「小沢一郎氏 裁判」=検察官による「虚偽捜査報告書作成事件」 郷原信郎氏

2011-12-21 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

「激変する環境、思考停止する組織~郷原信郎が斬る」<Vol.16> 2011.12.19
陸山会事件を「平成の盧溝橋事件」にしてはならない
~虚偽捜査報告書作成事件の捜査・調査に速やかに着手すべき~

 このところ、九州電力の問題、オリンパスの問題など企業をめぐる問題ばかり取り上げてきたこのコーナーだが、今回は、久しぶりに検察の問題を取り上げる。
 検察審査会起訴議決によって起訴されている小沢一郎氏の公判で、昨年の秋に表面化し、検察の信頼を失墜させた大阪地検をめぐる不祥事をも上回る重大な問題が、先週、明らかになったからだ。
 12月15日に東京地裁で開かれた公判において、元東京地検特捜部所属の田代政弘検事の証人尋問が行われ、昨年5月、同会元事務担当者の石川知裕衆院議員を保釈後に再聴取した際の状況について、石川被告が供述していない内容を捜査報告書に記載していたことが明らかになった。
 その報告書は小沢被告に対する起訴議決を出した東京第5検察審査会にも提出され、審査の資料とされ、議決書にも一部が引用されている。
 石川被告は昨年1月の逮捕後、田代検事の取り調べを受け、「小沢被告の了承を得て政治資金収支報告書に虚偽記入をした」との供述調書に署名した。そして、同年5月17日の任意の再聴取でも同様の内容の調書が作成され、同日付けの取調べ状況に関する捜査報告書とともに、検察審査会に捜査資料として提出された。この問題を、一面トップ、社会面トップで報じた16日付読売新聞朝刊によると、同報告書には、田代検事が小沢氏に対する報告とその了承について調査を録取した状況を質問したことに対する石川氏の供述として、以下のように記載されている。
 「私が『小沢先生は一切関係ありません』と言い張ったら、検事から、『あなたは11万人以上の選挙民に支持されて国会議員になったんでしょ。小沢一郎の秘書という理由ではなく、石川知裕に期待して国政に送り出したはずです。それなのに、ヤクザの手下が親分を守るためにウソをつくのと同じようなことをしたら、選挙民を裏切ることになりますよ。』と言われたんですよね。これは結構効いたんですよ。堪えきれなくなって、小沢先生に報告し、了承も得ましたって話したんですよね。」
 ところが、そのようなやり取りは、石川被告が再聴取を隠し取りした録音記録にはない。
 同日の証人尋問で、その点について、小沢被告の弁護人から追及された田代検事は、「数日をかけて、思い出しながら報告書をまとめる際、勾留中のやり取りなどと記憶が混同した。虚偽ではない」と釈明した。
 田代検事の行為は、検察官の作成名義の捜査報告書という公文書に虚偽の記載をしていたということであり、虚偽性についての認識があれば、虚偽公文書作成罪という犯罪に該当する。
 虚偽公文書作成という犯罪は、形式上犯罪に該当する行為であっても、可罰性の幅は非常に広い。公文書の内容に事実に反する点があったとしても、それが官公庁内部に止まるものであれば、実質的な処罰価値はない場合も多い。しかし、本件のようにその報告書が司法作用に重大な影響を及ぼすというのは、最も悪質・重大な虚偽公文書作成の事実と言えよう。
 検察官の取調べをめぐる問題は、郵便不正事件でも、小沢氏の元秘書3人が起訴された政治資金規正法違反事件でも問題になった。被疑者が実際の供述しているのとは異なる内容の供述調書が作成され、威迫、利益誘導、切り違えなどの不当な方法によって被疑者に署名をさせるという方法が問題にされ、供述調書の請求が却下されるという事例が相次いでいる。
 被疑者の供述を内容とする捜査報告書をめぐる今回の問題は、検察官の供述調書をめぐる問題とは性格を異にする。供述者の署名があって初めて書面として成立する供述調書とは異なり、捜査報告書は、検察官側が一方的に作成できる書面だ。あくまで捜査の状況を報告するための文書であり、その分、被疑者の供述内容を立証する証拠としての価値は低い。一般の刑事事件においては、捜査報告書によって被疑者の供述が立証され事実認定が行われることはほとんどない。
 しかし、検察審査会の審査員という素人の判断との関係では、捜査報告書の取扱いも全く異なってくる。証拠の種別、価値等について前提となる知識が乏しい審査員は、捜査報告書であっても、被疑者の供述として書面に記載されていれば、それなりに信用できるもののように判断することとなる。
 今回虚偽であることが明らかになった捜査報告書は、検察審査会に資料として提出され、審査会の判断の根拠とされたものであり、それを意図して行われた疑い、つまり、虚偽の捜査報告書が検察審査会をだます目的で使われた疑いがある。そこに、これまで供述調書に関して問題とされてきたこととは異なる重大な問題があるのである。
