ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

「何度目の青空か?」は秋の切なさ薫る良作も、歌詞世界での「僕」から「君」への変調に違和感 [26Aug14]

2014-08-26 18:00:00 | 芸能
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昨日、斉藤優里がMCを務めるNACK5「おに魂」で、10枚目表題曲「何度目の青空か?」がフルで流れましたね。

8月19日(火)、HTC新スマートフォンのプレス向けカンファレンスで、ステージライブによって「初披露」されたあと、会場録音と思われる非公式音源が出回り、「こうなった以上、ラジオか全国ツアーで、早く正式公開した方がいい」と考えていたので、正式音源の迅速な公開は、高く評価出来ます。

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永島聖羅がレギュラー出演するFM-FUJI「沈黙の金曜日」でも、22日(金)に「何度目の青空か?」が流されたという情報がネットに出ていて、気になっていたのですが、自分では直接確認出来ませんでした。

昨夜の「おに魂」では確実に新曲が流れていて、そうなると、「沈黙の金曜日」でのフル公開も信憑性の高い話と言えます。

火曜日の「初披露」のあと、金曜日「沈黙の金曜日」、翌週月曜日「おに魂」と、すぐに新曲をラジオで公開したのは、運営が最初から計画していたことなのか、それとも「予期せぬ音源流出」を受けての緊急措置なのかは分かりません。

ただ、「おに魂」放送直後に更新した、ゆったんのブログを読んでも、新曲に関して何も触れてなくて、せいらりんも同様で、公式サイトのニュースページにも、ラジオ公開の話は載っていないところをみると、急遽決定されたのだけど、全国ツアーとの整合性が取れなくなるので、神宮ライブまではノーコメントなのかなと(笑)、思いたくなります。

しかし、いずれにせよ、正式音源が出始めたことで、非公式音源による曲の印象が駆逐され、ファンの評価も、また変わっていくんじゃないでしょうか。

斉藤優里の2014/08/25_23:48ブログ


昨日の記事では、ワイドショーで断片的に流されたものからの印象を書きましたが、正式な音源で聴いてしまった以上、そこで止めるのは宜しくないので(笑)、「何度目の青空か?」について感想を書いてみたいと思います。

まず感じるのは、「秋」ということですね。

冷たくなり始めた水、澄み切った青空、秋の切なさを彷彿させるメロディ、今はまだ夏の盛りですが、10月8日(水)の発売日には、季節にピッタリ合った曲になる気がします。

ちょうどサンマの塩焼きに栗ごはんが美味しい時期ですが(笑)、秋特有の何とも言えない「寂しさ」ってありますよね。

そういう秋の雰囲気が、生田絵梨花の美しいソロで、出だし部分から、一気に流れ込んでくる。

初っぱな、いくちゃんのソロパートは、おそらく地声をほとんど変えず入れていると思います、寂しさ、色気、楽しさなど、複数のイメージがキラキラと輝いて、とてつもなく魅力的な歌声になっています。


その後、メンバーがそれぞれのパートを分担しながら歌っていくのですが、細切れのフレーズのため、目まぐるしく歌い手が変わって、じっくり聴けず、ややせわしない印象を持ちました。

また、二人以上でコーラスする場面が多いためか、歌声をアレンジし過ぎている感じで、地声の良さが消えて、ちょっと人工的な歌になっている気がします。

とくに心配なのは、実際のステージで生歌披露するとき、機械によるアレンジを施している部分を、ちゃんと歌えるだろうかという点です。

乃木坂随一の美声と音楽性を持つ生田絵梨花をセンターに抜擢して、彼女のソロでスタートする曲を作った以上、ステージでは、生で歌ってこそ意味がある筈ですが、すべてのメンバーについて、声域や声質が担当パートにマッチしているとは、ちょっと思えないし、複数コーラスは、音を取れないと、台無しになります。

