報道。「ロシアの国境沿いで米軍のプレゼンスが強まることは排除できない」と伝えている。
 軍事面の記述は他紙にも目立ち、独立新聞は、北がこのまま核兵器開発を進めればあと5~7年で「核クラブの仲間に入る」との専門家の声を紹介した。
 ロシアでは北への制裁強化は必ずしも得策ではないとの論調もある。露上院国防安全保障委員会のオゼロフ委員長は「米国が主張する新たな国連安保理決議の採択は間違いであり、制裁は逆効果」と主張。イズベスチヤ紙も専門家の同様の声を伝えている。
----------------------------------
【北核実験】日本の核武装を懸念 ロシア下院外交委員長
産経新聞2013.2.12 22:50
 ロシアのプシコフ下院外交委員長は12日、記者団に対し、北朝鮮が核兵器開発を進めれば、日本も核武装に踏み切る可能性があると指摘するとともに、北朝鮮の核問題は「(極東)地域外でも重大な脅威だ」と訴え、強い懸念を示した。インタファクス通信が伝えた。
 同委員長は、北朝鮮の核開発を受けて「日本も現在の非核武装の立場から離れるため、しかるべき対応を始めるかもしれない」と述べた。
 また、国際社会と国連安全保障理事会は「北朝鮮の政権に対し、核実験を核兵器製造に移行させないよう、直接圧力をかけなければならない」と主張した。(共同)
==========================================
北朝鮮の脅威にどう応じるか~「日本の核武装という政策選択」ワシントン・古森義久 2013-02-24 | 国際/中国/アジア 
 【緯度経度】日本核武装論 再び ワシントン・古森義久 
産経新聞2013.2.23 14:47
 北朝鮮の核兵器開発への必死な動きに対して、ワシントンでは日本の核武装の可能性がまた語られるようになった。韓国ではすでに核武装が現実の課題として論じられ始めたことは本紙のソウル駐在の黒田勝弘記者の報道でも詳しく伝えられた。だが日本の場合、核の選択が同盟国の米国でまず論題となる点が安全保障での独特の屈折を示している。
 共和党ブッシュ前政権で国務次官や国連大使を務め、核兵器拡散防止をも担当したジョン・ボルトン氏は20日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルに「北朝鮮の脅威にどう応じるか」と題する寄稿論文を発表し、日本の核武装という政策選択を提起した。
 同論文は、オバマ政権内外に北朝鮮の核兵器保有を現実として受け入れ、抑止や封じ込めに戦略重点を移そうとする動きがあるとして、その動きを「敗北主義」と断じ、「北朝鮮の核兵器をさらに増強させ、核の威嚇や拡散をもたらす危険な状況を生む」として許容すべきではないと、主張した。
 ボルトン氏は、北朝鮮の核破壊のための軍事攻撃は犠牲が大きすぎるとして排する一方、非核を受け入れる新政権を生むために、北朝鮮が今必要とするエネルギーの90%以上を供する中国に圧力をかけて、金正恩政権を崩壊させ、朝鮮半島の統一を目指すべきだ、とも論じた。そして、中国が難色を示すならば、日本と韓国の核武装を現実の事態とすべきだと強調したのである。
 ボルトン氏は、日本の核武装が中国にとって「最悪の恐怖」だと評し、中国を動かすための圧力材料に使うことを提案する一方、その核武装が実現しても構わないことを示唆した。
 その理由に「オバマ大統領が『核なき世界』の夢を追うとなると、その一方的な核削減は逆に北朝鮮を含む他国への核拡散を招き、長年、米国の核のカサ(抑止)に守られてきた日本や韓国は(核抑止の)再考を迫られる」という点をあげた。
 同氏は「北朝鮮が核兵器を武器にさらに好戦的な言動を取ることへの対応として韓国の政治家たちは自国も核兵器を開発することを求め始めた」とし、「同様の(核武装賛成の)議論が日本でもひそかに語られ始めた」と述べる。つまりは中国に北の核武装を放棄させるための圧力材料としてだけでなく、すでにある核の脅威に対する日本の核武装にも理があるとする議論なのだ。