 そこで、まず問題となるのは、報告書に虚偽の記載が行われたことが意図的なものであるかどうかである。
 田代検事は、勾留中の取調べのやり取りと混同したという「過失」を主張しているが、起訴後、保釈で身柄非拘束の状況での取調べでのやり取りを、その直後に捜査報告書に記載する際に、3ヶ月前も前の勾留中のやり取りと混同するなどということ自体が考えられない。
 また、通常、被疑者の供述が変遷したのであれば、変遷の時点で理由を聞いているはずであり、3ヶ月以上も経った、釈放後に、勾留中の供述の理由を尋ねるということも、検察官の取調べの経過として考えられない。そのような常識では考えられないような質問を自分が行い、石川氏がそれに答えているという状況を、田代検事が「自らの記憶」として報告書に書いたとは考えられない
 しかも、石川氏の勾留中の取調べの大半が、水谷建設からの裏献金の受領の問題に費やされたこと、特に、勾留延長後の10日間は、田代検事から担当副部長に取調べ検察官が交代し、もっぱら水谷建設からの裏献金の問題について聞かれていたことは、同氏自身が語っているところである。政治資金収支報告書の虚偽記入について小沢氏に報告をした旨の石川氏の供述調書に関して、田代検事がそのような供述をした理由を尋ね、石川氏が説明する、というような「勾留中のやり取り」は、いったいどの時点で行われたのであろうか。そもそもその「やり取り」自体が存在していなかった疑いが強い。だとすると、石川氏が、「ヤクザの手下が親分を守るためにウソをつくのと同じようなことをしたら、選挙民を裏切ることになる」と考えて小沢氏への虚偽記載の報告を認めた、という捜査報告書の記述自体が「創作」であり、石川氏の供述を捏造した疑いが濃厚と言うべきであろう。
 田代検事の「過失」の弁解は明らかに不合理であり、意図的で、しかも実害を伴う虚偽公文書作成罪の嫌疑が相当程度認められるのであるから、検察として、捜査或いは内部調査に乗り出すのは当然であろう(「うその報告書―検察は経緯を検証せよ」と題する12月18日の朝日新聞社説でも、「なぜうその報告書が作られ、チェックもできなかったのか、経過を解明・検証して国民に説明する作業が欠かせない」と説明を求めている)。
 検察には、今回の虚偽公文書作成の問題について、今のところ何の動きもない。この件について何の調査も捜査も行わないとすると、前田検事の故意の証拠改ざんを行った事実を知りながら、同検事の刑事事件について捜査し、検挙するなどの措置をとらなかったとして上司の大坪・佐賀両氏を犯人隠避罪に問おうとしている検察の主張は、根底から崩れる。調査を行ったとしても、田代検事の「過失」の弁解を、そのまま受け入れるようであれば同様である。それによって、先日、検察官の論告・求刑が行われた大坪・佐賀両氏の公判にも重大な影響を与えることとなる。大坪・佐賀両氏の弁護側から、公訴取消を求められた場合、検察はどう反論するのであろうか。
 本件の虚偽公文書作成の問題に関して重要なことは、それが、検察審査会の議決に大きな影響を与えたこと、つまり、刑事司法作用を害する結果になったことだ。
 前田元検事の事件では、フロッピーディスクのデータの改ざんが行われたが、データが改ざんされる前の正しいデータを記載した捜査報告書が弁護側に開示され証拠請求されたことから、公判の審理には結果的に影響を与えなかったのに対して、今回虚偽が明らかになった捜査報告書は、検察審査会に提出され、小沢氏を起訴すべきとする議決書にも引用されており、まさに、検察審査会が小沢氏の犯罪事実を認定する議決に大きな影響を与えている。
 しかも、その取調べの際、たまたま、石川被告が、隠し録音をしていたことから、虚偽報告が発覚したが、もし、録音が存在していなかったら、田代検事は、今回のような小沢氏の公判での証人尋問で、捜査報告書の通りに取調べ時のやり取りを証言していたであろう。それは田代検事が録取した石川氏の供述調書の信用性を肯定する根拠にされた可能性が高い。
 さらに重大な問題は、この虚偽捜査報告書の作成が意図的なものであったとすれば、それが田代検事個人の判断で行われたものとは考えにくいということだ。
 先に述べたように、勾留中の被疑者が検察官の取調べに対して新たに行った供述について、その理由を、起訴後3ヶ月も経った後の取調べでわざわざ質問し、それについて捜査報告書を作成するなどということは、通常の検察官の取調べではあり得ない。何らかの上司の指示がなければ、このような捜査報告書が作成されることはないと考えるのが合理的であろう。
 そもそも、この政治資金規正法違反事件について、小沢氏は、検察の処分としては、嫌疑不十分で不起訴となっており、検察の組織としては、犯罪事実の認定について消極の判断をしている。通常であれば、検察審査会で起訴相当議決や起訴議決が出されて検察の処分が覆されることは、検察にとって極めて不名誉なことであり、検察審査会の議決を受けて行われる再捜査において、わざわざ、検察の不処分が検察審査会の議決で覆される方向で捜査を行うこと自体、担当検察官個人の行動としてはあり得ない。石川氏の供述調書の信用性を補強する虚偽の捜査報告書を作成してまで、検察審査会に小沢氏の犯罪事実を認めさせようとする行動は、田代検事個人の意思によって行われたとは考えられない。
