道場に見えるⅠ田さんから先日包丁研ぎを頼まれた。
去年の暮れから今年これまでに7・8本の包丁研ぎをⅠ田さんの他、浦和みどりさん、ファンキーさんから頼まれて研いだ。
三徳包丁・菜切包丁・蛸引き包丁・出刃包丁。
皆さん料理好きな方たちだから包丁にも凝られている。
私は若い頃から刃物研ぎが好きで、特に夜の夜中に刃物を研ぐと心落ち着ける気がして、自前の包丁を研ぐことが習い性になっている。
夜中の刃物研ぎをしている姿を想像すると山姥の話を思い出して怖ろしい感じがしなくはないが、昼日中よりも夜中が良い。砥石と刃物の擦れ合う音と腕を動かす律動とが一体になって何とも言い知れぬ心地にとなれる。
刃物研ぎは私にとっては体操の一端のようなもので、心持も身体も解放された境へと導いてくれる気がするのである。
「料理」とは理(ことわり)を料(はかる)こと。だから、食材の持つ陰陽を見極め、身体との兼ね合いを考慮して、これを調えること(調理)で成り立っていると私は思っている。
みなさん、どうぞ美味しくて身体が喜ぶような料理を腕を振るって拵えてくださいませ。