付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「本好きの下剋上12」 香月美夜

2017-10-18 | 本屋・図書館・愛書家
「結婚と恋愛は違う。結婚を見据えるならば、恋を実らせることが重要なのではない。その先に生活していけるかどうかが重要なのだ」

 昨年は失敗したリュエルの実の採集に成功したローゼマインは、神官長と共にユレーヴェの調合にも成功した。これで身体の内に固まった魔力を溶かし、健康な身体になれると喜んでいたのだが……。

 第三部の本編は半ばまで。後半はローゼマイン不在の2年間の様子を、彼女の周囲の人々の視点で描いた短編集。
 異世界転生ファンタジーは多けれど、この作品ほど「魔法を使える人間が存在する社会」をきちんと描いたものはなかなかないんですよね。貴族も平民も同じ人間!……みたいな暢気なラブ&ピースの世界が多いわけですが、この話は脳天気な内政チートファンタジーのようでいて、この魔力を持つ人、持たない人、魔力が社会に与える意味、貴族と平民による身分の差とか役割の違いをはっきり前提として描いているからこそ、その乗り越えられない階層の深い谷を問答無用で突破しようとするローゼマインの無軌道ぶりが印象的になります。
 さて、いよいよ出番が増えたおじいさまことボニファティウスですが、イラストはけっこう普通の剣豪。なんか脳内イメージがラオウ+山のフドウというか、画面に首から上が映らないコヤマさんみたいなものだったので、「あ、普通の人間だ」とちょっとがっかり。

【本好きの下剋上12~司書になるためには手段を選んでいられません】【第三部 領主の養女V】【香月美夜】【椎名優】【TOブックス】【ビブリア・ファンタジー】【しいなゆう】【四コマ漫画】
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