 検察組織全体の方針に反して、検察審査会の議決を検察の処分を覆す方向に向け、それによって小沢氏を政治的に葬ろうと考える一部の集団が検察組織内部に存在していて、田代検事はその意向に従って動いたとしか考えられない。
 検察審査会の審査員が小沢氏との共謀を認める石川氏の供述調書を信用し、小沢氏に対する起訴議決を行うようにするため、田代検事に虚偽の捜査報告書を作成させる、という行為が、東京地検特捜部内で組織的な背景を持って行われた疑いが濃厚である。
そうなると、検察批判を繰り返してきた私にすら信じられないことではあるが、陸山会事件では、特捜部という検察組織の中の一部が、小沢氏不起訴という検察の組織としての決定に従わず、検察審査会という外部の組織を活用して検察の処分を覆させようとする「暴発」したと見ざるを得ないのである。
 田代検事の証人尋問の翌日の12月16日の公判で、証人として出廷した前田元検事が、「主任検事から『この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢をあげられなければ特捜の負けだ』といわれた」「検察が不起訴と判断した資料として検審に提出されるもので、証拠になっていないものがある」などと証言し、東京地検特捜部の陸山会事件捜査を厳しく批判した。証拠隠滅事件で実刑判決を受けて受刑中の前田元検事は、特捜部の問題とは利害関係がなくなっており、その供述の信用性を疑う理由に乏しい。そのような前田検事による、陸山会事件の捜査の内幕の暴露も、その捜査に一層疑念を生じさせるものとなった。
 昨年秋に表面化した問題は、大阪地検が中心だったが、今回の問題は特捜検察の本尊とも言える東京地検特捜部の問題だ。それだけに、特捜検察は、まさに、存亡の危機と言うべき状況にある。
 陸山会事件について小沢氏を起訴すべきとする検察審査会の議決は、政権交代によって成立した鳩山政権を退陣に追い込む大きな要因となり、その後の二度にわたる民主党代表選での争点を小沢氏の「政治とカネ」問題に集中させた。それ以降、反小沢の民主党主流派と小沢派との間の泥沼の党内対立によって、民主党は国民の支持を失っただけでなく、深刻な政治不信を招き、日本の政党政治は、もはや崩壊に近い状態とも言える一方で、東京地検特捜部の小沢氏に対する一連の捜査への対抗意識も動機の一つとなって、大阪地検特捜部が無理に無理を重ねた郵便不正事件は、村木氏の冤罪、証拠改ざんの発覚という最悪の結末となり、特捜部長、副部長の逮捕という異常な事態まで引き起こして検察の信頼は失墜した。他方、その発端となった小沢氏に対する東京地検特捜部の捜査も、不当な取調べによる供述調書の請求却下、そして、今回の虚偽報告書の作成問題と次々と問題を露呈し、検察への信頼は地に堕ちた。国家の最も枢要な作用と言うべき刑事司法の中核を担う検察は、今や危機的状況にある。
 このように、社会全体が、そして、検察という一つの権力組織が泥沼の状況に追い込まれていく契機となったという意味で、陸山会事件は、日本軍という権力組織、そして、日本という国が「日中戦争」の泥沼へと引きずり込まれていく契機となった「盧溝橋事件」と似ているとの見方もできよう。
 日本軍側、中国側のいずれが仕掛けたものであるのかについて、様々な見方の違いがあるが、いずれにしても、盧溝橋事件が、何者かの意図によって、予期せぬ軍事衝突が引き起こされ、それが日中戦争の引き金になっていったことには、ほぼ疑いがない。
 それと同様に、陸山会事件の検察審査会の起訴相当議決、起訴議決が、刑事司法関係者の予期せぬものであり、それが、その後の日本の政治、社会、そして検察組織に重大な影響を生じさせていったことは明らかである。
 歴史のベールに包まれた盧溝橋事件の真相を解明することは、今となっては極めて困難であろう。しかし、その後の日本の政治、社会に重大な影響を与えた検察審査会での起訴議決という「民意」の作出に大きく影響したと思われる虚偽の捜査報告書作成事件が、意図的なものであったのか、組織的背景があったのかを、捜査又は調査によって解明することは決して困難なことではない。捜査又は調査にただちに着手し、陸山会事件の検察捜査の真相を明らかにすることが、日本の社会を、そして、検察を救う唯一の道である。
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小沢一郎氏裁判 第9回公判〈前〉/証人 田代政弘検事「特捜部は恐ろしいところだ」=報告書に虚偽の記事2011-12-15| 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 弁護人「平成22年5月17日の取り調べで、あなたは捜査報告書を書いていますね」
