いかりや爆氏の毒独日記

最近の世相、政治経済について「あれっ?と思うこと」を庶民の目線から述べていきたい。

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ショック・ドクトリン、1997~1998アジア通貨危機の場合、

2012-01-08 20:57:21 | 日記

 ショック・ドクトリン(ナオミ・クライン著)の下巻に、1997~98にかけて起きたアジア通貨危機のケースが詳述されています。そのなかから、韓国の場合を中心として要点的に述べてみます。

1997年のアジア通貨危機は、アジアから投機的短期資金がどっと逃げ出したことからはじまった。ウオール街の有力投資アナリストたちはこの危機を、アジア市場を保護している古い規制をすべて取り払うチャンスだと捉えたのである。その急先鋒モルガン・スタンレーのストラジスト、ペロスキーは、「危機がこのまま悪化すれば外資はすべて流出し、アジア企業は廃業に追い込まれるか、欧米の企業に身売りするしかないだろう」と述べている。モルガン・スタンレーにしてみれば、どっちに転んでもうまい話である。

FRBのグリーンスパン議長も公然と同じような見解を口にした。アジア経済危機を「わが国のような市場システムにたいする合意に向けた画期的な出来事」だと表現し、「今回の危機はアジア諸国に、いまだ多く残る政府主導型経済システムの撤廃を促進するだろう」と述べた。

IMFのカムドシュ理事も、似たような見解を示した。「今回の危機はアジアにいまだ残る古い殻を脱ぎ捨てて新たに生まれ変わるチャンス」だと語った。IMFは危機発生の原因に一切目を向けることなく、弱みに付け込んで、危機に陥った国が援助を請うよう仕掛けたのである。

 こうして、アジア諸国から古いやり方や習慣を一掃したあと、シカゴ方式による国家の再生が図られる。基幹サービス事業の民営化、中央銀行の独立化、労働市場の”柔軟化”、社会支出の削減、そして勿論、完全な自由貿易の実現である(日本では小泉ー竹中の骨太の方針で言われてきたことと同じである)。

 IMFとの新たな合意によって、タイでは外国人による銀行の株式保有率の制限がひき上げられ、インドネシアでは食料補助金がカットされ、韓国では大量解雇を禁止する労働者法が撤廃されることになった。さらにIMFは韓国に容赦ない解雇の要求を突きつけた融資を受ける条件として銀行業界に50%の人員解雇を求めたのだ(のちに30%に緩和)。これらの要請は、アジア企業を買収するにあたって徹底的なスリム化を断行したい欧米の多くの多国籍企業にとって不可欠だった。

 危機が発生する1年前には、このような措置は考えられもしなかった。当時は韓国の労働組合が最も戦闘化していた時代で、雇用の安定を脅かす新労働法が提出されるや、韓国史上もっとも大規模かつ過激なストライキが決行された。ところが、経済危機のおかげで様相は一変する。経済崩壊のあまりのすざまじさに、政府は暫定的な独裁支配体制を敷くことになるが、(同じようなことは南米のボリビヤからロシアに至るまで世界各地で起きた)、それもIMFが介入するまでのことであった。

 IMFの民主主義破壊工作は韓国ではもっとあからさまだった。交渉が終盤にさしかかった時期、折りしも韓国では大統領選が行われようとしており、主要候補者のうち二人はIMF路線反対を掲げていた。IMFはここで主権国家の政治プロセスに干渉するというとんでもない手段に出る。当選した暁にはIMFの条件に従うという確約を主要四人から得られない限り、融資は行わないとしたのだ。国を事実上に人質にとったIMFが勝利を手にし、候補者たちは書面でIMFを支持することを誓った。

 経済問題を民主主義の手の及ばないところに保護するというシカゴ学派の至上命題が、これほどまで露骨な形で現れたことはいまだかってない。選挙は実施していいが、それによって経済の管理運営をどうこうすることはできない、韓国国民はそう言われたも同然だった(韓国では交渉が成立した日は即座に「国民的屈辱の日と名づけられた)。