 ボルトン氏は、日本や韓国のような「安全な諸国」へも核兵器は拡散させないことが従来の米国の基本政策だったことも明記する。だが、その政策を変えうる「北東アジアの新しい核の現実」が生まれ、その現実に対応する日本の核武装もありうると説くのである。
 米国政府が日本の核武装に反対であることは明白だが、議会や専門家の一部には、米国に敵対しうる中国や北朝鮮が核の威力を誇示する現状では、米国と利害や価値観を共にする日本が核を持っても害はないとする意見がすでに出ていた。
 2011年7月には下院外交委員会有力メンバーのスティーブ・シャボット議員(共和党)が日本人拉致事件の「救う会」代表らに「北朝鮮や中国に圧力をかけるためにも日本は自国の核兵器保有を真剣に考えるべきだ」と述べた。09年7月の下院外交委の公聴会でも、エニ・ファレオマベガ議員(民主党)が「日本も核戦力を開発する必要があるという議論が出ても自然だ」と証言していた。
 06年10月には有力政治評論家のチャールズ・クラウトハマー氏が「米国は最も信頼できる同盟国で国際社会の模範的一員の日本に核兵器保有を奨励すべきだ」という日本核武装奨励論を発表していた。日本国内の現状は別にしても、米国側では東アジアの危険な核の状況への抑止策としての日本核武装という戦略オプションも出てきたということである。
============================================
『憲法が日本を亡ぼす』古森義久著 海竜社 2012年11月15日 第1刷発行
p164~
 3 アメリカで始まる日本の核武装論議
○中国ミサイルの脅威
 アメリカ議会の有力議員が日本に核武装を考え、論じることを促した。日本側で大きくは取り上げられはしなかったが、さまざまな意味で衝撃的な発言だった。アメリカ連邦議会の議員がなかば公開の場で、日本も核兵器を開発することを論議すべきだと、正面から提言したことは、それまで前例がなかった。
 この衝撃的な発言を直接に聞いたのは、2011年7月10日からワシントンを訪れた拉致関連の合同代表団だった。
p165~
 さて、この訪米団は、7月14日までアメリカ側のオバマ政権高官たちや、連邦議会の上下両院議員ら合計14人と面会し、新たな協力や連帯への誓約の言葉を得た。核武装発言はこの対米協議の過程で11日、下院外交委員会の有力メンバー、スティーブ・シャボット議員(共和党)から出たのだった。
p166~
 続いて、東祥三議員がアメリカが北朝鮮に圧力をかけることを要請し、後に拉致問題担当の国務大臣となる松原議員がオバマ政権が検討している北朝鮮への食糧援助を実行しないように求めた。
 シャボット議員も同調して、北朝鮮には融和の手を差し伸べても、こちらが望む行動はとらず、むしろこちらが強硬措置をとったときに、譲歩してくる、と述べた。
p167~
○日本の核武装が拉致を解決する
 そのうえでシャボット議員は、次のように発言した。
 「北朝鮮の核兵器開発は韓国、日本、台湾、アメリカのすべてにとって脅威なのだから、北朝鮮に対しては食糧も燃料も与えるべきではありません。圧力をかけることに私も賛成です」
 「私は日本に対し、なにをすべきだと述べる立場にはないが、北朝鮮に最大の圧力をかけられる国は中国であり、中国は日本をライバルとしてみています」
 「だから、もし日本が自国の核兵器プログラムの開発を真剣に考えているとなれば、中国は日本が核武装を止めることを条件に、北朝鮮に核兵器の開発を止めるよう圧力をかけるでしょう」
 肝心な部分はこれだけの短い発言ではあったが、その内容の核心はまさに日本への核武装の勧めなのである。北朝鮮の核兵器開発を停止させるために、日本も核兵器開発を真剣に考えるべきだ、というのである。
 そしてその勧めの背後には、北朝鮮が核開発を止めるほどの圧力を受ければ、当然、日本人拉致でも大きな譲歩をしてくるだろう、という示唆が明らかに存在する。
p168~
 つまりは北朝鮮に核兵器開発と日本人拉致と両方での譲歩を迫るために、日本も独自に核武装を考えよ、と奨励するのである。
 日本の核武装は中国が最も嫌がるから、中国は日本が核武装しそうになれば、北朝鮮に圧力をかけて、北の核武装を止めさせるだろう、という理窟だった。
