京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

平安京がみやこでなかった頃

2011-11-20 | インポート

 鳴くよウグイス・・・といえば、794年の平安遷都。

 日本史の年号記憶法で、誰もが通った道である。

 以来、明治時代まで、平安京は都であり続けた。

 と、多くの人は思いがちである。

 しかし、違う。

 時は平安末期、治承四年、西暦にして1180年に、都は平安京から別の場所に移された。

 移された先は福原、今の神戸の辺りである。

 その遷都を主導したのが、平清盛。

 そう、来年の大河ドラマの主役である。

 

 とはいえ、わずかな期間のことであり、都はすぐに平安京に戻された。

 平清盛、あるいは彼を中心に展開する『平家物語』の主舞台は、京都である。

 来年の大河の舞台となった場所が、京都には多く存在する。

 中に、嵯峨野の祇王寺というのがある。

 平清盛に可愛がられた白拍子=当時の踊り子、であった祇王という女性所縁の寺である。

 清盛ははじめ祇王を愛したが、やがて別の白拍子、仏御前に気が移ってしまった。

 要するに祇王は捨てられてしまったわけである。

 そうして祇王は隠棲することになったのが、今の祇王寺の辺りだという。

 悲恋の舞台というわけで、拝観者に女性が多い。

 

 この祇王寺は、紅葉の名所。

 庭一面にモミジが植えてあるので、見ごろになると大変美しい。

 この時季に行っておきたい場所である。

 ちなみに、この祇王寺と隣り合うように、滝口寺というのがある。

 こちらも『平家物語』に所縁のお寺である。

 しかも、ここも悲恋の舞台である。

 滝口入道という出家した武家と横笛という女性のお話。

 嵯峨野には、その他にも悲恋の舞台が多い。

 いいや、嵯峨野だけでなく、大原や宇治にも多い。

 都からそう離れていないひなびた土地という位置関係が、そうさせるのだろうか。

”あいらんど”