 証人「書きました」
 弁護人「何日に書きましたか」
 証人「5月17日に書き始めまして、何日かかけて完成させたと思います」
 弁護人「何ページの報告書ですか」
 証人「5、6ページだったでしょうか」
 弁護人「あなたが書いたものでしょう」
 証人「5、6ページか、もう少し多い10ページだったか。いずれにしましてもそれくらいだったと思います」
 弁護人「それを何日もかけたのですか」
 証人「別の仕事もしながら、合間、合間に作成しましたので…」
 弁護人「中身は覚えていますか」
 証人「だいたいは把握しています」
 弁護人「1ページ目にあなたの署名と押印があるが、間違いありませんか」
 証人「はい」
 弁護人「東京地検特捜部長あてになっているが」
 証人「そうです」
 《続いて、男性弁護士は捜査報告書の中身を示す。石川議員は11万人の有権者の投票を受けて当選したが、大半は「小沢一郎の秘書」というのではなく、個人を信頼して投票したはずだと、○○検事に言われたことを契機に、調書のサインに応じた-とする内容が具体的なやり取りとともに記載されている。だが、実際の録音にはこうしたやり取りは残っていない》
 弁護人「やり取りがないのに、どうして(捜査報告書には)記されているのですか」
 証人「やり取りがあったと認識して書いた」
 弁護人「実際のやり取りと異なるのが、記載されたことですか」
 証人「この日の取り調べを一言一句記載したのではなく、思いだし、思いだし記載した。拘留中に話したことや、保釈後に話したことの記憶が混同していたと思う」
 弁護人「もう一度聞きますが、5月17日から数日で書いたのですね」
 証人「はい」
 弁護人「5月17日には、どこまで書いたのですか」
 証人「それは記憶にはありません」
 弁護人「虚偽の捜査報告書を書いたのではありませんか」
 証人「そうではありません」
 《続いて、弁護人は○○検事が石川議員に「(虚偽記載を認める供述を覆し)逆の供述をすれば、火に油を注ぐことになる」などと話したことを追及していく》
 弁護人「(任意聴取の際には)こう伝えたことがありましたね」
 証人「はい」
 弁護人「繰り返し述べましたね」
 証人「それは、石川さんが従前通りの主張だといいながら、実際に調書のサインの段階になると、『4億円を隠すつもりはなかった』などと覆す。その中で何度かやり取りがあった」
 弁護人「何のために捜査報告書を作っていたのですか」
 証人「調べが終われば、作るように、と指示されていました」
 弁護人「指示はだれからか」
 証人「主任検事です」
 弁護人「あなたは、何日かかけて作るうちに、記憶が混同して、やり取りのない内容を記したということでしたね」
 証人「かいつまんで言えばそうです」
 弁護人「これが検察審査会の小沢さんの起訴議決にも影響を与えた可能性があったと分かっていましたか
 証人「協議の内容については、分かりません」
 弁護人「可能性の話ですよ」
 証人「可能性の話ならば…」

 《男性弁護士は、検察審査会の議決の理由に、捜査報告書の内容を挙げている点を紹介し、追及していく》
 弁護人「理由に捜査報告書の内容が挙がっていることは認識していましたか」
 証人「議決自体は見ていないが、報道レベルでは知っていました」

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田代政弘検事 ウソの捜査報告書作成=検察審査会「起訴相当」議決に影響/小沢一郎氏裁判 第9回公判2011-12-16 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎氏裁判 第10回公判〈前〉/前田恒彦元検事「上司から『特捜部と小沢の全面戦争だ』と言われた」2011-12-16 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎氏裁判 第10回公判〈後〉前田恒彦元検事「私が裁判官なら小沢さん無罪」「検察、証拠隠しあった」2011-12-17 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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郷原信郎氏×魚住昭氏「特捜神話の崩壊」②証拠の扱いに慣れてない特捜部2010-10-14 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 編集部 検察の闇ということでは、今回、前田(恒彦)検事の証拠改竄問題が浮上しました。魚住さんは『冤罪法廷』で、村木さんの裁判をずっと取材してこられたんですが、前田検事のデータの改竄問題をどう思われましたか。