-----------------------------------------------------------
中国の奥の手は「敵国条項」中西輝政 月刊WiLL:2013年2月号 2012年12月20日発売
p42~
【2】「敵国条項」という最終兵器
 アメリカ上院は11月29日、尖閣諸島に関して「日米安保条約第5条に基づく責任を再確認する」ことを国防権限法案に追加修正する案を全会一致で確認した。これは日本として大変、心強い動きである。
 とりわけ、アメリカの認識においても尖閣諸島が単に日米同盟の重視と言うに留まらず、アジア太平洋における戦略的要衝であることをこの決議は示している。
 仮に中国が尖閣を制圧し、同島に対艦ミサイルを配備すれば、日米は与那国島から石垣・宮古島の線にはもはや近寄ることができなくなる。
 となれば、東・南シナ海の結節点である台湾も落ちたも同然となり、アジアの戦略状況は一変する。また、南シナ海での米中の戦略バランスも一気に中国優勢に傾くとともに、日中対立の最前線として、尖閣だけでなく沖縄、南西諸島自体にまで一気に火が付きかねない。
 中国の狙いは、必ずしも領土や東シナ海の海底資源ばかりではない。中国にはどうしても沖縄全体を政治的に支配しなければならない理由がある。
 沖縄本島と宮古島の間の宮古水道は200キロほどの幅があるが、戦術ミサイルの発達した今日、このような狭いところを通らなければ太平洋に出られないという現状は、中国の海洋戦略にとっては決定的に不利な状況と言える。しかも、本島には強大な米空軍が基地を置いている。まさに沖縄、南西諸島周辺が中国の世界戦略にとって決定的な要地なのである。
p43~
 そのことを考えれば、中国の長期的な展望として、尖閣を陥し、沖縄を政治的に支配して駐留米軍を揺さぶり、自国の海洋戦略の拡大を目論んでいることは間違いない。
 アメリカ上院もこの中国の狙いを理解しているからこそ、この時期に尖閣について先のような決議を行ったのだろう。こうした壮大な構図に全く気が付いていないのは、「尖閣問題で事を荒立てるな」「経済を重視せよ」と叫ぶ日本の経済界のリーダーをはじめとする単なる「平和ボケ」以上に罪深い、国益よりも「経済優先」の日本人である。
■「三戦」ははじまっている
 しかも、中国はいきなり軍艦やミサイルで一気に事を荒立てるのではなく、いわゆる「三戦」、つまり心理戦、世論戦、法律戦を使う「超限戦」をすでに開始している。すでに述べたように、海洋戦略の障害である沖縄基地の米軍を撤退させるべく、日本のマスコミを使って盛んに行っているのは、まさに「対日心理戦」であり「世論戦」であろう。普天間問題に加えて、例の「オスプレイ配備反対」などもこれに当たる。
 また、日本の経済人をいま以上に骨がらみにするため、「依然として中国市場は魅力的である」と思い込ませる「心理戦」がはじまっており、「法外な”手切れ金”を払うのが中国のルールである」と突きつけるのは「法律戦」と言っていい。そして、これが一番恐ろしいことを知るべきだ。
 戦場で軍事兵器を使うだけが戦争ではない。「超限戦」や「三戦」と中国自ら称している。”戦火を交えない戦争”は、すでにはじまっているのである。
 対する日本は、こういった工作にめっぽう弱い。大正時代から、日本は中国による反日デモや暴動、国際連盟での対日宣伝活動、日本国内に手を突っ込んでの与党や世論の切り崩し工作など、軍事によらない、そして遥かに効果的な「対日攻撃」に悩まされ続けた。
 中国は相手の論理を逆用し、巧みに正面衝突を避けながら相手の動きをも利用して自国の優位をもぎ取る「水平思考」に長けており、これは当然、現在も変わらない。
 尖閣問題でも、この「水平思考」は発揮されている。たしかに、アメリカが尖閣で日米安保を発動することは疑いがない。それは、アメリカ自身の国益にとっても決定的に重要であるからだ。
p44~
 にもかかわらず、日本のメディアや識者のなかには、元外務省国際情報局長孫崎享氏のように、端的に「アメリカは尖閣問題で日本を助けることはない」という論者がいるが、こうした主張は大きな認識違いなのだ。
