くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「捨てる」アミの会( 仮)

2016-05-05 22:48:08 | 文芸・エンターテイメント
 図書館でみつけた「捨てる」(文藝春秋)。装丁が美しいです。
 近藤史恵さんによれば、短編小説が発表しづらい世の中だからこそアンソロジーとして出版することにしたとか。女性作家九人の作品が収録されています。
 まず、大崎梢「箱の中身は」。母親から捨てるように言われたという箱を持って公園にいる女の子がモチーフ。
 松村比呂美「蜜腺」は、生命保険自殺をした夫と、遺された妻、姑との物語で、ウツボカズラが効いています。じわじわとやるせなくなってくる。同僚女性のやり口が嫌ですね。
 福田和代「捨ててもらっていいですか」は、祖父の遺品から見つかった拳銃をめぐるコメディ。
 光原百合「四つの掌編」では「戻る人形」が怖い。情念のようなものを感じます。
 新津きよみ「お守り」は、話の筋以上に「京都より東には行けない」というおばあさんのバックグラウンドが気になります。
 「ババ抜き」は永島恵美らしい悪意を感じ、近藤さんの「幸せのお手本」はなんだかちょっと素人っぽかったというか……。近藤さんはもっとうまい人なので、少し物足りなかったです。
 柴田よしき「花子さんと、捨てられた白い花の冒険」は、予想外の転換でおもしろいです。監禁事件、最近も発覚したものがありますし。花をゴミに出すという場面からの発想がすごい。
 わたしの教え子にもハナコちゃんやタロウくんはいますよー。(はたちくらいです)
 篠田真由美さんの作品は、なぜか読み切れませんでした……。