魚住 各社が騒いだようには、僕は別に驚きませんでした。供述調書のでっちあげとか、都合のいい証拠だけ摘み食いして事件を作るとか、いろんなことをやってることは既に明らかになってますから、その延長線上に物証をいじることくらい、やっぱりあるかなあ、と。まあ、やってたんだとねえっていう感じですね(笑)。
郷原 これまで特捜がやってきた事件なら、決定的な物証ってなかったわけですよね。贈収賄にしても、ヤミ献金の事件にしても、密室で金を遣った取ったの話だから、お話を作ってしまえばお終いなんですよ。客観的に矛盾するブツっていうものが、もともとないんですよ。ところが今回は、まあ、やり損ないでこんなになっちゃたんだと思うんですけども、虚偽公文書作成っていう文書犯罪だけになっちゃったんですね、最後、村木さんの事件が。そうであれば、その文書に関する客観的な証拠っていうのは、ものすごく重要なんです。決定的な証拠なんです。ところが特捜っていうところは、もともとそういう客観的な証拠で立証するという流儀があまりないんですよ。扱い慣れてないんですよ。
魚住 うん。
郷原 だいたいほとんど軟球で野球してるんですよ。硬球で野球をしたことがあまりないんですよ(笑)。今回は、もろ硬球だったものだから、その扱い方がまるっきり硬球の野球にならなかったんです。
魚住 つまり、本来の刑事事件の捜査の仕方を知らないっていうことですね。
郷原 知らないんですよ。
魚住 前田検事の経歴を見ていて、今日、気付いたんだけど、彼は任官3年後からずっと特捜なんですね。大阪の特捜から入って、それで東京特捜に行って、また大阪に帰って。途中で、ほんのちょっとだけ別のところに行った時期がありますけどね。つまり彼はずっと特捜だっていうことは・・・。
郷原 職人ですね(笑)。
魚住 職人というか(笑)・・・。
郷原 一般事件をやってない。ちゃんとした事件を。
魚住 やってない。で、たぶん公判も知らないんです、あんまり知らないんです。
郷原 多分、そうですね。
魚住 要するに、基本的な行儀作法というのが分かってないんだと思うんですよ。
郷原 そういうことでしょうね。文書の犯罪っていうのが、どうやって裏付けを取って、どうやって事実を確定していくかっていうことが分かってない。
魚住 特捜の流儀でやっちゃったんですね。
郷原 そうです。お話を作ったんです、多分。うどんを捏ねたんです(笑)。
魚住 それがおかしいって言っては失礼だけど、いかにもありそうな話だけど、すごく滑稽にしか思えないっていう感じがありますね。
公安部検事と特捜部検事の違い
郷原 そうですね。彼の経験の中では、こんなこと初めてだったんでしょう。みんな、供述のレベルでは、なんとかかんとか、関係者の供述を総合するとということでなんとかなってきたんですよ。事実だってそんなに厳密に詰めなくたって、6月上旬「頃」(注・強調)に金の遣り取りがあったと、厳密に特定しなくたってすんだんですよ。そこがまったく違っていたということでしょうね。
魚住 今日、元検事の落合洋司さんていう弁護士さんと話していて、その落合さんが言うんですね。「虚偽公文書作成罪にとっては、フロッピーデータというのは最も大切な証拠なんだ」って。
郷原 そうです。
魚住 落合さんは特捜経験があんまりなくて、公安・・・。
郷原 彼、公安なんですよ。私も公安のほうがむしろ長かったんですね。
魚住 公安検事が言うんだったら分かるけども・・・。
郷原 公安部の事件と特捜部の事件と、報告書の作り方も違うんですよ。公安部の着手報告って、必ず右側に裏付けの証拠っていうのがある。だって、ほとんど自白ないですから、公安部の事件て。むしろ証拠が中心なんですよ、裏付けの証拠が。
魚住 なるほど。
郷原 特捜部の着手報告は、そんなのないですから。関係者の供述を総合して、ストーリーを書いてるだけなんですよ(笑)。
魚住 (笑)。
郷原 もともとそういうふうにして、裏付け証拠で確認していくっていう作業は、特捜にはあまりないんですよ。主任のところで供述の擦り合わせをするだけなんです。
魚住 じゃ、われわれの知ってる検察庁の検事さんの組織文化・風土と、特捜の風土っていうのは非常に異なるということですね。
郷原 そうですね。おそらく個人レベルできちんとした捜査をする、きちんとした人間は、自分の調書を取るときに自分で一応ウラを確認していくんだと思うんですよ。昔はそうやってウラを取って、自分の調書のストーリーが客観的な事実に反しないように確かめてはいたわけですよ、個人レベルで。
魚住 ええ。
郷原 ところが、それが最近いい加減になってしまって、お話だけになって。それでももってきたんですよ。多分、前田検事のこれまでやってきた調べの中では、ほとんどそれですんでいるんですよ。
「最高検も汚染されている」
魚住 裁判所も証拠決定の理由の中でこんなこと言ってます。