 だが、中国の超限戦的発想においては警戒すべき点が一つだけある。
 日本がそれを見過ごせば、日米安保を一撃で仕留める”必殺兵器”を中国に与えてしまうことになる。中国の「三戦」には、それほどの威力を秘めた「奥の手」がある。
 それは何か。
■中国が巡らせた「伏線」
 手がかりは、9月27日に楊潔篪外相が行った国連総会での一般討論演説である。楊外相は演説で、「日本は尖閣を盗んだ」と発言し、日本中を驚かせた。
 中国がこのような発言をしたときに注意すべきなのは、この発言に注目を集めておいて、他方で後々、重要となる伏線を用意していることが多いことだ。それゆえ、虚心に全体を見て本質的に何を意図しているのかに常に留意しなければならないのである。
 この演説も、一部をみれば「中国が自らの振る舞いも省みず、勝手なことを言っている」と呆れるだけの演説だが、全体を見れば実にポイントを押さえた恐ろしいほどの戦略的布石を打っているのである。
 楊外相演説のポイントは、次の3点だ。
 1、日本による尖閣国有化は、日本が再び中国の主権を侵害せんとする侵略行為である。
 2、日本のこのような行動は、第2次世界大戦後に生まれた国際秩序を破壊する行為である。
 3、日本の行為は、国連憲章の原則と精神に違反する挑戦である。
 もう、おわかりだろう。中国は国連憲章第53条、107条の「敵国条項」を使おうとしているのである。このことに気づいた時、「しまった」と私は思った。と同時に、つくづくこの国の「危うさ」を痛感した。
 過去十数年にわたって、私は敵国条項でけは一刻も早く撤廃すべき、と各種メディアで繰り返し訴えてきたが、その敵国条項がいまこの瞬間、いわば最悪の時に最悪の形で中国に利用されようとしていることが分かったからである。
p45~
 実際、中国の伏線は周到に敷かれている。その後、11月6日にもラオス・ビエンチャンで開催されたアジア欧州首脳会議(ASEM)の場に集まった世界50か国の首脳を前にして、楊外相は再びこう述べている。
「尖閣問題に関する中国政府の立場は私が国連総会で明確にした通りであるが、重ねて次の点を強調しておきたい。(尖閣国有化によって)日本は中国への侵略を行っている」
「日本は反ファシズム戦争の結果を否定してはならない」
「日本の行動は、戦後の国際秩序と原則への重大な挑戦だ」
 中国が敵国条項を使い、日本を追い込もうとする方針を固めたとみていいだろう。
■抵抗許さぬ敵国条項
 すでに周知の人もあろうが、国連憲章の該当の2条にはこう書かれている。
〈第53条
 1、安全保障理事会は、その権威の下における強制行動のために、適当な場合には、前記の地域的機関を利用する。但し、いかなる強制行動も、安全保障理事会の許可がなければ、地域的取極に基いて又は地域的機関によってとられてはならない。
 もっとも、本条2に定める敵国のいずれかに対する措置で、第107条に従って規定されるもの又はこの敵国における侵略政策の再現に備える地域的取極において規定されるものは、関係政府の要請に基いてこの機構がこの敵国による新たな侵略を防止する責任を負うときまで例外とする。
 2、本条1で用いる敵国という語は、第2次世界大戦中にこの憲章のいずれかの署名国の敵国であった国に適用される〉
〈第107条
 この憲章のいかなる規定も、第2次世界大戦中にこの憲章の署名国の敵であった国に関する行動でその行動について責任を有する政府がこの戦争の結果としてとり又は排除するものではない〉
 要するに、第2次世界大戦中、国連加盟国(中国は原加盟国、つまり創設メンバーとされる)の敵国であった日本とドイツに対して、この「敵国条項」が適用される(イタリアなどは大戦末期に連合国に寝返っているので、適用については論争がある)。
p46~
 この2国が「再び侵略戦争の動きを見せた時」、あるいは「第2次世界大戦で出来上がった国際秩序に対して、それを棄損する行為に出た時」には、国連加盟国は安保理の決議や承認がなくても、自国の独自の判断によって日本やドイツに対しては軍事的制裁を行うことができる、とされているのである。
