貞観法 和らぎ通信

和らぎ体操研究会のニュースなどを中心にして記して行きます。

ヤマイモ

2021-02-10 21:56:54 | 日記

生薬の一つとして「山薬」の名で呼ばれる芋がある。

「ヤマノイモ」とも称される「自然薯」と「長芋」・「ヤマトイモ」を総称して「ヤマイモ」とも呼ばれるが、滋養強壮・緊張緩和作用があり、澱粉分解酵素アミラーゼが大根の3倍あるのだそうで、活性酸素を除去するタカラーゼも豊富に含まれるという。

こうした効能があるからという訳ではないが、私は子供の頃からこのヤマイモが大好物である。

但し、子供の頃に実際に食していたのはヤマトイモであって、祖母はこれを専ら「テイモ(手芋)」と呼んで擂鉢で擂り下し出し汁を加えた「とろろ汁」を拵えてくれたものであった。

この「とろろ汁」、本物は幻の食材とも云われた天然の自然薯が使われるモノであることを知ったのは何時であったろうか?。

初めて私が「ヤマノイモ」の自然薯を口にした日のことは今でもしっかりと記憶している。

22歳の時のこと、遺跡の発掘調査での折に調査していた試掘溝のローム層の上を横に這うようにして親指の太さ程の芋があるのを見つけ、すぐさまそれが自然薯であることを直感して、掘り上げてバケツに汲み置きされている水で洗い、表面のヒゲ根を手早くむしり取って生のまま齧って口にした。

その後にも日を改めて、また見つけ出しては口にするといったことが3・4回はあったように憶えている。

これに味を染めて秋も深まる頃になると自然薯の存在が気にかかるようにとなったが、見沼田んぼの中と川口道場の近くでと2回ばかり極々小さなモノを掘り出したことがあるにはあるが、天然の自然薯掘りを本格的に行ったことは私にはない。

年に一度、栽培物の自然薯を買い求めて来て食すくらいなものである。

最初に栽培された自然薯を買い込んだのは、今から15年くらい以前であったろうか、旧の国道122号線の菖蒲町の本多静六博士の生家の近くにある道の駅(小さな駐車場と広場があるのみ)の傍らに、小さな小屋掛けが成され「自然薯」の幟旗が掲げられているのを通りすがりに見つけた時であった。

細く長い形状をした自然薯で味の良い、粘りも香りもあるものだったので翌年も買い求めに出かけて行ったが、初めて売店の存在を知ってから2年か3年後であったろうか、店は閉じられ買うことが出来なくなってしまった。

その後に栽培物であっても自然薯を食す機会のない時間を過ごしていたが、5・6年くらい前のこと、今度は4号国道沿いの道の駅に大層立派で太さも長さもある自然薯の売られているのを見つけ、こちらにも2・3年買い求めに出かけた。

この時に以前から自然薯に対して強い思い入れを持ち、道場へも見えて下さっている乗馬クラブのKさんにも買い込んで来たモノを差し上げて見たのだったが2・3回目にお分けした後に忌憚のない意見を聞かせてくれた。

それはこの栽培物の自然薯は値段の割にそれ程価値あるものでは無いように思うと云うものであった。

Kさんは乗馬クラブのオーナーをする前は正月二日の日から天然の自然薯掘りを彼方此方の野山に出かけて行って、毎年何本もの自然薯を掘り出していたのだというだけあって、なかなかに自然薯に対しては厳しい目を持っておられる。

丁度その頃に、Kさんは知人の伝手で秋田から天然の自然薯の掘り出されたモノを手間賃を払って取り寄せていたし、さらに、これだけでは飽き足らずに私の生地の深谷のとある農園からも「ヤマトイモ」も購入していた。

私の買い求めた自然薯よりも「このヤマトイモの方が安価で味も粘りも勝っているから、要らぬお節介だろうけれども、あの自然薯はやめてこちらにした方が良いよ。」とのアドバイスをしてくれ、自分がお取り寄せをしている、この秋田からの天然自然薯と深谷のヤマトイモとを差し出して、この二つと私の求めて来た栽培された自然薯との三つを食べ比べて見ろと促された。

その言葉通りに、先ずは擂り下したままで生の味付けなどしない状態で食してみる。

粘りの度合いでは秋田からの天然自然薯が一番で、次に深谷のヤマトイモ、意外だったが私の買って来た栽培物の自然薯の粘度はヤマトイモよりも低く、味の方も同じ順位が付けられるのではないかと感じ取った。

粘り味ともに天然自然薯(秋田産)>ヤマトイモ(深谷産)>栽培自然薯

擂っていて気付かされたのは秋田の天然自然薯は赤みを帯びた褐色にとどんどん変色して行くと云うことだったが、この現象はイモが空気に触れて酸化されていくのを防ぐためにポリフェノールが活性化して引き起こされるのだというから、その現象が一番強くに表れたのが天然の自然薯であったと云うことになろうか。

これに比較すると栽培物の自然薯もヤマトイモもあまりこうした急激に変色するような現象は起こらなかった。

素のまま生で口に運び試食してみても、これらにそれぞれ出し汁を加えとろろ汁にして味わってみても、やっぱり天然物の自然薯が格別であったのだが、Kさんの言葉通りにこれを機会にして私は栽培物の自然薯を購入するのは止めにして、代わりにヤマトイモを買い求めるようにしたのである。

Kさんの所にその後も毎年送られて来る天然自然薯のお裾分けを頂いているので、お陰様で食させて頂いているが何せ天然物だけに貴重品であるだけに食す機会としては多くにありつけない。

私は私でKさんとは別にヤマトイモの買い出しをここ数年現地まで足を運んで行っている。

つづく

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