ん~、CDで聴ける歌を、ステージ上で生歌で忠実に再現するのは、かなり厳しいんじゃないかと。


しかし、10th選抜には、生田絵梨花以外に、歌の上手いメンバーが、桜井玲香と衛藤美彩の少なくとも二人はいます。

いくちゃんのソロパートを増やし、キャプテンとみさみさの三人で軸を作る歌割りにすれば、CDとは少し違うけど、魅力的な生歌ステージを実現することは可能だと思います。

生田絵梨花をセンターにしたことで、今回の選抜には、音楽面での期待が高まっていて、秋元康氏の「神曲」発言は、それに応えようとした結果とも考えられます。

「神曲」を引っさげて登場したのに、「口パク」ステージでは様にならないので、生歌への対応はぜひ考えて欲しいところです。

まあ、最初の出だしだけ、いくちゃんが完全な生で歌って、後は、CD音源によるサポートという気がしなくもないですが(笑)、それではちょっと寂しいですよね。


メロディに関しては、切なさと甘さと明るさと、様々に変調して、気持ちよく聴ける曲だと感じました。

リズムとメロディの基本ラインが、比較的シンプルなので、心にスッと入ってくる感じで良いですね。

しかし、後半から終盤、大団円へ向けた壮大感を演出しようとしたのか、ちょっと音楽を「盛り過ぎ」ている気がします。

まあ、この辺は、好みの問題だと思いますが、個人的には、もっと抑えめにまとめて、むしろ歌声で聴かせる方が、より曲へ引き込まれたんじゃないかなと。


歌詞の内容は、「締め忘れた蛇口から出続けている水」が一つのキーワードで、それが何らかの「喪失」あるいは「浪費」を象徴していて、それと対比する形で「青空」という、もう一つのキーワードが出てきます。

忙しい日常を過ごす中で起こる「喪失」や「浪費」を、たまには「青空」を見上げることで乗り越えていく、そういうニュアンスでしょうか。

ただ、蛇口から流れ出ていく「大切なもの」とは具体的にどういうものなのか、そして、「青空」が何をもたらしてくれるのか、漠然としていて、感情移入しきれない面があります。


とくに気になるのは、歌の出だしでは、

僕の心の片隅にも

と、「僕」の内面にある自分の問題として、「締め忘れた蛇口」が語られるのに、後半に入って、

君が出しっぱなしにしてる音

と、いつの間にか、自分というより、他人の問題になっていることです。

「僕」から「君」へ歌詞の主役が変わっていくに従って、「僕が悩んでいる」というスタンスから、「青空を数えている?」「何かを始めよう!」と「君」への問いかけや促しになり、終盤は、「今日出来ることは今日やろう」的な、格言を聴いている気になってきます(笑)。

イメージとしては、最初は高校生の独白で始まったのに、後半、父親くらいの年齢の人が、若者に諭すように語りかけている、そんな感じでしょうか。


秋元氏の「神曲」発言があったためか、「何度目の青空か?」を、5枚目表題曲「君の名は希望」と比較する人は多いようです。

実は、「君の名は希望」の歌詞では、徹頭徹尾、「僕」の内面が歌われていて、「僕」から「君」へといった主観の揺らぎはありません。

しかも、自分の殻に固く閉じこもってしまった孤独な心が、人を愛することによって、自分自身が変わっていき、世界の美しさを感じ取っていくという、苦悩と救済の流れが明確に示されています。

テーマが具体的で、しかも、解決策まで辿り着くという親切さです(笑)。


興味深いのは、愛した人が自分に振り向いてくれなくても、というフレーズに象徴されるように、自分の内部情動が、外部世界を必ずしも都合良く変えるわけではないことを、肝に命じている。

自分が確実に変えられるのは、自分の内面のみだけど、それを変えることによって、世界の見え方が驚くほど変わり、それこそが一番重要なことなのだという思想が貫かれています。

ここまで徹底して「主観」というスタンスにこだわった歌詞を聴くと、作詞者はフッサールの現象学を愛読しているのではなかとすら思いたくなります(笑)。


人間の精神は、自分という檻の中に閉じ込められた存在で、世界で起こっていることは、檻の中で見ている夢に過ぎない。

こういった現象学的発想は、洋の東西を問わず、古くからあるようで、キアヌ・リーブス主演の映画「マトリックス」(1999)も、物語のベースに置いている節があります。

そして、檻の中から抜け出して、「本当の世界」と巡り会い、それを実感したいという欲求は、「マトリックス」でも描かれているように、多くの人が持つ感情だと思います。

不思議なことに、思春期にある青年は、とくにこういった感情を持ち易いようです。

「君の名は希望」が高い評価を受けるのは、孤独からの魂の救済という明確なテーマがある上、それが、青春期によく見られる普遍的なテーマであり、さらに、現実と同じく、思うようにならない外部世界と格闘しながら、あくまでも「僕」が、自分の力でそれを解決しようとする、そういう歌詞だったからかもしれません。

乃木坂の風 21Jun13 ~ 「君の名は希望」を作ったのは誰か


「何度目の青空か?」の歌詞は、主人公が直面するテーマが見えにくい上に、「僕」から「君」へ主観の揺らぎが起こっていて、個人的には、やや違和感を持ってしまう部分があります。

しかし、それは好みの問題であって、また、何度も聴いていけば、自分で消化して、気にならなくなるかもしれません。

10枚目表題曲は、生歌ステージは可能?という不安はあるけど、良質な音楽と歌詞の揃った歌で、それを生田絵梨花が歌うわけで、大いに期待していいんじゃないでしょうか

結局、神が宿るのは、歌の中ではなく、歌い手の中であって、そういう意味では、神が宿りやすいセンターを選んだのだから(笑)、いくちゃんには自信を持って歌って欲しいです。

もちろん、CDは絶対買います、1種類につき1枚だけですが(笑)。


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# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています

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