付け焼き刃の覚え書き

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「大戦前夜」 ジョン・リンゴー

2010-08-28 | ミリタリーSF・未来戦記
「どんな戦闘計画も、敵と接触するまでの命」
 みんなトレッキー。

 “良い知らせ”と“悪い知らせ”があった。
 “良い知らせ”は人類が友好的な異星人とのファースト・コンタクトに成功したこと。
 “悪い知らせ”は、その異星人は敵対的な種族と星間戦争のまっただ中であり、5年後には地球も最前線になるということだ。
 2001年3月のことであった……。

 ファースト・コンタクトと同時に銀河系レベルの星間戦争に巻き込まれた地球人類が、なかば傭兵として戦いまくる話。ファースト・コンタクトがあり、銀河文明のテクノロジーが入ってきた上に、まともに戦っていたら勝てないような宇宙人の大艦隊襲来!ときたら、政治、科学、宗教、市民生活とあれこれあるでしょうに、ただただ軍隊視点だけで話が進みます。ダーヘル人の陰謀も、一般家庭での様子も、戦闘の合間にちらっと描写されるくらい。片っ端から徴用されたというミリタリーSF作家陣も具体的な出番無し。

 『エリアル』でもファースト・コンタクトしたときの地球の技術レベルは銀河系水準に遙かに及びませんでしたが、あちらは口八丁で乗り切った話。こちらは戦争技術と闘争心で乗り切る話です。闘争心にあふれる文明の大半は宇宙進出前に自滅してしまうものらしく、敵であるポスリーン以外の銀河系文明は戦うこともできない臆病者の群なのです。そういう意味ではポール・アンダースンの『天翔る十字軍』とシチュエーションは似ています。ベトナム戦争や湾岸戦争を生き残ってきた兵士たちが今度は宇宙の果てで戦うぞ!……って、ジェリー・パーネルの『地球から来た傭兵たち』にも似ています
 でも、こちらの地球人は時間が足りない上に、銀河文明の窓口であるダーヘル人が地球人を警戒して裏工作をしてくるのでなかなかうまくいきませんが、それでもパワードスーツみたいなコンバット・スーツの実戦配備に成功したものですから、レオパルド戦車を機動歩兵が支援するという光景すら見られます。「追いつめられた人類が何をするか、見せてやる!」というやつですね。

 表紙イラストも好きだけれど、コンバット・スーツは頭部にバイザー部分が無く、前面もグレー一色ということだから、ちょっと違う気がします。AH版『宇宙の戦士』のパッケージ・アートが近いような気がしますが……。

【大戦前夜】【ポスリーン・ウォー1】【ジョン・リンゴー】【ひろき真冬】【ファースト・コンタクト】【後方潜入】【特攻】

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