 上村(勉)元係長を逮捕したのが去年の5月26日だった。その直後から国井(弘樹)検事は上村元係長に、元係長の自宅から押収されたフロッピーディスクの更新日時、6月1日未明になっているやつを示しながら、6月1日未明更新という日時と公的証明書の発行日付5月28日にズレがあるから、君はバックデートしたんだろうという追求したんだと。で、上村元係長はその追求を受けて、自分の記憶にはなかったけれども客観的に違うからバックデートは認めたと。それから数日して、村木元局長の指示を認める自白調書にも署名をしたと。
郷原 5月31日ですね。
魚住 その後、6月7日、それからさらにずっと10何通も自白調書は作られているんだけれども、その中で肝心のフロッピーディスクの更新日時については、一言も触れられていなかった。だから横田(信之)裁判長は、検察側は自分たちの描いたストーリーと矛盾するような事実を、要するに、隠そうとしたんだろうと思われるという判断をしていますよね。
郷原 そうですね。
魚住 国井検事や前田主任検事たちの発想、つまり、もうすでに上村元係長を逮捕した時点でストーリーができているんですね。
郷原 その前に関係者からは、6月8日くらいのところで村木さんから上村氏に指示があったというストーリーが出来上がっちゃってるんです。でも、まだ文書のフロッピーが見つかっていないんだから、それを確定させちゃだめなんです。
魚住 そうなんですね。
郷原 ところが先にもう作っちゃてるから・・・。
魚住 作っちゃってるからフロッピーのデータが出てきても・・・。本来ならその客観的証拠のほうを優先させなきゃいけないのに、その客観的証拠を・・・。
郷原 ストーリーに合わなくなっちゃったんです。
魚住 お話に合わせるために、弾いちゃったんですよね。
郷原 しかも弾くなら弾くで、最初から全部無視すればいいものを、さっき魚住さんが言われるように、国井検事が調べで使っているわけですよ。それも追求に使っているわけですよ。バックデートしたことを、最初、上村氏が喋っていなかったから、ちゃんとバックデートしてるじゃないかと。人間記憶なんて曖昧なものだね、だから多数決で決めようや、私に任せなさい、という話になっているわけですよ。
魚住 そうそう。
郷原 そこまで追求に使っているのに、その追求に使ったフローピーが、全然その後出てこないっていうのは何故なのか。これは多分、取り調べをやった国井検事と前田検事の間で、話をしているはずですよ。これ、どうするのかと。これじゃ調書取れないと。そのフロッピーを示したら、一発でアウトですよ。
魚住 うん。
郷原 で、彼らはどういうストーリーにするのか、ストーリーの組み立てようがなかったんじゃないですかね、曖昧な形にしてぼかすしか。そこで私は不思議なんですけども、そんな曖昧なストーリーで、よく村木さん逮捕のゴーサインが出たなっていうことなんです。
魚住 そうですね。それこそ特捜の事件の作り方が、大阪地検、大阪高検、あるいは最終的にゴーサインを出した最高検、全部がそういう作り方に汚染されてたっていうことですね。
郷原 そうなるんですよ。しかし少なくとも文書犯罪で立件するのに、その文書がいつできたのか分からない。その文書に関する客観的なブツがどうなっているのか、これもよく分からない。それじゃ、ゴーサインは出ないでしょう。
魚住 出ないですね。それに起訴するときだって、全部、最高検までいっているはずですから。
郷原 ええ。
魚住 捜査報告書は出ているわけです。フロッピーの更新日時は6月1日未明であるっていうことは、少なくとも地検の上層部、それから高検、最高検は、認識し得たはずなんですね。
郷原 それをちゃんと着手報告書で書いていたかどうかです、そのフロッピーのことを。書いてなかったんじゃないかと思うんですね。
魚住 いやいや、起訴するとき。
郷原 あ、起訴するときはそうですよね、それは当然・・・。
魚住 普通の頭を持った上司だったら、このストーリーとこの日時は合わないということが判断できるはずですね。
郷原 いや、起訴の段階でも、そのフロッピーのことは表に出していなかったんじゃないですかね。
魚住 じゃ、その捜査報告書は上にいってない?
郷原 その捜査報告者は、起訴の段階では認識してないんですよ、前田検事は。その後にできているんですよ、捜査報告書は。
魚住 いやいや、起訴の段階は7月4日です。で、捜査報告書の作成日付は6月29日です。
郷原 そうか、時間的には起訴のほうが後なんですね。でも、できていることを認識してなかったんじゃないですか。
魚住 認識してなかった可能性もあるし、忘れていた可能性もあるし・・・。
郷原 いずれにしても、そこの点をまず彼らがどう考えたのか、前田検事と国井検事が。ストーリーをぼかすといっても、常識的に考えたら村木氏の指示はなかったんじゃないか、最終的には立証が不可能になるんじゃないかと、考えるべきですよね。
魚住 そうですね。
不可解な事件の背景
郷原 そこで、新聞に出てましたけども、村木さんを逮捕するときのやり方が、いかにも自信のないやり方をしているんです。
魚住 というのは?
