付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「勇者イサギの魔王譚(3)」 みかみてれん

2015-12-11 | 異世界転移・召喚
 イサギたちが冒険者と共存を模索する中、魔族同士の主導権争いに煽られて廉造が暴走した。冒険者を殱滅しようと、独断で魔軍を引き連れて人間の街を急襲したのだ。
 一刻も早く元の世界に、ひとり残してきた病床の妹のもとへ帰りたいという意志の前には、イサギの情理を尽くした説得も届かない……。

 新たな魔王候補として召喚された元勇者の物語。
 イサギはつくづく仲間に恵まれません。確かに自ら望んで集った仲間ではないけれど。

「あたしは後悔したくない。でも、後悔しなかった日なんてなかった。だから、全部背負いながら、歩いていきたい。次こそはもっと上手にやるって」
 まだ12歳ながら、魔術師プレハはすべてを背負おうとしていた。 

【勇者イサギの魔王譚(3)】【鞄には愛だけを詰め込んで】【みかみてれん】【荒川眞生】【エンターブレイン】
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「勇者イサギの魔王譚(2)」 みかみてれん

2015-02-02 | 異世界転移・召喚
『いつまでも一緒だからね、イサギくん!』

 イサギは元・勇者であることを隠し、ただの中二病の高校生イサとして、同じく魔王城に召喚された現代日本から来た少年たちと訓練の日々を送っていた。自分が倒した魔王の娘を助けて。
 だが、そんなイサギの前に姿を現したエルフの少女は、彼を見て言ったのだ。「イサギ、おにいちゃん……?」と。
 そこに襲いかかってくるのは、不死身の冒険者たち……。

 そりゃあ、相手の視点からみたら、死んでも死んでも復活して襲いかかってくる冒険者なんて、バケモノ以外の何者でもないよね。今回も上げて落として、また上げて、さらにたたき落とすという浮き沈みの激しい展開の連続で、勇者の回想も交えながらどんどん話が進みます。
 そもそも魔王を倒しても攻守を変えただけで戦いは終わらなかったし、今回も襲ってくる新たな勇者を倒したからといって戦いが終わる保証はなく、そこに気づいたところからイサギの新たな第一歩が始まるわけですが、それすら正しい方向に歩いているとは限らないのです。
 現代日本から承諾もなしに異世界に連れてこられ、何の保証もないままに世界を救うためだと戦争に放り込まれる状況を「ストックホルム症候群」とはよくぞ言った。さすがにそんなにステロで強引な展開の作品は多くないけれど、一度言われたらもうそうとしか見えてきません。

【勇者イサギの魔王譚(2)】【それすらも幸せな日々だと気づかずに】【みかみてれん】【荒川眞生】【エンターブレイン】【ストックホルム症候群】【再会】【激闘】【瀕死】【裏切り】
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「勇者イサギの魔王譚(1)」 みかみてれん

2014-11-26 | 異世界転移・召喚
「落ち込んだときは、放っておいてくれよ、って人はよく言うじゃないですか。ぼく、ああいうのは逆効果だと思うんです。本当に凹んで、どうしようもなくなったときって、人は構ってほしいんだと思うんですよ」
 辛いときは側に誰かがいなくちゃダメだと小野寺慶喜。

 異世界に勇者として召喚された少年、浅浦いさぎは仲間たちとの苦難の旅の末に、ついに魔帝アンリマンユを討ち取った。これからは婚約者と平和の日々が……と思った瞬間、その世界から姿を消した。
 気がついたとき、彼は見知らぬ少年3人と共に魔王城にいた。
「お、お願いします、魔王さま方……わたしたちを、冒険者の魔の手からお救いくださいませ……」
 そう彼らに頼むのは、アンリマンユの遺児デュテュ、そこは先ほどまでいた魔王城ではあるけれど、魔王が斃されて20年後の世界らしい。冒険者の手によって滅びようとする魔族の救世主、次期魔王候補として召喚されてしまったのだ……。

 もともと魔族から仕掛けた戦争てはあったけれど、勇者の力で状況が逆転した途端、人間が調子に乗ってしまい、魔族どころか同盟相手だったエルフやドワーフまでも虐げるようになってしまった……という状況で、間に挟まれてしまった主人公。でも、彼にとっての1番は人間のことでも魔族のことでも召喚仲間の日本人高校生たちのことでもなく、20年前に生き別れた少女のこと。
 なんとなく、取っつきわるい表紙といかにもハーレム・ファンタジーな口絵イラストに読む気はなかったけれど、ぱらぱら立ち読みしてみたら意外に面白かったわよとは買ってきた妻の弁。これもウェブ小説がベースだけれど、書籍化にあたって全面改稿とのことで、嫁さんの話だと登場人物と導入部まではほぼウェブ版のままだった……そうです。
 ということで、どういう方向に向かうのか、楽しみです。理想を失って権力者の道具となってしまった冒険者ギルドを叩きつぶす話になるのかしら?
 イラストも売れ筋とは違うと思うけれど、真面目にしっかり仕事をこなしている、どういう場面か情景が伝わるようしっかり描き込み、画面構成に手を抜かない良い挿絵です。

【勇者イサギの魔王譚(1)】【夢の始まりを始めるために】【みかみてれん】【荒川眞生】【エンターブレイン】【封印】【迷宮女王】【冒険者ギルド】【中二病】【決め台詞】
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