 そして安保理やアメリカを含むいかなる加盟国も、それに対抗したり阻止したりすることはできない、とわざわざ念が押されているのである。
■照準は「日米同盟」瓦解
 この「敵国条項」を以て、中国のいう「超限戦」が貫徹されるシナリオはすでに早くから出来上がっていると見るべきだろう(日本とソ連=ロシアとの間では、91年4月の日ソ首脳会談の共同声明で「敵国条項」を適用しないことを合意しているが、中国との間にはその合意はない)。
 おそらく、中国の描く有力なシナリオはこうだ。中国が尖閣に漁民を装った特殊部隊を上陸させる。取締りのために日本が海保の巡視船を出すが、衝突が起こり、中国海軍の軍艦が沖合に姿を現す。
 これにより、後方から監視していた海上自衛隊も動き、実質、軍事衝突一歩手前までの事態になる。しかし、戦争を意味する「防衛出動」の発令は難しいから、北の工作船を追いかけた時の「海上警備行動」止まりであろう。
 アメリカの存在を頼みにしながら、日本政府が海上自衛隊に「海上警備行動」を発令し、動き出した瞬間、中国当局が次のような声明を発表する。
「中国は、国連憲章の定めを破り、再び侵略行動を開始した日本を制裁するため、国連憲章の『敵国条項』に則って軍事行動に入る」
 これにアメリカはどう反応するだろうか。上院で「尖閣諸島には日米安保が適用されるべき」と決議されたとはいえ、アメリカといえども国連憲章を無視することはできず、憲章に拘束されて、少なくとも初動が鈍るか、もしくは動きを封じられるだろう。こうなると、日本中はパニックに陥るだろう。
 そうでなくても、アメリカは尖閣で日中が揉めることを望んでいない。当然のことだが、他国の領土のためにアメリカ兵士の血が流れることも、アメリカ国民には受け入れがたい。ましてや、敵国条項を突きつけられれば、国際法を重んじるアメリカ世論の風向きは一気に「尖閣に介入すべきでない」との方向に傾く可能性が強い。
p47~
 しかしそうなれば、日本人の日米安保への信頼は根底から揺らぐかもしれない。そして、これこそがまさに中国の真の狙い、つまり日米分断が一挙に達成される瞬間である。
 それは大げさに言えば、「戦後日本が終わる時」と言えよう。いずれにせよ、中国によって敵国条項を持ち出された時点で、日本国内も総崩れになりかねない。そしてその瞬間、「尖閣は中国のもの」となる。
 ここで分かるのは、中国が尖閣を歴史問題化しようとしていたのは、必ずしも韓国の竹島問題やロシアの北方領土問題と足並みを揃えるためだけではなかった、ということだ。日本の尖閣への実効支配の強化を「再侵略」と位置づけ、アメリカを国際法的に抑止し、日本を決定的に孤立させる中国の秘密兵器それが敵国条項なのである。
■何と愚かな日本外交か
 それにしても、なぜいまだに、第2次世界大戦当時の敵国条項が存在しているのか。
 実は1995年、国連創立50周年の年に日本とドイツが共同提案国となり、この条項を憲章から削除すべしという決議案を国連総会に提出している。そして、総会では賛成多数で採択されたが、批准書を寄託した国は定数に達しなかった。
 ここに国際社会の本音と建前を見る思いがするが、いずれにしても、この敵国条項は時代遅れ(obsolete)であり、削除に向けて作業を開始すると謳われていても、総会の決議だけでは何の効力も有しない。つまり、17年が経過した現在でも、この条項はいまだに効力を保っているのである。(略)
 当時、私は「常任理事国入りなど中国が賛成するわけがないから、動くだけ無駄である。その余力を、一刻も早い敵国条項の撤廃に向けるべきだ。そうしないと、この条項の放置は日本の安全保障にとって大きな脅威となるから」と多くの論文に書き、いくつかの論壇誌でも発表したのだが、外務省関係者は「中西さん、知らないんですか。この敵国条項はもう完全に死文化しているんですよ」と安易至極な態度であった。
p48~
 こうした姿勢は、戦後の外務省の体質に深く根ざしている。外務省出身で国連大使にまでなった小和田恆(ひさし)氏が「ハンディキャップ国家論」を説いたが、そのよって立つ思想は憲法前文、9条であるとともに、敵国条項の放置もこの思想と共鳴し合うものだったのである。なぜなら、「諸国民の公正と信義に信頼して」日本の安全保障を委ねるのだから、あの侵略戦争をした日本は敵国条項の非を訴えるべきではない、というわけである。