郷原 新聞の休刊日の前の日に、休みの日にいきなり村木さんを呼んで・・・。
魚住 大阪地検ね。
郷原 それで、絶対に分からないようにしろと。で、調べてみて、村木氏が認めるようならこれでいけるけども、否認されたらそのまま帰すぐらいのつもりでいたのかも知れない。それをどこかのテレビ局に調べをやっているところを撮られたらしいんですね。
魚住 ああ。
郷原 最初から、これは筋がメチャメチャ悪いから慎重にやらないといけないという認識を持ってた可能性がありますよね。
魚住 そうでしょうか。でも、上村元係長の拘留満期がもう6月14日に来てますよね。だから、すでに再逮捕・・・。
郷原 してますね。
魚住 スケジュール的には、すごくスムーズに流れてるじゃないですか。
郷原 でも曖昧ですよね、文書作成した日時も。しかもまだ全然調べてないし、村木さんが認めるかどうかも分からない。取り敢えず、ここまで来たら一応調べるだけ調べてみてもいいけれども、認めさせられなかったらもう帰すしかない。それを伏せておけばいいわけですから。そういう条件で、取り調べを許可したっていう可能性もあるんじゃないですか。
魚住 ああ。
郷原 ところが、どっかのテレビ局にやられちゃったんで、もう後に引けなくなって逮捕という可能性も・・・。
魚住 でも、大阪地検に呼んでるんですよ。記者にバレないわけ、ないじゃないですか(笑)。
郷原 確かにそうですね(笑)。それだったらどこか大阪府内の某所でやりますねえ。
魚住 ホテルで調べてもいいんだし、いくらでもやり様がありますよね。
郷原 確かにちょっと不可解ですね、そこが。
魚住 だからこの事件は、今ある情報だけで判断しちゃいけないんじゃないかなっていう気もしているんですよ。もっともっと僕らが知らないことがあって、もしかしたらそれに蓋をするためにとにかく早めに、前田さんがマスコミに出てペラペラ喋っちゃうと困るから、とにかく早くあいつパクっておけと、あいつの口に蓋をしろと。
 それで後は最高検が他に累が及ばないように、うまく事件をこじんまりと纏めるからという、そういうことを狙ってるんじゃないかなという気がする。
データが改善されているのにゴーサインを出した不自然さ
郷原 当時の特捜部長と副部長の調べはどうなったんですかね。昨日は夜中までやっていて、今日もやってるという話でしょう。(前部長の大坪弘道、前副部長の佐賀元明の両容疑者は、この後、犯人隠避容疑で逮捕)
魚住 そうですね。
郷原 ベラベラ喋ってますよね。
魚住 俺は監督責任しかないとか。
郷原 それとか、最高検はやり過ぎだとか喋ってますよね、佐賀(元明)前副部長が。あれやられると、最高検はカンカンになって怒ってるんじゃないですかね。
魚住 そうでしょうね。新聞は完全に被疑者扱いじゃないですか、写真の撮り方とか、テレビの撮り方を見てると。世論はもうそういうふうな目で見てますからね。
郷原 しかも、問題なのは、逮捕・起訴のところもそうですけども、少なくとも彼らが認めている話の範囲内でも、今年の1月でしたか2月でしたか・・・。
魚住 2月だといわれています。
郷原 公判が始まる前に、過失か故意かはともかくとして、フロッピーのデータが改竄されてることを知ってるわけですよね。そこを知って、尚かつ問題がないという判断をした。しかも村木さん有罪という前提で、その後もずっと突っ走っていますね。
魚住 そうですね。
郷原 それはちょっと考えられないんですよね。
魚住 ええ。
郷原 改竄がどうのこうのは別として、6月1日が最終更新なのに6月8日が村木さんから上村氏への指示だとすると、ものすごくおかしなストーリーになるんですね。
魚住 そうですね。
郷原 最終的に検察が論告でやっているストーリーっていうのは、こうです。6月1日にフロッピーの文書データを作成し終えていたと。ところが印刷をしてなかったというんですね、まだ本当に作っていいかどうか分からなくて。
魚住 どうしようか決めかねていた、と。
郷原 最後、不正の指示があって、背中を押されるようにしてそれで印刷したっていうんですけども、それはどう考えてもおかしいですよね。普通は文書を作ったら、そこで印刷しますよ。
魚住 ええ。
郷原 だから、そういう無理なストーリーを前提にして起訴したのか、そして公判もそういうストーリーで立証することを前提にして始めたのか。なんかこう、ほとんど有罪の見込みがないのを無理して突っ張ったとしか考えられないですね。
魚住 ああ。
郷原 しかも、5月に裁判所は上村氏などの証拠請求を却下して、その後、今日の朝日新聞の夕刊に出てましたけども、最高検に報告しているみたいですね、その今の日付の関係を。
 そこで、フロッピーの改竄のことは報告してないっていうことを問題にしてるけども、フロッピーの改竄のことを報告するしないは別として、そのストーリーがものすごく不自然じゃないですか。そこをどう考えたんですかね。そんな不自然なストーリーのまま有罪の論告ができたっていうのが、私はちょっと不思議なんです。
最大のポイントは国井検事の証言
魚住 そもそも冒頭陳述は特捜部が作ったんでしょ、当然?
