「悪役転生だけどどうしてこうなった。」 関村イムヤ

　気がつけば学園恋愛アドベンチャー『エンゲージ・リンクス』の世界に転生していた。その敵役の悪役令嬢、エリザ・カルディア・エインシュバルクとしてである。
　その破滅ルートを回避すべく……というより、領民を悪逆非道な領主から救うため、エリザが両親を毒殺したのは彼女が２歳のときだった。
　まさか幼児が両親を殺したなどとは疑われないまま、生き残った唯一の相続人として、エリザは女伯爵となるべく後見人を立てて領主教育を受けることになる。だが、その一環として領主を憎む兵士たちの中に放り込まれて泥にまみれ、血反吐を吐き、草をくらい、蛇やトカゲにかぶりついたりすることになろうとは、転生したエリザも想定外だった。
　領主の義務として兵を率いて戦場に立ったのは６歳の歳で、初陣は想定外の激戦となった。
　それから十数年。エリザは幾度も戦場に立ち、領地を経営し、乙女ゲームのスタート地点である王立学習院に入学するときには、悪役令嬢どころか残虐非道な好血の伯爵、残虐伯、冷血伯、冷酷伯と呼ばれるようになっていた……。

　ひとことでまとめると「どうしてこうなった」のひとことに尽きるのだけれど、それはひとえに後見人となったテレジア伯爵の情け容赦なしのせい。それだけのことをしないと、領民に憎まれている幼女が人材もいない、何かことあらば最前線となる国境の領地を維持することはできなかったということですが、まさか学園パートに入る前に命の危機が何度も訪れようとは！？という話でした。

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