 この思想の流れが、現在も日本の外務省に通底しているのではないか。「常任理事国入り」にはあれほど熱心に取り組みながら、敵国条項の問題は外務省内ではいまだに「タブー」扱いされているからである。しかし、この条項を放置しての「国連中心主義」の外交など、もともと成り立ちえないものだったのである。何と愚かな日本外交であったことか。
■外交の機先を制すべし
「中国が敵国条項を使って日本を危機に陥れようとしている」---実は、このことを活字にすることにはこの数か月、大いに悩んだ。
 第一に、中国に逆利用されはしないか、と危惧したためである。
 第二に、中国だけでなく、かねてより「尖閣は日本固有の領土ではない」「アメリカは尖閣問題では決して動かない」と言い続けてきた前出の孫崎享氏ら、親中派に論拠の補強材料を与えることにもなりかねないからだ。
 だが11月以降、ここまであからさまに中国が動いてきた以上、もはや一刻の猶予もない。(略)
 外交は機先を制さなければならない。外務省、政府、そして官邸が一体となって、早急に敵国条項の実質的空文化を再確認する決議を国連の場で強力に推進し、あわせてアメリカ政府や国際社会に対し、「敵国条項を中国が持ち出す可能性がある。総会で、撤廃に向けたより強い失効決議に賛成してもらいたい」と働き掛け、「このままでは中国に国連憲章を悪用されることになり、アジアの平和は瓦解する」と広く、そして大きな声で国際世論に訴えるべきだ。多くの欧米紙に一面広告を出してもいい。
p49~
■「国連主義」の虚妄
 事態は一刻を争う。経団連会長のように、経済活動の停滞だけを心配して中国のご機嫌伺いをしている場合ではさらさらないのである。急がなければ、戦後日本が「平和の理想」と崇め奉ってきた国連憲章によって、日本が武力による攻撃を受け、しかも同盟国のアメリカも手が出せないという絶体絶命の危機に追い込まれかねないのである。
 「国連」の名のもとで中国の「軍事制裁」を受け、多くの日本人が血を流し、領土も奪われる事態を迎えることになれば、日本にとってそれは何という悲劇であろうか。「戦後日本」という虚妄を、これほど劇的に示す例はないだろう。
=========================================
【脱中国元年】中国・北朝鮮には、防衛戦略の抜本的改変から()~日本の核保有シナリオを検証 2013-02-24 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
  国際社会が恐れる「日本の核武装」 . . . 本文を読む
-------------------
【脱中国元年】中国も露骨に嫌悪感 北朝鮮の核が脅威に ( 2013-02-22 | 国際/中国/アジア
 何らかの先制攻撃的な対応が必要になった . . . 本文を読む
-------------------------
【脱中国元年】野心むき出しの中国を封じ込め ASEAN重視の本質 ( 2013-02-21 | 国際/中国/アジア
  東シナ海から南シナ海は海洋覇権を求める中国の海と化け . . . 本文を読む
--------------------------------
【脱中国元年】いびつな「国強民衰」の中国経済 反日暴動で目が覚めた日本企業 ( 2013-02-20 | 国際/中国/アジア
  ASEAN重視へ傾斜した日米という環境変化の下、日本経済は大きくかじ取りを変える . . . 本文を読む
----------------------------
【脱中国元年】英、独の中国擦り寄りと反日暴動の深い意味 複雑怪奇な世界情勢 ( 2013-02-20 | 国際/中国/アジア
  英国とドイツが米国に敵対的態度を示すようになった . . . 本文を読む
------------


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。