郷原 そりゃそうです。おそらく最高検までいってるはずですよ。
魚住 いってますよね。それでも、そのストーリーの矛盾が問題にならなかった。
郷原 冒頭陳述の段階ではぼかしてるんですよ。6月上旬と・・・。
魚住 そうです、そうです。
郷原 それを論告で具体化しているストーリーがそういう・・・。
魚住 そうです、そうです。
郷原 ぼかしたストーリーになってます。
魚住 で、弁護側の冒頭陳述でその矛盾を突かれちゃってアワ食っちゃったと。その後の対応がよく分からないんです。公判部の女性検事が登場しますね。要するに、彼女がまず不審に思ったっていうことなんですかね。
郷原 そうみたいですね。それで、これはおかしいと言って・・・。
魚住 で、国井検事に聞いたっていう話になってますね。国井検事って仲間じゃないですか、前田検事と一心同体のはずじゃないですか。
郷原 それで国井検事が驚いて前田検事に聞いたって、電話で・・・。
魚住 聞いたっていうんでしょ。どうもそれがちょっと僕はよく分からない。
郷原 ええ。だって国井検事は分かっているはずですよ。だって自分で調べてるんだから。
魚住 そう。だって上村元係長を調べてるわけだから。そこもまずおかしいし、次に、国井検事が前田検事に電話で聞いたら、前田検事が「時限爆弾を仕掛けた」って言うんでしょ。
郷原 そうそうそう(笑)。
魚住 そんな大事なこと、電話で言うかって(笑)。それもおかしいよね。
郷原 やっぱり、国井・前田ラインでいったいどういう話をしたのか、ここなんですよ。
魚住 そう。
郷原 この二人の間の話は・・・、まず調べをしているときの話ですね、上村氏の取り調べのときに彼はどう報告してたのか、この矛盾について。これ当然報告しているはずなんです。で、二人の間でどうしようっていう話になったのか。
 それからその後、半年あまりたって公判が始まるときに女性検事が騒いだ。その時に、また国井・前田っていうところで話が行われたはずですよ。この話の内容はどういうことだったのか。これが今の事件の捜査の最大のポイントだと思うんですよ。
魚住 そうですよね。
郷原 前の特捜部長、副部長を夜遅くまで調べているっていうんですけど、国井検事のほうはどうなっているですかね。
魚住 そうですね。国井検事の供述内容が、すごく重大なポイントになるんだろうけれども、最高検は、まあ、外には本当のとこは出さないでしょうね。
捜査に第三者を入れるべきだ
郷原 そうなると、やっぱり最高検のチームでちゃんとした捜査なんかできるのっていう話ですよ。
魚住 できないですよね。泥棒の親分に手下の泥棒を調べさせてどうするのって(笑)。
郷原 そうですよ。ちょっと冗談みたいな話ですね。しかも決済の話があるわけじゃないですか。ストーリーの話があるわけじゃないですか。「おまえは最高検にどういう報告をしたのか」って最高検のチームが調べるなんて、こんな冗談みたいな話がありますか。もう考えられないですよ。
魚住 ヘンな話ですよね。本来は、最高検の捜査は捜査で別として、それとは別の形で第三者委員会みたいなものを作らなきゃダメですね。
郷原 私は捜査自体、検察の内部者だけでやったらダメだと思いますよ。外部から捜査経験のある弁護士を、それも検察とベタベタのヤメ検じゃなくて、一線を画しているヤメ検だっているわけですから、そういう人間をチームに入れて、そういう人間主体の捜査チームで調べないとダメですよ。
魚住 それは法的にできますか。
郷原 できますよ。任期付きで任官させればいいわけじゃないですか。法務大臣が辞令を出せばできますよ。だから法務大臣がしっかりしないといけないんですよ。法務大臣は鼎の軽重を問われますよ、こんなバカなことをやっていたら。
「最高検が適切に捜査されると思う」、まだそんなこと言ってるみたいですね、今日。ちょっと勘弁してくれよっていう話ですよね。あんたの仕事だろうと(笑)。
魚住 そうか、じゃヤメ検でなくてもいいじゃないですか。法曹資格がありさえすればいいわけでしょ。
郷原 いいんだけども、ただやっぱり調べの経験がないと、相手は海千山千ですから。だって前田、国井、この連中ですよ。弁護士で民事とかばっかりやってる人が調べられますか?
魚住 そりゃそうだけど、それこそ村木さんの主任弁護人だった弘中(惇一郎)さんとか、そういう人たちにやってもらったらどうですか。
郷原 私がやらしてもらってもいいです(笑)。
魚住 ハハハハ。でも、そうしないと本当のことは出ないですね。
郷原 ええ、第三者が入らないと絶対ダメです。 (了)

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