 10年経った今日、アジアの危機は収束していない。たった2年間で、2400万人が職を失い、どの国でも問題の収拾に苦労している。インドネシアではイスラム過激派が台頭し、フィリピン、韓国の貧しい農家の娘を人身売買業者に売り渡しオーストラリアやヨーロッパや北米の売春市場へ送られた、タイでは児童買春が激増した。危機の際に職を失ったものが再就職できないばかりか、新たな外国の経営者が投資に見合う高利益を要求するために、人員削減は今尚続いているのだ。韓国の自殺者は毎日38人(日本は90人)という経済危機の前にくらべ倍増している。外国の多国籍企業が、インドネシア、タイ、韓国、マレイシア、フィリピンで行った大型合併・買収はわずか1年8ヶ月に合計186件に及んだ。

 そして今、韓国はアメリカとFTA締結に移行しようとしている。

 さて、日本は虚額の財政赤字に、翻弄されている。悪魔は他人の弱みに付け込んで支配下に置こうとしている。そればかりではない、故意に弱みを作り出して谷底へ突き落とす。日本の財政赤字は、ユーロ圏のギリシャやイタリヤやポルトガルと言った財政赤字と根本的に異なる。日本の首相は、それをあたかも虚額→巨額であるかのように偽装しているのか、それとも本気でそう信じているほどバカなのか、わかっていないのか、自分でこの国を貶めている。アメリカは、今後日本をどう料理しようとしているのだろうか。その前に、シカゴ学派がしかける金融資本主義の暴発で、アメリカ自身が自滅するかもしれない。

 

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帝国の終焉 (トッペイ)
2012-01-09 22:51:41
イランの革命裁判所が、CIAのスパイ容疑でイラン系米国人に死刑判決を下しました。
米側もホルムズ海峡閉鎖は断固許さないということで緊張が高まっています。
産軍複合体が、手ぐすねひいて戦争準備を始めているようです。アメリカ経済の惨状を救うには戦争しかないと思っているのでしょう。
しかし、イランは意外に手ごわいし、モーターボートにロケットランチャーを持ち込んでタンカーを狙えばひとたまりもありません。
たとえ、イラン戦争をアメリカが引き起こして
一時的に経済が浮揚したとしてもアメリカ帝国の滅亡への一里塚となるでしょう。
もしアメリカが自滅するなら (通りがけ)
2012-01-10 05:53:51
座視しないで止めてやるのが本当の友達である。

直ちに地位協定を破棄して双頭の鷲の一方の頭米軍の暴走にブレーキをかけてやろう。
アメリカの将来ある若い人たちを戦場の死地に送り込む愚かな米軍の行為に、日本人は決して手を貸してはならない。
推敲加筆しました (通りがけ)
2012-01-10 16:41:50
[世界中の危機・混乱・戦争は米国のウォール街金融が起こしている。目的は「新世界秩序」]ふじふじのフィルターさま
http://fujifujinovember.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-35b3.html
> 世界の市民の命・生活・経済を破壊している真のテロリストは米国ウォール街の金融資本であるということに私達日本人も
>知る必要があります。米国の市民も彼らの被害者なのですね。
> ウォール街は軍産複合体を支配し、そして、もちろん、原発も彼らが支配してやっていることです。世界中で起きていることは、
>私達に関係しています。関心を持って見ていこうではありませんか。無関心はダメです。

全く同感です。そしてこちらも。

[ショック・ドクトリン、1997~1998アジア通貨危機の場合、]いかりや爆氏の毒独日記さま
http://blog.goo.ne.jp/ikariyax/e/4c9dcac5fa9310468d6caaf329e7c2e8
>その前に、シカゴ学派がしかける金融資本主義の暴発で、アメリカ自身が自滅するかもしれない。(いかりや爆氏)
>帝国の終焉 (トッペイ)2012-01-09 22:51:41イランの革命裁判所が、CIAのスパイ容疑でイラン系米国人に死刑判決を下しました。
>米側もホルムズ海峡閉鎖は断固許さないということで緊張が高まっています。・・・たとえ、イラン戦争をアメリカが引き起こして
>一時的に経済が浮揚したとしてもアメリカ帝国の滅亡への一里塚となるでしょう。

もしアメリカが自滅するなら、座視していないで止めてやるのが本当の友達であり、君子の行う親身親切である。

直ちに地位協定を破棄して米軍への兵站をすべて止め、双頭の鷲の一方の頭米軍の世界に対するテロ攻撃暴走にブレーキをかけてやろう。

アメリカの将来ある若い人たちを軍産複合体が自ら策謀して作り出した戦場の死地に送り込むという愚かな米軍の狂乱のテロ犯罪に、平和不戦の憲法を戴く日本人は決して手を貸してはならない。

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